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犬のトリミングの仕方・完全ガイド~被毛タイプ別に見るセルフカットの方法

 「トリミング」とは犬の被毛を適切な長さや形にカットして身だしなみを整えることです。通常はプロに任せますが、何らかの事情でトリミングサロンに行けない人のために自宅でもできる「セルフトリミング」の仕方を写真や動画とともに詳しくご紹介します。

トリミングの必要性

 犬の身だしなみを整える「グルーミング」には、ブラッシングやシャンプーのほか被毛をカットするトリミングが含まれます。簡単に言うと長くなりすぎた犬の被毛をカットして適切な長さに調整することで、トリミングを行う人のことをトリマーとも呼びます。ヘアレス(無毛)やショートヘア(短毛種)の犬ではほとんど必要ありませんが、ミディアムヘア(中毛種)やロングヘア(長毛種)の犬では時と場合に応じて不要な毛をトリミングしなければなりません。トリミングが必要となる部位と理由は以下です。
トリミングの部位と理由
  • 体全体の被毛犬の中には人間の髪の毛と同じように、被毛をカットしないと延々と伸び続けていく犬種がいます。具体的にはトイプードルヨークシャーテリアなどです。こうした犬種のトリミングを怠ると、毛がもつれて収拾がつかなくなりますので、定期的に毛を短くカットする必要があります。また夏場の体温調整をしやすくするという効果もありますので熱中症予防にもなるでしょう。
  • マズル周辺の被毛マズル(鼻周り)周辺の被毛が伸びていると、餌を食べたり水を飲むたびに被毛が濡れたり汚れたりします。そのまま放置しておくとバクテリアが繁殖して悪臭を放つことがありますので、毛を短くカットしておくと衛生的に保てます。
  • 眼球周辺の被毛眼球周辺の被毛が伸びていると、垂れ下がった毛先が目の表面に触れて炎症を起こしてしまいます。炎症が長期化すると角膜炎に発展してしまうかもしれませんので、毛を短くカットしておく必要があります。
  • 前足や後足の被毛前足や後足の被毛が伸びていると、歩くたびに地面と触れて汚れてしまいます。また草地を歩くとダニがついてしまうこともありますので、毛を短くカットしておく必要があります。
  • 腹部の被毛腹部の被毛が伸びすぎると、特に短足犬種では歩くたびに地面をモップがけするような状態になってしまいます。またオス犬の場合、おしっこするときに尿がかかってしまうかもしれません。ダニが草から飛び出して侵入しやすい場所でもありますので、毛を短くカットしておく必要があります。
  • 足の裏の被毛犬の足には肉球が付いており、汗をかくことで滑り止めの役割を果たしています。しかし指と指の間から被毛が飛び出していると、肉球が持つせっかくの滑り止め機能が半減し、床の上でスリップしてしまうかもしれません。汚れが染み付いて毛玉にもなりますので、毛を短くカットしておく必要があります。
  • 肛門周辺の被毛肛門周辺の被毛が伸びていると、ウンチをしたときに排泄物がこびりつき「ディングルベリー」(dingleberry)と呼ばれる綺麗とは言えない塊ができてしまうかもしれません。あらかじめ短くカットしておけば汚物が付着することもなくなるでしょう。
 上記したのはすべて犬にとってのメリットですが、人間にとってのメリットもあります。例えば犬の見た目が美しく(可愛く)なって飼い主の自尊心が満たされるとか、毛量が減ってブラッシングやシャンプーが楽になるなどです。また犬アレルギーを発症してしまった人にとっては、被毛に付いたアレルゲンとの接触機会が減って症状が軽減されるといった恩恵もあるでしょう。このようにトリミングには、犬と人間両方に対するたくさんのメリットがあるのです。
では具体的にどのような犬種にトリミングが必要になるのでしょうか?次のセクションで詳しく見ていきましょう!

トリミングが必要な犬種

 犬がオオカミから分岐した後、被毛に関する3つの突然変異が人間によって固定化され、現代のイエイヌたちに受け継がれました。1つは「長毛」、1つは「巻き毛」、そしてもう1つは「飾り毛」です。こうした被毛は自然界には存在しない不自然なものですので、選択繁殖によって特徴を固定化した人間が責任をもってトリミングしてあげなければなりません。

被毛のタイプを決める遺伝子

 2009年、アメリカにある「National Human Genome Research Institute」の調査チームは80犬種1,000頭に及ぶ犬を対象とした大規模な遺伝子調査を行い、オオカミには見られない「長毛」「巻き毛」「飾り毛」という被毛のタイプを決定している遺伝子がどこにあるのかを検証しました。その結果、以下のような事実が明らかになったといいます。
被毛の生え方と関連遺伝子
  • 長毛遺伝子イヌ32番染色体にあり「fibroblast growth factor-5」と呼ばれるタンパク質の形成に関わっている「FGF5」遺伝子エクソン1の置換変異(Cys→Phe)。常染色体劣性遺伝。「TT」という遺伝子型は長毛種の91%、短毛種の3.9%、中毛種の30%で見られたが。しかしアフガンハウンド、狆、シルキーテリア、ヨークシャーテリアに関してはこの遺伝子とは全く別の遺伝子が長毛に関わっていると考えられる。
  • 巻き毛遺伝子イヌ27番染色体にあり「keratin-71」と呼ばれるタンパク質の形成に関与している「KRT71」遺伝子の変異。巻き毛の犬では「TT」、非巻き毛の犬では「CC」という遺伝子型を保有している。コイルドコイル、プレフォルディンのどちらか一方、もしくは両方に影響を及ぼすことによって毛の生成が不完全になり、巻き毛になると考えられる。
  • 飾り毛遺伝子イヌ13番染色体にあり「R-spondin-2」と呼ばれるタンパク質の形成に関わっている「RSPO2」遺伝子の挿入変異。飾り毛がある298頭中297頭(ホモ型は268+ヘテロ型は29)で挿入変異が見られたのに対し、飾り毛のない406頭ではただの1頭も見られなかったことから常染色体優性遺伝であると考えられる。

