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犬が喜ぶ部屋の作り方

 犬が喜ぶ部屋を作るには、まず犬にとって危険なものを部屋の中から一掃することが必要です。その後、犬の習性や本能を理解して環境エンリッチメントを整えていきます。それではレイアウトのポイントからインテリアの工夫まで具体例とともに見ていきましょう。

基本的な部屋の設定

 家の中に犬を迎え入れる際、犬専用の部屋を設けるパターンと、人間用のリビングなどを犬同居型にアレンジするパターンとがあります。以下は、専用型と共有型とに関わらず犬に喜んでもらうために重要となる基本的な部屋の設定方法です。

床のアレンジ

 床をどのようにアレンジするかにはたくさんの選択肢があります。結論から言うと、毛足の短いタイルカーペットを敷くのが人間にとって不都合が少なく、また犬が喜んでくれる確率が高いと考えられます。カーペットを用いた場合のメリットとデメリットは以下です。
カーペットを敷くと?
  • メリット人が歩く時の音を吸収してくれる | 床の温度が足の裏に直に伝わらない | 犬の足がスリップしにくい | 交換が簡単 | 安い
  • デメリット人が裸足で暮らしているとだんだん臭くなっていく | 犬のよだれ、嘔吐物、おしっこが染み込みやすい | こまめなコロコロ掃除が必要 | 掃除機による定期的な掃除が必要 | 毛足が長い場合爪が引っかかってしまう
 フローリングやタイルの場合、犬が走ったりジャンプしたりするときにスリップして足を痛めてしまいます。フローリングに滑り止めを塗るという選択肢もありますが、商品によっては全く効果がなく、また床を「ホリホリ」することでコーティングが剥がれてそれを飲み込んでしまう危険性もあります。賃貸の場合、元の状態に手を加えること自体が契約で禁止されていることもあるでしょう。
 ゴム床材を用いるという方法もありますが、家庭用製品が少なく、またカーペットの裏地にはそもそもゴムが用いられていますので、わざわざ選ぶ理由がそれほどありません。
 クッションフロアも拭き掃除がしやすくて魅力的ですが、犬が爪を立てて歩いたり走ったりするとそのうち表面がボロボロと剥がれてきます。またほとんどが一面シート式ですので部分的な取替も効きません。
 消去法で考えていくとやはりカーペットが残りますが、用いる場合はタイルカーペットを用いると部分的な取り替えができて楽です。
 犬の爪が引っかかってしまわないよう、極端に毛足の長いカットパイルやループパイルは避けるようにします。長い間使っているとカーペットの隙間からほこりやゴミが落ち、裏地がひどく汚れることがありますので、定期的にカーペットを剥がして掃き掃除や拭き掃除するようにします。犬専用の部屋がなく、人間と犬が同じ部屋を共有している場合、飼い主がよく使う空間ではフローリング、犬がよく使う空間ではカーペットという工夫もあります。

