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犬のシャンプーのやり方・完全ガイド~適切な頻度から嫌がるときの対処法まで

 犬のシャンプーの仕方を画像や動画とともに詳しく解説します。犬が「汗臭さ」を放つことはありませんが、バクテリアが繁殖して「獣臭さ」を放つことがよくあります。タイミングよく犬にシャンプーをしてスッキリさせてあげましょう!

犬のシャンプーの必要性

 犬が野生環境に暮らしている場合、夏の暑さをしのぐために川や湖に入るということがありますが、体を洗うために自発的に水の中に入るということはありません。ですから「犬にお風呂は必要か?」と言われると「必要ない」ということになります。
 しかし犬が人間と暮らしている場合、臭いや汚れによって共同生活に支障きたすことがありますので、人間の習慣に合わせてある程度はお風呂に入ってもらう必要が生じます。例えば、以下のようなケースです。
犬の被毛の汚れや臭い
犬の被毛に汗による汚れはないが唾液や土壌による汚れが酷い
  • 被毛についた雨水でバクテリアが繁殖して体全体が悪臭を放つようになった
  • 雨が降った後、未舗装道路を歩いて水溜まりを踏んでしまい足と腹部が泥だらけになった
  • 大腸炎でお腹が下り緩い便がお尻周りの被毛にべったりくっついた
  • ドッグランに行った際、ハイテンションな他の犬に顔をベロベロと舐められた
  • 公園に落ちていた他の犬のウンチの上で体をクネクネさせた
  • 河川敷を散歩中、ハトを追いかけて汚れた川の中に落下してしまった
  • 雪解け道をトラックが走行し、泥だらけのシャーベットが被毛全体にかかってしまった
上記したのは一例ですが、被毛が汚れていたり悪臭を放った状態で家の中に入れてしまうと部屋が汚れたり臭くなってしまいます。やはり時と場合に応じて犬のお風呂は必要ですね。

犬にシャンプーをする頻度

 犬にシャンプーを行う頻度は汚れが目立ったり臭いがひどくなったタイミングです。人間のように毎日お風呂に入る必要はありません。
 犬の皮膚には皮脂腺(ひしせん)が分布しており、皮脂を分泌することによって皮膚の乾燥を防いだり被毛の撥水性(水をはじく能力)を高めています。人間と同じ感覚で毎日シャンプーやお風呂に入れてしまうと、皮膚や被毛をコーティングしている皮脂がなくなってしまい、毛がぱさぱさになったり皮膚のバリア機能が低下して皮膚炎を起こしかねません。
 ですから犬にシャンプーを行う頻度は必要最小限に抑え、「汚れが目立つ時」や「臭いがひどい時」といったタイミングで行うようにします。 犬の体臭を予防するには適度な日光浴と月一くらいのシャンプーを  具体的にどの程度の間隔でシャンプーをするのが妥当なのでしょうか?2009年、「におい・かおり環境学会誌」(41巻・1号)で報告されたデータによると、シャンプーを禁止して36日目の犬の臭気強度が「3」(楽に感知できるレベル)という高い値に達したと言います。悪臭の原因は恐らく犬の毛の表面に寄生しているバクテリアが発散した代謝産物でしょう。
 ですから犬の体から発せられる特有の臭いを軽減するためには月に1回くらいの頻度でシャンプーするのが一つの目安と考えられます。 長毛種や中~大型犬から発せられる「獣臭」を取り除くには?
小型の短毛種なら濡れタオルで拭いただけで汚れや臭いが消えることもありますので、あくまでも目安とお考え下さい。

犬のシャンプーの準備

 何のトレーニングもせずいきなり犬を浴室に連れて行ってシャワーを浴びせてしまうと、あまりにもストレスが大きすぎてそれ以降シャワーが嫌いになってしまうかもしれません。一度嫌われてしまうとシャワーのたびに大暴れして犬も飼い主も疲れてしまいますので、あらかじめ犬をシャワーに慣らし「お風呂場は楽しい!」という記憶を作っておく必要があります。

