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犬の散歩について

 犬の散歩についての知識全般をまとめました。これから犬を飼おうとする方も、もう既に犬を飼っている方も、何か有益なヒントがないかどうか探しながらご参照下さい。

犬の散歩をいつ行うか?

 散歩には犬の運動能力を維持し、色々な刺激を与えることで脳を始めとする神経系を活性化する効果があります。人間で言うとちょうど小学生の遠足のようなもので、犬にとって散歩はそれだけでうれしくなるものです。ですから病気や怪我、老衰による身体能力の低下など、特別な理由がない限りできるだけ犬を外に連れ出し、新鮮な空気を吸わせてあげたいものです。以下では散歩をいつ行うか、という観点で幾つかの注意点をまとめました。
犬をいつ散歩に連れ出す?
  • 散歩は毎日行うことが基本 散歩は毎日行うことが基本ですが、散歩を欠かすと死んでしまう犬はいませんので、あまりにも天候が悪ければ無理をすることはありません。無理をすると犬も嫌がりますし、何より飼い主のモチベーションが下がってしまいます。
  • 暑い日は散歩時間をずらす 犬は地面に近いところを歩いていますので、人間と体感温度(たいかんおんど)はぜんぜん違います。人間が「ちょっと暑いな」と感じる気温なら、犬にとっては焼けた砂浜を歩くようなものですのでそういうときの散歩は控えたほうが無難です。日が昇り切る前の朝方~午前中か、日が沈みかけて涼しくなってから散歩を行うほうが良いでしょう。 犬の夏の注意
  • 雨の日の注意点 雨の日は水たまりができやすく、他の犬の尿や糞便が溶けて水たまりに混入する危険性があります。犬の尿や糞便(ふんべん)には病原菌やウイルスがいる危険性が高く、誤ってこの水たまりの水を舐(な)めてしまうと病気に感染する危険性も高まりますので、飼い主は犬の動きをしっかりと見張り、病原菌がいそうな場所からはすばやく引き離すよう注意します。あまりにも土砂降りな日は散歩を控え、家の中で芸やトリックにチャレンジするというのも手です。 犬の芸・トリック 犬の寄生虫症
  • 散歩を行う時間は決めない  散歩する時間を杓子定規に決めてしまうと、犬がその時間を覚えてしまうことがあります。その結果、「要求吠え」などの問題行動に発展する危険性がありますので、散歩時間はランダムにし、開始と終了は常に飼い主が決めるようにします。ただし、無駄吠えのしつけ方をしっかりと把握している場合は、特に気にする必要はありません。 無駄吠えのしつけ
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犬の散歩をどこで行うか?

 犬の散歩をどこで行うか、という観点で幾つかのポイントにまとめました。
犬の散歩をどこで行う?
  • 事前にチェックしたルートで 散歩ルートは事前にチェックした方が無難です。人間にとっては馴(なじ)み深くても犬に対しては毒性を示す植物が意外にたくさんありますので、事前のルートチェックでこうした植物の有無を確認しておきましょう。またよく吠える縄張り意識の強い犬がいる家の前や、犬が拾い食いの誘惑に駆(か)られるごみ収集所の近くはなるべく避けるようにするというのも工夫の一つです。 犬にとって危険な有毒植物
  • 散歩をするルートは決めない 散歩をするルートは決めないほうが良いでしょう。毎日同じルートを歩いていると犬も飽きますし、それ以前に飼い主が飽きて散歩に対するモチベーションが下がってしまいます。犬も飼い主も楽しめるようなルート設定が理想です。 GoogleMap キョリ測
 近年、人工芝の下に敷き詰められる黒いクッション材の発ガン性が懸念されています(→詳細)。こうしたクッション材には廃タイヤなどを細かく砕いたものが使われることがあり、結果としてベンゼン、カーボンブラック、鉛などが含まれてしまうというのです。カーボンブラックと鉛はIARC基準で「ヒトに対する発ガン性が疑われる」と分類されていますので、犬に対しても発ガン性を持っていると考えた方が無難でしょう。 人工芝とその下にしかれる充填剤  日本では野球場やサッカー場といったスポーツ施設のほか、ドッグランといったリクリエーション施設においても人工芝が用いられています。犬は体高が低い分地面との距離が近く、それだけクッション剤を吸い込んでしまう危険性が高まりますので、犬を人工芝に入れる際は、どのようなクッション材を使用しているかをよくご確認ください。
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犬の散歩をどの程度行うか?

