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犬のブラッシングのやり方・完全ガイド~短毛と長毛ごとのコツから嫌がる犬のしつけ方まで

 犬のブラッシングの仕方について詳しく解説します。短毛種、長毛種、シングルコート、ダブルコートでは少しずつコツが異なりますので、基本的な道具とともにブラッシングのやり方を見ていきましょう!

犬のブラッシングの効果

 皮膚や被毛は健康のバロメーターです。ブラッシングを通して日常的に犬の体をチェックする習慣をつけておけば、病気の兆候にいち早く気づくことができるでしょう。また接触を通じてリラックス効果を与えることもできます。つまりブラッシングには、被毛を整えて見栄えを良くする以外にも心と体の両方を整えるという効果があるのです。代表的な効果を列挙すると以下のようになります。 犬のブラッシングにはたくさんの意味と効果がある

毛玉を見つける

 短毛種の場合はほとんどありませんが、ミディアムヘアやロングヘアの場合、毛がもつれて毛玉を形成してしまうことがあります。これはちょうど毛糸が徐々に絡んでどうにもこうにもほどけなくなってしまった状態と同じです。日常的にブラッシングしていればいち早く毛玉を見つけることができ、早期の対策が可能になるでしょう。

ダニや傷を見つける

 草が生い茂っている場所には病原菌を保有したダニが生息しています。また草で肉球を切ってしまうかもしれません。そうした場所を散歩した後でブラッシングする習慣をつけておけば、被毛にこびりついたダニや体の表面についた傷をいち早く発見できるでしょう。

皮膚や被毛の汚れを見つける

 地面と接する機会が多い前足や後ろ足およびお腹の被毛はとりわけ汚れやすい部分です。日ごろからブラッシングを行っていればこうした部分の汚れにいち早く気づき、悪臭を放つ前にシャンプーをすることができるでしょう。

皮膚や被毛の病変を見つける

 皮膚や被毛は健康のバロメーターです。日常的にブラッシングを行っていれば、皮膚の表面にできた異常な盛り上がりや変色、フケ、部分的な脱毛や全身的な薄毛など、病気の兆候をいち早く発見することができるでしょう。 皮膚の変化や異常

抜け毛を除去する

 犬の被毛は休止期と成長期を繰り返して絶えず抜け落ちています。体に必要なくなった死毛(しにげ)をブラッシングで除去してあげれば、部屋の中に落ちる抜け毛の量を減らすことができるでしょう。

犬をリラックスさせる

 体を触られたり被毛をほどよく引っ張られるのは犬にとって気持ちことです。赤の他人よりも信頼している飼い主がブラッシングを行ってあげればリラックス効果が高まり、犬の感じる幸福感が高まってくれるでしょう。
犬がリラックスしてくれればそのリラックスが飼い主に伝わり、アニマルセラピーにもなってくれますね!

犬用ブラシの種類

 犬の毛には短毛や長毛、直毛やカールといったバリエーションがありますので、犬の毛質に合わせたブラシを使い分けなければなりません。基本的な種類と特徴をあらかじめ覚えておきましょう。

コーム

 コームとは細長い歯が一直線に並んだ櫛(くし)のことです。除毛効果はそれほど高くありませんが、被毛全体を整えたり細かい部分を整えたりする能力に優れています。また他のブラシに付いた抜け毛を取り除くという変則的な使い方もできます。コームの歯に引っかかった抜け毛を取り除いて手入れするのは容易です。

ピンブラシ

 ピンブラシとはピンが平面~半球状に並んだブラシのことです。ピンの先端は皮膚を傷つけないようボール状になっています。除毛効果は中等度でピンとピンの間に挟まった抜け毛を取り除いて手入れするのは少し面倒です。

獣毛ブラシ

 獣毛ブラシとは主としてブタの毛が平面上にびっしりと植え込まれたブラシのことです。除毛効果はそれほどありませんが、最後の仕上げとして被毛の表面を整えてあげると毛がきれいに並んで艶が出ます。獣毛に付いた抜け毛を除去するのは結構面倒で、場合によっては粘着テープなどを用いなければなりません。なお見た目は似ていますが、「たわし」で代用すると皮膚を傷つけてしまいますのでご注意ください。