シャンプーに用いる道具

 犬のシャンプーに際して必要となる道具は以下です。ペット専用のものが市販されている場合は人間用のもので代用せず、犬向けに作られたアイテムを使うことをおすすめします。

ペット用のバスタブ

 小~中型犬の場合はペット用のバスタブを用いるとあちこち動き回ることができなくなりますので便利です。逆に体を洗いにくくなるという人もいますので必須というわけではありません。バスタブの底には水抜き栓がついていますが、水を流す時に抜け落ちた被毛が排水口に詰まってしまわないよう、あらかじめヘアキャッチャーにネットなどを張って補強しておいてください。

滑り止めタオル

 ペット用のバスタブを使わない場合や大型犬の場合は人間と同じ洗い場を使って体を洗うことになります。滑らないように足元に敷くタオルを用意しておきましょう。また抜け毛がつまらないよう、排水口のヘアキャッチャーにネットなどを張って補強しておきます。

犬用のシャンプー・リンス

 シャンプーやリンスは必ず犬用のものを用います。人間用のものや猫用のもので代用しないでください。最悪のケースでは皮膚のバリア機能が失われて炎症を起こしてしまいます。 犬用シャンプー・リンス

吸水性のあるバスタオル

 シャンプーが終わった後、被毛についた水分を取るため吸水性の良いバスタオルを数枚用意しておきましょう。小型短毛種なら1枚で事足りますが、大型長毛種の場合3枚以上必要になるかもしれません。水分を絞れば何度でもすぐに使えるといったタイプのものもあります。

ドライヤー

 被毛の乾きを促すため、場合によってはドライヤーを用います。固定タイプのものや手に持って使うハンディタイプのもの、ドライヤーを固定するためのスタンドなどがありますので、犬の体の大きさに合わせて使い分けるようにしましょう。あらかじめ音に慣らせておけばスムーズに使用できます。

シャワーヘッド

 ペット用に開発された音の小さいシャワーヘッドも市販されています。音が苦手な犬には役に立つでしょう。

おやつ

 犬にとってシャンプーがネガティブなイベントとして記憶されないよう、シャンプーしているときは時折犬におやつを与えてストレスを中和してあげます。体を洗っているときに「いいこ」などと優しく声をかけてあげることも重要です。

使い捨ての手袋

 犬の肛門絞りをする時などは分泌液が直接手にかからないよう、使い捨ての手袋をしておくと汚れずに済みます。手袋をしたまま犬の体を洗いたいときは、隙間から水が入らないよう輪ゴムで手首付近を留めておくとよいかもしれません。ゴム製のものは被毛に引っかかって手が動かしにくくなるので、滑りのよいビニール製の方が良いでしょう。

犬をシャンプーに慣らす

 犬をシャンプーに慣らすためには以下のような練習が役に立ちます。演習期間の目安は2週間です。
シャンプー前の練習
  • ボディコントロールを終える体に触られる事自体に慣らせておくため、ボディコントロールのしつけを終わらせておきます。体幹のみならず耳、しっぽ、足先までまんべんなく触り、犬の抵抗感を減らしておきましょう。犬のボディコントロールのしつけ
  • お風呂場に慣らすお風呂場に入ることに慣らせておきます。具体的には「ハウスのしつけ」と同じ手順で行って下さい。マットやクレートを「お風呂場」に置き換えただけで要領は一緒です。犬がよけいな物を舐めたり飲み込んでしまわないよう、石鹸などは片付けておきましょう。また普段は犬が入ってしまわないようしっかりと戸締まりをし、浴槽に水を残さないよう気をつけます。犬のハウスのしつけ
  • バスタブに慣らすお風呂場の浴槽もしくはペット用バスタブを使う場合は、見た目や感触に慣らせておきます。犬を中に入れたタイミングでとっておきのおやつを与え「バスタブに入るといいことがある!」というリンクを形成しましょう。抱っこした犬が嫌がってもがくことがありますので落とさないよう気をつけて下さい。中~大型犬で浴槽に入れることが不可能な場合はいさぎよく諦め、洗い場で同じリンクを形成するようにします。
  • シャワーの音に慣らすシャワーから出る水の音にあらかじめ慣らせておきます。具体的には「犬をいろいろな音に慣らす」を参考にしながら行って下さい。「家屋の出す音」の中に「シャワー」という項目があります。いきなり大音量から入るのではなく、聞こえるかどうかわからないくらいの小さな音量からスタートして下さい。犬をいろいろな音に慣らす
  • ドライヤーの音に慣らすドライヤーの音にあらかじめ慣らせておきます。具体的には「犬をいろいろな音に慣らす」を参考にしながら行って下さい。「電化製品の出す音」の中に「ドライヤー」という項目があります。いきなり大音量から入るのではなく、聞こえるかどうかわからないくらいの小さな音量からスタートして下さい。犬をいろいろな音に慣らす

