トップ犬のしつけ方室内で必要となるしつけ犬のハウスのしつけ

犬のハウスのしつけ

 ハウスとは、ある特定のエリアに犬が自分から進んで入りたがる状態のことです。「ハウス」にはベッド、マット、クレート、キャリーバッグ、サークルなどさまざまなパターンがあります。全てに共通しているのは、タイミングよく犬にごほうびを与え、その場所を大好きになってもらうという点です。

犬のハウスのしつけの必要性

 「ハウス」とは、犬がある特定のエリアに自発的に入りたがる状態のことです。このハウスのしつけは犬の健康と身の安全を守る上で重要です。
 例えば犬の具合が悪くて動物病院に行こうとするとき、キャリーバッグに入れようとした瞬間暴れてしまってはちゃんとした健康診断はできません。あるいは留守番しているとき、ちゃんとサークルに入ってくれないと部屋の中で暴れまわってパネル型テレビを倒したり、キッチンから飛び降りて足を痛めてしまうかもしれません。さらに重要になるのが災害時です。地震などが来てペットと同行避難する時、犬がクレートに慣れていないと避難先でずっとストレスを抱えたまま生活することになってしまいます。
 このようにハウスのしつけには、犬の健康と身の安全を守るという重要な意味があるのです。 犬にとってのハウスは健康と身の安全を守るシェルター  ハウスが持つもう一つの重要な意味は隠れ家です。犬の祖先であるオオカミでも人間に飼い慣らされていない野犬でも、夜眠るときにだだっ広い広場を選ぶという事はなく、四方を壁で囲まれた巣穴の中で眠ります。これは外敵に見つかって襲われてしまう危険性を避けるための本能的な行動です。
犬は狭いところが好き
  • 1989年の調査 比較的大きなケージで飼育されても、犬はほとんど活動しない(Hughes,Campbell,Kenneyら)
  • 1988年の調査ケージの大きさを0.58~3.00平方メートルの範囲で広げても、犬の活動レベルに顕著な上昇は見られない(Neamand,Hite,Campbellら)
  • 1991年の調査イヌ科動物であるギンギツネの繁殖場でケージの中に巣箱を併設すると、キツネの恐怖心が軽減されて新奇な環境を探索しようとする行動が増えた。また血清コルチゾールのレベルが低下(ストレスレベルが低下)し、リンパ球数が上昇(免疫力が向上)した(Jeppesen,Pedersen)
 上記したような習性は人間に飼い慣らされたペット犬の中にも多少残っており、見晴らしの良い場所で無防備になる事を本能的に嫌がることがあります。こうした犬の場合、家の中にしっかりと身を隠せる巣穴のようなものがあると安心してくれます。それがハウスです。
 ですから犬にとってのハウスは決してストレスに満ちた隔離施設などではなく、安心して過ごすための「秘密基地」や「隠れ家」という意味を持っているのです。それでは実際に犬にハウスをしつける教え方やコツを見ていきましょう。
NEXT:しつけの基本方針

犬のハウスのしつけ・基本方針

 ハウスを練習するに際し、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
命令したら、犬が自発的に所定の場所に移動すること
してほしくない行動
命令しても、犬が所定の場所に移動しないこと
 してほしい行動と快(ごほうび・強化刺激)、してほしくない行動と不快(おしおき・嫌悪刺激)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を強化、 後者を弱化と呼ぶことは犬のしつけの基本理論で述べました。これを踏まえて犬にハウスをしつける場合を考えて見ましょう。
強化
「命令したら、犬が自発的に所定の場所に移動した」瞬間に快を与える
弱化
「命令しても、犬が所定の場所に移動しなかった」瞬間に不快を与える
 犬のハウスのしつけに際しては弱化よりも強化の方が効果的です。
 例えば、なかなかハウスに入ろうとしない犬にしびれを切らし、襟首をつかんで強引に閉じ込めたり、お尻を蹴飛ばして強引に入れたとします。すると犬は「ハウスが出てくると痛い目に遭う!」と学習してしまい、以後、ハウスを見るたびにその時の恐怖を思い出して逃げていってしまうでしょう。これは飼い主が犬に期待している行動とは真逆ですね。ですから犬にハウスをしつける際は、正しい行動に対してごほうびを与えて伸ばしてあげる正の強化が基本方針となります。
NEXT:しつけの実践