ラバーブラシ

 ラバーブラシとはゴムで出来た柔らかいスパイク(三角コーンを小さくしたようなもの)が平面上に並んだブラシのことです。手袋のように手にはめて用いるグローブタイプのものもあります。除毛効果が非常に高く、びっくりするくらい死毛を取ることができます。しかしあまり強く体をこすったり、あまり頻繁にブラッシングしていると、死毛だけでなく生きている毛まで引き抜いてしまうことになりますので要注意です。ブラシについた抜け毛を取り除いて手入れするのは容易です。

スリッカーブラシ

 スリッカーブラシとは「く」の字に曲がった小さいピンが平面上に並んだブラシのことです。「slick」とは整えてきれいに見せるという意味を持っています。絡まった部分をほぐす能力に優れていますが、短毛種に用いると誤って皮膚を傷つけてしまう危険性がありますので、基本的にはカーリーヘアーやミディアム~ロングヘアの犬に用います。除毛効果は中等度でブラシについた抜け毛を取り除いて手入れするのはやや面倒です。

抜け毛ブラシ

 抜け毛ブラシとは死毛やムダ毛を除去することを目的とした特殊なブラシのことです。換毛期のアンダーコート(下毛)をごっそり取り除くことから除毛ブラシとも呼ばれます。「スクラッチャー」(アンダーコートレイク)と呼ばれる道具のほか、「ファーミネーター®」(furminator)や「フーリー®」(foolee)といった商標名で販売されている特殊な道具もあります。ブラシについた抜け毛を取り除いて手入れするのは容易です。
換毛期の犬からは下毛(アンダーコート)を大量に抜け落ちる  犬の被毛は夏に少なくなり冬に多くなります。こうした被毛量の増減に合わせ、春と秋に「換毛期」(かんもうき)と呼ばれる抜け毛の季節があり、断熱材として機能しているアンダーコート(下毛)が大量に抜け落ちます。
 抜け毛(除毛)ブラシを自分自身の髪の毛に当てて軽くこすってみるよくわかりますが、脱毛期にある毛だけでなく、まだ健康な毛(上毛=トップコート)も含めてジョリッと取り除いてしまいます。犬の被毛にかけると面白いくらい死毛がとれますが、頻繁にやりすぎると生きた毛までむしり取ってしまうことになりますので加減が重要です。
最悪のケースでは人為的な脱毛部を作ってしまいますのでほどほどに…。

犬のブラッシングの準備

 ブラッシングを行う前に基本的なルールや注意点をおさえておきましょう。何も知らずにやってしまうと法律違反になってしまうかもしれません。

いつ行う?

 犬には毛が生え変わる換毛期があり、春と秋にかけて抜け毛が多くなります。この時期のブラッシングは多めにやったほうがよいでしょう。1日のうちでは散歩が終わって犬がややくたびれたタイミングで行うとじっとしてやりやすくなります。

どのくらい行う?

 犬が立った状態なら1回10分、横になったり寝そべった状態なら1回20分程度を目安にします。ブラッシングが犬にとって嫌なイベントにならないよう、もじもじと動き出したら無理強いをせず次回に回すようにして下さい。逆に気持ちよさそうにしていたら少し長めにやっても構いません。いずれにしてもブラッシングが終わったタイミングでとっておきのおやつなどを与え、「ブラッシング=楽しいイベント」と思ってくれるよう仕向けましょう。

行う場所は?

 まずNG行為は屋外でブラッシングすることです。公園はもちろんのこと私有地の庭や賃貸住宅のベランダで行うことも望ましくありません。これはマナー上の常識問題でもあり、法律で定められたルールでもあります。具体的には「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」で以下のように義務付けられています。
🚨所有者等は、自らが飼養及び保管する家庭動物等が公園、道路等公共の場所及び他人の土地、建物等を損壊し、又はふん尿その他の汚物、毛、羽毛等で汚すことのないように努めること
 上記したようなルールがありますので、犬にブラッシングをする際は基本的に部屋の中で行います。抜け毛が飛びちらないようエアコンや扇風機の風が直接当たらない場所を見つけましょう。冬場でストーブや電気ストーブが出ている場合は毛が接触しないよう気をつけます。焦げると部屋中に悪臭が充満して大変です。
 お風呂場で行うときは他の部屋との寒暖差がなるべく少なくなるようにしてください。夏場は暑く、冬場は寒くなりすぎる傾向がありますので要注意です。トリミングサロンのようにテーブルの上に犬を立たせてしまうと落下の危険性が高まりますので、床の上で行うようにします。

毛並みの方向を知る

 以下は一般的な犬の毛並みの方向です。「逆なでする」という言葉からも分かる通り、毛並みに逆らってなでたりブラシをかけたりすると不快感が生じます。犬にブラシをかけるときは基本的に毛並みに沿って行なうようにしましょう。 ブラッシングは犬の毛の流れに沿って行うのが基本

必要な道具は?