シャンプー前の体のお手入れ

 犬にシャンプーを行う前に必ずブラッシングは終わらせておきます。できるだけ抜け毛を減らしておけば、水を流したとき排水口が詰まりにくくなるでしょう。また長毛種の場合、ところどころに毛玉ができていることがあります。水を含むと絡まりがひどくなりますので、乾いているうちに取り除いておきましょう。 犬のブラッシング  ブラッシングを行うと同時に皮膚に病変がないかどうかをしっかりとチェックします。皮膚に傷がついていたりじゅくじゅくとした湿疹ができているのに、それに気づかずシャンプーを行ってしまうと症状が悪化してしまいますので要注意です。また被毛の状態を確認し、薄くなっている部分や部分的にはげた部分がないかどうかもチェックしましょう。 皮膚の変化や異常 被毛の変化や異常

犬用シャンプーの選び方

 犬にシャンプーをする際は必ず犬用のシャンプーを用いるようにします。哺乳動物の皮膚を対象とし、酸性とアルカリ性の度合いを示す「pH」(ペーハー)を調べた所、動物間で大きな違いがあることが確認されました。例えば以下のような感じです。 哺乳動物の皮膚pH一覧  人間の皮膚pHは4.8の弱酸性であるのに対し、犬のそれは7.4と高く中性(7.0)に近いことがおわかりいただけるでしょう。人間の皮膚に優しいとされる弱酸性シャンプーを犬に用いてしまうと、pHが大きく崩れて皮膚の細菌叢(フローラ)が乱れ、皮膚炎などにつながってしまうかもしれません。ですから犬にシャンプーを行うときには、必ず犬の皮膚に合わせた犬用のシャンプーを用いるようにします。また「お湯で2倍に薄める」など薄め方が指定されている場合は必ずその指示を守るようにします。 犬用シャンプー・リンス  では市販されている犬用シャンプーが全て安全かというとそういうわけでもありません。商品の中には、安全性に疑問が投げかけられている成分を含んでいるものが結構あります。
🚨具体的には「ジエタノールアミン」(Diethanolamine, DEA)という物質です。「国際がん研究機関」の2014年度版リストではグループ2B、すなわち「ヒトに対する発癌性が疑われる物質」として分類されています。万全を期す場合は、この物質が成分表に記載されている製品は避けた方がよいでしょう。
🚨また香りや抗菌作用を期待して「ティーツリーオイル」が含まれたシャンプーを好む人が結構います。その一方、飼い主の知識不足や不注意からティーツリーオイル中毒にかかる犬の症例が絶えません。この成分が安全であると勘違いして、濃度の濃いエッセンシャルオイルを直接地肌に塗りつけるといったことは絶対にしないようご注意ください。
犬のシャンプーを選ぶ際は、犬の皮膚pHに合わせたもの、そして過去に中毒事件を起こした成分を含んでいないものを選ぶようにしましょう。

犬のシャンプーの仕方

 犬の被毛がひどく汚れてしまったり、悪臭がひどい場合、以下のような手順に従ってシャンプーを行います。前述した通り、いきなり浴室に連れ込んではストレスが大きすぎるので、事前に必ず予行練習を終えておきましょう。