犬のハウスのしつけ・実践

 基本方針を理解したところで、いよいよ実際の訓練に入りましょう。まずはしつけに入る前に「犬のしつけの基本理論」で述べた大原則、「犬をじらせておくこと」「一つの刺激と快不快を混在させないこと」「ごほうびと罰のタイミングを間違えないこと」「しつけ方針に家族全員が一貫性を持たせること」を念頭においてください。まだマスターしていない方は以下のページを読んで「すべきこと」と「すべきでないこと」が何であるかを把握しておきます。 犬のしつけの基本

しつけの準備

 実際にハウスのしつけに入る前に、以下のような準備を終わらせておきましょう。

集中できる環境を作る

 一つのことを覚えるには集中力が大切です。しつけの前には窓を閉じて外からの音を遮断し、テレビやラジオは消しましょう。気が散るようなおもちゃなどは全て片付け、犬の意識が否応なく飼い主の後に向くように無味乾燥なトレーニング環境を作ってしまいます。
 また犬の集中力は10分~15分ほどです。集中力がなくなってきたらいさぎよくしつけを中断してその日の夜や翌日に改めて再開しましょう。飼い主がしつけを焦って犬の感情を無視して強引に行ってしまうと、しつけ自体が犬にとっての苦痛になってしまいます。

ごほうびを用意する

 犬をある特定の行動に対して積極的にさせるためには、何らかの快(強化刺激)を与える必要があります。以下は代表的な犬に対するごほうびです。
犬に対するごほうびいろいろ
  • おやつおやつをごほうびとして使う場合は犬がおいしいと感じるもの+カロリーの低いものを選ぶようにしましょう。与えるときは犬が満腹にならないよう、なるべく少量だけにします。
  • ほめる高い声で「よーし」や「いいこ」や「グッド」などの声をかけてあげます。言葉と同時に軽く一回なでてあげてもかまいません。ただしあまり激しく撫で回してしまうと犬が興奮しすぎて集中力がなくなってしまうため、軽くにとどめておきます。
  • おもちゃおもちゃを選ぶときは、あらかじめ犬に何種類かのおもちゃを与えておいて一番のお気に入りを確かめておきます。ただし一度与えると回収するのが困難になるため、しつけセッションの最後に与えるようにします。

ハウスを用意する

 「ハウス」とは、犬にとどまって欲しい区切られたエリアの総称です。部屋の中のどこに置くかというレイアウトに関しては「犬が喜ぶ部屋の作り方」をご参照下さい。具体的には以下のような種類があります。
ベッド・マット
地面や床に敷く敷物。色、模様、匂い、感触が床の素材とは違うものを選ぶと犬が理解しやすい。
クレート
四方を壁で囲まれた箱型の容器。柔らかい素材でできたソフトタイプと硬い素材でできたハードタイプがあり、大きさも小型犬用~大型犬用まで揃っている。ハードタイプは「バリケンネル」(バリケン)とも。
キャリーバッグ
主として小型犬を入れて持ち運ぶためのバッグ。肩がけ式のハンドバッグ型や手提げ式のボストンバッグ型あり。
ケージ・サークル
柵で囲まれた大きめのエリア。天井のあるタイプは「ケージ」、天井がなく四方を囲むだけのタイプは「サークル」(ペン)とも呼ぶ。
 なお屋外犬の場合は犬小屋(ケネル, kennel)を用意しますが犬は本来群れをなす社会的動物であり、人や他の動物と触れ合うことを本能的に求めています。屋外につなぎっぱなしにする飼育スタイルではあまりにもかわいそうですので、家の中に入れてあげることも一考して頂けると幸いです。犬を庭や外で飼う

ハウスとごほうびをリンク

 まずはハウスが犬にとって楽しい場所であるということを覚え込ませます。
 犬が大好きなおやつを指先に持ち、犬の注意を惹きつけます。犬の意識が集中したらおやつをハウスの上に置きましょう。ベッドならベッドの上、クレートならクレートの上、キャリーバッグならキャリーバッグの上です。 【画像の元動画】Crate Training Tips for PUPPIES ハウスが持つ中性的な情報とごほうびを結びつけ、犬に好きになってもらう  犬がおやつを食べたらもう一度おやつを指先に持ち、今度はさっき置いた場所とは別の場所におやつを置きます。ベッドならベッドの端、クレートならクレートの中、キャリーバッグならキャリーバッグの中などです。キャリーバッグの出入り口が上についている場合は倒しても構いません。
 この要領でおやつをハウスの色々な場所に置き、そこから食べてもらいましょう。こうした練習を繰り返すことにより、犬は「ハウスにはいいことがある!」と覚えていきます。このプロセスは視覚(ハウスの色や模様)、嗅覚(ハウスの匂い)、触覚(肉球で感じるハウスの感触)といった情報とごほうびを結びつける古典的条件付けです。

