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犬が熱中症にかかった

 犬が熱中症にかかった場合について病態、症状、原因、応急処置法別にまとめました。不慮の怪我や事故に遭遇する前に予習しておき、いざとなったときスムーズに動けるようにしておきましょう。

犬が熱中症にかかったときの原因と症状

 熱中症(ねっちゅうしょう)とは、体内にたまった熱を外界に逃がすことができず、全身の機能が不全に陥った状態を言います。
 犬は人間のように汗をかき、その気化熱を利用して体温を下げることができません。犬は主にパンティング(あえぎ呼吸)によって呼吸器系から体にたまった熱を放出しますが、人間と比べるとどうしても冷却作用は劣ってしまいます。結果として体の中に余分な熱がたまってしまい、熱中症にかかって最悪のケースでは死亡してしまうこともあります。
犬に関する夏の注意  犬が熱中症にかかる主な原因としては、屋外飼育、真昼間の散歩、夏場の車内放置、肥満(熱がこもりやすくなる)、短吻犬種(鼻筋が短いので冷却能力が劣る)、過剰な運動、ドライヤーの熱風などが挙げられます。また2016年、「USARIEM」(アメリカ陸軍環境医学研究所)において軍用犬を対象として行われた調査では、「過剰な活動性」、「長い被毛」、「黒っぽい被毛」が熱中症の危険因子として挙げられました(→詳細)。さらに、オーストラリアにおいてドッグレースに参加したグレーハウンドを対象として行われた別の調査では、「体重が重い」、「被毛が黒に近い」などが熱中症の危険性を高めるとのこと(→詳細)。こうしたデータを参考にすると、「体が大きくて黒っぽい犬」の飼い主は、とりわけ犬が熱中症にかからないよう注意してあげる必要があるようです。また体が小さくて被毛が白っぽくても、「元気いっぱいでひっきりなしに動いているような犬」ではリスクが高まりますので、同様の注意が必要となります。詳しい予防法に関しては犬に関する夏の注意にまとめてありますのでご参照ください。 熱中症の危険因子は、黒い長毛、直射日光、過剰な運動  犬が熱中症にかかったときの主な症状は以下です。特に夏場は注意して犬の様子を観察しましょう。なお、犬の呼吸と心拍が止まっている場合は、取り急ぎ心肺蘇生術を施してください。
犬の熱中症にかかったの主症状
  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 食欲不振
  • 呼吸が荒い
  • ふらふら歩いている
  • 大量のヨダレ
  • 脈拍・心拍数の増加
  • 口の中が鮮紅色
  • 血圧低下
  • 眼振(がんしん=眼球が不規則に動く)
  • 嘔吐
  • 下痢・血便
  • けいれん
  • 死亡
 なお熱中症と紛らわしい表現として、「高体温症」、「発熱」、「熱痙攣」、「熱疲労」、「熱射病」などがありますが、全て別々の意味を持っています。簡略化すると以下です。 熱中症と紛らわしい表現一覧
  • 高体温症 高体温症とは、犬の平熱である37.5~39.2℃(深部体温)を超えた状態のことです。「発熱」と「熱中症」の両方を含むため、熱中症と完全に同義語というわけではありません。
  • 発熱 発熱(はつねつ)とは、体内に侵入した細菌やウイルスの増殖を抑えるため、体が自分の意志で体温を上げた状態のことです。体温を下げてしまっては意味がないので、通常パンティングは起こりません。
  • 熱中症 体温調整能力の低下、もしくは体温調整能力を超える外気温によって、熱が体内にこもってしまった状態です。体温を下げるためのパンティングが発生します。
  • 熱痙攣 熱痙攣(ねつけいれん)とは軽度の熱中症のことです。人間においては、発汗に伴う水分とナトリウムの喪失によって筋肉のけいれんが起こるため、こう呼ばれます。
  • 熱疲労 熱疲労(ねつひろう)とは中等度の熱中症のことです。皮膚や筋肉への血流量が異常に増えることで血液循環がおかしくなり、体温調整機能が破綻(はたん)した状態を指します。
  • 熱射病 熱射病(ねっしゃびょう)とは重度の熱中症のことです。体内に長時間熱がこもった結果、脳内の体温調整中枢が破壊された状態を指します。体温は42度を超え、細胞の壊死(えし)、タンパク質の変性から全身性炎症反応症候群(SIRS)を経て多臓器不全、そして死に至ります。
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犬が熱中症にかかったときの応急処置・治療法

 犬が熱中症にかかったときの治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬が熱中症にかかったときの主な治療法
  • 体温を下げる  熱中症の症状が疑われる場合は犬を日陰などの涼しい場所に移動して水を飲ませ、体に水をかけます。そして扇風機やうちわなどで風を送り、気化熱によって体温を下げます。氷水は冷たすぎて血管の収縮を引き起こすため、使わないよう注意してください。
  • 獣医さんへ  応急処置が済んだら獣医さんの元へ連れて行きましょう。一般的に、熱中症の症状が現れてから30~60分以内に適切な処置を施せば予後は良好です。しかし2~3時間経過し、体温が一端41度まで上昇して血便など重篤な症状が現れてしまった場合、完全な回復は見込めませんので、飼い主の機転と行動力が犬の運命を左右する形となります。
     病院では直腸温で39.5度になるまで犬の体温を下げる処置が施されます。その後ショック症状を予防するための輸液や投薬が行われ、容態が安定したら様子見となります。
  • 夏場の注意を把握する  熱中症の多くは、人間と犬の体温調整能力が同じであると勘違いした飼い主の油断によって生じます。犬がどのように体温を調整しているのかをしっかり把握し、飲み水を切らさない、散歩の時間をずらす、外飼いを室内飼いに切り替える等の対処が必要です。詳細は以下のページをご参照ください。 犬に関する夏の注意
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