照明器具を選ぶ

 部屋全体を照らす天井照明器具を選ぶときは、光を発する「光源」とその光源を固定する「器具」に分けて考えます。犬が喜ぶかどうかは別として、「犬に対して悪影響が少ない」という観点で選ぶと、調光できるLEDのシーリングライトが最も無難であるように思われます。
光源のタイプ
  • 白熱電球寿命は1,000~2,000時間 | 本体価格が安い | 触ると熱くて火傷をする
  • 蛍光灯寿命は6,000~12,000時間 | 犬の目にはチカチカ点滅して見えている可能性あり
  • LED寿命は40,000時間 | 消費電力は白熱電球の1/6、蛍光灯の1/2程度 | 本体価格が高い
器具のタイプ
  • シーリング天井に直接取り付ける薄型の照明器具
  • ペンダント(吊り下げ)コードやチェーンで天井から吊るすタイプの照明器具 | 犬が飛びついて光源に触り火傷してしまう危険性あり
  • シャンデリア天井から吊り下げるタイプの多灯型の照明器具 | 十分高い場所にあれば犬が飛びつく危険性は薄いものの、大きな地震が来た時破損して部分~全体が落下する危険性あり
 光源を比較した場合、白熱電球は安い代わりに消費電力が大きく、電気代がかさみます。またかなり発熱しますので、うっかり触ると火傷してしまうでしょう。蛍光灯は照明の王道ですが、光が明滅していますので犬の目にはチカチカして見えている可能性を否定できません。またLEDに比べると寿命が半分以下です。
 一方、器具を比較した場合、ペンダントライトはかなり低い位置まで吊り下げますので犬がジャンプしたら届いてしまうでしょう。その結果、ライト自体が壊れたり光源を触った犬が火傷をしてしまうかもしれません。またシャンデリア(もしくはシーリングファン)はかなり高い位置に吊るされていますので、犬がジャンプしても届かないと考えられます。しかし大きな地震などが来て左右に揺れると、器具の一部が破損して落ちてきたり、器具を固定している金具が壊れてシャンデリアごと落ちてくる危険性もあります。
 こうしたさまざまなシナリオを考えていくと、最終的には調光できるLEDのシーリングライトが最も無難であるという結論に至ります。 調光式LEDライトを用いれば、犬の好きな薄暗い照明(dim light)も簡単に作り出せる  LEDは蛍光灯のようにチカチカ点滅しませんので、犬に余計なストレスをかけることがありません。また調光式のものを選べば、フル点灯と豆電球のちょうど中間くらいのほどよい明るさ(dim light)を実現することもできるでしょう。さらに器具をシーリングタイプにすれば犬が飛びついて壊すこともありませんし、災害時に落ちてきても大怪我をすることがありません。本体価格は白熱電球や蛍光灯に比べてかなり高額ですが、消費電力が小さく寿命が4万時間と他を圧倒していますので、長い目で見れば元を取れると思います。
 なおリビング全体を照らす「全体照明」ではなく、部屋の特定部分を照らす「部分照明」に関しては上記した限りではありません。ただ照明が犬の上に落ちてくる落下事故や、犬がライトに触れてやけどする事故が起こらないよう、置き場所や光源を工夫する必要があります。特にゴールデンレトリバーなど頑丈な尻尾を持った犬種では、ぶんぶん振り回しているうちに電気スタンドに当たり、倒してしまうということがよくあります。

冷暖房器具を選ぶ

 夏は冷房、冬は暖房が必要になりますが、室内の温度調整は基本的にエアコンで行います。季節にかかわらず重要なのは、エアコンから吹き出す風が犬の寝床に直接当たらないよう工夫することです。電気代を節約するためエアコンの代わりに扇風機や電気ストーブを使う人もいますが、以下に述べるようなデメリットもあります。

夏場の室温調整

 夏場の暑い時、人間であればうちわや扇風機を使うこともあります。しかし犬には汗腺がありませんので、汗が蒸発するときの気化熱を体温調整に使えません。つまり、扇風機を当てたところで涼しいとは感じないのです。強いて言えば、「被毛の中の空気が入れ替わって何となく気持ちいい」程度でしょうか。人間と犬の体温調整方法は根本的に違い、最悪のケースでは熱中症で死亡してしまいますので、夏場はしっかりとエアコンで室温調整してあげる必要があります。温度は27~28℃、湿度は50%が設定の目安です。 犬の夏場の注意 犬が熱中症にかかった

冬場の室温調整

 冬場の寒い時、コタツや電気ストーブ、あるいは床暖房を使うことがあります。こうした電化製品は犬も大好きですが、たとえ低温でも長時間同じ場所を温め続けると「低温やけど」(hot water bottle rash)と呼ばれる状態に陥りますので要注意です。例えば以下は、腹痛を和らげるためあんかを長時間おなかに当て続けた人に発生した低温やけどの痕です。 低温でも長時間当て続けると皮膚が変化する  犬の体は被毛に覆われており、皮膚の様子を観察することができません。気持ちよさそうにしているからといって長時間コタツの中に放置したり、近距離で電気ストーブに当たらせてしまうと、人間の場合と同様、地肌がどす黒く変化してしまいます。こうした電化製品を使わなくてもよいよう、エアコンで温度調整してあげましょう。温度は25~26℃、湿度は50%が設定の目安です。
 なお、居住地域が北海道などの雪国で、エアコンがメインの暖房器具でない場合は、ストーブ廻りにバリケード(ストーブガード)を作って犬が絶対近づけないよう工夫します。さもないと低温ではなく高温やけどを負ってしまいます。 犬がやけどをした

