トップ犬のしつけ方室内で必要となるしつけ犬のトイレのしつけ

犬のトイレのしつけ

 トイレとは、犬が自分から決められた場所でうんちとおしっこをすることです。散歩とトイレの時間を一緒にすることは、法律に違反すると同時にさまざまなトラブルの原因になります。また家のあちこちにうんちやおしっこをされては大変ですので、このしつけは早い段階で教える必要があります。多少時間がかかりますが、根気良くがんばりましょう。

トイレのしつけの必要性

 犬のトイレのしつけとは、決められた場所でうんちとおしっこをするよう教え込むことです。大きい方であれ小さい方であれ、小型犬であれ大型犬であれ、飼い主は室内で行うよう訓練しなければなりません。もし家の外でしてしまったらどうなるのでしょうか?代表的なトラブルとしては以下のようなものがあります。 屋外を犬の排泄場所にしてはいけない

法律違反になる

 犬の排泄物に関してはいくつかの法律で規制がかかっています。屋外に犬の排泄物を放置することは法律違反になってしまうので要注意です。
犬のトイレ・関連法規
  • 動物愛護法所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等が公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等を損壊し、又はふん尿その他の汚物、毛、羽毛等で汚すことのないように努めること。
    📖:家庭動物等の飼養及び保管に関する基準・共通基準2
  • 廃棄物処理法公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。
    📖:廃棄物の処理及び清掃に関する法律・第5条
  • 軽犯罪法公共の利益に反してみだりにゴミや鳥獣の死体その他の汚物または廃物を捨ててはいけない。
    📖:軽犯罪法・1条27

事故が起こる

 犬のおしっこを屋外に放置すると、時として思いもかけない事故が起こることがあります。
犬のおしっこによる腐食で鉄柱が倒壊する危険性がある  2016年、大阪の池田市にある市営公園で照明柱が腐食して倒れ、当時小学4年生の女児が両手を挟まれて骨折するという事故が起こりました。市が事故の原因を調査したところ、犬の尿が柱の根本に何度もかけられた結果、柱の地中部分の腐食が進んだ可能性があるとの結論に至っています。さらに2017年には埼玉県のさいたま市でも、犬のおしっこによる腐食が原因で道路標識が突然倒れるという事故が起こっています。
 このように犬のおしっこは、環境を汚すだけでなく文字通り環境を破壊する力も持っていますので、軽い気持ちで屋外に放置してはいけません。

対人トラブルに発展する

 犬のうんちを屋外に放置すると、ひどい対人トラブルに発展する危険性があります。
 2011年、東京都墨田区の路上で女性が犬を散歩中、路上で犬がフンをした事をめぐって近所の30代の男性と口論になり、女性の夫である元大相撲大関のタレントが男性を突き飛ばして暴行容疑で書類送検されるという事件が起こっています。さらに2017年、愛知県の豊橋市で犬のふんを片付けずに立ち去ろうとした男(73)が、同市の自営業男性(59)に注意されたことに腹を立て、相手を蹴って暴行容疑で逮捕されています。逆ギレもいいところですが、そもそも法律を守らない人間に理屈は通じないのでしょう。

トイレのしつけの重要性

 上記したように、犬に屋外でトイレをさせてしまうと飼い主や第三者を巻き込んだ様々なトラブルに発展してしまう危険性があります。ですから犬のトイレは散歩の途中でするのではなく、外に出る前の家の中ですでに終わらせておかなければなりません。 東京都民が犬に関する迷惑だと感じる内容の内訳  2011年、東京都福祉保健局が東京都民895人を対象として「犬に関する迷惑だと感じる内容」に関する調査を行った所、88.7%の人が「うんち」、57.7%の人が「おしっこ」と回答しています。口には出さないものの快く思っていない人はたくさんいますので、なるべく早いうちにトイレのしつけを終わらせておきましょう。
NEXT:しつけの基本方針