被毛タイプ別の犬種一覧

 犬種によって被毛の長さや生え方はバラバラですが、上記した3つの遺伝子で全体の95%の説明は付くと言います。では具体的にどのような組み合わせパターンがあるのかを見ていきましょう。

変異なし

 「変異なし」とはオオカミで見られるのと同じ遺伝子型です。野生動物で見られることから「ワイルドタイプ」とも呼ばれます。一般的に「短毛種」と呼ばれる犬をイメージすればわかりやすいでしょう。「長毛」「飾り毛」「巻き毛」といった変則的な被毛パターンは見られませんので、基本的にブラッシングだけでトリミングは必要ありません。 「長毛」「飾り毛」「巻き毛」を持たないワイルドタイプの犬

飾り毛のみ

飾り毛+巻き毛

 「RSPO2」と「KRT71」に変異を持った犬種のことです。体幹部の被毛は短めですが顔、手足、しっぽといった体の末端部分にある被毛(ファーニシング, furnishing)が長く成長し、なおかつカールがかかります。 「RSPO2」と「KRT71」に変異を持った犬ではファーニシングがカールしながら伸びる

長毛のみ

 「FGF5」にだけ変異を持った犬種のことです。毛の成長相から脱毛相への移行が遅いためなかなか脱毛が起こらず、体幹部の被毛が延々と伸び続けます。ただし顔、手足、しっぽといった体の末端部分にある被毛(ファーニシング, furnishing)が長く伸びる事はありません。アフガンハウンドは長毛種の代表格ですが「FGF5」とは別の遺伝子が関わっているため省いてあります。 「FGF5」に変異を持った犬は被毛が長く伸びる

長毛+飾り毛

 「FGF5」と「RSPO2」に変異を持った犬種のことです。毛の成長相から脱毛相への移行が遅いためなかなか脱毛が起こらず、体幹部と体の末端部分にある被毛(ファーニシング, furnishing)が延々と伸び続けます。被毛で顔が隠れてしまう犬種や、頭の上でリボンを結ぶ犬種をイメージすればわかりやすいでしょう。顔に垂れかかった被毛は特に「フォール」(fall, 滝)とも呼ばれます。なおヨークシャーテリアの長毛は「FGF5」とは別の遺伝子によるものですが、便宜上ここに分類します。 「FGF5」と「RSPO2」に変異を持った犬は全身の被毛とファーニシングの両方が長く伸びる

長毛+巻き毛

 「FGF5」と「KRT71」に変異を持った犬種のことです。毛の成長相から脱毛相への移行が遅いためなかなか脱毛が起こらず、体幹部の被毛が延々と伸び続け、なおかつカールがかかります。 「FGF5」と「KRT71」に変異を持った犬では全身の被毛がカールしながら伸びていく

長毛+巻き毛+飾り毛

 「FGF5」と「KRT71」と「RSPO2」のすべてに変異を抱えた犬種のことです。体幹部の被毛および顔、手足、しっぽといった体の末端部分にある被毛(ファーニシング, furnishing)が延々と伸び続け、なおかつカールがかかります。ポーチュギーズウォータードッグに関しては飾り毛のないタイプもいます。 「FGF5」と「KRT71」と「RSPO2」に変異を持った犬では全身の被毛とファーニシングがカールしながら長く伸びていく
こうした被毛のタイプは人間の選択繁殖で生み出されたものです。人間が責任持ってケアしてあげましょう!

犬のトリミングスタイル

 丸刈り状態の犬を「ワイルドスタイル」、被毛を伸び放題にした状態の犬を「ナチュラルスタイル」とすると、トリミングとは両者の中間段階に被毛を整えてあげることを意味します。では具体的にどのようなスタイルがあるのでしょうか?

長毛犬のトリミング

 「FGF5」遺伝子に変異を抱えた長毛種では顔面、頭のてっぺん、肘から先、膝から先のエリアを除いて全ての被毛が長く伸びていきます。代表格はキャバリアキングチャールズスパニエルダックスフント(ロングヘアー)、チワワ(ロングコート)、パピヨンペキニーズボーダーコリーポメラニアンなどです。
 被毛の特徴をすべて消し去った外見を「ワイルドスタイル」、被毛に手を加えず放置したときの外見を「ナチュラルスタイル」とすると、「ワイルドスタイル」がスムースコリー、「ナチュラルスタイル」がラフコリーに相当します。 長毛犬種の被毛の長さを両極端にした比較写真  トリミングとは、犬の被毛をカットして「ナチュラルスタイル」と「ワイルドスタイル」の中間のどこかのスタイルに整えてあげることです。では「長毛」をもった犬ではどのようなトリミングスタイルがあるのかを見ていきましょう。