ドア・間仕切り

 家の中にはキッチン、寝室、和室、お風呂場、ベランダなど、犬に入ってほしくない場所が幾つかあります。犬が自由に部屋を行き来できなくする場合、以下のような方法があります。
犬を立ち入り禁止にする
  • ドアをロックするドアにロック(鍵)がついている場合はこまめに使うようにします。しかし家の中に複数人の人間がいる場合、いちいちドアをロックすると生活がとても不便になるという欠点もあります。
  • ドアストッパーを挟むトイレ以外のドアには基本的にロックがついていないと思います。そんな場合は、ドアの下にある隙間にドアストッパーを挟んでおけば、万が一犬がレバーハンドルを回してもドアを開けることはできません。
  • つっかえ棒をする和室の場合、横にスライドするタイプのふすまによって仕切られていると思います。その場合、ふすまにつっかえ棒をしておけば器用な犬でも開けることができなくなるでしょう。またふすまのすきまに挟んでスライドできなくさせる専用のロックも売られています。
  • バリアを設ける部屋の中がオープンスペースで、そもそもドアや間仕切りが設けられていないこともあります。そんなときはペット用の侵入防止アイテムを利用するのも手です。ジャンプ力がある犬の場合は、飛び越えられないよう高さを持ったハイゲートがよいと思われます。あるいはインテリア用のパーティションなども場所によっては使えます。
 部屋を立ち入り禁止にする代わりに、犬に触ってほしくないものを取り除いて立ち入り自由にしてしまうという逆転の発想もあります。例えばキッチンの場合、果物ナイフや包丁といった危ないもの、鍋や食器といった触ってほしくないものを出しっぱなしにせず、こまめに収納スペースにしまうなどです。あるいは洗濯機周りの場合、有毒な洗剤を棚にしまい、誤って洗濯機のドラムに入れないよう蓋をしてしまえば犬でも入れるようになります。事前にこうした工夫をしておけば、ドアや間仕切りのアレンジは必要なくなり、開けっ放しにできるでしょう。
 ただし長い間一緒に暮らしていると必ず飼い主の側にうっかりミスというものが生じます。たった1度キッチンにチョコレートを置き忘れたことで犬が中毒発作を起こしてしまうとか、たった1度浴槽の蓋を閉め忘れたことで犬が溺れてしまうということもありえますので、やはり犬の行動できる部屋を限定しておいたほうがよいと思います。2017年8月、製品評価技術基盤機構(NITE)がペットによる火災に注意を呼びかけました(→出典)。内容は、犬や猫がガスこんろやIH調理器などのスイッチを入れて火元になるケースがあるというものです。こうした事故を予防するためにも、立ち入り禁止エリアの設定は慎重に行いたいものです。

部屋をドッグプルーフにする

 ドッグプルーフとは、部屋の中にあるものに犬が近づいたり触れないように工夫をこらすことです。以下で代表的な例を解説します。
ドッグプルーフいろいろ
  • コンセントコンセントに犬が爪を入れてしまわないよう、使用していないアウトレットにはキャップを挿して穴を塞いでしまいます。犬がキャップをいじって取ってしまわないよう、上からテープでとめておくとより安心です。こうしておくと、万が一犬がおしっこをかけてもショートしません。
  • 電気コード電化製品とコンセントを結ぶ電気コードは頑丈な絶縁体でカバーされています。しかし同じ場所をガジガジかじり続けていると、そのうちカバーが壊れて中のコードが露出してしまうかもしれません。コードを覆うプラスチック製のコードケース(ケーブルカバー)が市販されていますので、犬が異常に執着する場所にはこれを付けて補強しておきます。
  • 犬が壁紙をガリガリひっかいてしまう場合は、猫用の爪とぎシートなどで覆ってしまいます。リビングの美観を損ねるという場合は、インテリアや家具を置くなどしてそもそも近寄れないようにするのも手です。
  • 椅子やソファ椅子やソファに犬が爪を立てたり粗相ができないよう、人が使っていないときや犬に留守番してもらうときだけ専用のシートを被せてしまいます。たいていは防水加工がしてありますので、万が一粗相をしても下にある家具を汚れから守ってくれます。犬の留守番のしつけ
  • カーテンカーテンは防音性と遮光性を兼ね備えたものを揃えます。ロールカーテンは開閉が楽ですが、商品によって防音性や遮光性が大きく変わりますのでよく確認してから買うようにします。ブラインドは羽根(スラット)が柔らかい場合、犬が隙間に鼻先(マズル)を突っ込んで歪んでしまうかもしれません。また羽根(スラット)の間には必ず隙間ができますので防音性はどうしてもドレープカーテンに劣ります。
  • ゴミ箱フタがないタイプのゴミ箱だと犬が中を漁ったりしてしまいますので、基本的にはフタ付きのゴミ箱を用います。収納式のダストボックスを用いれば、ゴミ箱自体がインテリアの一部になってくれます。
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犬が喜ぶ部屋作りの工夫