犬のトイレのしつけ・基本方針

 犬のトイレのしつけに際して、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
便意を催したら、犬が自発的に所定の場所に行って用を足すこと
してほしくない行動
便意を催したら、犬が自分勝手な場所で用を足すこと
 してほしい行動と快(ごほうび・強化刺激)、してほしくない行動と不快(おしおき・嫌悪刺激)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を強化、後者を弱化と呼ぶことは犬のしつけの基本理論で述べました。これを踏まえて犬にトイレをしつける場合を考えて見ましょう。
強化
「犬が自発的に所定の場所に行って用を足した」瞬間に快を与える
弱化
「犬が自分勝手な場所で用を足した」瞬間に不快を与える
 犬のトイレのしつけに際しては弱化よりも強化の方が効果的です。
 これは、「便意(べんい)をもよおした→間違った場所で用を足した→大きな物音で不快感を与えた」という形で正の弱化をしてしまうと、犬は「用を足した→不快な大きな音がした」と学習してしまう危険性があるためです。これでは用を足すこと自体に恐怖を感じてしまい、結果として、飼い主に隠れておしっこをするようになったり、自分の便を食べてしまう食糞症(しょくふんしょう)になりかねません。
 ですから犬が誤解してしまうような正の弱化ではなく、所定の場所で用を足した瞬間におやつなどの快を与えるという正の強化でトイレをしつけるのが基本方針となります。
NEXT:しつけの実践

犬のトイレのしつけ・実践

 基本方針を理解したところで、いよいよ実践に入りましょう。まずはしつけに入る前に「犬のしつけの基本理論」で述べた大原則「ごほうびと罰のタイミングを間違えないこと」「しつけ方針に家族全員が一貫性を持たせること」を念頭においてください。まだマスターしていない方は以下のページを読んで「すべきこと」と「すべきでないこと」が何であるかを把握しておきます。 犬のしつけの基本

トイレの準備をする

 犬の室内用トイレとしては市販されているペットシーツとトイレ用のトレーを用いるのが簡便です。必要不可欠というわけではありませんが、犬にトイレとして認識してもらうため、部屋の他の部分とは見た目も匂いも明確に違った区画があったほうがよいでしょう。

トイレの理想的な大きさ

 トイレには様々な種類がありますが、体の大きさに比べてあまりにも小さすぎるとおしっこがはみ出してしまいます。逆に体の大きさに比べてあまりにもトイレが大きいとトイレとして認識してくれず、せっかく買ったのに全く使ってくれないという事態に陥ってしまいます。
 体の大きさとトイレの大きさに関するベストな比率というものはありませんが、小型犬には小さめの「レギュラーサイズ」、中型犬にはやや大きめの「ワイドサイズ」、大型犬には特大の「セミワイド~スーパーワイドサイズ」のトレーを用意してあげると、トイレとして認識してくれやすいでしょう。

トイレの理想的な置き場所

 犬のトイレは寝床や食事場所からなるべく遠い場所に配置してあげます。
 犬のトイレを家の中のどこに置くかは悩ましいところです。例えば以下のような設置場所の候補がありますが、それぞれが大きなデメリットを抱えています。
トイレの設置場所とデメリット
  • 風呂場・浴室・洗面所お風呂場に隣接した脱衣所や洗濯機の近くは、ドアや扉を開けっぱなしにするのが場所的に難しいため、空調がうまくいかず夏は暑すぎ、冬は寒すぎになりがちです。その結果、犬に拒絶されて「冬になるとなぜかトイレの失敗が増える」という現象が起こるかもしれません。また洗剤類の匂いを犬が嫌ったり、誤飲誤食の危険性もあります。
  • キッチン・台所食べ物を扱う場所ですのでトイレを置くのはどう考えても不衛生でしょう。臭いも気になります。
  • 廊下人通りが激しい場所ですので犬が落ち着いて用を足せません。警戒心が強い犬の場合、トイレ自体を拒絶しておしっこの失敗につながってしまいます。また冬場は寒くなりがちです。
  • ベランダ庭をトイレにする場合と同様、天候に左右されてしまいます。また集合住宅の場合、臭い、騒音、抜け毛の問題も発生するでしょう。犬がうっかり落下してしまう危険性もゼロではありません。
 上記したような様々なデメリットがあるため、消去法でいくとリビングルームの邪魔にならない場所が理想ということになります。犬の寝床からはなるべく遠くなるようにレイアウトしてください。また汚れてもよいよう、床面は交換可能なタイルカーペットなどを敷いておくと便利です。