 犬にとって理想的な散歩(運動)量は科学的に解明されていません。Lindsayの研究によると、運動は犬の余ったエネルギーを発散させるだけでなく、脳内のノルアドレナリン、およびセロトニンのレベルを上昇させ、エンドルフィン(心地よさを生む物質)の放出を促す可能性があるそうです。また、ThorenやHoffmanらは、有酸素運動を持続的に行うことは、オピオイド(鎮痛作用を有する脳内モルヒネ)を仲介して情動や交感神経へ効果的な影響をもたらすことを報告しており、犬では1日に最低30分間の有酸素運動を推奨しています。 ですから体の大きさにかかわらず、1日に最低30分程度は散歩に連れ出してあげたほうが良いでしょう。
 参考までに、以下ではイギリスの犬種協会「The Kenell Club」が犬種ごとに推奨している散歩時間の目安をご紹介します。
犬の1日の理想散歩量
 イギリス・リバプール大学が行った調査(→詳細)によると、犬の飼い主のうちおよそ53%が運動基準量を満たしていなかったと言いますので、自分の体力やライフスタイルに合った犬を選ぶことは重要です。なんとなく大型犬のラブラドールレトリバーを飼ったけれども、散歩に連れ出す時間をとれず(もしくは飼い主の側の気力・体力がなく)、運動量が足りなくてストレスに満ちた生活を犬に強制してしまうのは、ちょっと可哀想ですよね。
 なお、成長期の犬(生後1年未満)に過剰な散歩は禁物です。骨が成長段階にありますので過剰な負荷は骨の成長を阻害(そがい)することがあります。また妊娠後期のメス犬や老犬、関節炎などを患った犬の散歩は、犬の様子を見ながら慎重に行うようにします。 犬の股関節形成不全
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犬の散歩には何が必要か?

 犬の散歩に必要なアイテムをリスト化しました。犬に引っ張り癖があるうちは、首輪よりもハーネスを用いた方が体への負担が少なくて済みます。首輪をした状態で無理にリードを引っ張ろうとすると、眼球、甲状腺、頚神経、脳などさまざまな部分に障害が発生する危険性がありますのでご注意ください(→詳細)。
犬の散歩に必要なもの
  • 首輪とリード 首輪(ハーネス)とリードは必ずつけてください。リードなしで散歩している人もたまに見かけますが、動くものに反応して突然道路に飛び出すこともありますし、通行人に飛びついて怪我をさせる危険性もあります。リードと首輪は犬を束縛しているのではなく、犬の安全を確保しようとしている飼い主の愛情の証です。 犬の首輪・リード 迷子犬の発生原因
  • ビニール袋、ティッシュペーパー 散歩を排泄(はいせつ)の時間にすることは望ましくありません。道の真ん中や他人の玄関に糞尿(ふんにょう)を放置するのは非常識で、飼い主のモラルが疑われます。しかし犬の排泄を完全にコントロールすることは難しいこともありますので、万が一うんちやおしっこをしてしった時に備えてビニール袋、ティッシュペーパーなどを用意しておくのが飼い主としてのマナーです。 散歩用トイレグッズ
  • 携帯用の水 散歩中は体温が上がるのでいつもよりハーハー呼吸(あえぎ呼吸/panting)をします。 犬はこうして口の中の水分を蒸発させて体温調整していますので、散歩中は携帯用の水を用意して 適宜(てきぎ)水分補給してあげましょう。 犬の夏の注意
  • 犬の身元を示すもの 不測の事態に備え、迷子札やマイクロチップなど、犬の身元や飼い主の情報を示す証明書を携帯しましょう。犬が迷子になったときに役立つと同時に、飼い主が何らかの発作で昏倒してしまったときにも、飼い主の身元が判明しやすくなります。
 国民生活センターによると、毎年わずかながら犬用リードの破損事故が起こっているようです(→出典)。実験では、市販されている様々なタイプの犬用リードの強度テストが行われました。その結果、強度には製品間で著しいバラつきがあり、中には極めて弱い力で破損してしまうものもあったとのこと。リードには犬の体重の3倍近い力がかかることもあるため、センターでは以下の点に注意するよう呼びかけています。
  • 金具(ナスカン)にサビや傷がないかどうか確認する
  • ロープにほつれや破損個所がないかどうか確認する
  • リードの適用体重を守る
 犬がリードに噛み付いてほつれが出来てしまったら、すぐ新品に交換した方がよいでしょう。また体重20kgの犬に、体重10kg用のリードを用いることは事故の元になります。
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犬の散歩をどのように行うか?