 基本的な部屋の設定では「犬に悪影響を及ぼさない」ことをテーマに解説しました。このセクションでは、犬の本能や習性を理解して「犬が喜んでくれる」ことを目的とした部屋の工夫について考えていこうと思います。以下は、基本的な設定が終わった部屋の中に犬が喜ぶ「環境エンリッチメント」を導入する際のレイアウトサンプルです。

 適度な太陽光には紫外線による被毛の殺菌効果が期待できます。窓際に柔らかいベッドを置き、犬がいつでも好きなときに日向ぼっこができるリラックススペースを作ってあげましょう。外の騒音がうるさい立地の場合や犬の吠え声が大きい場合は、防音性の高い二重サッシに代えるなどの工夫をします。以下は注意点です。 窓際には犬がリラックスできる日向ぼっこスペースを作る

犬をベランダに出さない

 窓を開放して犬をベランダに出すという行為は脱走や落下事故の原因です。窓の種類にかかわらず、外の空気を吸わせたいときは犬が出られない程度に細く開け、空気の入れ替えをしてあげます。目を離す場合は、開ける幅を犬の頭の骨が物理的に通れない10cm未満にとどめておき、犬が勝手に開けられないようストッパーを噛ませておきます。

網戸は破れる

 窓を開けても網戸があれば大丈夫だと思いがちですが、犬が爪を立ててガリガリやってしまうと、ほころび部分が大きくなって破れてしまうことがあります。また例えグラスファイバーの頑丈な網戸を使っていたとしても、繰り返し体重をかけることで網戸自体が外れてしまうかもしれません。空気の入れ替えをするため網戸付きの窓を開けるときは、飼い主が必ず犬に付き添うようにします。目を離す場合は、開ける幅を犬の頭の骨が物理的にい10cm未満にとどめておき、犬が勝手に開けられないようストッパーを噛ませておきます。

外の景色はストレスの原因?

 犬にも人間で言う「パーソナルスペース」のようなものがあり、このスペース内に見知らぬ人や動物が入ってくることを嫌う犬がいます。例えばバルコニーに止まった鳥、ズケズケと敷地内に入ってくる郵便配達人や宅配業者、ふらりと庭に現れた野良猫、散歩中の見知らぬ犬などです。こうした犬にとっては、窓から見える景色全てがストレスを引き起こす地雷であり、無駄吠えや警戒吠えの原因になりますので、何らかの対策を講じなければなりません。犬の無駄吠えのしつけ縄張り意識の強い犬にとって窓から見える景色はストレス要因  家の中に複数の部屋がある場合、外の景色が見えにくい部屋を犬用の休憩所にしてしまえば外の景色を見ないで済むでしょう。一戸建て住宅の場合は屋外に「目隠しフェンス」をレイアウトすることで犬への刺激をかなり減らすこともできます。賃貸の場合は窓全体~下半分にすりガラス風のフィルムを張ってしまえば、日光を完全に遮ることなく視覚的な刺激だけを犬から遠のけることができます。

ハウス・隠れ家

 動物はストレスを感じた時、人間や他の動物から完全に身を隠せるスペースを探そうとします。この傾向は特に猫で顕著ですが、犬にも同様の習性があります。例えば野良犬や迷子犬が人目につかないよう車の下に引きこもってしまうなどです。犬が自分の意志で姿を現したり隠したりできるよう、部屋の中に専用の隠れ家(ハウス)をレイアウトしてあげると犬が安心します。