犬にトイレを覚えさせる

 室内におけるトイレの位置が決まり、しっかりと準備が整ったら犬にトイレの場所を覚えてもらいましょう。

犬のトイレサインを読み取る

犬が便意を催すと、ある一定の行動を取りますので目印になります。  犬にトイレを覚えさせる前に、まずトイレサインを読み取る訓練をしましょう。トイレサインとは、犬が「おしっこしたい」「うんちしたい」と感じているときに見せる予兆行動のことです。
 犬が便意を催しやすいのは、寝起き、えさを食べた後、運動の後です。このタイミングに合わせて特に犬の様子を観察するようにします。犬がうんちやおしっこをしたくなると、以下のようなトイレサインを見せます。
  • そわそわ落ち着かなくなる
  • 後ろ足の動きがぎこちなくなる
  • しきりに自分のお尻を気にする
  • 部屋の中をうろうろ歩き回る
  • 床の匂いをくんくんと嗅ぎ始める
 こうしたしぐさはトイレを探している前兆ですので、飼い主は犬の便意のサインを見逃さないようにします。また、犬がいつトイレをしたかという犬の排泄記録をつけておくと、おしっこやうんちのタイミングをつかみやすくなるので効果的です。
 犬種によって違いはありますが、子犬における大まかなおしっこの間隔を以下に示します。子犬を迎えたばかりの生後8~10週齢ころは、おしっこを溜めておく膀胱がまだ小さいため長時間の我慢ができず、1時間に1回の割合でおしっこをしますので、サインを見逃さないようにしなければなりません。
子犬のおしっこの間隔
  • 8~10週齢未満=1時間
  • 10~12週齢未満=2時間
  • 3月齢=3時間
  • 4ヶ月齢=4時間
  • 5ヶ月齢=5時間
  • 6ヶ月齢以上=6時間以上
 1日のおしっこの回数は、24時間を我慢できる限界時間で割るとわかります。例えば8~10週齢未満の子犬なら20回以上、3月齢の子犬なら8回、6ヶ月齢以上なら4回が目安となる頻度です。

トイレと指示語をリンク

トイレに合わせて指示語を聞かせる  犬のトイレサインを読み取ったら、犬を所定のトイレに誘導しましょう。そこで用を足し始めたら、飼い主は決めておいた指示語(コマンド)を犬に聞かせながら排泄を促します。たとえばうんちしている間に「ワンツーワンツー」といった掛け声をかけてあげるなどです。そうすると犬の頭の中では「用を足す」という行為と「ワンツーワンツー」という号令が結びついていきます。「ワンツーワンツーと声を掛けられていると、安心して用を足せるぞ!」と覚えこませることが重要です。

うまくできたらごほうび

犬が上手にトイレをできたらごほうびを与える  犬が所定のトイレで用を足せたら、「いいこ」などのほめ言葉と同時にごほうびを与えましょう。犬の頭の中では、「この場所で用を足すとごほうびがもらえるんだ!」と記憶されますので、積極的に所定のトイレで用を足そうとする意欲が生まれます。
 なお、排尿や排便は「自己報酬的行動」といって、その行為自体が気持ちよく、犬にとってのごほうびになってくれるという側面も持っています。この理屈にのっとり「トイレのしつけにごほうびは必要ない」とするトレーナーもいますが、場所とごほうびとを結びつけた方が失敗する確率が下がりますので、排泄が終わったタイミングで報酬を与えても間違いではありません。
 ただしトイレにいくたびに毎回おやつを与えていると、賢い(ずるがしこい?)犬の場合、ただ単におやつが欲しいがためにトイレに行くというフェイク行動を見せることがあります。ですから犬がしっかりとトイレの場所を覚えたら、「いいこ」というほめ言葉だけにシフトしていくようにしましょう。
 トイレをした後に「よくできたねぇ!じゃあハウスに入りましょうね」などといって犬をハウスに閉じ込めてしまうと、これは犬にとっての罰(不快なこと)になる可能性があります。結果として「トイレで用を足すと閉じ込められて面白くないや!」と記憶し、逆にトイレでの排便を拒むようになりますので気をつけましょう。
犬の「青木まりこ現象」  犬は同じ場所で繰り返しトイレをしていると、そのうちその場所に来ただけで便意を催すようになってきます。イアン・ダンバー氏はこのことを「足元の選択」、「場所の選択」という言葉で表現していますが、古典的条件付けによって成立した学習の一種と言えるでしょう。人間でも「青木まりこ現象」といって、書店に足を運ぶと、訳もなく突如として便意がこみ上げてくる現象が有名ですが、これも場所と排便行為が結びついた学習例と言えます。