ハウスに入る行動を強化

 犬がハウスに対して好印象を持つようになったら、今度はハウスに入る行動を強化していきます。
 おやつを指先に持ち、犬の鼻先に近づけて注意を惹き付けましょう。犬が指先について来るようになったら、用意しておいたハウスに誘導し、近くまで来たらおやつをポイッと投げ落とします。ベッドならベッドの上、クレートならクレートの中、キャリーバッグならキャリーバッグの中です。キャリーバッグは倒しておいて構いません。
 犬が自発的にハウスに入っておやつを食べたらいったんハウスから引き離し、再びおやつで犬の注意を引きます。そしたら鼻先を誘導し、もう一度ハウスのそばまで誘導してあげましょう。近くに来たらおやつをハウスの中に投げ落とし、犬に食べさせます。 【画像の元動画】How To Crate Train Your PUPPY! ハウスに入る瞬間ごほうび与え行動を強化する  こうすることで犬は「ハウスに入るといいことがある!」と学習していきます。このプロセスは「ハウスに入る」という行動とごほうびを結びつけるオペラント条件付けです。なおハウスのそばまで来たらおやつをポイッと投げ落とす理由は、犬の目にしっかりとハウスの存在を認識させるためです。おやつをずっと持ち続けたままだと、鼻先にばかり意識が集中して犬が周囲の環境をなかなか見てくれません。

入ることと指示語をリンク

 犬が自発的にハウスの中に入ってくれるようになったら、今度は入るという行動と指示語を結びつけます。
 前のステップでやったように指先におやつを持ち、犬の鼻先を誘導します。ハウスのそばまできたらハウスの中に投げ落とし、犬が自主的に入るのを待ちます。飼い主は、犬がハウスの中に入るその瞬間、あらかじめ決めていた指示語(言葉による合図, コマンド)をはっきりと1度だけ発音します。 【画像の元動画】Crate Training Tips for PUPPIES ハウスに入る瞬間に指示語を聞かせ聴覚的情報と行動をリンクさせる  このときの指示語は日常的に用いる言葉でなければ何でもよいのですが、ハウスの種類ごとに変えたほうが何かと便利なため、マットに入る時の指示語は「マット」、クレートに入る時の指示語は「クレート」、サークルに入る時の指示語は「サークル」、キャリーバッグに入る時の指示語は「キャリー」などのように分けておきます。犬がハウスに入るたびに指示語を聞かせ、行動と聴覚的な情報を結びつけていきます。

指示語に従わせる

 ハウスに入る瞬間に指示語を聞かせるという練習を10回ほど繰り返したら、今度はおやつを見せない状態で犬に指示を出してみましょう。
 犬とアイコンタクトを取り、「マット!」など事前に練習していた指示語を1度だけはっきりと発音します。 【画像の元動画】How to Train a Dog to Go to a mat 行動の直前に指示語を聞かせると、そのうち指示を聞いただけで行動を取れるようになる  犬が基本ルールを理解し、自発的にハウスに入ってくれたら成功です。行動と指示語が頭の中で結びついていることを意味します。おやつを与えてほめてあげましょう。もしキョトンとしているようならまだ結び付きが足りません。もう一度、犬がハウスに入る瞬間に指示語を聞かせ、両者の結びつきを強めます。

待機時間を伸ばす

 犬が指示語だけで自発的にハウスの中に入れるようになったら、ごほうびを与えるまでの時間を少しずつ伸ばしていきます。
 まずは犬に指示を出しハウスに入ってもらいます。今までは入った直後にごほうび与えていましたが、これからは入った直後に「いいこ」とほめ言葉をかけ、2秒カウントしてからおやつを与えるようにします。犬は「妙なタイムラグがあるけれども、まあいいか」といった感じで、ハウスの中にとどまることにだんだん慣れてきます。ハウスの中にいるときの姿勢は犬に任せます。 【画像の元動画】Crate Training- Part 1- Clicker dog Trainingハウスの中に長時間いても苦痛を感じないようにする  2秒我慢できるようになったら3秒、3秒我慢できるようになったら4秒といった具合に、待機する時間を1秒ずつ延ばしていってください。2秒からいきなり10秒や20秒に飛ぶのは失敗の元です。必ず秒刻みで犬の忍耐力を養って下さい。犬にとってはゲームですので、1日に1秒伸ばすくらいのスローペースでも一向に構いません。