ケージを用いる場合

 アメリカ合衆国農務省(USDA)が設定しているガイドラインでは、犬の収容スペースに必要最低限の空間を「(体長+15cm)×(体長+15cm)×(頭の高さ+15cm)」としています。これはちょうど、壁に触れることなく体を自由に方向転換できる程度の広さです。 犬のケージには壁に体が触れずに方向転換できる程度の広さが必要  部屋の中でこのスペースを確保する際はケージを用いると良いでしょう。人通りが少なく直射日光が当たらない部屋の隅っこなどにスペースを作り、ケージを置いて周囲をケージカバーなどで覆ってあげます。「自分は身を隠しているけれども飼い主の姿は見えている」くらいがベストです。中に柔らかいクッションやベッド、犬が好きなおもちゃなど入れてあげます。
 部屋のスペース的にケージをレイアウトするが難しい場合はクレートやバリケンを代わりに用います。要領は同じで、ドアの近辺など人の往来が激しい場所や騒音を発する家電製品の近くを避け、出入り口から飼い主の姿が見えるように置いてあげます。自由に寝返りを打てるわけではありませんが、外出するときの予行演習にはなります。

サークルを用いる場合

 留守番の予行演習として大型ケージやサークルをレイアウトするという方法もあります。ケージの場合と同様、人通りが少なく直射日光が当たらない部屋の隅っこなどにスペースを作り、サークルを置いて中にふかふかのクッションハウスやクッション材を敷いたクレートを入れます。飼い主の姿が見えると安心してくれますので、出入り口はリビングの方に向けてあげましょう。普段からサークルを用いた隠れ家の存在に慣れておけば、留守番するときの苦痛も減ってくれます。

トイレと食餌場

 トイレのレイアウトは、餌場や睡眠場所とはなるべく遠い場所を選ぶよう工夫します。理由は人間と同じで、自分の排泄物の臭いがする場所では食欲がわかないからです。設置数は飼育頭数分が理想です。これは万が一トイレが汚れていた場合、予備のトイレがあればそちらを優先的に使ってくれるためです。もし用意していなかった場合、カーペットやベッドの上で粗相をしてしまうかもしれません。トイレを隠れ家(ハウス)の中に設置する人もいますが、基本的には留守番のときだけで普段は寝床から遠くに置いたほうがよいと思います。犬がケージ内でのトイレに慣れきっている場合はその限りではありません。
 食事場所は水を飲んだときの飛び散りやこぼしたフードなどですぐに汚れてしまいます。下に取り替えがきくランチョンマットを敷いたり、拭き掃除がし易い防水性のマットなどを敷いておくと手入れが楽になります。 犬のトイレのしつけ 犬のトイレグッズいろいろ

ベッド

 ベッドは床や地面と犬の体の接触面積を増やすための必須アイテムです。犬では特に筋肉に覆われていない顎の下、肘周辺、脇腹、骨盤周辺に圧力が溜まりやすく、時として床ずれの原因になってしまいます。
 ベッドはラウンドタイプやスクウェアタイプなどさまざまな形がさまざまなサイズで売られています。あまりにも小さいと犬が窮屈に感じてしまいますので、体より一回り大きいくらいがちょうどよいでしょう。ラグマットを敷く場合は毛足が犬の爪に引っかからないよう、カットパイルやループパイルは避けるようにします。理想的なレイアウトは日向ぼっこスペースに1つ、隠れ家(ハウス)内に1つ、フリースペースに1つです。

階段

 家が一戸建てで2階や3階がある場合、階段への配慮が必要です。チワワヨークシャーテリアといった小型犬の場合、段差を踏み外して落ちただけで骨折するということもありえます。またミニチュアダックスフントの場合は腰への負担が大きくヘルニアの原因になってしまうかもしれません。基本的に小型犬は立入禁止にしたほうが無難でしょう。
 中~大型犬の場合は、階段で足を滑らせてしまわないよう滑り止めコーティングや滑り止めカーペットを敷いておきます。しかし怪我の危険性がなくなるわけではありませんので、よほど必要性がない限り1階以外の部屋は使わせないほうがよいでしょう。
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部屋から危険なものをなくす