トイレに失敗したときの対処法

 犬がトイレに失敗した時の飼い主の態度は非常に重要です。
正しい対処
そっと犬を隔離→粗相した場所をきれいに掃除→消臭
よくない対処
大きな声で騒ぐ→犬の見ているところで掃除
犬がトイレの失敗をしたときにやってはいけないのは、犬を叱ったり大声を上げること  よくある間違いは「あらー何やってるの!ここじゃないでしょう!!」などと高い大きな声を出してしまうことです。犬にとっては「あ!飼い主さんが喜んでくれてるな!もっといろんな所でおしっこしてみよう!」となります。つまりトイレ以外の場所で用を足すことに対して「正の強化」を行っているのです。
 また飼い主が粗相(そそう)の処理している姿を見せてもいけません。なぜなら「あそこでおしっこをしたら、飼い主さんが来てくれるんだな。ようし!いろんな所でおしっこをして飼い主さんに構ってもらおう!」となってしまう可能性があるからです。その結果、わざとトイレの外でおもらしするようになるかもしれません。
 正しい対処法はこうです。もし犬がトイレ以外の場所に粗相をしてしまったら、飼い主はまず犬をその場所から隔離(かくり)します。犬から見られない状況になったら、汚れた場所をタオルやペットシーツなど吸水性のあるもので拭いたり、うんちを取り除くなどします。そして忘れずに、その場所に消臭スプレーを掛けておきます。なぜなら犬は自分のおしっこやうんちの匂いのある場所に、再び用を足そうとする習性があるからです。再犯を予防するためには匂いを消す必要があります。犬のトイレの失敗

囲いに入れる時

 休息場所からなるべく遠い場所で排泄をする習性がある犬にとって、寝床とトイレを並べて置くタイプの囲い(サークルやケージ)は違和感に満ちたものです。ですから基本的には使わないようにします。しかし留守番のときや夜眠るときなど、犬を数時間にわたって1ヶ所に留めておきたい状況がしばしば発生します。
 そんな時は、留守番用の特別なトイレを用いるのではなく、普段使っているトイレとペットシーツをサークルやケージの中に入れるようにします。多少匂いが残っていますので、鼻のよい犬からすれば「自分のトイレだ!」とすぐに認識できるでしょう。また犬は自分の寝床を汚さない習性がありますので、狭い空間の中に寝床とトイレがあった場合、寝床以外の場所を勝手にトイレとして認識してくれます。
 寝床とトイレ以外の狭いスペースを狙ってわざわざおしっこをしてしまうような場合は、あらかじめ囲いの全体にペットシーツを敷いておきましょう。犬がペットシーツをぐちゃぐちゃにする癖があるときは、ずれないようテープなどでしっかり固定しておきます。
 普段からサークルやケージ内に入れたトイレを使っている場合はそのまま使うようにします。しかし先述したように、寝床とトイレが近い状態は犬が本能的に嫌うレイアウトです。特別な理由がない限りベッドとトイレはなるべく離れた場所に置いてあげましょう。

トイレを変える時の注意

 今まで使っていたトイレ変える時は1週間くらいかけてゆるやかに移行するようにします。

ペットシーツを変える時

 急にペットシーツを変えてしまうと匂いが変わって犬がトイレとして認識してくれなくなる可能性があります。
 まずは新しいペットシーツを1/3程度にカットして今まで使っていたペットシーツの端っこにおくようにします。犬が匂いや見た目に慣れてきたら、シーツの大きさを1/2→2/3という具合に少しずつ大きくしていき、最終的には新しいペットシーツに入れ替えてしまいます。1週間くらいかけてゆっくりと移行して下さい。

トレーを変える時

 トレーのデザインを急に変えると、犬が警戒して入りたがらなくなってしまうかもしれません。
 ある日突然、何の前触れもなくトイレを交換するのではなく、新品が届いたらまずは部屋の中央に置き、犬に匂いを嗅がせてあげましょう。犬がひとしきり匂いを嗅いで警戒心を解いたら、今度はその新品を今まで使っていたトイレのそばまで移動します。犬が新しいトイレの存在を気にせずトイレできるようになったら、いよいよ古いトイレと交換してみましょう。いきなり交換するよりはスムーズに使ってくれるはずです。1週間くらいかけてゆっくりと移行して下さい。
 どうしても使ってくれないような場合は、犬のおしっこを軽く塗りつけて拭き取ります。トレーに残った微妙な匂いを自分のものだと認識してくれたら使ってくれるかもしれません。

