トップ犬のしつけ方室内で必要となるしつけ犬のトイレのしつけ

犬のトイレのしつけ

 トイレとは、犬が自発的(じはつてき)に、決められた場所でうんちとおしっこをすることです。 単純に家のあちこちにうんちやおしっこをされては大変ですので、 このしつけは早い段階で教える必要があります。多少時間がかかりますが、根気良くがんばりましょう。

犬のトイレのしつけの必要性

犬のおしっこを散歩の時間と一緒にするのは望ましくありません。  散歩とトイレをワンセットにしている飼い主がたまにいますが、 これは望ましくありません。 理由は単純で、環境を汚してしまうことが挙げられます。レプトスピラウイルスは犬の尿中に存在していますので、 感染した犬が至る所におしっこを垂れ流すとそれだけ病気の蔓延(まんえん)を助長してしまいます。また電信柱が犬のおしっこで侵食(しんしょく)され、わずかな力で倒れたという話もあります(2006年・大阪府堺市)。モラルの低い飼い主が犬の糞(ふん)を道路に放置している状況は、誰しも一度は目にしたことがあると思いますが、これは生理的に不愉快(ふゆかい)ですよね。 犬の散歩マナー レプトスピラ症  このように散歩とトイレをワンセットにすると、環境を汚染すると同時に不特定多数の人々を不愉快にしてしまう危険性があります。 ですからトイレは室内や自分の家の敷地内(しきちない)で行えるようにしつけるのが良識(りょうしき)ある飼い主といえるでしょう。
 では具体的に犬のトイレのしつけ方を見ていきましょう。
屋外トイレ指南本  しつけ本の筆者が欧米人の場合、屋外での排泄を前提としたものが見受けられます。この背景としては、欧米では中~大型犬の飼育が多いことや、庭付きの一戸建てに住んでいる人が多いという住宅事情があると思われます。
 日本国内では必ずしも最適な方法とは言えない場合もありますので、そのようなしつけ本を目にした場合は、内容を日本風に解釈した上で読んだ方が無難でしょう。
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犬のトイレのしつけ~基本方針

 犬のトイレのしつけに際して、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
便意を催したら、犬が自発的に所定の場所に行って用を足すこと
してほしくない行動
便意を催したら、犬が自分勝手な場所で用を足すこと
 してほしい行動と快(ごほうび)、してほしくない行動と不快(おしおき)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を強化、 後者を弱化と呼ぶことは犬のしつけの基本理論で述べました。これを踏まえて犬にトイレをしつける場合を考えて見ましょう。
強化
「犬が自発的に所定の場所に行って用を足した」瞬間に快(賞)を与える
弱化
「犬が自分勝手な場所で用を足した」瞬間に不快(罰)を与える
 犬のトイレのしつけに際しては弱化よりも強化の方が効果的です。
 これは、「便意(べんい)をもよおした⇒間違った場所で用を足した⇒大きな物音で不快感を与えた」という形で正の弱化をしてしまうと、犬は「用を足した⇒不快な大きな音がした」と学習してしまう危険性があるためです。これでは用を足すこと自体に恐怖を感じてしまい、結果として、飼い主に隠れておしっこをするようになったり、自分の便を食べてしまう食糞症(しょくふんしょう)になりかねません。
 ですから犬が誤解してしまうような正の弱化ではなく、所定の場所で用を足した瞬間におやつなどの快を与えるという 正の強化でトイレをしつけるのが基本方針となります。
望ましくないしつけ方  日本国内では数十年前から、「粗相をした場所に犬を連れて行き、鼻先を押し付ける」という都市伝説的なトイレトレーニングが横行しています。しかし犬の短期記憶能力回想能力でも詳述したとおり、犬は数分前の出来事と現在与えられている罰の因果関係を結びつけることができません。この行為には全く意味が無いばかりか、犬と飼い主の信頼関係を損なう危険性もありますので、安易な情報に流されないようにしましょう。
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犬のトイレのしつけ~実践

 基本方針を理解したところで、いよいよ実践に入りましょう。まずは犬のしつけの基本理論で述べた大原則、「犬をじらせておくこと」、「一つの刺激と快不快を混在させないこと」、「ごほうびと罰のタイミングを間違えないこと」、「しつけ方針に家族全員が一貫性を持たせること」、を念頭においてください。