 犬のブラッシングに必要な道具はブラシ、抜け毛を除去するための粘着テープ、部分的な汚れを除去するための濡れティッシュなどです。地域や季節によっては、静電気を防ぐためにグルーミングスプレーを用いることもあります。ブラシの基本的な特徴に関しては「犬用ブラシの種類」をご参照下さい。
換毛期で抜け毛が大量に出るようなときはゴミ袋も用意しておきましょう。

嫌がる・噛む犬の対処法

 犬が体に触られることを嫌がってブラッシングができないことがあります。また体は触らせてくれるけれどもブラシが嫌いで暴れたり噛み付いたりすることがあります。そういう場合は以下のような手順で犬をブラッシングに慣らしていきましょう。

体に触られることを嫌がる

 人との接触が少ない犬や生まれて間もない子犬の場合、人の手で体に触られることを嫌がることがあります。そういう犬の場合はまずボディコントロールのしつけを終わらせておきましょう。これは「人の手で触られる」という状況とご褒美と結びつけることで、人に触られることが逆に好きになるよう変えてしまう条件付けの一種です。
 まずは犬がそれほど嫌がらない場所からスタートし、少しずつタッチできる範囲を広げ、最終的にはブラッシングで触る部分すべてに慣らしていきます。1日や2日で出来ることではありませんので、1~2週間くらいかけてゆっくりと人間の手に慣らせていってください。具体的な手順は「ボディコントロールのしつけ」で解説してあります。 犬のボディコントロールのしつけ

ブラシを嫌がる場合

 体には触らせてくれるけれども、なぜかブラシの存在を異常に嫌がることがあります。そういう犬の場合はブラシの持つ見た目や匂いとご褒美と結びつけてしまいましょう。 犬をブラシに慣らすため、まずブラシから遠く離れた場所におやつを置く  まず床の上に犬が嫌いなブラシを置き、そこから50cmくらい離れた場所に犬が大好きなおやつを置いてあげます。なかなか近づかない場合は1m地点からスタートしても構いません。犬がおやつを食べたら、今度は少し近づけて40cmくらい離れた場所におやつを置きましょう。犬が食べたら30→20→10cmと少しずつおやつの距離を縮めていき、最終的にはブラシの上に置いてしまいます。 犬がブラシの見た目に慣れてきたらブラシの上におやつを置いてみる  こうすることで、今まで犬にとって脅威に感じられていたブラシの存在が、いつのまにか「おやつを置くお皿」というポジティブな存在に入れ替わってくれます。
コームやスリッカーなど、いくつかのブラシに対して同時に抵抗を示すような場合は、多少時間がかかってもすべての道具に関して同じ作業を繰り返し、犬の警戒心を完全になくしておきましょう。

犬のブラッシングのコツ

 ブラッシングの目的は「もつれを取り除くこと」と「抜け毛を取り除くこと」に大別されます。前者は絡み合った被毛を解いてスッキリさせること、後者は不要になった換毛期のアンダーコート(下毛)や脱毛期のトップコート(上毛)を除去することです。

毛玉・もつれの取り方

 短毛種ではほとんどありませんが、中~長毛種では被毛が絡み合って毛玉(mat)を形成してしまうことがよくあります。これはちょうど毛糸が絡み合った状態と同じですので、乱暴に解こうとするとますますもつれがひどくなってしまいます。ブラッシングの途中で毛玉を見つけたときは、以下のような手順に従って取り除いてみましょう。