庭をトイレにする時

 犬のしつけ本の筆者が欧米人の場合、屋外での排泄を前提としたものが見受けられます。この背景としては、欧米では中~大型犬の飼育が多いことや、庭付きの一戸建てに住んでいる人が多いという住宅事情があると思われます。日本国内では必ずしも最適な方法とは言えない場合もありますので、そのようなしつけ本を目にした場合は、内容を日本風に解釈した上で読んだ方が無難でしょう。

庭トイレのデメリット

 家が一戸建ての場合、庭を犬用のトイレにしてしまう人がいます。しかしこれはいくつかの点においてオススメできません。 庭を犬のトイレにすることには沢山のデメリットがある
  • 天候に左右される庭をトイレにしていると、外の天気にかかわらずトイレの度に犬が外に出なければなりません。外が土砂降りの雨で雷が鳴っていたらどうなるでしょう?雨や雷の音が嫌いな場合、外に出るのが嫌でおしっこを我慢してしまうかもしれません。その結果、家の中で粗相したり我慢しすぎて膀胱炎になってしまう可能性もあります。
  • 外に出る重労働庭をトイレにしていると、犬が年をとって足腰がヨボヨボになっても、トイレの度に外に出なければなりません。ほっぽり出すわけにはいきませんので、飼い主がリードをつけて付き添うことになります。こうした状況はわざわざ外に出る犬にとっても苦痛ですし、それに付き合う飼い主にとっても苦痛です。
  • 近所迷惑水はけが悪い庭の場合、長年同じ場所でおしっこやうんちをしていると、土壌に臭い成分が染み込んで悪臭を放ってしまうことがあります。この状態は動物愛護法が定める「所有者等は、家庭動物等のふん尿その他の汚物、毛、羽毛等の適正な処理を 行うとともに、飼養施設を常に清潔にして悪臭、衛生動物の発生の防止を図り、周辺の生活環境の保全に努めること」に反していますし、近隣トラブルの原因にもなります。また犬が庭で転げ回った際、被毛に自分の排泄物がつく危険性もあります。

庭をトイレにする場合

 何らかの事情でどうしても庭に犬用のトイレを設置したい場合、基本的には室内トイレの時と同様、正しい行動に対してごほうびを与える正の強化が基本となります。
  • 犬用の屋外トイレを作る庭全体をトイレにしてしまうと不衛生ですので、ある特定のエリアを犬用のトイレにします。杭やポールなどを打ち込んで目印にしておけば犬がトイレとして認識しやすくなるでしょう。また足を上げる癖のある犬の手助けにもなります。地面は水はけの良い場所、もしくは水洗いしやすい場所を選びます。 砂状の場所だと犬が前足でひっかいて散らかしてしまう可能性がありますので避けたほうがよいでしょう。
  • 犬をトイレに誘導する犬のトイレサインが見られたらリードをつけてトイレの場所まで誘導してあります。最初のうちは犬のおしっこを染み込ませたペットシーツなどをその場所に置いておいても構いません。犬がおしっこやうんちを始めたら「ワンツー」など、事前に決めていた号令をかけてあげましょう。排泄が終わったタイミングで「いいこ」などと声をかけてごほうびを与えます。ごほうびは徐々に少なくし、最終的にはほめ言葉だけにして下さい。
  • トイレを掃除する犬のおしっこを長時間放置すると悪臭を放ってきますので、市販の消臭剤などをかけて臭いを抑えるようにします。しかしこうした製品の消臭効果には限界がありますので、どうしても臭いが消えない時は土壌をそっくり入れ替える必要があります。土の廃棄方法に関しては所属自治体にご確認ください。
 庭をトイレにしている飼い主は、トイレのたびにリードをつけて庭に出るのが面倒くさくなり、そのうち「やっといで!」とノーリードの犬を庭に解き放つ時がやってきます。庭は事前に「犬を外や庭で飼う」で詳しく解説したような脱走対策を施していなければなりません。また飼い主は、たとえ自分の家の庭だとしても犬が逃げ出さないよう見張っていなければなりません。 犬を外や庭で飼う

屋外でトイレをしたら?

