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犬を庭や外で飼う

 最近は愛玩犬(あいがんけん=べったりかわいがるための犬)にすることを前提として小型犬を入手し、室内で飼う人が大多数に及びます。しかしその一方、犬の体が大きすぎるといった点や衛生的な観点、そして「番犬にする」という古典的な目的の為、犬を庭を始めとする外で飼う人も依然としています。

犬を外で飼うデメリット

 犬は社会的であり、群れで行動することを好む動物です。ですから基本的に、犬を屋外につなぎっぱなしにし、エサだけを与えるという飼育方法はお勧めしません。こうした飼育環境がいかに不自然なものであるかは、犬の幸せとストレスをお読みいただければある程度理解することができるでしょう。
 また1999年に行われた実験では、社会的・空間的な隔離が、犬に対して慢性的なストレスになることがはっきりと示されています。調査の対象となったのは、グループで飼育された後、仲間から引き離され、小さな犬小屋の中に閉じ込められたビーグル。6週間に渡って観察を行ったところ、以下のような行動が見られるようになったといいます。
社会的・空間的な隔離による行動変化
  • 姿勢を低くする
  • 頻繁に毛づくろいする
  • 前足を挙げる
  • 吠える
  • 食糞(自分のウンチを食べる)
  • 同じ行動を繰り返す
社会的・空間的に長く隔離された犬は、無駄吠え、食糞、常同行動などの傾向を示す  研究者は、上記リストを犬に慢性ストレスがかかっているときのサインとして提唱しています。また慢性ストレスがかかった状態の犬に対し、「拘束する」、「階段を降りさせる」、「真新しいものに出会わせる」、「大きな騒音を聞かせる」、「見知らぬ犬に会わせる」といった様々な刺激テストを行ったところ、攻撃性、興奮性、不安定性の増加が見られたとのこと。こうした事実から、社会的・空間的な長期間の隔離は、犬に対して多大なるストレスを与え、行動パターンをマイナス方向へ変化させることが明らかとなりました。
 犬を鎖につないで庭先で飼育しようとする場合、それが犬の福祉を損なっている点、そしてそれ相応のデメリットがある点は知っておく必要があります。 Chronic Stress in Dogs Subjected to Social and Spatial Restriction 犬の幸せとストレス
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屋外における注意点

 上のセクションで述べたとおり、犬の屋外飼育はお勧めできません。しかし何らかの理由でやむをえず犬を外飼いする場合は、以下に述べるような注意点を念頭に置くようにします。
犬を屋外に放すときの注意点
犬を庭に放したり、屋外で飼育するときの留意点リストです。
  • 1、フェンス・柵
  • 2、家庭菜園
  • 3、倉庫・物置
  • 4、池・水たまり
  • 5、植木の植物
  • 6、アウトドアグッズ

フェンス・柵

 犬が塀の隙間から屋外に飛び出さないように、しっかりとした柵で庭を囲ってください。少しでも隙間があると屋外にあるボールなどに興味を引かれて出ようとしますし、地面がゆるかったりすると穴を掘って隙間を広げて屋外に出る危険性もあります。 迷子犬の探し方

家庭菜園

 家庭菜園など植物が植わっている屋外環境は基本的にフェンスなどで囲ってください。一つは屋外環境が犬に荒らされないようにするため、もう一つは毒性の植物などを誤って犬が口にしないようにするためです。屋外環境を自由に動き回れると、好奇心旺盛な犬は何をするか分かりません。 犬にとって危険な有毒植物

倉庫・物置

 犬が誤って飲み込んでしまいそうな農薬や除草剤などは必ず倉庫や物置にしまいこみ、屋外環境から一掃しましょう。また鋤(すき)や熊手、つるはしなど犬がいたずらして怪我をする危険性のある道具類も同様にしまいます。芝刈り機なども危険です。 犬にとって危険な毒物