犬を洗う

 犬のシャンプーは浴室で行います。事前に散歩を行い、ある程度疲れさせておいたほうがやりやすくなります。犬にかかるストレスを考慮し、洗いは15~20分程度で終わらせるようにしましょう。
 濡れてもいい服装をするか、防水エプロンなどを着込んでおくと便利です。犬の体を傷つけてしまわないよう、指輪やアクセサリーは全て外しておきます。
 小型犬の場合、お風呂場の代わりに台所で行う人もいるようですが、逃げ出してしまったときに高いところから落下して大怪我を負ってしまう危険性があるため推奨されません。また大型犬の場合は庭で行う人もいるようですが、冬場に行うと凍えてしまいますので夏場しかできません。

シャンプーを用意する

 まずは犬用シャンプー(リンス)をマニュアルに従って希釈し、100円ショップなどで売っているシャンプー容器などに入れておきましょう。希釈した溶液を洗面器や風呂桶など別のものに取りおき、スポンジなどで泡立てて体にかけるという形でも構いません。その場合、犬が踏んづけてこぼしてしまわないようにしてください。シャンプー(リンス)溶液の温度は冷たすぎず熱すぎない人肌程度の適温にしておきます。
 シャンプー溶液はやや多めに作っておき、余った場合はケチらずに捨ててしまいます。希釈した溶液を長期間放置しておくと、ボトルの中で「緑膿菌」と呼ばれる菌の一種が増殖し、まれに炎症を引き起こしてしまいますので要注意です(→グルーミング後せつ症の事例)。
 その他の必要アイテムは手が届く場所に置いておきましょう。別の部屋に置き忘れると、取りに行っている間犬を浴室に放置することになり、事故につながりかねません。

犬を浴室に誘導する

 犬を浴室に誘導する前に、夏場にしても冬場にしても他の部屋との温度差が大きくならないよう、事前にドアをあけ放ち室温を均等化しておくとやりやすくなります。
 ペット用のバスタブを用いる場合は洗い場に置き、用いない場合は犬の足が滑らないよう洗い場にバスタオルを敷きましょう。人間用のバスタブを用いる場合は浴槽の中にバスタオルを敷いてしまいます。
 シャンプーに必要な道具一式をすぐ手が届く場所にセッティングし、泡だらけの体で犬が他の部屋に逃げ出さないよう浴室のドアは閉めてしまいます。

犬の体を濡らす

 シャワーの温度を夏場は36℃、冬場は38℃程度に設定し、犬がびっくりしないようお尻の方からゆっくりとお湯をかけていきます。温度が高すぎると熱中症になってしまう危険性がありますのでご注意ください。シャワーヘッドを犬の体に近づけた方が音が小さくなり、音響ストレスが減ってくれるでしょう。 【画像の元動画】Dr. Becker on Giving Your Dog a Bath 犬の体を濡らすときはおしりの方からゆっくりと  腰→肩や胸→首元という具合に少しずつ濡らしてゆき、頭は最後にします。水圧を落とし、水が鼻に入らないよう鼻先を上に向けた状態で顔を濡らして下さい。どうしても顔を嫌がるという場合はスポンジなどに水を含み、手でゆっくりと濡らすという方針に切り替えます。 犬の肛門嚢の位置と構造  犬の肛門絞りを行う際は、汚れてもすぐに洗い流せる場所にお尻を向けて行います。肛門嚢の分泌液が間違ってバスタブの中に落ちてしまうと、場合によってはバスタブごと洗い直さなければなりません。