首周り

 首全体を包み込むように伸びた被毛は「メイン」(mane=たてがみ)、顔まで包み込んだものは「ラフ」(ruff)、胸元に垂れた部分は「エプロン」(apron)や「フリル」(frill)と呼ばれます。カットせずに放置しておくとライオンのたてがみのように四方に広がっていきます。断熱材としては優れていますが、熱がこもりやすいため夏場は短めにカットした方が良いかもしれません。 長毛犬種の首周りの被毛は冬は暖かいが夏は暑い  毛の量を減らすときはバリカンが楽ですが、ダブルコート犬種の場合は刃がなかなか入っていかないこともあります。そういう場合はハサミと併用したほうがやりやすいでしょう。具体的には首・背中のトリミングをご参照下さい。

肩周り

 前足の付け根に伸びた被毛は「ショール」(shawl)や「ケープ」(cape)と呼ばれます。カットせずに放置しておくと上腕部に覆い被さっていきます。断熱材としては優れていますが、熱がこもりやすいため夏場は短めにカットした方が良いかもしれません。 長毛犬種の肩周りの被毛は冬は暖かいが夏は暑い  毛の量を減らすときはバリカンが楽ですが、ダブルコート犬種の場合は刃がなかなか入っていかないこともあります。そういう場合はハサミと併用したほうがやりやすいでしょう。具体的には首・背中のトリミングをご参照下さい。

胴周り

 胴周りに生え、脇腹から垂れた部分は特に「スカート」と呼ばれます。カットせずに放置しておくと地面と接触して汚れやすくなりますので短めにカットしたほうがよいでしょう。またおしっこの出口付近の被毛は汚れやすいので短めに整えておいたほうがよいかもしれません。 長毛犬種の体幹部から垂れ下がる被毛はスカートと呼ばれる  毛の量を減らすときは下に垂れている部分をハサミでカットしてあげれば楽でしょう。うんと短くする場合はバリカンを用いてざっくりとカットしてしまいます。具体的には首・背中のトリミングをご参照下さい。汚れやすいサニタリーエリアをカットする際はオス犬でもメス犬でもバリカンを用います。具体的には胸・腹のトリミングをご参照下さい。

足周り

 前足の上半分(上腕部)や後足の上半分(大腿部)に伸びた被毛は「キュロット」(culotte)と呼ばれます。鳥の羽のようにきれいに並んだときは「ブリーチング」(breeching)と呼ばれることもあります。 長毛犬種の足回りの被毛を放置していると羽根のように広がっていく  放置しても生活に支障をきたすことはそれほどありませんが、後方に伸びたフリンジ(房毛)が邪魔だという場合はカットしても良いでしょう。また特に太もも周りの被毛はおしっこが付きやすいので短めに整えておいたほうがよいかもしれません。具体的には足・股間のトリミングをご参照下さい。

しっぽ

 しっぽに生えた被毛は特に「ブラッシュ」(ブラシ)と呼ばれます。パピヨンのように上向きに生えて噴水のように見える場合は特に「プルーム」(plume)とも呼ばれます。 長毛犬種の心をの被毛は地面に触れると汚れやすい  カットせずに放置しておくと汚れやすくなりますので、特に肛門近くの被毛はある程度のカットが必要です。肛門の周辺をカットする際はオス犬でもメス犬でもバリカンを用います。具体的には尻・しっぽのトリミングをご参照下さい。

飾り毛犬のトリミング

 「RSPO2」遺伝子に変異を抱えた犬種では、頭のてっぺん、耳、顔、鼻先(マズル)、肘から先、膝から先、しっぽにかけての被毛が伸びていきます。代表格としては短毛種ではウェストハイランドホワイトテリアダックスフント(ワイアーヘア)、ミニチュアシュナウザーなど。長毛種ではシーズーマルチーズヨークシャーテリアなどが挙げられます。
 被毛の特徴をすべて消し去った外見を「ワイルドスタイル」、被毛に手を加えず放置したときの外見を「ナチュラルスタイル」とすると、「ワイルドスタイル」がスムースダックスフント、「ナチュラルスタイル」がワイヤーダックスフントに相当します。 飾り毛犬種の被毛の長さを両極端にした比較写真  トリミングとは、犬の被毛をカットして「ナチュラルスタイル」と「ワイルドスタイル」の中間のどこかのスタイルに整えてあげることです。では「飾り毛」をもった犬ではどのようなトリミングスタイルがあるのかを見ていきましょう。

眉毛

 目の上にある被毛は特に眉毛(アイブラウ)と呼ばれます。カットせずに放置しておくとどんどん横に伸びていきます。もし毛先が目の中に入っているという場合はハサミや電気バリカンで先端をカットしてあげれば十分でしょう。長毛種の場合は思い切り伸ばして頭の上で結び、「トップノット」(top knot)にしてしまうというスタイルもあります。しかしブラッシングやシャンプーなどのメンテナンスは大変です。 飾り毛犬種の前では短くカットするか、逆に思い切り伸ばして結んでしまう