ハウスとの距離を伸ばす

 犬が指示語を覚え、ハウスの中で待機することを覚えたら、ハウスとの距離を少しずつ伸ばしていきます。
 ハウスから50cmほど離れた場所に犬を連れていき、指示を出してみましょう。犬が自発的に移動してハウスに入ってくれたら成功です。入った瞬間に「いいこ」とほめてごほうびを与えましょう。犬が50cmをクリアできたら今度は1m離れた地点から同様に指示を出してみます。クリアできたら1.5mに進み、できなかったらもう一度50cm地点に戻って練習してみて下さい。このようにして3m離れた場所からでもハウスに移動できるようにします。 【画像の元動画】How to Train a Dog to Go to a mat 離れた場所からでも指示に従ってハウスに入らせる  犬は人間の出す明示的な合図に敏感で、たとえ訓練を積んでいなくても「指差し」というハンドシグナルの意味を理解できます。指示語と同時に指差しシグナルを出してしまうと、犬が指示語を理解して行動したのか、それとも指差しシグナルを理解して行動したのかがわかりません。ですからハウスの指示語を出すときは、言葉だけを発して指差しシグナルは出さないように気をつけながら練習します。

ハウスにとどまる行動を強化

 犬がハウスの中で10秒ほど待機できるようになったら、より長い時間その場にとどまる練習をしていきます。
 具体的には、今まで与えていたおやつの代わりにおもちゃやコングなど持続性のあるごほうびを与えるようにします。こうすることで犬は「ハウスの中にいるととても楽しい時間が続く!」と学習し、ハウスの中に入ることが大好きになっていきます。犬がごほうびに夢中になっている間、静かに出入り口を閉じ、密閉空間にも慣らせておきましょう。 【画像の元動画】Positive House Training With a Crate _ Teacher's Pet With Victoria Stilwell 持続性のあるごほうびを犬に与えてハウスは楽しい場所であると覚え込ませる  ここで注意すべきは、犬がハウスの中にいるときにネガティブな経験をさせないということです。例えば犬がハウスの中にいるときに間違ってつまづいてしまい、ガタンという大きな音と同時にハウスがずれてしまったとします。中にいた犬は恐怖を感じ、せっかく好きになったハウスの事を嫌いになってしまうかもしれません。あるいは、クレートに閉じ込めている間に犬が嫌いな掃除機をかけたとします。犬は「クレートに入ると掃除機タイムが始まる!」と学習し、クレートに入りたがらなくなってしまうかもしれません。また犬は本能的に休息場所の近くにトイレがあるというレイアウトを嫌います。サークルの中にトイレを持ち込んでしまうと、今まで好きだったサークルが急に嫌いになってしまうかもしれません。
 犬にとってハウスは安心して過ごせる秘密基地であり隠れ家です。中にいるときに不愉快な経験をさせてしまうと、せっかくの安息の地が台無しになってしまいますので注意するようにします。人の往来が激しく不規則にドアが開閉されるような場所の近くは避けるようにしましょう。

ハウスでの移動に慣らす

 クレートやキャリーバッグの場合、ただ単に犬を待機させるだけでなく、犬が中に入った状態で移動させるという状況がしばしば発生します。こうした状況に備え、ハウスに入った状態のまま移動することにあらかじめ慣らせておきましょう。
 まずは犬に指示を出しハウスに入ってもらいます。犬が入ったらゆっくりと10cmだけクレートやキャリーバック持ち上げ、ゆっくりと元の位置に戻します。犬がじっとしていたらほめてごほうびを与えましょう。犬が慣れてきたら同じ要領で今度はゆっくりと20cm持ち上げた後、ゆっくりとおろします。犬がじっとしていたらほめてごほうびを与えましょう。持ち上げる距離をだんだんと伸ばし、クレートなら手に持った状態、キャリーバックなら肩にかけた状態まで引き上げていきます。 【画像の元動画】Dog training tutorial how to purse train , crate train a dog ハウスに入った状態での移動に慣れさせる  犬がハウスに入った状態で持ち上げられることに慣れてきたら今度は移動です。犬の入ったハウスを持ち上げ、ゆっくりと2~3歩移動します。犬がじっとしていたらほめてごほうびを与えましょう。焦っていきなり部屋中歩き回ると、犬が怖がって逆にハウスが嫌いになってしまいますので要注意です。3歩が終わったら4歩、4歩が終わったら5歩という具合に少しずつ移動距離を伸ばしてください。