スリッカーブラシでほぐす

 コームやピンブラシで被毛の引っ掛かりに出会ったら、まずは引っかかってる部分がどこかを特定します。ピンポイントで場所を探りたい場合はピンブラシよりもコームのほうがよいでしょう。
 毛玉の場所を特定できたら、その部分を露出してスリッカーブラシを当てていきます。一気に毛玉を取ろうとすると毛の根本を引っ張って不快感が生じますので、少しずつほぐすようにしてください。またスリッカーのピンが地肌に触れないよう気をつけます。 【画像の元動画】How to Demat Your Dog the Easy and Painless Way 直毛が絡んで毛玉を形成している場合は、スリッカーブラシで少しずつもつれをほぐしていく  プードルのようなカーリーヘアの場合、毛玉の場所を特定しにくいことがあります。そういう場合は引っかかった場所のやや下にある被毛を指で持ち上げるように露出しましょう。 【画像の元動画】Proper Brushing And Combing Techniques カーリーヘアーが絡んで毛玉を形成している場合は、スリッカーブラシで少しずつもつれをほぐしていく  露出した部分にスリッカーブラシを当て、指で少しずつ被毛を解放しながら地肌から遠ざかるようにほぐしていきます。勢いよくやると皮膚を傷つけてしまいますので気をつけて下さい。また一気に毛玉を取ろうとすると毛の根本を引っ張って不快感が生じますので、少しずつほぐすようにします。

毛玉専用の道具を使う

 毛玉がスリッカーブラシでほぐれない場合や、ほぐれそうだけれどもあまりにも時間がかかりそうな場合は専用の器具を用いるようにします。具体的にはトリミングナイフ、ディシェダー、ディマッター、マットブレイカーといったアイテムが売られていますので試してみましょう。毛玉の位置が皮膚からあまりにも近いときは無理をせず、グルーミングサロンに任せるという選択肢もあります。

ハサミで切る

 毛玉ができた部分をハサミで切り落としてしまうという方法がありますが、犬が動いてしまった拍子に皮膚を傷つけてしまうかもしれません。1人が体を抑え、もう1人がカットするといった分業体制をとらないと危険ですので、あまりお勧めはできません。また毛玉の位置が皮膚から近いときのトライも危険です。

静電気を防止する方法

 犬のブラッシングで厄介なのは静電気(static)です。犬の被毛とブラシ、人間の体、衣類などが接触することによって発生します。この不愉快な静電気を抑える方法は、「パチッ!」という放電の原因である電子を前もって他のものに移してしまうことです。

ブラシや手の静電気予防

 ブラシや人間の体がマイナスに帯電している時、犬の被毛と触れ合うことで放電が起こり「パチッ!」という不快な静電気が発生します。
 この静電気を予防するため、前もって手を洗っておきましょう。外に放出されるべき電子が水の中に吸収されますので、ブラッシングをする時に放電が起こりにくくなります。静電気を除去してくれるブレスレットなども売られています。
 また犬をブラッシングする時、自分の手や衣類が犬の被毛と触れないよう注意してください。物質間で電子の乱れが生じて新たな静電気が発生してしまいます。
 市販されている柔軟剤の中には衣類の静電気を抑えると銘打ったものがあります。しかし中には非常に臭いがきつく、「香害」といっても過言ではないものが含まれていますので要注意です。鼻がバカ(ノーズブラインド)になり、犬や周囲の人に迷惑をかけてることに気づいていない人が多々見受けられます。

犬の被毛の静電気予防

 犬の被毛がマイナスに帯電している場合、ブラシや人間の手と接触した時に放電が起こり「パチッ!」という静電気が発生します。
 この静電気を予防するため、部屋の湿度を50%以上に高め、霧吹きで被毛に軽く水をかけて保湿しておきましょう。放電の原因である電子が水の分子に移りますので、ブラシや人間の手との間で静電気が発生しません。
 全国的に行われた体感調査「全国静電気調査」により、特に関東では静電気が多く、北陸や東北の日本海側では逆に少なくなる傾向が示されています。おそらく湿度の低さが関係しているのでしょう。また季節的に静電気が発生しやすいのは湿度が下がる冬です。静電気が多発する地域や季節においては部屋の湿度が下がりすぎないよう気をつけます。

グルーミングスプレー

 市販商品の中には「ブラッシング時の静電気を抑える」という効果を銘打ったグルーミングスプレーがあります。様々な成分が含まれていますが、その中で静電気を抑える効果を持った成分は「水」です。ですから必ずしも市販品が必要というわけではありません。
 グッズの中には防虫効果や摩擦軽減効果を持ったものもありますが、中にはかなり匂いがきついものも含まれていますので、使いたい場合は事前によく調べた方がよいでしょう。
 手作りのグルーミングスプレーを用意したい場合は、霧吹きに水を入れるだけで十分です。除菌や虫よけ効果を狙ってティーツリーオイルを混ぜる人もいますが、飼い主の知識不足と不注意から「ティーツリーオイル中毒」にかかる犬の症例が多く報告されています。またオイル成分は油焼けの原因にもなります。
衣類に用いるような静電気防止スプレーを犬の被毛にかけないでください。安全性は確認されているもののペットの被毛にかけることは想定されていません。同じ理由で除菌剤をかけるのもNGです。