しつけの準備

 犬のトイレのしつけにおいては、以下の3つのことを準備します。

準備1: ごほうびを用意する

 犬をある特定の行動に対して積極的にさせるためには、何らかの快(賞)を与える必要があります。以下は代表的な犬に対するごほうびです。
犬に対するごほうびいろいろ
  • おやつ おやつをごほうびとして使う場合は犬がおいしいと感じるもの+カロリーの低いものを選ぶようにしましょう。与えるときは犬が満腹にならないよう、なるべく少量だけにします。
  • おもちゃ おもちゃを選ぶときは、あらかじめ犬に何種類かのおもちゃを与えておいて一番のお気に入りを確かめておきます。ただし一度与えると回収するのが困難になるため、しつけセッションの最後に与えるようにします。
  • なでる なでるときは軽く「よーし」や「いいこ」や「グッド」などのほめ言葉を決めておき、その言葉と同時に軽く一回なでてあげます。あまり激しく撫で回してしまうのは望ましくありません。第一に犬が興奮しすぎて集中力がなくなりますし、第二になでられることに慣れてしまって「なでる」という行為が犬にとって賞(快を与えるもの)でなくなってしまう危険性があるからです。
  

準備2: 指示語を統一する

 犬のトイレを促すには指示語が必要です。この指示語を統一しないと犬は混乱します。一家の中でお父さんは「シーシー!」、お母さんは「はいおしっこよ!」、息子は「小便!」、娘は「ワンツーワンツー!」だったら犬は大混乱で何をして良いか分からなくなり、いじけてしまいます。 このように指示する際に掛ける言葉は一つに絞ること、つまり「指示語を統一すること」は非常に重要なのです。
 指示語の候補としては、犬が聞き取りやすい「ワンツーワンツー」、「ウィーウィー」(WeeWee)、「ピーピー」(PeePee)、「チッチ、チッチ」などがあります。ご家族で相談して統一してください。

準備3: 所定の「トイレ」を決める

犬にとってわかりやすいトイレの設置が先決  犬が用を足す所定のトイレを決めましょう。室内犬の場合は、やや広めのサークルにペットシーツをしいたものが良いでしょう。
 屋外犬の場合は不衛生(ふえいせい)にならず、掃除しやすいような場所を庭の中で見つけ、場合によってはコンポスト(糞から肥料を作る装置)なども利用します。 犬のトイレグッズ
トイレと寝床の位置  犬用のトイレは寝床から離れた場所に設置してください。これは、犬を始め縄張りを作る動物種は、巣や休息場などから離れた場所で尿や糞をする行動パターンを有しているからです。犬のこうした習性に関して動物行動学者のB.ハート氏は、「糞中に含まれる虫卵を介して広がる腸管内寄生虫に対する、本能的な防衛システム」だと推測しています。

しつけの実践

 犬のトイレのしつけを実践するに当たっては、以下の5ステップに沿って行います。

ステップ1: 犬の便意(べんい)を読み取る

犬が便意を催すと、ある一定の行動を取りますので目印になります。  まず犬の便意(おしっこしたい・うんちしたいというトイレサイン)を読み取る訓練をしましょう。
 犬が便意を催しやすいのは、寝起き、えさを食べた後、運動の後です。このタイミングに合わせて特に犬の様子を観察するようにします。
 犬がうんちやおしっこをしたくなると、以下のようなトイレサインを見せます。
  • そわそわ落ち着かなくなる
  • 後ろ足の動きがぎこちなくなる
  • しきりに自分のお尻を気にする
  • 床の匂いをくんくんと嗅ぎ始める
 こうしたしぐさはトイレを探している前兆ですので、飼い主は犬の便意のサインを見逃さないようにします。また、犬がいつトイレをしたかという犬の排泄記録をつけておくと、おしっこやうんちのタイミングをつかみやすくなるので効果的です。
クレートトレーニング
 犬をクレートなどに入れてトイレを人為的に我慢させ、排尿排便する瞬間を飼い主がコントロールすることを「クレートトレーニング」と呼ぶことがあります。トイレのタイミングを計るのが難しい場合などに利用される方法で、1時間我慢させたらトイレに連れて行くなど、あらかじめルール設定しておきます。
 クレートに安心して入るようしつけることも同様に「クレートトレーニング」と呼ぶため紛らわしいですが、「トイレのしつけ」という文脈でこの言葉が出てきたときは、別物として覚えておきましょう。

