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飼い主としての自覚 犬のしつけの原則 犬に対する賞と罰 賞と罰の与え方


飼い主としての自覚

ペットブームといわれて久しいですが、知識不足のために非常に多くの人が間違った犬の飼い方をしているのが現状です。 犬を飼う方に意識して頂きたいのは
犬は犬であり、人でもなければぬいぐるみでもない
ということです。犬を擬人化して自分と同等の存在として扱ってしまうと、飼い主の言うことを聞かないわがまま犬に育ってしまいます。 また見た目がかわいいだけのぬいぐるみとして扱うと、いつまでたっても飼い主の言うことを聞かない本能むき出しの犬に育ってしまいます。 どちらにしてもコンパニオンとして成立していない犬を育てているのは飼い主の側の意識不足、経験不足、知識不足が原因 です。犬を飼うのなら上記した「犬は犬であり、人でもなければぬいぐるみでもない」という警告、 つまり「犬の習性を理解していなければよい飼い主にはなれない」という警告を常に念頭において取り掛かってください。ダメな犬はいません。ダメな飼い主がいるだけです。

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犬のしつけの原則

書店には「犬のしつけ」と題された本がずらりと並んでいます。中には「犬に体罰を加えよ」というスパルタ式のものから「犬を決して叱らず、ほめて育てましょう」という懐柔式のものまで色々な主義主張が溢れています。しかしこうしたしつけ教本の全てに共通しているポイントはただ一点でして、それは
してほしいことと快、してほしくないことと不快を結びつけて覚えこませる
という単純な生物学的な原則を応用するということです。
人間の場合で考えて見ましょう。たいていの人は一度食べておいしいと感じた牛丼屋にはもう一度行きたいと思いますよね。また逆にブランコから落ちて骨折したことがある人は、もう二度とブランコには乗りたくないと思うことでしょう。このように「自分に快を与えてくれることには積極的になり、不快を与えるものには消極的になる」という習性は人間や犬を始めとする動物全般にあるのです。
犬をしつける、つまり犬にしてほしいこととしてほしくないことを覚えこませるには、この「賞罰原則」、「快・不快原則」を応用するのが基本となります。

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犬に対する賞と罰

では具体的に犬に快を与え、不快を与えるものとは一体なんでしょうか?簡単にリストにしてみました。

《 犬に対する賞罰リスト 》
快を与えるもの(賞) 不快を与えるもの(罰)
えさ・おやつ 苦いもの(ビターアップルなど)
なでる 体罰(叩く、蹴る)
ほめる 爆発音(物の落下音、雷など)
おもちゃで遊ぶ 無視する
散歩 閉じ込める
かまってあげる えさを与えない

上記したように色々あります。しかし全ての賞罰が同じ効果を持つわけではありません。おもちゃで遊ぶことが大好きだけど散歩は好きじゃない個体や、その逆の個体もいます。 しかし一般的に言って 「えさ・おやつ」という快が犬にとっては最も大きな効力を持つようです。
これは人間でも同様です。たとえばあなたが食欲・性欲・睡眠欲の極限状態にあったとしましょう。まずどの欲求から満たそうとしますか?たいていの場合はまず食欲を満たし、満腹になって安心したら睡眠に入ると思います。そして睡眠である程度体力がついたら性欲を満たすという順番ではないでしょうか?このように本能的な欲求の中でも「個体の維持」にかかわるものをより重視する傾向にあります。犬も同様でまずえさを食べて個体としての体を維持することを最優先事項と考えています。だからいつもおなかをすかせてガツガツえさを食べるのですね。犬に最も効果的に快を与えるには「えさ・おやつ」が最有力であると覚えておいて下さい。


また逆に罰の中で体罰は最も望ましくないものです。例えば盗み食いをした犬を平手で叩いたとしましょう。犬は叩かれた肉体的不快感と「手のひら」を結びつけて覚えます。この犬が散歩中に子供が寄ってきて頭をなでようと手を出してきたとします。 犬の中では「手のひら」と不快が結びついていますので反射的に子供の手に噛み付いてしまうかもしれません。 これは一例ですが、 犬に体罰を加えてしつけることはメリットよりも遙にデメリットのほうが大きいと判断されるため、 当サイト内では基本的に扱わないものとします。