被毛別・ブラシのかけ方

 犬の被毛には様々なタイプがあります。タイプごとに少しずつブラッシングのコツが変わりますので、具体的な手順や方法を見てみましょう。なお「シングルコート」とはアンダーコートを持たない犬種、「ダブルコート」とはトップコートとアンダーコートの二層構造になっている犬種を指します。

シングルコートの短毛種

 シングルコートの短毛種には具体的に以下のような犬種が含まれます。用意する道具はラバーブラシ、獣毛ブラシです。ブラッシングの頻度は週1回を目安にします。季節によって抜け毛が増えた場合は週2回程度に増やしてください。

顔・頭

 顔の毛並に沿って軽く撫でてあげるだけで十分です。特に目の周辺を重点的にマッサージして抜け毛を除去し、目の中に入らないようにしてあげましょう。パグやフレンチブルといった目が大きい犬種の場合、コームを用いると目の中に入ってしまう危険性がありますので逆に使わないようにしてください。 目が大きい犬種の眼球周辺でブラシを使うのは危険  短頭種で鼻の周辺にしわがあるときはコットンや乾いた綿棒などで軽く拭いてあげます。おでこから頭のてっぺんにかけては、マッサージを兼ねてラバーブラシで軽くこすってあげましょう。最後は濡れティッシュなどで顔全体の汚れを拭き取ってあげます。

首・背中・脇腹・尾

 短毛種に毛玉ができることはほとんどありませんのでコームやピンブラシをかける必要ありません。コームの歯やブラシのピンが皮膚に接触してしまうと「ブラッシュバーン」(brush burn)と呼ばれる炎症を引き起こすことがありますので、むしろ使わない方が賢明です。 シングルコートの短毛種では背中の毛並に沿ってラバーブラシを走らせる  犬を四つ足で立った状態にし、首から背中にかけての毛並みに沿ってラバーブラシをかけ、脱毛期にある被毛を取り除いていきます。しつこくやると健康な毛まで引き抜いてしまいますので、1ヶ所につき5回ぐらいのストロークが目安です。首の皮膚がたるんでやりにくい時は空いているほうの手で首の「遊び」を持ち上げましょう。毛並みと逆方向に動かすと不快感が生じますので、必ず毛の流れに沿った方向にブラシをかけてください。「ファーミネーター」などの抜け毛ブラシを用いても死毛を取り除くことはできますが、シングルコートの場合まだ健康な毛まで刈り取ってしまうことがありますのでラバーブラシのほうが無難です。
 脇腹からしっぽにかけても同様にラバーブラシをかけていきます。パグのようにしっぽが丸まっている場合は無理に伸ばさないでください。腰のあたりにたまった死毛は手もしくはコームを用いて取り除いてあげます。最後は獣毛ブラシをかけて被毛を整えてあげましょう。

胸・腹

 オス犬でもメス犬でも胸元からお腹にかけては乳首がありますのでコームやピンブラシをかける必要はありません。最悪のケースでは引っかいて血が出てしまいます。 シングルコートの短毛種の腹部の毛並みに沿ってブラシをかけていく  あごの下からスタートし、胸とお腹に向かって毛並みに沿ってラバーブラシをかけていきましょう。チワワやフレンチブルドッグといった小型犬の場合は胸を手で支え一時的に二足立ちになってもらうとやりやすくなります。ただしダックスフントは腰に負担がかかりますので、あまり無理な姿勢はさせないで下さい。ドーベルマンやボクサーといった大型犬の場合は横になってもらったほうが楽にできます。
 お腹は地面と近く汚れやすい部分です。ブラシをかけながら汚れた部分やダニがついていないかどうかをよくチェックします。下腹部にたまった死毛は手もしくはコームを用いて取り除いてあげましょう。最後は獣毛ブラシをかけて被毛を整えてあげます。

前足・後足

 前足と後足は地面と近く、最も汚れやすい場所であると同時に最もダニがつきやすい場所でもあります。コームの歯の細かい方やノミ取りコームを軽く被毛に流し、小さな傷やダニがついていないかを念入りにチェックしましょう。これはブラッシングの有無にかかわらず、散歩が終わるたびに行った方がベターです。
 傷やダニがついていないことが確認できたら軽くラバーブラシをかけてあげます。犬の手足が小さくてブラシをかけにくい時は自分の手を用いても構いません。毛並みに沿ってマッサージしてあげましょう。汚れが目立つ場合は濡れティッシュなどで軽く拭いてあげます。