 犬の排泄は散歩前に済ませておくことが理想ですが、生理現象を100%コントロールすることは困難です。結果として散歩の途中でもよおしてしまい、路上でおしっこやうんちをしてしまうことがあります。
 犬がおしっこをしてしまった場合、携帯している水(マナー水)などをかけて洗い流します。洗い流した水自体が汚染の原因になるという見方もありますが、遅かれ早かれ雨で洗い流されますので、要は時間の問題です。
 犬がうんちをしてしまった場合は、携帯している犬用のうんち袋で回収し、自宅に持ち帰ります。地方自治体によっては燃えるゴミとして処理してくれることがありますので確認しておきます。詳しくは「犬の散歩のマナー」でも解説してありますのでご参照下さい。 犬の散歩のマナー 犬の排泄物を屋外に放置するという行為はトラブルのもとになりやすい  2011年、東京都福祉保健局が東京都内に暮らす犬の飼い主242人を対象として行った調査では、50%の人が「おしっこを水で洗い流す」と回答したのに対し40.1%の人が「何もしない」と回答しています。またおよそ9%の人が「犬のうんちをまったく持ち帰らない」「場所によっては持ち帰る」「無回答」と回答しています。
 冒頭で述べたように、犬のおしっこやうんちは様々なトラブルにつながる導火線です。基本的には散歩の前にトイレを済ませておき、万が一屋外でしてしまった場合は、最低限のマナーを守るようにしましょう。
NEXT:トイレのしつけQ & A集

犬のトイレのしつけQ & A

 以下は犬のトイレのしつけに関してよく聞かれる疑問や質問の一覧リストです。思い当たるものがあったら読んでみてください。何かしら解決のヒントがあるはずです。

望ましくないしつけ方は?

粗相した場所に犬を引っ張っていき、そこに鼻を押し付けるという行為です。

 日本国内では数十年前から上記したようなトイレトレーニングが都市伝説的に横行しています。しかし犬の短期記憶能力回想能力でも詳述したとおり、犬は数分前の出来事と現在与えられている罰の因果関係を結びつけることができません。この行為には全く意味が無いばかりか、犬と飼い主の信頼関係を損なう危険性もありますので、安易な情報に流されないようにしましょう。犬がトイレの失敗をした場合の対処法は以下のページをご覧ください。 犬のトイレの失敗をしつけ直す

クレートトレーニングとは?

犬の排泄時間をコントロールする訓練です。

 クレートトレーニングとは、犬をクレートなどの囲いに入れてトイレをわざと我慢させ、排尿排便する瞬間を飼い主がコントロールすることです。トイレのタイミングを計るのが難しい場合などに利用される方法で、1時間我慢させたらトイレに連れて行くなど、あらかじめルール設定しておきます。
 クレートに安心して入るようしつけることも同様に「クレートトレーニング」と呼ぶため紛らわしいですが、「トイレのしつけ」という文脈でこの言葉が出てきたときは、別物として覚えておきましょう。

なぜ寝床とトイレを離したほうが良いの?

犬の習性です。

 犬を始め縄張りを作る動物種は、巣や休息場などから離れた場所で尿や糞をするのが一般的です。犬のこうした習性に関して動物行動学者のB.ハート氏は「糞中に含まれる虫卵を介して広がる腸管内寄生虫に対する、本能的な防衛システム」だと推測しています。
 また2016年、ドイツ・ミュンヘン大学の獣医科学部チームは4つの異なる生活環境における犬たち(オス16頭+メス31頭のビーグル)の自発的行動を24時間にわたって観察しました。その結果、自由に外出できるグループではすべての犬が自発的に屋外で排便をし、自由に外出できないグループは休息エリアからなるべく遠い場所で排便をしたと言います。
 こうした事実から犬のトイレは休息場所からなるべく遠い場所に設置してあげるのが理想ということがわかります。休息場所とトイレを隣り合わせで設置するタイプのケージやサークルが売られていますが、上記した犬の習性から考えると決して理想的とは言えません。 人が見ていない時、犬は高確率で食糞する