ハウス当てゲーム

 犬がいろいろなタイプのハウスに入ることを覚えたら、ちゃんと指示語を聞き分けることができるかどうかをゲーム感覚で試してみましょう。
 ベッド、マット、クレート、キャリー、サークルなどを1つの部屋に用意し、犬を2~3mくらい離れた場所に連れて行って「クレート!」などどれか1つに入るよう「指差し」なしで指示します。犬がしっかりと指示語を聞き分け、クレートに入ってくれたら正解です。ごほうびを与えてほめてあげましょう。間違ってしまったりオロオロして困っているようだったらまだ指示語と行動との結びつきが弱い証拠です。「あ~あ!」とか余計な声は出さず、もう一度ステップを戻ってゲーム感覚で強化を繰り返しましょう。
NEXT:ハウスQ & A

ハウスのしつけQ & A

 以下は犬のハウスについてよく聞かれる疑問や質問の一覧リストです。思い当たるものがあったら読んでみてください。何かしら解決のヒントがあるはずです。

犬がハウスを嫌がります

トイレからはなるべく遠くに配置してあげてください。

 「トイレのしつけ」でも解説しましたが、犬はトイレからなるべく遠い場所に寝床を設ける習性があります。犬がハウスを拒否するとか嫌がるという場合、近くにトイレがないかどうかを確認しましょう。あまりにも近い場合は両者がなるべく遠くなるようにレイアウトしてあげます。 犬のトイレのしつけ

犬がハウスに入らなくなりました

強引なしつけ方をしていないか確認しましょう。

 犬がハウスに入ろうとしないとか急に入らなくなったという場合、直前に不愉快な経験をしていないかどうかを確認するようにします。例えば犬に首輪とリードを付け、力づくでハウスの中に引きずり入れるなどです。
 トレーニングを面倒くさがって犬に不快感を与えるような教え方をしてしまうと、「ハウスに入ること=不快」という条件付けが形成され、逆に入ってくれなくなります。人間で言うと、繁華街の客引きにしつこく勧誘されるようなものです。

犬が引きこもって出てきません

飼い主の魅力を高めましょう。

 犬がハウスにこもったまま出てこないという場合、「ひきこもる」という行動よりも飼い主の呼びかけや命令に答えないという事の方が問題です。
 「アイコンタクトのしつけ」を復習し、間違った態度で接していなかったかどうかを確認しましょう。よくあるのが「ジョン!やめなさい」など、犬の名前を呼んだ後に叱りつけるという間違いです。 名前を呼ばれると叱られると記憶した犬が、ハウスに引きこもったまま出てこようとしないのは当然です。 犬のアイコンタクトのしつけ  ハウスに入った犬が、近づいてきた飼い主に対してうなるなどの威嚇行動をとるときは、「ハウス」という場所を資源としたリソースガーディングだと考えられます。平たく言うとハウスを独り占めしている状態です。「うなる癖をしつけ直す」を読み直し、犬にとっての飼い主の存在価値を高める努力をしましょう。 犬のうなる癖をしつけ直す

夏用ハウスの注意点は?

熱中症対策をしっかりします。

 夏になると気温が上がりますので、ハウスの周辺が涼しくなるよう気を配ります。
 アルミ、ステンレス、大理石など保冷効果がある素材を敷いてあげるのも良いでしょう。保冷剤が入ったマットを使用する場合は、中に入っている高吸水性ポリマー(ポリアクリル酸)を間違って食べてしまわないよう注意してください。留守番中は使用しない方が無難でしょう。
 犬は汗をかきませんので扇風機を回してもあまり意味はありません。エアコンで冷やされた風を循環させるサーキュレーターとして使ってください。
 基本的にはエアコンで室温調整しますが、気管支炎などを発症しますので、エアコンの風が直接犬に当たらないように注意します。 犬の熱中症対策

冬用ハウスの注意点は?

防寒対策をしっかりします。

 冬になると気温が下がりますので、ハウスの周辺が暖かくなるよう気を配ります。
 床の温度が直に伝わらないよう断熱性と保温性の高いマットを敷いてあげましょう。ペット用のヒーターを用いるのも良いですが、人間用のヒーターを用いると低温やけどにかかる危険性がありますのでご注意ください。
 エアコンが効いていても部屋の下の方には冷たい空気が集まりますのでしっかりと暖かい空気を循環させてあげます。ただしエアコンの風が犬に直接かからないように注意します。
 雪が降るような寒い地域ではストーブを出すかもしれませんが、しっかりとストーブガードを用意し、やけどと低温やけどの両方に注意します。 犬が低体温症に陥った
ハウスのしつけをマスターしておくと、地震を始めとする自然災害で避難生活を余儀なくされた時に役立ってくれます。日頃からいろいろなグッズを使って繰り返し練習しておきましょう。