シングルコートの長毛種

 シングルコートの長毛種には具体的に以下のような犬種が含まれます。用意する道具はコーム、スリッカーブラシ、ラバーブラシ、ピンブラシです。ブラッシングの頻度は週2~3回を目安にします。季節によって抜け毛が増えた場合はプラス1~2回増やしてください。

顔・頭

 顔の毛並に沿って目から遠ざかるようにスリッカーブラシをかけ、もつれや毛玉がないかどうかをチェックします。マズルの周辺はコームのほうがよいでしょう。毛玉が見つかった場合は「毛玉のとり方」を参考にしながら毛のもつれを解消します。犬が急に動くと目に入ってしまう危険性があります。顔の周辺をブラッシングするときはとりわけ注意して下さい。 シングルコートの長毛種~顔のデリケートな部分はコームを使って整える  ブラシがスムーズに通るようになったら、おでこ、頬、頭のてっぺんをラバーブラシで軽くこすり、脱毛期にある死毛を取り除いてあげましょう。最後はコームかピンブラシで毛並みを整えてあげます。

首・背中・脇腹・尾

 犬を四つ足で立った状態にし、首から背中にかけての毛並みに沿ってスリッカーブラシをかけていきます。勢いよくブラッシングするともつれた毛を引っ張って不快感が生じますので、優しくやるようにして下さい。もつれや毛玉が見つかった場合は「毛玉のとり方」を参考にしながら毛のもつれを解消します。脇腹からしっぽにかけても同様にスリッカーブラシをかけて毛玉のチェックをしましょう。 シングルコートの長毛種~もつれが見つかったらその部分を露出し、スリッカーブラシでほぐしていく  もつれや毛玉がないことが確認できたら毛並みに沿ってラバーブラシをかけ、脱毛期にある死毛を取り除いていきます。ただしトイプードルのように毛がカールしておりラバーが引っかかってしまう場合は、コームの細かい方で代用しても構いません。ブラシを強く押し付けたり、同じ場所をしつこく擦り続けると健康な毛まで引き抜いてしまいますので、1ヶ所につき5回ぐらいのストロークが目安です。腰のあたりにたまった死毛は手もしくはコームを用いて取り除いてあげましょう。最後はコームかピンブラシで毛並みを整えてあげます。

胸・腹

 オス犬でもメス犬でも胸元からお腹にかけては乳首がありますので、スリッカーブラシをかけるときはなるべく地肌に触れないようにします。毛玉が見つかった場合は「毛玉のとり方」を参考にしながら毛のもつれを解消します。
 体の背面に比べて手が届きにくい場所ですので、毛玉をカットするときは立たせた状態ではなく横に寝かせた状態の方が安全です。毛玉が皮膚に近い場所にできている時は乳首を傷つけてしまわないよう気をつけてください。トイプードルやヨークシャーテリアなど定期的にトリミングが必要な犬種では無理に自分で毛玉を取ろうとせず、サロンのグルーマーに任せるという選択肢もあります。 シングルコートの長毛種~腹部にできた毛玉を取る時は地肌を傷つけないよう気をつけて  ラバーブラシをあごの下→胸→お腹という順番で毛並みに沿ってかけていきましょう。お腹は地面と近く汚れやすい部分です。ブラシをかけながら汚れた部分やダニがついていないかどうかをよくチェックします。下腹部にたまった死毛は手もしくはコームを用いて取り除いてあげます。最後はコームかピンブラシで毛並みを整えてあげましょう。

前足・後足

 前足と後足は地面と近く、最も汚れやすい場所であると同時に最もダニがつきやすい場所でもあります。コームの歯の細かい方やノミ取りコームを軽く被毛に流し、小さな傷やダニがついていないかをチェックしましょう。これはブラッシングの有無にかかわらず、散歩が終わるたびに行った方がベターです。特に毛を伸ばしているヨークシャーテリアでは、足元の被毛が地面と接触していることすらありますので日常的にチェックするようにします。 シングルコートの長毛種~足元の被毛を引きずっている場合は、汚れやダニがとりわけ付きやすい  傷やダニがついていないことが確認できたら軽くスリッカーブラシをかけ、もつれや毛玉を取り除きます。ブラシの通りが良くなったらラバーブラシをかけ、死毛を取り除いてあげましょう。犬の手足が小さくてブラシをかけにくい時は自分の手を用いても構いません。毛並みに沿ってマッサージしてあげます。最後はコームかピンブラシで毛並みを整えてあげましょう。

