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ハウスの必要性 ハウスのしつけ〜基本方針 ハウスのしつけ〜実践

ハウスの必要性

ハウスとは、飼い主が命令すると、犬が自発的に決められた定位置(ハウス)に移動することです。

ハウスは犬が自由に動き回れなくする「檻」としての役割と同時に、犬に安心感を与える「自分の部屋」としての役割があります。
犬は本来、外界から遮蔽され外敵や風雨から身を守りやすい場所を本能的に好みます。犬を狭いところに閉じ込めてかわいそうと感じるかもしれませんが、犬の方では逆に安心しているのです。人間でも体育館のようなだだっ広い空間よりも、ある程度空間が限定された自分の部屋の方が安心できますが、それと同じ理屈です。そして犬にとって安心できる「自分の部屋」に相当するのが「ハウス」といえます。
また「ハウス」を設けず、犬が家の中で自由に動き回れる状況は「自分がこの縄張りを支配しているのだ!」と勘違いし、自分がリーダーとして振舞う「権勢症候群(アルファシンドローム)」の一因になります。このアルファシンドロームを防止する意味でもハウスは必要です。なぜなら飼い主の命令に従い指定された場所に移動するという行為は、「自分がリーダーではなくリーダーに従うメンバーなんだ」という自覚を、絶えず犬に与えることになるからです。
以上のような理由から「檻」であると同時に「自分の部屋」としての役割があるハウスが必要なのです。

では具体的にハウスのしつけ方を見ていきましょう。

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ハウスのしつけ〜基本方針

ハウスのしつけに際して、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
命令したら、犬が自発的に所定の場所に移動すること
してほしくない行動
命令しても、犬が所定の場所に移動しないこと
してほしい行動と快(賞)、してほしくない行動と不快(罰)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を正の強化(陽性強化)、 後者を負の強化(陰性強化)と呼ぶことは「犬のしつけ・基本中の基本」で述べました。これを踏まえてハウスをしつける場合を考えて見ましょう。
正の強化〜陽性強化
「命令したら、犬が自発的に所定の場所に移動した」瞬間に快(賞)を与える
負の強化〜陰性強化
「命令しても、犬が所定の場所に移動しなかった」瞬間に不快(罰)を与える
ハウスのしつけに際しては陽性強化の方が効果的で、陰性強化はふさわしくありません。 なぜなら「命令された⇒意味が分からなかったのでキョトンとした⇒大きな物音で不快感を与えた」という形で負の強化をしたとしましょう。 これですと犬は「命令された⇒不快な大きな音がした」と学習してしまう危険性があります。これでは「ハウス!」と指示されること自体に恐怖を感じてしまい、いつまでたってもハウスを覚えることはできないでしょう。ですから犬が誤解してしまうような負の強化ではなく、命令したら、犬が自発的に所定の場所に移動した瞬間におやつなどの快を与えるという 正の強化でハウスをしつけるのが基本方針となります。

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ハウスのしつけ〜実践

ハウスをしつけるに当たっての基本方針を理解したところで、いよいよ実践に入りましょう。
まずは「犬のしつけ・基本中の基本」で述べた大原則、つまり「一つの行動と快・不快を同居させないこと」、 「行動の最中に賞罰を与えること」を思い出してください。
・ 快を与えるもの(賞)を用意する=おやつ、なでる
・ 指示語を統一する
・ 犬がくつろげる所定の「ハウス」を決める
快を与えるもの(賞)を用意する
おやつを使う場合は犬がおいしいと感じるもの+カロリーの低いものを選ぶようにしましょう。
なでるときは軽く「よーし」や「いいこ」や「グッド」などのほめ言葉を決めておき、その言葉と同時に軽く一回なでてあげます。あまり激しく撫で回してしまうのは望ましくありません。第一に犬が興奮しすぎて集中力がなくなりますし、第二になでられることに慣れてしまって「なでる」という行為が犬にとって賞(快を与えるもの)でなくなってしまう危険性があるからです。カレーが好きでも1日3食カレーだったらうんざりしますよね?それと同じです。
指示語を統一する
犬に「ハウス」を教えるには指示語が必要です。この指示語を統一しないと犬は混乱します。一家の中でお父さんは「入れ!」、お母さんは「おうち!」、息子は「中!」、娘は「ハウス!」だったら犬は大混乱で何をして良いか分からなくなり、いじけてしまいます。
例えば英語で「Please sit down here.」と言われたとしましょう。たいていの人はこのくらいの英語は聞き取れますので椅子に腰掛けることができます。しかし同じ状況で「Please be seated here.」と言われた場合はどうでしょう?同じことを言われているのですが、ほとんどの人は一瞬キョトンとしますよね?
このように指示する際に掛ける言葉は一つに絞ること、つまり「指示語を統一すること」は非常に重要なのです。
指示語の候補としては、犬が聞き取りやすい「入れ」、「House(ハウス)」などがあります。ご家族で相談して統一してください。
犬がくつろげる所定の「ハウス」を決める
犬のハウスを決めましょう。室内犬の場合はペットショップなどに色々なタイプのハウス(檻を小型にしたケージや、上に取っ手が付いていてそのまま持ち運びできるクレートなど)が売っています。大きさとしては、ハウスの中で体の方向転換ができる程度が理想です。あまり大きすぎるのは望ましくありません。なぜなら、余りに広いとハウスの一角を寝床にし、他の一角をトイレにしてしまう危険性があるからです。これでは犬が不衛生になります。
中には毛布やクッションなど、地面の冷たさを遮断するものを敷いてあげましょう。

