人が見ていない時、犬は高確率で食糞する
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人が見ていない時、犬は高確率で食糞する

 様々な環境下における犬の自発的な行動を24時間観察したところ、人間が監督していない場合、犬はおよそ70%の確率で食糞行動に走ってしまうという事実が明らかになりました(2016.6.3/ドイツ)。

詳細

 調査を行ったのは、ドイツ・ミュンヘン大学の獣医科学部チーム。研究施設で飼育されている犬の福祉を向上させるため、4つの異なる生活環境における犬たち(オス16頭+メス31頭のビーグル)の自発的行動が24時間観察されました。具体的な環境設定は以下です。
犬の生活環境
  • 環境A1~3頭の5グループからなる合計11頭/屋内犬舎は6平方メートルで、入口の反対側に犬用ベッドが設置されている/屋外ランには木製ドッグハウスやかまくら型クレート、およびおもちゃとしての木の枝があり、日中に5~6時間使用を許される
  • 環境B2頭ずつのペア5グループからなる合計10頭/屋内犬舎は11平方メートルで、高さ40cmの場所に高架式寝そべりボードが設置されている/1日数時間、屋外ラン(149平方メートル)を利用できる
  • 環境C3~5頭の3グループからなる合計11頭/屋内犬舎には100×100cmの床面式寝そべりボードが設置されている/屋外ランにはプラスチッククレートとおもちゃとしてのデンタルボールがあり、外出は自由
  • 環境D3~6頭の3グループからなる合計14頭/屋内犬舎は7平方メートルでゴムマットが敷かれている/屋外ランには外出自由/週に1度、2時間ほど牛の骨が与えられるほか、世話人がボールやロープを使って定期的に遊んでくれる
 観察の結果、以下のような行動傾向が明らかになりました。
生活環境と行動傾向
  • 屋内使用率すべてのグループは高い割合で屋内を利用した(A=83.1% B=50.2% C=60.3%)。屋内使用率は特に夜間で高まった(7~8割)。休憩するときはスペースに余裕があっても、他の犬のそばで過ごすことが多かった。
  • 休息エリア寝そべりボードがある場合は、床よりもボードが好まれた(B=90.6% C=91.0%)。
  • おもちゃ木の枝は合計3分、デンタルボールは合計30分しか遊ばれなかった。一方、牛の骨は110分の供与時間中、90分(81.8%)利用されるという人気ぶりだった。
  • 異常行動歯をむき出す、歯をカチッと鳴らす、実際に噛み付くといった攻撃行動は全く見られなかった。同じ場所をぐるぐる回る、行ったり来たりする、床を引っ掻くといった常同行動を5分以上継続した犬は2頭だけだった。
  • 排便行動外出が自由のCとDでは、すべての犬が自発的に屋外で排便をした。また外出できないグループは、休息エリアからなるべく遠い場所で排便をした。
  • 食糞行動排便した場所にかかわらず、すべてのグループにおいて高い頻度で食糞行動が観察された。A=33%(8/24)、B=81%(53/65)、C=147%(25/17 ※1頭が複数回食糞)、D=32%(15/46)で平均73%。
 こうしたデータから研究チームは、環境エンリッチメントとしての休息エリアは、犬の福祉を向上させるために極めて重要であるとの結論に至りました。また犬用のおもちゃは柔らかすぎると破損するし、硬すぎると口に怪我を負ってしまうため、慎重に選ぶ必要があるとも。 Behavioral observations in dogs in four research facilities: Do they use their enrichment?

解説

 人間に促されていない状況で犬が自発的に選んだ行動は、理想的な環境を整える際のヒントになってくれます。例えば今回の観察結果に基づくと、以下のような傾向と対策が有効と考えられます。
環境エンリッチメント
  • 屋内エリアが優先的に使用された 散歩中のはしゃぎ回る姿から「犬は外の方が好き」と思いがちになりますが、基本的には屋内の方が好きなようです。この傾向は日が沈んで暗くなり始めてから特に顕著になります。外飼いの犬が夜になると哀れっぽい声で遠吠するのは、「寂しいよ~」と言っているのではないでしょうか。
  • 仲間とくっつきたがる 十分な余裕があるにもかかわらず、休むときは他の犬のそばに行きたがるという傾向から、犬は休息したり眠るとき仲間に添い寝していてほしいようです。犬をベットに入れてやるかどうかは別として、少なくとも屋外につなぎっぱなしにしておくことが、犬の福祉を大きく損なっていることは間違いないでしょう。
  • 牛の骨が好まれた 木の枝やデンタルボールが不人気だった一方、牛の骨はかなりの高評価を受けました。しかしこの種のおもちゃは、犬の口内を傷つけたり歯の破折を招く危険性があるためあまり推奨されません(→詳細)。多くの専門家は「コング」のような耐久性のあるおもちゃが無難であるとしています。
  • 排便は寝床から離れて行う 外へのアクセス権があるかどうかにかかわらず、犬は自分の寝床からなるべく遠い場所で排便するという習性があるようです。この知見は「寝床とトイレをなるべく遠ざける」という形で、家の中でもすぐに応用できるでしょう。なお散歩中にウンチをする習慣がある犬においては、飼い主がしっかりと排便の処理をしてあげることは言うまでもありません。
  • 高確率で食糞をする 屋内だろうと屋外だろうと、人間が監督していない場合、犬は高確率で食糞をしてしまうということが判明しました。食糞行動を予防するための最善策は、飼い主が犬の排便パターンをしっかりと把握しておき、ウンチを出すや否や、さっさと処理してしまうことです。犬をトイレ一体型のケージに入れて長時間留守番させる事は、ほとんど「さぁ、ウンチを食べなさい」と言っているようなものなので、なるべく避けたいものです。また、管理の行き届いていない悪質なペットショップで食糞行為が頻繁に観察されるのも当然と言えるでしょう。
犬の幸せとストレス 犬の食糞のしつけ 悪質なペットショップのケージ内で自分の糞と共に寝そべる犬 画像出典:sippo(2016.4.25)