ダブルコートの短毛種

 ダブルコートの短毛種には具体的に以下のような犬種が含まれます。用意する道具はコーム、ピンブラシ、スリッカーブラシ、ラバーブラシ、抜け毛ブラシです。ブラッシングの頻度は春や秋の換毛期で1日2回、換毛期以外では1日1回を目安にします。抜け毛がそれほど多くない場合は週2~3回でも構いません。

顔・頭

 顔の毛並に沿って目から遠ざかるような方向にラバーブラシをかけていきます。犬がおとなしく急に動くことがない場合はスリッカーブラシや抜け毛ブラシでも構いません。季節によっては大量の抜け毛が出ますので、抜けたアンダーコートが犬の目に入ってしまわないよう気をつけてください。またスリッカーブラシの掃除に時間を取られる場合は、ワンタッチでピンに絡まった死毛を取り除ける「セルフクリーニング」タイプのものを試してみるのも手です。

首・背中・脇腹・尾

 犬を四つ足で立った状態にし、首から背中にかけての毛並みに沿って抜け毛ブラシもしくはスリッカーブラシをかけてアンダーコートを取り除いていきます。スリッカーブラシを用いる場合はたった1回のストロークでピンが毛だらけになり、その度ごとに掃除しなければならなくなります。あまりにも時間を取られる場合は、ワンタッチでピンに絡まった死毛を取り除ける「セルフクリーニング」タイプのものを試してみましょう。首の皮膚がたるんでやりにくい時は空いているほうの手で首の「遊び」部分を持ち上げましょう。最後はコームやピンブラシで整えてあげます。 ダブルコートの短毛種~換毛期の抜け毛の量が半端では無い  脇腹からしっぽにかけても同様に抜け毛ブラシもしくはスリッカーブラシをかけていきましょう。春と秋の換毛期には相当な量の抜け毛が出ます。部屋の中に抜け毛が散乱しないよう扇風機やエアコンの風が当たらない場所を選んで下さい。また繰り返しになりますが、外でのブラッシングは法律違反になります。ブラッシングが犬にとって嫌なイベントにならないよう、1日で無理に全身を終わらせるのではなく、1日15分を数日に分けて行うというやり方でも結構です。

胸・腹

 オス犬でもメス犬でも胸元からお腹にかけては乳首がありますので、抜け毛ブラシやスリッカーブラシをかけるときは勢いに任せて雑に行うのではなく、なるべく地肌に触れないよう注意しながら行います。
 抜け毛ブラシやスリッカーブラシをあごの下→胸→お腹という順番で毛並みに沿ってかけていきましょう。小型犬でも大型犬でも犬が横になっているときに行うのがベストです。
 お腹は地面と近く汚れやすい部分ですので、ブラシをかけながら汚れた部分やダニがついていないかどうかをよくチェックします。下腹部にたまった死毛は手もしくはコームを用いて取り除き、最後はコームやピンブラシで毛並みを整えてあげましょう。

前足・後足

 前足と後足は地面と近く、最も汚れやすい場所であると同時に最もダニがつきやすい場所でもあります。コームの歯の細かい方やノミ取りコームを軽く被毛に流し、小さな傷やダニがついていないかをチェックしましょう。これはブラッシングの有無にかかわらず、散歩が終わるたびに行った方がベターです。特にダブルコートの犬では、ダニが被毛の深い場所にひそんでいることがよくあります。 ダブルコートの短毛種~足元の毛の中にダニが潜んでいる危険性あり  傷やダニがついていないことが確認できたら抜け毛ブラシやスリッカーブラシをかけてアンダーコートを取り除きます。ウェルシュコーギーのように足の短い犬種の場合は横に寝かしたほうがやりやすいでしょう。最後はコームやピンブラシで毛並みを整えてあげます。

ダブルコートの長毛種

 ダブルコートの長毛種には具体的に以下のような犬種が含まれます。用意する道具はコーム、ピンブラシ、スリッカーブラシ、ラバーブラシ、抜け毛ブラシです。ブラッシングの頻度は春や秋の換毛期で1日2回、換毛期以外では1日1回を目安にします。