口ひげ

 鼻の上に生える被毛は特に口ひげ(マスタッシュ)と呼ばれます。カットせずに放置しておくとどんどん上に伸びていき、さらに放置しておくと重力で口元に垂れ下がっていきます。目の中に毛先が入ったり、餌を食べる時に垂れ下がった被毛が汚れてしまう可能性がありますので、眉毛よりはカットの必要性が高いでしょう。 飾り毛犬種の口ひげは毛先が目に入りやすいので必ず処理をする  毛先だけをカットする場合はハサミを用いますが、目に入らないよう十分注意する必要があります。口ひげを伸ばしてセンター分けにし、カイゼル髭にしてしまうというスタイルもあります。短く刈り揃える場合はバリカンを用いましょう。具体的には顔・頭のトリミングをご参照下さい。

あごひげ

 あごの下に生えた被毛は特にあごひげ(ビアド)と呼ばれます。カットせずに放置しておくと重力に引かれてどんどん垂れ下がっていきます。餌を食べる時に汚れてしまう可能性がありますので、場合によってはカットしたほうがよいでしょう。 飾り毛犬種のあごひげは食事時の邪魔になるのでカットした方が良い  毛先だけをカットするときはハサミのほうがやりやすいでしょう。短く刈り揃えるときはバリカンを用います。具体的には顔・頭のトリミングをご参照下さい。

足の毛

 肘や膝から下に生える被毛は特にズボン(トラウザース)、足先に向かって太くなっている場合は「パンタロン」(pantaloons)と呼ばれることがあります。カットせずに放置しておくと、被毛の先端が地面についてしまいます。汚れたりダニが侵入してしまう可能性がありますので適度にカットしたほうがよいでしょう。 飾り毛犬種の足先の被毛は地面とすれて汚れやすい  毛先だけをカットするときはハサミのほうがやりやすいでしょう。短く刈り揃えるときはバリカンを用います。具体的には足・股間のトリミングをご参照下さい。また肉球に挟まった毛も同時にカットしてあげましょう。具体的には指・肉球のトリミングをご参照下さい。

巻き毛犬のトリミング

 「KRT71」遺伝子に変異を抱えた犬では全身の被毛がカールしながら伸びていきます。通常は「FGF5」遺伝子の変異を同時に抱えていますので、被毛が長く伸びながらカールしていくと表現したほうが正確でしょう。代表格はトイプードルビションフリーゼなどです。
 被毛の特徴をすべて消し去った外見を「ワイルドスタイル」、被毛に手を加えず放置したときの外見を「ナチュラルスタイル」とすると、「ワイルドスタイル」が丸刈りしたプードル、「ナチュラルスタイル」がモコモコのプードルに相当します。 巻き毛犬種の被毛の長さを両極端にした比較写真  トリミングとは、犬の被毛をカットして「ナチュラルスタイル」と「ワイルドスタイル」の中間のどこかのスタイルに整えてあげることです。では「巻き毛」をもった犬ではどのようなトリミングスタイルがあるのかを見ていきましょう。

眉毛

 目の上にある被毛は特に眉毛(アイブラウ)と呼ばれます。カットせずに放置しておくとどんどん横に伸びていきますが、カールしているため目の中に入るということはありません。毛先が目の中に入っているという場合はハサミや電気バリカンで先端をカットしてあげれば十分でしょう。具体的には顔・頭のトリミングをご参照下さい。 巻き毛犬種の眉毛は目に入らないように短くカットしておく

口ひげ

 鼻の上に生える被毛は特に口ひげ(マスタッシュ)と呼ばれます。カットせずに放置しておくとどんどん上に伸びていき、さらに放置しておくと重力で口元に垂れ下がっていきます。目の中に毛先が入ったり、餌を食べる時に垂れ下がった被毛が汚れてしまう可能性がありますので、眉毛よりはカットの必要性が高いでしょう。 巻き毛犬種の口ひげは毛先が目に入りやすいので、必ずカット  目に入らないよう刈り上げるときも、毛先だけをカットしてモコモコを残すときもバリカンを用い、鼻の付け根から口の先に向けて毛並みに逆らうように刈っていきます。目が近いのでハサミは極力用いないほうが賢明です。伸ばしてセンター分けにし、両脇に垂らすといったスタイルもあります。具体的には顔・頭のトリミングをご参照下さい。

あごひげ

 あごの下に生えた被毛は特にあごひげ(ビアド)と呼ばれます。カットせずに放置しておくと重力に引かれてどんどん垂れ下がっていきます。餌を食べる時に汚れてしまう可能性がありますので、場合によってはカットしたほうがよいでしょう。 巻き毛犬種のあごひげは食事時の邪魔になるのでカットした方が良い  刈り上げるときはバリカンを用い、あごの下から口の先に向けて毛並みに逆らうように刈っていきます。毛先だけをカットしてモコモコを残すときはハサミのほうがやりやすいでしょう。具体的には顔・頭のトリミングをご参照下さい。

足の毛

 肘や膝から下に生える被毛は特にズボン(トラウザース)と呼ばれることがあります。カットせずに放置しておくと、被毛の先端が地面についてしまいます。汚れたりダニが侵入してしまう可能性がありますので適度にカットしたほうがよいでしょう。特に巻き毛の場合は直毛に比べてノミやダニが潜みやすいので要注意です。 巻き毛犬種の足先の毛にはダニが潜みやすい  刈り上げるときはバリカンを用います。毛先だけをカットしてモコモコを残すときはハサミのほうがやりやすいでしょう。肉球に挟まった毛も同時にカットしてあげます。具体的には足・股間のトリミング指・肉球のトリミングをご参照下さい。