 犬にとって必要なアイテムを部屋の中にそろえてあげることも重要ですが、犬にとって危険なものを部屋の中から取り除いてあげることも同じくらい重要です。

犬の誤飲誤食リスト

 以下は部屋の中でよく見かける危険物のリストです。周囲を見渡し、うっかりがないかどうか確認してみましょう。犬の毒になるものに関しては非常にたくさんありますので、犬にとって危険な毒物をご参照下さい。また部屋の中に好き勝手に観葉植物を置いていいというわけではありません。有毒植物に関しては犬に危険な有毒植物でご確認ください。
  • 煙草・灰皿 誤飲・誤食に気をつけたいタバコ犬に限らず人間でもニコチンを口から摂取すると死に至ります。また副流煙による呼吸器系への悪影響を考えると、 煙草を吸わないに越したことはありませんので室内環境から一掃しましょう。
  • ひも状異物 誤飲・誤食に気をつけたいひも状の長い異物ひも状の長い物体は腸管内にひっかかりやすく、最悪のケースでは死を招いてしまうこともあります。胃より上でとどまっている場合は、催吐剤や内視鏡で取り出し、腸にまで落ちてしまった場合は、便として自然排出させるか開腹手術で強制除去を行います。おもちゃのひも、釣り糸、毛糸、輪ゴムなどは、必ず犬の手が届かない場所に保管しましょう。
  • アクセサリーや小物 誤飲・誤食に気をつけたいアクセサリーなどの小物室内に落としたアクセサリーや小物を犬が間違って飲み込まないように十分注意してください。 特に先のとがったピアスなどを飲み込んでしまうと大変です。
  • クリップなどの文房具 誤飲・誤食に気をつけたいクリップなどの小さな文房具類 好奇心旺盛な子犬などは、床に落ちているものをとりあえず口に入れてしまうかもしれません。クリップなどの金属を飲み込んで消化器官を傷つけないよう、室内全体をまめに掃除しましょう。
  • 乾電池・ボタン電池 誤飲・誤食に気をつけたい乾電池やボタン電池犬が電池や磁石などを複数個飲み込んでしまうと、胃と腸がくっついてしまうという漫画のようなことが本当に起こりえますので室内環境から一掃しましょう。またコイン形のリチウム電池に関しては、国民生活センターからもボタン電池の誤飲に注意(PDF)という形で警告が出されています。電池が消化管内に停滞すると、そこから電流が漏出し、わずか1時間程度でも消化管に穴が開くとのこと。
  • タオルや靴下 誤飲・誤食に気をつけたいタオルなどの布製品犬が布を噛み千切って飲み込んでしまうと腸閉塞などの原因となります。いらなくなったタオルや靴下などを不用意におもちゃとして与えないで下さい。
  • 洗剤や薬品 誤飲・誤食に気をつけたい洗剤などの化学薬品犬が容器を噛み切って中身を飲み込むことがあります。最悪の場合は中毒症状を起こして死に至りますので、必ず室内の犬の目の届かないところに保管してください。
  • コード・ケーブル類 誤飲・誤食に気をつけたいコードなどの通電性のあるもの犬が絶縁体を噛み切って中の金属コードに触れてしまうと感電します。室内のケーブル類には噛み付き防止スプレーなどを塗って決して口に入れないよう子犬の頃からしつけておきましょう。
  • ティッシュペーパー 誤飲・誤食に気をつけたいティッシュなど繊維性のもの犬が興味本位で大量に飲み込んでしまうと、体内で消化されずに目詰まりを起こし、腸閉塞などの原因となります。室内の犬の手の届かないところに置いておきましょう。
  • 人間用のぬいぐるみ 誤飲・誤食に気をつけたいぬいぐるみなどいたずらの対象となるもの人間用のぬいぐるみは目の部分がボタンでできていたり、背中にファスナーなどがついている場合があります。 犬におもちゃとして与えると噛み千切って飲み込む危険性がありますので、与えるときは犬用のぬいぐるみにしてください。
  • 誤飲・誤食に気をつけたい種梅干やあんず、桃の種などは一見小さいですが、犬からするとかなり大きなものになります。食道に種子がつまり、呼吸困難やチアノーゼ(酸欠状態)になることもありますので、安易にテーブルの上に放置しないようにします。
  • 串・魚の骨 誤飲・誤食に気をつけたい焼き鳥の串焼き鳥の串に食べた後のいいにおいがついていたり、食べ残した肉片などがついていると、がっついた勢いで飲み込んでしまうときがあります。また魚の骨も同じ理由で飲み込まれることがありますので、食後はフタ付きのゴミ箱にしっかり入れるようにします。
  • 誤飲・誤食に気をつけたい針釣り針や縫い針なども危険です。釣り針は抜けないように「返し」がついていますので、食道などに刺さった場合は手術せざるをえないこともあります。また縫い針は胃にまで達してそこに穴を空け、肝臓、肺、心臓などの周辺臓器を傷つけることもあります。特に犬においては、針についた糸をおもちゃ代わりにしていて飲み込んでしまうというケースが多いようです。猫では飲み込んだ針がのどを突き破って脳に達したという症例もありますので、釣り道具や裁縫セットを放置しないよう十分注意しておく必要があります。