ステップ2: トイレに合わせて指示語を聞かせる

トイレに合わせて指示語を聞かせる  犬の便意を読み取ったら、犬を所定のトイレに連れて行きましょう。そこで用を足し始めたら、飼い主は決めておいた指示語を犬に聞かせます(たとえばうんちしている間に「ワンツーワンツー」など)。そうすると犬の頭の中では「用を足す」という行為と「ワンツーワンツー」という音声的な情報が結びついていきます。 「ワンツーワンツーと声を掛けられていると、安心して用を足せるぞ!」と覚えこませることが重要です。

ステップ3: うまくできたらごほうびを与える

犬が上手にトイレをできたらごほうびを与える  犬が所定のトイレで用を足せたら、「いいこ」などのほめ言葉と同時にごほうびを与えましょう。犬の頭の中では、「この場所で用を足すとごほうびがもらえるんだ!」と記憶されますので、積極的に所定のトイレで用を足そうとする意欲が生まれます。
 なお、排尿や排便は「自己報酬的行動」といって、その行為自体が気持ちよく、犬にとってのごほうびになってくれるという側面も持っています。この理屈にのっとり、「トイレのしつけにごほうびは必要ない」とするトレーナーもいますが、場所とごほうびとを結びつけた方が失敗する確率が下がりますので、報酬を与えても間違いではありません。
 また、トイレをした後に「よくできたねぇ!じゃあハウスに入りましょうね」などといって犬をハウスに閉じ込めてしまうと、これは犬にとっての罰(不快なこと)になる可能性があります。結果として「トイレで用を足すと閉じ込められて面白くないや!」と記憶し、逆にトイレでの排便を拒むようになりますので気をつけましょう。
犬の「青木まりこ現象」  犬は同じ場所で繰り返しトイレをしていると、そのうちその場所に来ただけで便意を催すようになってきます。イアン・ダンバー氏はこのことを「足元の選択」、「場所の選択」という言葉で表現していますが、古典的条件付けによって成立した学習の一種と言えるでしょう。人間でも「青木まりこ現象」といって、書店に足を運ぶと、訳もなく突如として便意がこみ上げてくる現象が有名ですが、これも場所と排便行為が結びついた学習例と言えます。

ステップ4: トイレに失敗したときの対処法

 犬がトイレに失敗した時の飼い主の態度は非常に重要です。
正しい対処
そっと犬を隔離→粗相した場所をきれいに掃除→消臭
よくない対処
大きな声で騒ぐ→犬の見ているところで掃除
犬がトイレの失敗をしたときにやってはいけないのは、犬を叱ったり大声を上げること  よくある間違いは「あらー何やってるの!ここじゃないでしょう!!」などと高い大きな声を出してしまうことです。犬にとっては「あ!飼い主さんが喜んでくれてるな!もっといろんな所でおしっこしてみよう!」となります。つまりトイレ以外の場所で用を足すことに対して「正の強化」を行っているのです。
 また飼い主が粗相(そそう)の処理している姿を見せてもいけません。なぜなら「あそこでおしっこをしたら、飼い主さんが来てくれるんだな。ようし!いろんな所でおしっこをして飼い主さんに構ってもらおう!」となってしまう可能性があるからです。
 正しい対処法はこうです。もし犬がトイレ以外の場所に粗相をしてしまったら、飼い主はまず犬をその場所から隔離(かくり)します。 犬から見られない状況になったら、汚れた場所をタオルやペットシーツなど吸水性のあるもので拭いたり、うんちを取り除くなどします。 そして忘れずに、その場所に消臭スプレーを掛けておきます。 なぜなら犬は自分のおしっこやうんちの匂いのある場所に、再び用を足そうとする習性があるからです。再犯を予防するためには匂いを消す必要があります。 犬のトイレの失敗

ステップ5: サークルを外してみる

 犬が所定のトイレで用を足すことを覚えたら、ペットシーツを囲っていたサークルを外してみましょう(室内犬の場合)。自分から自発的にトイレで用を足すようになったら合格です。
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犬のトイレのしつけ~実演動画

 以下でご紹介するのは犬にトイレをしつける際のハウツー動画です。室内における基本的なトイレトレーニングについて解説しています。やや音量が小さいので、PCのシステム音量を調整してご対応下さい(コントロールパネル⇒システム音量など)。
犬のトイレトレーニング
元動画は⇒こちら
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