胴周り

 胴周りに生えた被毛は特に「スカート」と呼ばれます。しかし巻き毛の場合はまっすぐ垂れ下がらないので「ボア」といったほうがよいかもしれません。カットせずに放置しておくと、特におしっこの出口あたりが汚れやすくなるためサニタリーエリアはカットしてもよいでしょう。 巻き毛犬種の胴周り被毛はボアのようにチリチリに伸びる  サニタリーエリアをカットする際はオス犬でもメス犬でもバリカンを用います。具体的には胸・腹のトリミングをご参照下さい。

しっぽ

 しっぽに生えた被毛は特に「ブラッシュ」(ブラシ)と呼ばれます。プードルのように先端だけを残した場合は特に「ポンポン」(pompon)とも呼ばれます。カットせずに放置しておくと汚れやすくなりますので、特に肛門近くの被毛はある程度のカットが必要です。 巻き毛犬種の肛門付近の被毛は排泄物が付きやすいのでカットする  肛門の周辺をカットする際はオス犬でもメス犬でもバリカンを用います。具体的には尻・しっぽのトリミングをご参照下さい。
ご自身のわんちゃんが「長毛」「巻き毛」「飾り毛」のどのタイプなのかをあらかじめ把握しておきましょう。次はいよいよトリミングの準備です!

トリミングの準備

 何の計画も持たずにいきなり犬を捕まえて被毛をカットしてしまうと大きなストレスになってしまいます。またたいていは抵抗しますのでトリミングを行う飼い主のほうも疲れてしまいます。面倒でもしっかりとした下準備を終えておきましょう。

ブラッシング

 トリミングを行う前にも後にもブラッシングが必要となります。トリミング前のブラッシングは毛の通りをよくしてバリカンが途中でひっかからないようにすることが目的です。トリミング後のブラッシングは被毛の中に残ったカット済のムダ毛を取り除くことが目的です。具体的な方法はブラッシングのやり方で解説してありますのでご参照ください。 犬のブラッシングのやり方

トリミング用ハサミを選ぶ

 素人がトリマーの見よう見まねでハサミを使ったカッティングを行ってしまうと犬の皮膚や目を傷つけてしまう危険性があります。基本的には使いたくありませんが、カットする部位が顔や体表面から遠い場合は補助的に用いてもよいでしょう。ハサミを選ぶ際は100円ショップで売っているような工作用のハサミではなく、トリミング専用のハサミ(トリミングシザー)を用いたほうが手を動かしやすくて楽です。

ペット用バリカンを選ぶ

 バリカンは人間用のものではなくペット用のものを用いて下さい。先端部が熱くなりすぎないような放熱設計や、音が大きくならないような静音設計が施されされています。毛の長さを揃えるためのアタッチメントコームは、多くの場合3、6、9、12mmという4種です。アタッチメントを使わない場合は1~2mmという短いカットも可能になります。被毛を12mm(1.2cm)以上の長さで揃えたい場合はアタッチメントの品揃えが豊富な商品を選ばなければなりません。

犬をバリカンに慣らす

 トリミングに際しては基本的に電気バリカンを用いましょう。その際にネックとなるのは飼い主の技術よりも「音」です。電気バリカンのモーター音を嫌がっている犬を強引に押さえ付けてしまうとトリミングが犬にとって嫌なイベントになってしまい、次回以降逃げ出してしまいます。またもじもじ動いている犬を相手に丁寧なトリミングもできません。ですからあらかじめ犬をバリカンの音に慣らしておくことが必要になるわけです。

バリカンの音に慣らす

 犬をバリカンの音に慣らす際は、まず電気バリカンの音を聞こえるかどうかわからないくらいの小さな音量で流します。音のサンプルは「犬をいろいろな音に慣らす」というページの中の「電化製品が出す音」の中にありますのでご利用ください。 犬をいろいろな音に慣らす  5分くらい流したら少しだけ音量を上げてみましょう。犬が慣れてきたらまた少しだけ音量を上げます。もし犬がそわそわと落ち着かない様子を見せたら音が大きすぎです。もう一度音量落とし、犬が気にしない程度まで戻しましょう。
 このように少しずつ音に慣らしていき、最終的に本当のバリカンを作動させてみます。犬が気にしないようでしたら成功です。もし犬が警戒心を示しているようでしたらもう一度音量落とし聞かせましょう。こうしたプロセスは1日や2日でできるものではありません。1~2週間かけてゆっくりと犬を音に慣らせていってください。