屋外犬の場合は犬小屋を用意しますが、注意点が幾つかあります。
  1. 大きさは、中で体の方向転換ができ、ゆったりと寝そべることができる程度にする
  2. 犬小屋の床は必ず地面から離した「高床式」にし、地面の湿気と冷気の侵入を防ぐ
  3. 犬小屋は家の中が見えるところに設置し、犬に安心感を与える
  4. 人や車など往来に面した場所への設置は避ける。人間で言えば頻繁に電車の通過する高架下に暮らすようなもの。
  5. 夏は雑菌が繁殖して犬小屋が不衛生になりやすいので、頻繁に水洗いする
  6. 冬は地面からの冷気が厳しいので毛布などを敷いてやる
など四季に合わせたカスタマイズをしてあげてください。また「トイレ」と「ハウス」は必ず別々に設置しましょう。

ステップ1 犬をハウスにおびき寄せる
ステップ2 犬のハウスに合わせて指示語を聞かせる
ステップ3 ごほうびを見せずに指示語だけでハウスを実行させる
ステップ4 ごほうびの回数を減らす
ステップ1 犬をハウスにおびき寄せる
まず犬をハウスにおびき寄せます。犬の好きなおやつやおもちゃをハウスの中にいれてみましょう。犬は「この中に入るといいことがあるぞ!」と学習し、積極的にハウスの中に入ろうとする意欲が生まれます。
ステップ2 犬のハウスに合わせて指示語を聞かせる
次に犬がハウスに入る行動と「ハウス」という指示語を結び付けて覚えさせます。ステップ1と同様、犬をごほうびでハウスにおびき寄せます。犬がハウスに入った瞬間、決めていた指示語(ここでは「ハウス」を採用します)をかけましょう。犬は「この中に入ることが”ハウス”なのか!」と学習していきます。つまり「ハウス」という行動と、「ハウス」という音声的な情報が頭の中で結びついていくのです。
ステップ3 ごほうびを見せずに指示語だけでハウスを実行させる
犬が行動と指示語を結び付けて覚えたら、今度はごほうびを見せず指示語だけでハウスへ誘導してみましょう。犬に向かって「ハウス!」と指示語を出します。犬が行動を覚えていて、自発的に所定のハウスに入ったら「いいこ!」などのほめ言葉と同時にごほうびを与えます。これを繰り返すことで「ハウスに入るといいことがある!」という陽性強化が更に補強されます。
ステップ4 ごほうびの回数を減らす
指示語だけで犬がハウス行動を取るようになったら、今度はごほうびを与える回数を減らしていきましょう。常にごほうびを与えていると犬がごほうび自体に飽きてしまったり、肥満の原因になりかねません。毎回ごほうびを与える⇒2回に1回ごほうびを与える⇒3回に1回⇒4回に1回・・・と減らしてゆき、最終的には「いいこ」などのほめ言葉だけにします。

犬の集中力には限界があります。しつけトレーニングは1日10分を目安にしてください。
集中力が切れているのにトレーニングを続行すると、「トレーニング=いやなこと」という陰性強化がなされます。

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