池・水たまり

 屋外環境に小さな池などがある場合は、犬の格好の遊び場所になます。しかしこうした池は夏になるとボウフラ(蚊の幼虫)の繁殖場になり非常に不衛生です。犬が水を飲んでも不健康ですし、蚊が発生するとフィラリアの危険性も高まりますので余計心配です。使わない場合は池そのものを埋めてしまうか、それが無理ならフェンスなどで犬が立ち入れないようにしましょう。 犬のフィラリア症

植木の植物

 屋外環境にある植物の中には、人間にとってはなんでもない植物でも、犬が誤って口にすると毒性を発揮する植物が色々あります。以下にリストを載せますので飼い主の方々は注意してください。 犬にとって危険な有毒植物

アウトドアグッズ

 屋外でバーベキューなどをするときは犬が匂いにつられてテンションが上がり、思わず鉄板の上に乗ってしまう危険性もありますので注意して下さい。また屋外で焚き火などをするときも要注意です。 犬がやけどした
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犬小屋の設置方法

 何らかの理由でやむを得ず犬を屋外飼育している場合は、主に以下の点に注意して犬小屋を設置します。なお犬小屋のサイズに関しては、楽に立ち上がることができる高さを持ち、体の向きを容易に変えたりできる程度の広さが理想です。これは、小さすぎると窮屈で、広すぎると落ち着かないためです。

犬のストレスを理解する

 私たち人間が気にも留めないような些細な物事が、犬にとってはストレスの原因になることがよくあります。具体的には犬の恐れで解説していますが、以下では大事な部分だけをまとめて列挙します。
犬のストレスとなるもの
  • きらきら光るもの
  • まぶしい太陽など明るい光
  • ひらひら動くもの
  • ゆらゆら揺れるもの
  • 突然の物音
  • 金属がぶつかる音
  • 甲高い音
  • 空気が抜ける音
 犬を外で飼う場合は、上記したような要素が環境内に入らないよう配慮してあげます。特に犬はヘビーメタルに代表されるようなリズムが速くて大きな音が苦手です。ですから車が頻繁に通るような道路沿いに犬小屋を設置するのは避けた方がよいでしょう。

夏場における犬小屋の設置

 夏場における犬小屋設置のポイントは、犬が熱中症にかからないようにすることです。熱中症とは、上昇した体温をうまく下げることができず、体調不良に陥ることですが、最悪のケースでは死に至ることもある恐ろしい病気です。犬は人間よりも体温を低下させる能力が劣りますので、犬小屋の設置方法を間違えると、容易に熱中症にかかってしまいます。 犬に関する夏の注意 犬が熱中症にかかった
夏場における犬小屋の設置方法
  • 日陰を作る  直射日光をさえぎる「すだれ」や「よしず」、ビニールシートのようなものを小屋周辺に設置しましょう。
  • 地面からの熱を遮断  犬小屋を高床式にし、熱せられた地面からの熱が、直接床に伝わらないようにしましょう。
  • 日光の直射を避ける  犬小屋の入り口が太陽の指す方向に向かないようにしましょう。
  • 犬小屋用扇風機  扇風機には小屋の中にこもった熱い空気を若干低い外気と入れ替える効果はありますが、注意点もあります。まず一つは、犬が好奇心にかられて触ると、怪我をしてしまう恐れがあるという点。そしてもう一つは、外気温が体温と同じ、もしくは体温より高い場合、扇風機は体にドライヤーを当てているのと同じことになり、逆効果になってしまうという点です。使用する場合は外気温を確認し、飼い主が監視した状態を基本としてください。
  • 打ち水  犬小屋周辺に打ち水をすると、若干地面の温度が下がってくれます。また、犬小屋の外壁に水をかけても、少しだけ小屋内の気温上昇を抑制してくれます。