バリカンのタッチに慣らす

 バリカンの音だけでなく、「バリカンに接触される」という触覚的な情報にも慣らせておかなければなりません。犬が体に触られること自体に慣れていない場合は、まずボディコントロールのしつけを終わらせておきましょう。 ボディコントロールのしつけ  犬がボディタッチに慣れたら、トリミングで実際に使用するバリカンと犬が大好きなおやつを用意します。まずはスイッチを入れない状態で犬に見せてみましょう。クンクンと匂いを嗅いで「これはなんだろう?」としばらく探索するはずです。そのうち食べ物やおもちゃではないことに気づいた犬は興味を失います。
 犬がバリカンに対する興味を失ったらバリカンで軽く犬の体にタッチしてみましょう。犬がじっとしていたら、ボディーコントロールのしつけと同じ要領でおやつを与えてほめてあげます。体のいろいろな部位をバリカンでタッチしていき、犬がおとなしくしていたらそのたびごとにいいことほめておやつを与えましょう。特に足先やお尻周りを重点的にタッチするようにします。
 犬がバリカンによるタッチに慣れてきたら、今度はバリカンのスイッチを入れた状態でタッチしてみましょう。犬がじっとしていたらいいことほめておやつを与えます。犬が警戒心を抱いているようでしたら電気バリカンの音、もしくは接触(振動)のどちらかに対する慣れがまだ足りません。いったん引き返し、音や接触に慣らすところからリスタートしましょう。犬が十分に慣れたと感じたら、もう一度バリカンのスイッチを入れて犬にタッチしてみます。おとなしくしていたら準備完了です。
決して焦らず、飼い主も犬もゲーム感覚で楽しみながらしつけを進めて下さい。次はいよいよトリミングの実践です!

自宅で行うセルフトリミング

 長毛にしても巻き毛にしても飾り毛にしても、仕上がりをきれいにするためにはお金を払ってトリミングサロンに頼んだ方がベターです。しかし「トリミングサロンで嫌な思いをした」「トリミングサロンが遠くて行けない」「犬の足腰が悪くて外出できない」といった場合は自宅でセルフトリミングをしてあげる必要が生じます。

顔・頭のセルフトリミング

 顔や頭をセルフトリミングするときのタイミングは被毛が目に入っていたり餌を食べるときに汚れてしまうときです。頻度は犬の毛の成長に合わせるようにしましょう。
 基本的に目から遠ざかる方向にバリカンを動かしていきます。耳から近い場所ですのでなるべく音の小さな器具を使ってあげるとよいでしょう。犬が頭を動かしてやりにくい場合は、あごの下にある毛をつまんだりマズルをつかんだりして一時的に固定してしまいます。 【動画】How to Shave a Poodle Face starring"Lucky" 犬の口周りの被毛は鼻先に向かってバリカンをかけている  目の周りはデリケートな部位ですので何度もゴリゴリと動かすのではなく、なるべく短時間でスムーズにカットしてあげましょう。数mm程度に短く整える場合は口の端(口角)部分の刈り残しが多くなるので、皮膚をピンと伸ばすようにして露出してからカットするようにします。事前にしっかりとしたボディコントロール(特にマズルコントロール)を終えていることが重要です。

首・背中のセルフトリミング

 首や背中をセルフトリミングするタイミングは、夏は短め冬は長めなど季節に合わせるようにします。頻度は犬の毛の成長に合わせるようにしましょう。
 トリミングは毛並みに沿ってバリカンを動かしていきます。刈り跡がつぎはぎ状態にならないよう長さを一定に整えるアタッチメントコームを使ったほうがよいでしょう。 【動画】How to Use Clippers when Grooming a Shaggy-Haired Dog _ Dog Grooming犬の首や背中の被毛は手紙に沿ってバリカンをかけていく  長さは任意ですが、夏は短めで冬は長めにカットしたほうが体温調整に役立ちます。バリカンの刃がなまっていたり、あまりにも早くバリカンを移動させてしまうと、まだ切れていない被毛が刃に引っ張られて不快感が生じますので、適度なスピードを保つようにしてください。

胸・腹のセルフトリミング

 胸や腹をセルフトリミングするときのタイミングは被毛が汚れやすくなったときです。頻度は犬の体型や毛の成長に合わせるようにしましょう。たとえばダックスフントやコーギーのような短足種の場合、通常の足の長さを持った犬よりは頻繁なトリミングが必要になります。
 胸元のトリミングはサイドから毛並みに沿ってバリカンを動かしていきます。腹部は毛が薄く、なおかつ乳首が位置していますので、しっかりと犬を後足で立たせて視野を確保した状態で行って下さい。小型犬の場合は両方の前足を片手でつかみ上体を起こします。中型犬以上の場合は2人がかりで行ったほうが安全でしょう。カットするのはオス犬でもメス犬でも以下で示した逆ハート型の範囲です。 【動画】How to Shave a Belly犬の腹部の被毛は地肌を傷つけないように気をつけながらバリカンをかけていく

オス犬

 長さは1.5~2mmで刈り揃えるようにします。地肌にバリカンを強く押し付けないよう注意しつつ、下から上に向かって刈っていきます。中央には性器がついていますので、まずはその周辺をカットしてあげましょう。 オス犬の腹部の被毛は下から上に向かってバリカンをかけていく  オス犬の性器には毛が生えています。地肌にバリカンを強く押し付けないよう注意しつつ、根本から先端に向かって刈っていきます。このときバリカンが熱くなっていないことを確認してください。刈り残しがあるとおしっこが付着して臭いや飛び散りの原因になってしまいますので、先端にちょろっと残った毛も忘れずにカットしておきます。 【動画】How to Shave a Dog's Belly _ Groin _ Sanitary オス犬のペニス周辺の被毛は根元から先端に向かってバリカンをかけていく