シャンプーをかけて予洗い

 長毛種や被毛がひどく汚れている場合は、本洗いの前に予洗いをしておくときれいに汚れが落ちます。短毛種やそれほど汚れていない犬の場合はいきなり本洗いから始めて時間を短縮しても構いません。
 まずはあらかじめ用意しておいた犬用シャンプーをお尻の方からかけていきましょう。別の容器でシャンプーを泡立ててから泡だけを体につけるというスタイルでも結構です。 【画像の元動画】How to Bathe Your Dog at Home - the BIG DOG version 犬の体にシャンプーをかけるときは容器から直接かけるか別容器から泡を移す  シャンプーがまんべんなく全身に行き渡ったら手のひら全体で被毛を軽くこすり、毛の表面についた汚れや皮脂を浮き上がらせます。しっぽや指の隙間も忘れずに洗ってあげましょう。
 足先を洗うときは無理に横に開かないようにして下さい。人間で言う「股裂き」のような状態になってしまいます。耳を洗うときはひらひら(耳介)だけにし、耳の中に水やシャンプーが入らないよう注意します。目の周辺を洗うときはシャンプーが入らないようすすぎの直前に行うようにします。
 よく泡立ったら犬の鼻先を上に向け、洗うときとは逆に頭と顔の方からシャンプーを洗い流していきます。頭と顔を洗うときは水圧を落として下さい。鼻に水が入ると息ができなくなりますので雑にならないよう注意します。

シャンプーをかけて本洗い

 予洗いのすすぎが終わったら再び犬用シャンプーをお尻の方からかけ全身に行き渡らせます。別の容器で泡立ててから体につけるというスタイルでも構いません。
 本洗いでは指の腹で皮膚をマッサージするように洗い、皮膚表面の汚れや皮脂を浮き上がらせましょう。あまり強くこすると皮膚を傷つけてしまいますので、特に爪の伸びている方やネイルを付けている方は優しく行うようにしてください。予洗いの時と同様、目の周辺はシャンプーが入らないようすすぎの直前に行うようにします。 【画像の元動画】Dog Grooming Tips - How to Bathe Your Dog 犬の顔周辺を洗うときはシャンプーが目に入らないよう注意  泡立ったら頭と顔の方からシャワーを当てて洗い流していきます。頭と顔を洗うときは水圧を落として下さい。顔を嫌がる場合はスポンジにまっさらな水を含み、なでるように濡らしていきます。これを数回繰り返して丁寧に泡を落としましょう。

リンスをかける

 任意でリンスを行います。リンスの主な目的は汚れの除去ではなく静電気を抑えることや皮膚のpHを中性に戻すことです。希釈方法や使い方はマニュアルに従ってください。

溶液をしっかりすすぐ

 シャンプーとリンスが終わったら、被毛や皮膚に溶液が残らないよう頭の方からしっかりとシャワーをかけてすすいでいきます。溶液が残っていると皮膚炎の原因になりますので、最後のすすぎは念入りに行いましょう。
 指の間、耳の周辺、おなかには泡が残りやすいのでとりわけ注意するようにします。顔や頭部をすすぐときは鼻に水が入らないようにして下さい。なお犬を人間と同じように湯船に入れるという方法は、熱中症の危険を高めるためおすすめできません。
 使いきれなかったシャンプー希釈液やリンス希釈液がある場合は、少しもったいない気がしますが捨ててしまいます。これは先述したとおりボトルの中で「緑膿菌」が繁殖し、時間を置いて使ったときにグルーミング後せつ症を引き起こしてしまう危険性があるためです。

犬を乾かす

 犬の体をしっかりとすすぎシャンプー溶液が残っていないことを確認したら、今度は体を乾かしていきます。

タオルで体を拭く

 犬の耳にふっと息をふきかけてみましょう。反射的に体をブルブルさせて被毛についた水分をある程度はじき飛ばしてくれます。ブルブルが終わったらペット用のタオルなどで全身の水分を大まかに拭き取ります。体をこするというよりは、タオルを上から押しつけるような感覚で吸い取って下さい。
 ここで水分を拭き取っておくとドライヤーの時間が大幅に短縮されますので、1枚目が終わったら2枚目3枚目へと移行し、できるだけたくさんの水気をとっておきます。目や耳といった細かな部分はキッチンタオルなどを用いて拭いてあげましょう。