自転車で犬の伴走をする散歩方法は、犬の突発的な動きに対応しにくいという難点があります。  犬の散歩は、飼い主が自分の足で散歩に連れ出してあげることをお勧めします。自転車で犬を引き連れている人をたまに見かけますが、この散歩法は犬の動きを完全に制御(せいぎょ)できる場合に限ります。しかし自転車を使わないと飼い主の方がへばってしまうような運動量を必要としているのは中型~大型犬がほとんどです。そのような体格の犬を自転車に乗った状態で完全に制御できるのでしょうか?
  国民生活センターが行った調査(PDF)によると、散歩用リードには最大で犬の体重の3倍近い力がかかるといいます。こうした強い力で引っ張られ、飼い主が自転車ごと倒れて怪我をするのは単なる自業自得です。しかし自転車の倒れた先に子供や老人がいた場合は別問題で、時に訴訟にまで発展してしまいます。しつけ不足の状態で安易に自転車散歩をすることは相応(そうおう)の危険を伴いますので、飼い主が自分の足で散歩に連れ出してあげる方が無難です。以下のリンクは自転車で犬を散歩中、犬に引っ張られて人にぶつかってしまったときの法的な責任、および飼い主が犬をリードして散歩するリーダーウォークのしつけ方です。 犬の法律(Q15) リーダーウォークのしつけ
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犬の散歩のメリット

 犬の散歩は、犬のみならず飼い主にも様々なメリットをもたらしてくれます。2012年に「ペット&ファミリー少額短期保険株式会社」が行った「「愛犬とのお散歩意識調査」によると、犬の散歩は「友達が増える」、「健康的になる」、「毎日が楽しくなる」といったプラスの変化を生み出すことが明らかになりました。 愛犬とのお散歩意識調査
犬の散歩によるプラスの変化
犬の散歩を習慣としている人の多くが「毎日が楽しくなった」などプラスの変化を体感している  上記したアンケートはあくまでも回答者の主観ですが、海外で行われた様々な研究により、犬の散歩が飼い主の心と体両面にプラスの効果を持っていることが客観的に示されています。具体的には以下。
犬の散歩~体への影響
  • 2001年・オーストラリア もし全ての飼い主がしっかりと犬の散歩をすれば、年間で1億7,500万ドルの医療費削減につながる。これは国家戦略として推進すべきだ(→出典)。
  • 2010年・イギリス 定期的な運動が重要なII型糖尿病患者にとって、犬を飼うこと、および犬と一緒に散歩することは長期的なメリットをもたらす(→出典)。
  • 2010年・アメリカ 定期的に犬の散歩する人の約80%が、理想とされる週150分の運動時間をクリアしていた(→出典)。
犬の散歩~心への影響
  • 2004年・カナダ 犬は見知らぬ人同士を結びつける「社会的触媒」としての役割を持っている(→出典)。
  • 2010年・アメリカ 定期的に犬の散歩をするお年寄りは、しないお年寄りも社会的、身体的、心理的な満足感が高かった(→出典)。
  • 2010年・イギリス 飼い主の身なりに関わらず、犬を連れているときの方が見知らぬ通行人と交流する機会が多かった(→出典)。
 このように犬の散歩には、飼い主の運動量を増やして健康を促進するのみならず、社会的交流の機会を増やして心理的な満足度を高める効果もあるわけです。
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