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賞と罰の与え方

犬に対して快を与えるもの(賞)と不快を与えるもの(罰)が何であるかは理解しました。では具体的に犬に賞と罰を与える際に一体どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか?以下では犬に賞や罰を与える際の大原則を述べてゆきますが、その前に覚えていただきたい用語を解説します。
「ある行動と快を結びつけ、その行動に対して積極的になるよう仕向けること」を「正の強化(陽性強化)」といい、逆に「ある行動と不快を結びつけ、その行動に対して消極的になるよう仕向けること」を「負の強化(陰性強化)」といいます。二つを合わせて「行動の強化」と呼びますが、「犬のしつけ方」内ではたびたびこの表現が出てきますのでこの段階でしっかりと把握しておいて下さい。

《 犬に対する賞罰の与え方 》
一つの行動と快・不快を同居させないこと
一つの行動には快か不快のどちらか一方だけを結びつけるように注意します。なぜなら、単純に犬が混乱するからです。例を出しましょう。
ある家族でマルチーズが飼われていました。ある日その家族の一員である女の子のベッドに上がって休んでいたら、 女の子がやってきて体を優しくなで、添い寝してくれました。次の日、お母さんのベッドで休んでいました。 そしたらお母さんがやってきて、いきなり大きな声で怒鳴り散らし、すっかり怒られてしまいました。
この場合「ベッドに上がる」という行動の中に、快(なでて添い寝してもらう)と不快(大声で怒鳴られる)の両方が同居しています 。これでは犬が混乱しどうしていいのか分かりません。人間で言うと、本屋の実用書コーナーでは何も言われなかったのに、 コミックコーナーで立ち読みしていたら「立ち読みはご遠慮下さい!」と注意されるようなものです。「どっちかはっきりしろよ!」と言いたくなりますよね? 犬も同じ心境です。
ポイントは一つの行動には快か不快のどちらか一方だけを結びつけるようにする、という点です。
行動の最中に快・不快を与えること
快(賞)や不快(罰)は行動の最中に与えてください。 そうすることで犬は自分の行動がいいことなのか悪いことなのかをしっかりと記憶できます。 初心者にありがちな大きな間違いは、犬を人間の子供と同等視してしまうことです。例を出しましょう。
留守番中の子供が家の中を走り回って、大切な観葉植物を倒してしまいました。お母さんが帰ってきて 「家の中でドタバタ走り回るからじゃない!これ結構高かったのに・・・罰として夕飯は抜きよ!」と叱りつけました。 子供は「ごめんなさい・・」と言って反省しました。
人間の子供に対する叱り方としては何ら違和感はありませんが、犬に対して同じような叱り方をしても全く効果はありません。理由は二つあります
まず第一に「犬は言葉を理解できない」という点です。当たり前の事実ですが、非常に多くの人がこの勘違いをしています。 犬は単語を聞き取ることはできますが、人間の子供のように文章を聞き取ったり理解するなどということはできません。 ですから言葉で説明して過去の行動がいかに悪いことなのかを理解させることは犬にはできないのです。 犬と人間の記憶力や思考力を同等視してはいけません。
そして第二に人間の子供は「自分の過去の失敗に対してお母さんが怒っている」と理解することはできますが、 犬には「過去の行動と現在の賞罰を結び付けて考えることができない」という点が挙げられます。 仮に留守番中に観葉植物を倒したのが犬だったとしましょう。飼い主が帰ってきて上記したような叱り方をしても、 過去の行動は忘れ去っていますので犬には何に対して飼い主が怒っているのか全く理解できないのです。犬は動物の中では賢いですが、 いくら賢いからといっても犬と人間の記憶力や思考力を同等視してはいけないのです。
ポイントは、犬の行動に快(賞)や不快(罰)を結びつけて行動を強化したいときは、 犬の記憶力と思考力に合わせて「行動している真っ最中に賞罰を与える」ということが大原則なのです。

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