冬場における犬小屋の設置方法

 犬は厚い被毛で覆われている分、人間よりも寒さに強いといわれます。寒冷地方で生まれた長毛種に関しては確かにそうかもしれませんが、子犬、短毛種、短く刈り込んだ長毛種、老犬などは、むしろ寒さに弱いと言っても過言ではありません。以下では、冬場に犬小屋を設置するときの注意点を列挙します。
冬場における犬小屋の設置方法
  • 寒風をさえぎる 寒風が直接犬小屋にあたらないよう、ビニールシートなどで囲いを作ってあげます。
  • 地面からの冷気を遮断 冷え切った地面からの冷気が直接犬小屋にあたらないよう、かならず高床式にし、地面との間に空間を設けます。
  • 入り口からの冷気の侵入を防ぐ 冷気や寒風が直接犬小屋の入り口に入り込まないような向きにします。また、「のれん」状のビニールなどを入り口に取り付け、風や冷気の侵入を防ぐのも手です。
  • 防寒具を敷く 犬小屋の中に毛布やいらなくなったセーターなど、保温性の高い防寒具を敷いてあげます。
  • 犬小屋用暖房器具に注意 犬小屋専用の暖房器具を取り付ける際は、犬がコードを食いちぎって感電したり、器具に振れることによるやけどの危険性が常にあります。犬小屋専用暖房器具を用いる際は、必ず飼い主が監督している状態で使用するようにします。
 いくら寒さに強いからといって、本来群れを成して生きる社会的動物である犬を、長時間外につなぎっぱなしにするという行為は、よほどの理由がない限りやりたくないものです。
 その他の基本的な注意としては、以下のような点が挙げられます。
冬場の屋外飼育注意点
  • 常に新鮮な水を用意すること 冷たい雪を水の代わりにすることは酷です。また、ボールの水が凍ってしまうこともありますので、こまめに飲み水を交換してあげます。
  • 多めのカロリーを与えること 冬場は体温を維持するために基礎代謝が上がり、それだけ多くのカロリーを消費します。夏場よりもやや多めのえさを与えてください。
  • 凍傷に注意すること 耳、鼻、しっぽ、足先は冷気に触れやすく、凍傷にかかりやすい場所です。定期的にそれらの場所をチェックしてあげましょう。 犬が凍傷にかかった
  • 定期的なブラッシングをすること よごれや毛玉を取り除き、犬が本来持っている被毛の防寒性を最大限に引き出してあげます。 犬のブラッシング
  • 薬剤に注意すること 融雪剤や不凍剤など、冬場に登場する薬剤に、犬が近づかないようにしましょう。 犬にとって危険な毒物
  • 犬のストレスを読み取ること 無駄吠え、くんくん鳴き、同じ場所を行ったりきたりするなどのストレスを読み取り、屋外につないでおく時間を縮めたり、室内飼育に切り替えたりしましょう。 犬の強迫神経症 犬を飼う室内環境

犬小屋の洗い方

 汚れたままの犬小屋を長期間放置しておくと、悪臭の原因になりますし、ノミダニの温床にもなって非常に不衛生です。季節の変わり目をきっかけにするなどして、定期的に犬小屋を洗うようにしましょう。以下は一般的な手順です。
犬小屋洗浄手順
  • 水洗い  犬小屋の内部、および外壁をきれいに水洗いします。最近はプラスチック製の小屋が多いようですが、旧来の木製小屋を用いている場合は、尿の臭いや糞の臭いが材質の隙間にしみこむとなかなか取れません。硬めのブラシやデッキブラシなどを用いて、やや強めにゴシゴシと洗ったほうがよいでしょう。内壁には皮脂とほこりなどが交じり合った汚れが付着していますので、ここも忘れずにきれいにします。
  • 乾燥  水洗いが終わったら、太陽光に直接さらす形で自然乾燥させます。うまく光が差し込まない場合は、犬小屋を傾けるなどの工夫が必要です。紫外線には殺菌効果もありますので、なるべく晴れた日がよいでしょう。
  • 消毒  犬小屋が十分乾燥したら、薬局で市販されているクレゾール石鹸などを用いて、小屋の内外を殺菌します。原液では濃すぎるので、3%(100ミリリットルに対して3ミリリットル)程度に希釈して用います。噴霧する際は100円ショップなどで売っている霧吹きを用いるのがよいでしょう。消毒液はにおいがきついため、ある程度臭いが消えたタイミングで犬を小屋に戻します。
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