トイレシートをボロボロにしてしまいます

メッシュ型のトイレトレーでシートの端っこを隠してしまいます。

 犬がトイレシート(ペットシーツ)をおもちゃと勘違いし、前足でひっくり返したり、口で噛み付いてビリビリに破いてしまうことがあります。こうした破壊行動は多くの場合、前足や口でつかみやすいシートの端っこを隠してしまうことで解決します。
 四辺の全てをカバーし、なおかつシートの表面をガードしてくれるメッシュ型のトイレトレーを使えば、とっかかりがなくなって遊ぶこともなくなるでしょう。メッシュタイプのトレーに関しては、小型犬向けの小さなものから大型犬向けの大きなものまで市販されています。

トイレトレーがずれてしまいます

両面テープなどで床面に固定します。

 トイレトレーは多くの場合軽いプラスチック製ですので、元の位置から簡単に動いてしまいます。底面に滑り止めがついているものもありますが、それでもずれてしまう場合は両面テープなど床面に固定するのが良いでしょう。
 フローリングに直貼りするとはがすのが大変ですので、タイルカーペットなどを敷いておき、そこに固定するようにします。タイルカーペットは、汚れたときの交換が楽という意味でも便利です。

うんちの前にくるくる回るのはなぜ?

よく分かりません。

 犬はうんちをする前に、同じ場所を行ったり来たりしたり一箇所でくるくる回ったりします。こうした奇妙な行動の原因はよくわかっていません。「地面の匂いを嗅いで他の犬や動物の臭いがないか確認している」「自分の匂いが残っているか確認している」「地ならしして足場を固めている」などが考えられる理由です。また体の軸を南北に合わせるという不思議な現象も確認されています。
 体の大きさに比べてトイレトレーがあまりにも小さいと十分な「くるくる」ができず、うんちがトレーからはみ出してしまうかもしれません。そういう場合は少し大きめのトレーに交換してあげましょう。

お腹の毛が汚れてしまいます

あらかじめトリミングしておきます。

 被毛が長い犬種の場合、出したおしっこが自分の足やお腹の毛にかかり濡れてしまうことがあります。同様の現象はお尻でも起こり、固まってプラプラぶらさがったものは「ディングルベリー」(dingleberry)などと呼ばれます。
 ひとたび汚れるとシャンプーが大変ですので、あらかじめお腹と肛門周辺の被毛をカットしておきましょう。やり方さえ知っていればペット用のバリカンを使って自分でもトリミングできますので、以下のページをご参照ください。 犬のトリミングの仕方

おしっこがシートから外れます

トイレの設置場所を変えてみます。

 トイレの位置があまりにも壁に近い場合、犬の目の前に壁がきてしまいます。この状態を息苦しいと感じた犬は、壁から少し距離をとっておしっこをするかもしれません。その結果、後ろ足がトイレからはみ出し、おしっこがシートの端っこに偏(かたよ)ったり、シートから外れた場所にこぼれてしまうでしょう。 犬のおしっこがペットシーツから外れる理由はサイズのミスマッチや置き場所の不備  犬が圧迫感を感じないよう、トイレの置き場所を壁から少し離したり、犬の顔が壁の方に向かないように配置します。それでもやはり後ろ足がはみ出してしまう場合は、トイレのサイズを1~2回り大きいものに交換します。あるいはおしっこがはみ出すことをあらかじめ想定し、トイレの後ろの部分にトイレシートを敷いておきます。後ろ足がトレーからはみ出していてもおしっこを吸収してくれるはずです。

おしっこが飛び散ります

壁付きトイレを試してみます。

 オス犬でもメス犬でも片方の後ろ足を上げておしっこする犬がいます。犬にそうした癖がある場合、壁(ウォール)付きのトイレを用意してあげると部屋の汚れを防ぐことができるでしょう。
 足を上げてのおしっこは小型犬のオスに多いようです。2017年、ニューヨーク・コーネル大学のチーム行った調査では、足を上げておしっこをする頻度に関しオス犬でもメス犬でも小型犬の方が中型犬や大型犬よりも多かったと言います。またオス犬に関しては去勢手術を行っていない犬において高い頻度が確認されたとも。おしっこをするときに後ろ足を上げやすい犬の特徴は?  去勢手術を受けていない小型犬のオスでは、おしっこをするときに片足を上げる確率が高いと考えられますので、あらかじめ壁付きのトイレを選ぶと飛散防止になるでしょう。
 犬の体が大きかったり、後ろ足を大きく上げておしっこをする小型犬の場合は壁付きのトイレでもやはり飛び散ってしまいます。そんな場合は100均、ホームセンター、通信販売で売っているプラスチックダンボール(プラダン)などを壁に貼り付けDIYで飛散ガードを施してしまいます。
 なお大型の衣装ケースをカットしてDIYで囲い付きのトイレを作れなくはないですが、費用と労力を考えた場合、市販されているトイレを買ったほうがコスパ的には良いと思われます。

猫砂を使っても良い?