メス犬

 長さは1.5~2mmで刈り揃えるようにします。太ももの付け根には性器がついていますので、まずはその周辺をカットしてあげましょう。地肌にバリカンを強く押し付けないよう注意しつつ、下から上に向かって刈っていきます。乳首が大きくなっている場合はとりわけ傷つけないよう気をつけて下さい。 メス犬の腹部の被毛は下から上に向かってバリカンをかけていく  メス犬の性器は太ももの付け根あたりに付いていますので周辺から股間の中央に向かって刈っていきます。このときバリカンが熱くなっていないことを確認してください。刈り残しがあるとおしっこが付着して臭いや飛び散りの原因になってしまいます。しっぽを股間に巻き込んでいることがありますので誤って傷つけないよう気をつけて下さい。 メス犬の性器周辺の被毛は外側から中央に向かってバリカンをかけていく

足・股間のセルフトリミング

 足や股間セルフトリミングするときのタイミングは被毛が地面や排泄物で汚れやすくなったときです。頻度は犬の毛の成長に合わせるようにしましょう。
 足のトリミングは毛並みに沿って上から下に動かし、刈り残しがある場合は下から上へバリカンを動かすとスムーズにカットできます。長さは任意ですが、汚れてもすぐに拭ける程度がよいでしょう。前足を握られることが苦手な犬が多いので、しっかりとボディコントロールのしつけを終了しておいてください。 【動画】Grooming Your Schnauzer Part 8 _ Clipper Cutting The Leg  股間のトリミングは片方の後足を挙げた状態で行います。しっぽが邪魔な場合は足と一緒に握ってしまいましょう。カットするのはおなかのトリミングで刈り残したハートのコブの部分です。 【動画】How to Shave a Dog's Belly _ Groin _ Sanitary犬の内ももの被毛は片足を上げてバリカンをかけていく  オス犬でもメス犬でも股間から内ももに向かって1.5~2mmで刈り揃えるようにします。刈り残しがある場合は逆向きにかけても構いません。メス犬の場合は腿の付け根に性器、オス犬の場合は睾丸が付いていますのでバリカンを強く押し付けないようにして下さい。

指・肉球のセルフトリミング

 指や肉球のセルフトリミングするときのタイミングは、被毛で犬の足がスリップするようになったときです。頻度は犬の毛の成長に合わせるようにしましょう。散歩から帰って犬の足を拭くときにチェックすれば一石二鳥です。
 指や肉球に挟まった毛をカットする際のベストな体勢は横向きで寝た状態です。犬がリラックスしているときに行うのが理想ですが、うまくいかない場合は立った状態でも構いません。犬の足を正面もしくは後ろから握り、足の裏の被毛を露出しましょう。このとき足先をねじって肩関節や股関節に負担がかからないよう注意して下さい。また足を握られることが苦手な犬が多いので、しっかりとボディコントロールのしつけを終了しておきます。 犬の肉球を握る時は無理に足を拗じらないこと  基本的には下の図で示したように、指球(しきゅう)と指球の間および凸型をした掌球(しょうきゅう)と指球の間のムダ毛をすべてカットしていきます。肉球と肉球の間にバリカンをねじ込み、すくい上げるようにカットしていきましょう。 【動画】Goldendoodle Paw Pad Trimming犬の足の裏の被毛は、肉球と肉球の間にバリカンをねじ込んですくい上げるように刈っていく  小型犬の場合は指の間にバリカンを入れようとすると不快感が生じますので、掌球に挟まれた毛だけをバリカンでカットし、指球に挟まれた毛は外に飛び出した部分だけをカットします。どうしても指間の毛をカットしたいという場合は、人間用の電動眉毛カッターやフェイスシェーバーを試してみましょう。カットが終わったら指先やコットンで犬の指の間を掃除し、余計な抜け毛を取り除きます。

尻・しっぽのセルフトリミング

 尻やしっぽをセルフトリミングするときのタイミングは、排泄物で被毛が汚れやすくなったときです。お尻の周辺はあまりマジマジとは観察しないパートです。週に1回くらいの頻度で犬のしっぽを持ち上げ、汚れていないかどうかをチェックする習慣を付けましょう。
 肛門周辺の被毛はそもそも短く生えるようにできていますが、長毛や巻き毛の場合は太ももや尻尾の被毛が肛門と接触しやすいため以下で示すサニタリーエリアは短くカットしておきます。長さは地肌が透けて見えない程度です。 【動画】Grooming Guide - Clipped Miniature Schnauzer Pet Trim - Pro Groomer犬の肛門周辺の被毛は排泄物が付着しないよう短めに整えておく  しっぽを持ち上げ、中央にある肛門から外側に向けてバリカンを動かしましょう。犬が急に動いてしっぽを傷つけないよう注意して下さい。またしっぽを引っ張って犬の体勢を動かすのは絶対にNGです。
仕上がりが多少汚くなるのはご愛嬌。何度も練習して少しずつうまくなって下さい!

トリミングサロンの選び方

 自宅におけるセルフトリミングができない場合はトリミングサロンを利用することになります。しかしサロンに関連したトラブルは国外でも国内でも山ほどあり、うんざりするくらいです。一体どのような基準で選べばよいのでしょうか?