顔・頭

 顔の毛並に沿って目から遠ざかるような方向にスリッカーブラシをかけていきます。スリッカーブラシの掃除に時間を取られる場合は、ワンタッチでピンに絡まった死毛を取り除ける「セルフクリーニング」タイプのものを使ってみると作業がスムーズに進むことがあります。ブラシのピンが犬の目に入らないよう気をつけて下さい。
 毛玉が見つかった場合は「毛玉のとり方」を参考にしながら毛のもつれを解消しましょう。抜けたアンダーコートが犬の目に入らないよう注意してください。ブラシの通りが良くなったら抜け毛ブラシをかけてアンダーコートを取り除いてあげます。最後はピンブラシやコームで整えてあげましょう。 ダブルコートの長毛種~頭部の毛が短い場合はスリッカーブラシではなくラバーブラシで  チワワ、ミニチュアダックスフント、ゴールデンレトリバーのように頭の毛が短い犬種の場合は、スリッカーブラシを用いると地肌を傷つけてしまう危険性があります。頭部のアンダーコートはラバーブラシをかけてとってあげましょう。

首・背中・脇腹・尾

 犬を四つ足で立った状態にし、首から背中にかけての毛並みに沿ってスリッカーブラシをかけてもつれや毛玉を見つけていきます。勢いよくブラッシングするともつれた毛を引っ張って不快感が生じますので、優しくやるようにして下さい。毛玉が見つかった場合は「毛玉のとり方」を参考にしながら毛のもつれを解消しましょう。
 ブラシがスムーズに通るようになったら、抜け毛ブラシを首から背中全体にかけていきます。春と秋の換毛期では相当量の抜け毛が出ますので、部屋の中に抜け毛が散乱しないよう扇風機やエアコンの風が当たらない場所を選んで下さい。また外でのブラッシングは法律違反であると同時に近所迷惑になりますので絶対にやってはいけません。最後はピンブラシやコームで整えてあげましょう。 ダブルコートの長毛種~抜け毛が多いからといって、屋外でブラッシングするのはNG  脇腹からしっぽにかけても、まずはスリッカーブラシをかけてもつれや毛玉がない状態にします。ブラシがスムーズに通るようになったら抜け毛ブラシをかけてアンダーコートを取り除きましょう。しっぽも忘れずにブラッシングし、最後はピンブラシやコームで整えてあげます。
 サモエドやバーニーズマウンテンドッグといった大型犬種は信じられないくらい大量の抜け毛を出します。1日で無理に終わらそうとすると人間にとっても犬にとっても大きなストレスになりますので、1日15分を数日に分けて行うというやり方をおすすめします。 ダブルコートの長毛種~換毛期における抜け毛の量は目を疑うほど多い

胸・腹

 オス犬でもメス犬でも胸元からお腹にかけては乳首があります。被毛に隠れて見えにくいですが、どのブラシを用いるにしても地肌をこすってしまわないよう注意してください。ブラシの歯やピンが乳首に当たると最悪のケースでは出血してしまいます。
 スリッカーブラシをあごの下→胸→お腹という順番で毛並みに沿ってかけていきましょう。毛玉が見つかった場合は「毛玉のとり方」を参考にしながら毛のもつれを解消します。体の背面に比べて手が届きにくい場所ですので、毛玉をカットするときは立たせた状態ではなく横に寝かせた方が安全です。 ダブルコートの長毛種~腹部のブラッシングをするときは横に寝かせた方が安全  お腹は地面と近く汚れやすい部分です。ブラシをかけながら汚れた部分やダニがついていないかどうかをよくチェックします。ブラシが通るようになったら毛並みに沿って抜け毛ブラシをかけていきましょう。下腹部にたまった死毛は手もしくはコームを用いて取り除き、最後はピンブラシで毛並みを整えてあげます。

前足・後足

 前足と後足は地面と近く、最も汚れやすい場所であると同時に最もダニがつきやすい場所でもあります。コームの歯の細かい方やノミ取りコームを軽く被毛に流し、小さな傷やダニがついていないかをチェックしましょう。これはブラッシングの有無にかかわらず、散歩が終わるたびに行った方がベターです。
 傷やダニがついていないことが確認できたら、まずはスリッカーブラシをかけてもつれや毛玉を取り除きます。ブラシが通るようになったら抜け毛ブラシをかけてアンダーコートを取り除きましょう。最後はピンブラシやコームで整えてあげます。
毛の長さや厚さによって少しずつポイントが変わります。何度もトライしてしっかりと被毛のケアをしてあげましょう!