ドライヤーで乾かす

 体の水分を大まかに拭き取ったら残りはドライヤーを用いて乾かしていきます。犬を浴室からドライヤーのある場所に移動しましょう。この時、トリミングサロンのように犬をテーブルなど高い場所に立たせてしまうと落下事故の危険性がありますので、できれば床の上で行って下さい。
 固定タイプのドライヤーがあると便利ですが、ない場合は手持ちタイプのドライヤーを専用のスタンドで固定したり、服の胸元に差し込んで簡易ホルダーにするという方法もあります。犬がまったく動かないという場合は、片手でドライヤー、片手でブラシを持つというスタイルでも構いません。
 温風の方が早く乾きますが、体に近づけすぎると火傷の原因になりますので気をつけてください。また犬が音に慣れていないのに「強風」モードにしてしまうと多大なストレスになります。あらかじめ十分音に慣らせておくか、多少時間はかかっても「弱風」を用いるようにしましょう。
 ドライヤーの風は犬がびっくりしないようお尻の方から当てて行くようにします。除毛が目的ではありませんので、ラバーブラシではなく被毛を整える効果が大きいコーム、ピンブラシ、スリッカーブラシを用いるようにしましょう。被毛の根元に付着している水分にも十分に風が当たるよう、寝ている毛を起こすような感じでブラッシングしていきます。
 顔や頭を乾かす時は正面から風を当てないようにしてください。犬が嫌がってないことを確認しつつ斜め後方から温風を当てるようにします。
犬は耳の中に風が入るのを嫌いますので、耳元を乾かす時は指で耳の穴を塞いであげましょう。顔に残った水分は吸水性の良いタオルやキッチンタオルなどを用いて拭いてあげます。

犬がシャンプーを嫌がる時

 事前に予行練習を行ったにもかかわらず犬がどうしてもシャンプーを受け入れようとしない場合は無理強いする必要はありません。いくつかの代替案があるので試してみてください。

部分シャンプー

 部分シャンプー(部分洗い)とは汚れた部分だけをピンポイントできれいにするシャンプーのことです。体全体を濡らされることが嫌いな犬でも部分的になら許してくれることがあります。
 例えば、他の犬に顔をベロベロと舐められた場合は顔だけ、散歩中に水たまりを踏んでしまった場合は足だけ、お尻周りの被毛にうんちがこびりつき「ディングルベリー」(dingleberry)が出来ている場合はお尻だけといった感じです。
 最低限、ボディコントロールのしつけを終えて触られることに慣らせておくと同時に、浴室に入ることには慣らせておきましょう。 シャンプー前の予行演習

ドライシャンプー

 ドライシャンプーとは水を使わずに体をきれいにするシャンプーのことです。専用のアイテムも市販されており、泡(フォーム)、パウダー、ローションといったタイプがあります。体が濡れることを嫌う犬でもドライシャンプーなら受け入れてくれるかもしれません。犬が偶発的にシャンプーを舐めとってしまうことを想定し、安全性が確認されたものだけを選ぶようにしましょう。

サロンに頼む

 自宅でセルフシャンプーをする自信がない場合は、多少の料金がかかってもプロに頼んだほうがよいでしょう。プロといってもレベルはピンキリですので、ネットなどで一通り評判は調べておいたほうが無難です。新人の練習台にされたのではたまったものではありません。
 トイプードルやビションフリーゼなど定期的にトリミングが必要な犬種では、トリミングのついでにシャンプーをしてもらうという人もいます。信頼のおけるトリミングサロンを1つ見つけておくと何かと便利でしょう。
 なお以下は、アニコム損保の統計データ「家庭どうぶつ白書2018」内における「シャンプー・カット・トリミング料」の年間費用です。 犬の体重別に見たトリミング費用比較棒グラフ
  • 5kg未満=46,542円
  • 5~10kg=46,648円
  • 10~20kg=35,343円
  • 20kg以上=27,532円
 犬の体が小さいほど年間の平均支出金額が高くなっています。おそらく、体が小さいほど気軽にサロンに連れていきやすいので、総額では大型犬より多くなるのでしょう。1回の値段は立地によってまちまちですので、事前にご確認ください。
シャンプーが嫌いな犬にとってトリミングサロンは恐怖の館に見えてしまう危険性があります。終わったらとっておきのおやつを与え、サロンが持つ見た目、音、匂いとネガティブな印象とがなるべく結びつかないようにしましょう。