タバコは百害あって一利なし

 部屋の中でタバコを吸うと、犬の健康を損なうという研究報告が幾つかあります。ですから犬がいる場所での喫煙は望ましくありません
犬に対するタバコの害
  • 1997年の調査受動喫煙している犬の方が鼻腔にガンを生じやすい(→出典)。
  • 2006年の調査30匹のヨークシャーテリアを対象とした観察で、喫煙者のいる家庭で暮らしていた犬の方に、「炭粉沈着症」、および「尿中コチニン」の両方が検知された。「炭粉沈着症」とは、免疫細胞の一種であるマクロファージの細胞質に炭素が溜まった状態のことで、肺疾患の原因とされているもの(→出典)。
  • 2013年の調査明治大学・応用獣医学の纐纈(こうけつ)雄三教授が率いる研究グループは、喫煙など飼い主の側の生活習慣が、同居しているペット犬のアトピー性皮膚炎の発症リスクを高めていること、および犬の毛が短いほど発症年齢が早くなることを明らかにした(→出典)。
  • 2017年の調査ポルトガル・ポルト大学のチームはリンパ腫を発症した犬23頭を対象とした調査により、喫煙者と同居していた犬の方がガン細胞の増殖が活発であること、および喫煙者の数が多い方がガン細胞の増殖が活発であるという関係性を突き止めた(→詳細)。
犬の受動喫煙は、様々な健康障害を引き起こす  このように、犬にタバコの煙を吸わせることは「百害あって一利なし」です。今まで自分の喫煙習慣を気にも留めていなかった方は、今後家の中に「喫煙エリア」のようなものを作り、煙が他の部屋に入らないようにするといった工夫が必要となるでしょう。
電子タバコなら大丈夫? 電子タバコが安全というのは全くの誤解 従来の火を用いるタバコではなく、電子タバコなら大丈夫だろう、と思いがちですが、そういう訳にはいかないようです。イギリスでは2014年にニコチン入りのカートリッジを誤飲した子犬が死亡していますし、日本でも厚生労働省が発がん性物質を含む可能性があるとして調査に乗り出しています。液体であれ気体であれ、電子タバコと言えども安全とは言えないということです。

見えない化学物質に注意

 室内環境を整える際は、人とペット双方の健康を考え、揮発性有機化合物がなるべく少なくなるよう努めた方がよいでしょう。「揮発性有機化合物」(きはつせいゆうきかごうぶつ, VOC, Volatile Organic Compounds)とは、常温で蒸発し、気体となる有機化合物の総称です。目に見えない状態で室内を漂うこうした化合物が、ときに体に悪影響を及ぼすことがあります。

VOCの引き起こす症状

 揮発性有機化合物(VOC)が引き起こす体調不良としては、「化学物質過敏症」と「内分泌かく乱」が代表格です。飼い主やペットに慢性気管支炎喘息といった症状が現れているにもかかわらず、明確な原因が見つからない場合は、ひょっとすると目に見えないVOCが悪さをしているのかもしれません。

化学物質過敏症

 「化学物質過敏症」(MCS)とは環境中に存在する微量な化学物質によって体調不良が引き起こされる現象のことです。明確な症状がないこと自体が特徴で、アレルギー的な側面と中毒的な側面を兼ね備えています。具体的な症状は以下。主に人間に現れるものですが、同じ哺乳類の属する犬に現れてもおかしくはありません。
化学物質過敏症の症状
  • 自律神経の症状発汗異常・手足の冷え・頭痛・疲れやすい
  • 精神の症状不眠・不安・うつ状態・不定愁訴
  • 気道の症状のどが痛い・のどが渇く
  • 消化器の症状下痢・便秘・吐き気
  • 眼科的の症状結膜への刺激・調節障害・視力障害
  • 内耳の症状めまい・ふらつき・耳鳴り
  • 運動器の症状筋力低下・筋肉痛・関節痛・振るえ
  • 循環器の症状動悸・不整脈・循環障害
  • 免疫の症状皮膚炎・喘息・自己免疫異常