ケースバイケースです。

 猫のトイレには通称「猫砂」と呼ばれる吸収性の素材が敷かれています。おしっこを吸い取った後、固まった砂ごと捨ててしまうというものです。
 犬用トイレにシートの代わりとして使えないことはないですが、誤飲誤食にだけは気をつけなければなりません。猫砂の中には「おから」を素材として使ったものがありますので、犬が食いしん坊の場合、餌と勘違いして食べてしまう危険性があります。
 また引っ掻く癖がある犬の場合、砂粒を部屋の中に撒き散らしてしまうことも考えられます。なお猫砂は段差付きの容器型トレーでしか使えませんので、足腰が悪い犬や老犬には使わない方が良いでしょう。

人が見ていないと失敗します

飼い主が付き添ってあげましょう。

 犬の中には無防備な体勢で排泄している時、周囲に人がいないと安心できないものがいます。そうした警戒心の強い犬は、おしっこやうんちをしたくなるとトイレのそばで「ワンワン!」と吠え、飼い主を呼び寄せるかもしれません。
 すぐに駆け寄ってあげたいところですが、ここで注意しなければならないのは、犬の要求吠えを知らないうちに強化してしまう危険性があるという点です。「吠える→飼い主が来てくれる」という経験を繰り返していると、犬は「吠えれば要求が叶う!」と学習し、全く無関係な状況でも「ワンワン!」吠えるようになってしまいます。
 犬のトイレの置き場所が悪く、排泄するたびに孤立状態になってしまうような場合は、まず飼い主が視界に入る場所に移動してあげます。例えばリビングルームの隅っこなどです。
 レイアウトが難しい場合は、犬のトイレサインが見られたら飼い主が自発的に犬の側に寄り添って静かに見守ってあげるようにします。 指示語(号令)に慣れている時は、掛け声で排泄を促してあげましょう。
 犬の近くに行くタイミングは「犬のトイレサインが見られた時」もしくは「犬がトイレのそばで静かにしている時」のどちらかです。吠えているタイミングで振り向いたり駆け寄ってしまうと要求吠えを強化してしまいますので、子犬だろうと成犬だろうと家族全員で基本ルールを貫くようにします。

人が見ていると失敗します

仕切りを設けて個室を作ってあげます。

 おしっこやうんちをしている時の体勢は非常に無防備なため、本能的に犬の警戒心が強まります。人間と同じように個室を用意してあげると安心して用を足せるでしょう。
 トイレをなるべく人目がつかない場所に移し、市販のパーティション(衝立)を設置して見えない状態にしてあげます。100均、ホームセンター、通信販売などで売っているプラスチックダンボール(プラダン)を適当な大きさに切って、DIYの仕切りを作っても構いません。
 ただし犬が排泄している時の様子(姿勢や時間)には病気の兆候が現れやすいので、こっそり観察できるようなレイアウトにするのが良いでしょう。

人間用の便器を使わせても良い?

望ましくありません。

 動画共有サイトなどでは、犬が人間用の便器によじ登りそこで器用に用を足す動画がアップされています。 犬に人間用のトイレを使わせるのは望ましくない  こうした芸当ができると飼い主の掃除の手間は省けるのかもしれません。しかし犬が足を滑らせて便器の中に落ちてしまう危険性がありますので、水洗式だろうとボットン式だろうと基本的には使わせない方が安全です。
 また困るのが災害などで避難生活を余儀なくされた時です。通常のトレーで用を足す習慣がない場合、近くに便器がないことが原因で粗相をしてしまうかもしれません。イライラした人が多い避難所ではトラブルの原因になってしまうでしょう。
トイレ用品は「犬のトイレグッズ一覧」をご覧ください。今までちゃんとトイレができていたのに、急に失敗することがあります。そんなときの対処法は「犬のトイレの失敗」にまとめてありますので参考にしてください。