トラブル事例集

 トリミングサロンにおける海外のトラブル事例としては以下のようなものがあります。これらはニュースになったものだけですので、細かなトラブルまで含めるとまだまだあると推測されます。
  • 2017年4月・イギリストリミングサロンに預けたサモエドが丸刈り状態で返される→店側「毛がひどく絡まっていたし事前に説明した」/飼い主「そんな話は聞いていない!」
  • 2016年2月・テネシー州グルーマーが犬の頭にリボンを付ける際、毛ではなく耳にゴムバンドを括り付けた結果、耳が血流不足に陥って切断を余儀なくされる
  • 2017年9月・イギリスバークシャーにある「Pets at Home」でトリミングをしてもらった「ベイリー」が下手なグルーマーに耳を切られ外科用ホチキスで雑に止められる。店「25%割引でチャラにして」
  • 2018年2月・テキサス州ケイティにある「PetSmart」に預けられたシーズーの「ルナ」を手荒に扱ったグルーマーが隠し撮り映像を元に解雇される。乱暴に扱われた犬の常として、以降人間を怖がるように
  • 2016年5月・カリフォルニア州「PetSmart」に預けられたダックスフントの「ヘンリー」がグルーマーによる虐待と思われる怪我で命を落とす
  • 2017年11月・オーストラリア客から預かっていた犬を壁に投げつけ、ヘアドライアーで叩いて殺したグルーマーの男(51)が8時間の「怒りのコントロール講習」を受けただけで懲役刑を免れる
  • 2017年11月・フロリダ州ペットスパのグルーマーによる動物虐待が元従業員によって暴露される。非難を浴びた本人は「犬が失神したので気付けとしてやった」と苦しい言い訳
 トラブルをパターン化すると「思い通りのサービスを受けられない」もしくは「サロンのスタッフが犬を不当に扱う」に大別できそうです。またその背景として「犬がじっとしていなかった」というものがあるかもしれません。これらを踏まえてトリミングサロンにおけるトラブルを予防する方法を考えていきましょう。

サロンでのトラブルを予防する

 トリミングサロンにおけるトラブルを予防するため、飼い主の側でもある程度の予防策を講じておかなければなりません。具体的には以下です。

動物取扱の標識を確認

 トリミングサロンは美容業にあたり、法律上「第一種動物取扱業者・保管」の登録を済ませていなければ開業できません。また「環境省告示」(第六条・広告)により、広告を行う際は動物取扱業の標識を掲示することが義務付けられています。お店のチラシ、ホームページ、店内の分かりやすい場所に標識がしっかりと掲げられているかどうかを確認します。ない場合はそもそも登録を行っていないか、もしくは法律を知らないということです。

施術台の透明性を確認

 サービスを行っている様子が外から確認できる状態かどうかをチェックしましょう。仮に飼い主がその場にいなくても、他のお客さんが店内にいる場合、あまり変なことができなくなります。例えば犬を手荒に扱うとか、ドライヤーのかけすぎて熱中症になるとか、不衛生なトリミング台で施術を行うなどです。

指示を出す時は明確に

 犬の被毛をトリミングしてもらう際は「可愛い感じに」とか「涼しくなるように」といった漠然とした言葉ではなく、具体的な写真を見せて「こういう感じにして下さい」とお願いするようにします。仕上がりに満足がいかなかったとき、どこがどのように不完全なのかが明確化し、責任の所在が明らかになるでしょう。明らかに指示とは違う仕上がりになった場合は支払いを拒否することも可能です。 トリマーがイメージと全然違うカットをしました。支払い拒否していいですか?

事前に犬の写真を撮る

 トリミングサロンに預けた犬を引き取ったところ、なぜか体の一部に怪我を負っていることがあります。明らかにトリミングサロンの過失ですが「知りません」ととぼけるような場合や「大したことないです」と開き直る場合は、サロンに預ける直前に撮影した写真を見せて責任の所在を明らかにします。なお、怪我をさせたのがトリミングサロンであることが明らかなときは損害賠償を請求することも可能です。 トリマーにトリミングを頼んだら、犬の耳に傷をつけてしまいました。責任は取ってくれるのでしょうか?

空いている時に行く

 土曜、日曜、祝日、大型連休、年末年始は繁忙期で時間がかかるばかりでなく、サービス自体も雑になりがちです。目を離した隙にトリミングテーブルから犬が落ちて骨折するといった信じられない事例もありますので、なるべく平日の空いてる時を狙って行ったほうがよいでしょう。

ネットのクチコミを見る

 近年はネットでお店を検索しただけでクチコミよる評価が表示されることがあります。レビューが1件だけで星が5つの場合はあまり信憑性はありませんが、レビューが15件で星が2.5の場合、「何かある」と考えた方が賢明です。なおFacebookのレビューは実名で評価するという特徴からか、やや平均点が高くなる傾向にあります。

ボディコントロールのしつけを終える

 トリミングサロンに犬を預けるときはブラッシングやシャンプーもあわせてやってもらうことが多々あります。見知らぬ人間に体を触られることに慣れていないと、ハサミを使っている時に急激に動いたり、シャンプーしているときにトリマーの手を噛んでしまうかもしれません。海外の事例のように、噛まれた腹いせに犬を叩いてしまう人がいないとは限りませんので、あらかじめボディコントロールのしつけは終えておきましょう。また最低限ドライヤー、シャワー、バリカンの音には慣らせておきます。
犬のボディコントロールのしつけ犬をいろいろな音に慣らすというページが役に立ってくれるでしょう。