内分泌かく乱

 「内分泌かく乱」とは、化学物質によって体の内分泌系が乱され、体調不良に陥ることです。この現象を引き起こす揮発性有機化合物は、ときに「環境ホルモン」と呼ばれることもあります。環境省は約70種類の化学物質を、内分泌かく乱作用が疑われる物質、すなわち環境ホルモンとしてリストアップしています。具体的には以下。
環境ホルモンの一部
  • プラスチック可塑剤フタル酸エステル類
  • プラスチック原料等スチレンダイマートリマー・ビスフェノールA
  • 有機リン系農薬マラチオン
  • ピレスロイド系農薬ペルメトリン・シペルメトリン・フェンバレレート・エスフェンバレレート
  • 有機塩素系農薬クロルデン・ノナクロル・ディルドリン・DDT・HCH(BHC)
  • 多環芳香族炭化水素ベンゾピレン

VOCの発生源

 揮発性有機化合物(VOC)は、建物だけでなく、建物の中にある日用品や家電製品からも発生する厄介なものです。具体的な発生源としては以下のようなものが挙げられます。家庭の中にあるほとんど全てのものが、VOCの発生源になりうることがお分かりいただけるでしょう。
VOCの発生源と主な材料
  • 建材パーティクルボード、化粧板、壁紙、断熱材、シール、プラスチック配管、塗料、防カビ剤、合成接着剤
  • 家具・調度品カーペット、タンス、カーテン
  • 暖房・厨房機器開放型石油ストーブ、ガスレンジ、システムキッチン
  • 空調機器空調システムのダクト内壁
  • 日用品化粧品、事務用品、接着剤、芳香剤、消臭剤、滅菌剤、貴金属、重金属
  • 電化製品・事務機器掃除機、コピー機、マーカー
  • 自動車関連燃料、排ガス、内装材

VOC対策

 揮発性有機化合物の発生源の中には、環境の中から取り除くことが難しいものもあります。しかし努力と工夫により、接触を減らすこと自体は可能です。具体的には以下。
揮発性有機化合物の低減法
  • 窓の開けてよく換気する
  • 壁の給気口をできるだけ開けておく
  • 室内ドアを開放して通気をよくする
  • 台所の換気扇で通気を促す
  • そもそも汚染源を持ちこまない
 最後に挙げた「そもそも汚染源を持ちこまない」を実現するためには、まず何が汚染源なのかを知っておく必要があるでしょう。厚生労働省は住宅室内の空気中における化学物質濃度の指針値を提示しています。体調不良を引き起こしやすい化学物質の名称、およびそれが引き起こす主な症状を併記しましたので、避けられるものは可能な限り避けたほうがよいと思われます。なお「1ppm」は百万分の一、「1ppb」は10億分の一という意味です。
室内の化学物質濃度・指針値
  • ホルムアルデヒド指針値=0.08ppm
    眼・鼻・喉への刺激と炎症、流涙、接触性皮膚炎、発ガン
  • アセトアルデヒド指針値=0.03ppm
    眼・鼻・喉への刺激、接触性皮膚炎、高濃度で麻酔作用、意識混濁、気管支炎、肺浮腫等
  • トルエン指針値=0.07ppm
    眼や気道への刺激、高濃度かつ長期の暴露で頭痛、疲労、脱力感等
  • キシレン指針値=0.2ppm
    トルエンと似た症状
  • パラジクロロベンゼン指針値=0.04ppm
    高濃度かつ長期の暴露で肝臓、腎臓、肺への障害、およびメトヘモグロビンの形成に影響を与える
  • エチルベンゼン指針値=0.88ppm
    眼・喉への刺激、めまい、意識の低下等
  • スチレン指針値=0.05ppm
    眼・鼻・喉への刺激、眠気、脱力感等
  • テトラデカン指針値=0.04ppm
    高濃度で麻酔作用、接触性皮膚炎
  • フタル酸ジブチル指針値=0.02ppm
    眼・皮膚・気道への刺激
  • フタル酸ジ-2-エチルヘキシル指針値=0.0076ppm
    眼・鼻・気道への刺激、接触性皮膚炎
  • フェノブカルブ指針値=0.0038ppm
    アセチルコリンエステラーゼ阻害、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気、瞳孔の収縮等
  • クロルピリホス指針値=0.07ppb
    アセチルコリンエステラーゼ阻害、倦怠感、頭痛、めまい、胸部圧迫感、吐き気、瞳孔の収縮等
  • ダイアジノン指針値=0.02ppb
    クロルピリホスと似た症状
室内を汚染している化学物質 化学物質過敏症について 住宅室内空気中の化学物質濃度の指針値
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