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犬のストレスチェック

 犬のストレスを最小限に抑えるためのチェックリストです。不十分だと思える項目があったらそれを意識的に補い、環境エンリッチメントにつなげます。「環境エンリッチメント」とは、環境を整えることでストレスフリーな生活空間を実現することです。

犬からのストレスサイン

 動物がストレスを感じている時、ある特定の行動を見せることがあります。犬で多いのは、無駄吠え、クンクン鳴き、 1ヶ所を舐め続ける、自分の尻尾を追いかける、同じ場所を延々と行ったり来たりするなどです。こうしたサインが見られた場合は、犬が何らかのストレスを抱えていると疑い、その原因を探っていきます。 犬のストレスサイン 犬が見せる何気ない行動やしぐさが、ストレスのサインであることもしばしばです。
 上記したようなストレスサインは、特に小さな子供がいる家庭においては見過ごされる傾向がありますので要注意です。この傾向は、数百人の女性を対象としたアンケート調査でも実証されています。
子供がいる家庭においては、犬のストレスサインが見過ごされがち  研究を行ったのはイタリア・ピサ大学のチーム。3つの都市に暮らしている女性を3つのグループに分け、アンケート調査行いました。グループ1は「犬と子供の両方がいる女性48人」、グループ2は「子供はいるが犬は飼っていない女性77人」、グループ3は「犬を飼っているが子供がいない女性68人」です。その結果、犬と子供の両方がいる家庭においては、犬が見せるちょっとしたストレスサインを見逃してしまう傾向があったと言います。そしてその原因としては、子供(0~6歳)に時間をとられて、犬にまで目が向かないという点が考えられるとも。
 こうした結果から研究者たちは、子供と犬の両方の面倒を見る必要がある母親においては、犬のストレスサインにも十分に注意を払うことが重要だとの結論に至りました。そうすることで、ストレスに起因する無駄吠え、破壊行動、咬傷事故といった問題行動を予防できるだろうと強調しています。 Level of anxiety and perception of dog stress in human mothers and non-mothers
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ストレスチェックリスト

 以下では、犬にとってのストレスになりやすい項目を、リスト化してご紹介します。理論的根拠や具体的な方法に関しては、青字で示した関連リンクをご参照ください。

食事は満ち足りているか?

 適切な食事と水を得る事は、最も基本的な幸福条件の1つです。量に関しては、少なすぎてもいけないし、逆に多すぎてもいけません。質に関しては、犬が必要としている栄養欲求を理解し、それを満たすものを選ぶようにします。 犬の食事

環境調整は万全か?

 寒すぎる環境や暑すぎる環境は、犬にとって酷です。冬場は犬が低体温症や凍傷にかからないように配慮し、夏場は熱中症にかからないように注意します。犬を屋外で飼っている場合は特に要注意で、必要とあらば室内飼いに切り替えます。 犬を迎える室内環境 犬を庭や外で飼う

不妊手術を施しているか?

 メス犬に対しては避妊手術を、そしてオス犬に対しては去勢手術を施すことで、様々なメリットを享受することができます。例えば、性欲に起因する攻撃行動の減少、欲求不満の軽減、遠吠えや尿掛け行動の予防など。 犬の不妊手術

犬の健康チェックは万全か?

 犬の怪我や病気をいち早く見つけてあげる事は飼い主の責任です。日々、犬の体や動き方をチェックし、何か異常がないかどうかを確認する習慣を作りましょう。もし見つかった場合は、すぐ獣医さんに診てもらいます。 犬の症状一覧 犬の怪我と事故

不快な視覚的情報はないか?

 人間にとっては何でもないものが、犬にとってはストレスの要因になることがあります。例えば、キラキラ光る物、ひらひらと動く布、明るすぎる場所など。もしある場合は、犬の視界から遠ざけるようにします。 視覚系の恐怖と予防

不快な聴覚的情報はないか?

 人間にとっては何でもない音が、犬にとってはストレスの要因になることがあります。例えば、金属がぶつかる音、甲高いキンキン音、空気が抜けるときのシューという音など。またヘビーメタル音楽に代表されるような、リズムが速くて大きな音に対し不安を抱く傾向がありますので、もし環境内にこうした要因がある場合は、犬の耳に入らないよう出来る限りの工夫をします。 聴覚系の恐怖と予防

不快な触覚的情報はないか?

 人間にとっては何でもない状況が、犬にとってはストレスの要因になることがあります。例えば、体に吹き付ける風、床材の変化、身動きの取れない状況など。もしある場合は、出来る限り状況の改善に努めます。 触覚系の恐怖と予防

探索欲求が満たされているか?

 今まで経験したことのない物事を与え、犬の好奇心を満たしてあげることは重要です。例えば、新しいおもちゃを与えたり、新しい散歩ルートを開拓したり、ドライブに連れ出して新しい風景を見せてあげるなど。 探索する 犬の散歩

追跡欲求が満たされているか?

 何かを追いかけて捕まえるという経験をさせ、犬の狩猟欲求を満たしてあげることは重要です。例えば、ボールやフリスビーを用いて「フェッチ」(とってこい)遊びをしてあげるなど。 追いかける

スキンシップは足りているか?

 飼い主が犬と触れ合い、社会的愛着を満たしてあげることは重要です。例えば、日々のブラッシングやマッサージなど。 触れ合う 犬のマッサージ

遊びは充分か?

 犬にとっての遊びは、脳内における快楽物質エンドルフィンを分泌させる上で重要です。例えば、知育玩具を与えたり、ドックランに連れて行って思う存分走らせてあげるなど。 遊ぶ 犬の芸・トリック
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犬用フェロモン「DAP」

子犬を産んだばかりの母犬からは、DAPと呼ばれる犬にしか分からない鎮静フェロモンが発散されている  「DAP」(Dog Appeasing Pheromon, ダップ)とは、日本語で「犬用鎮静フェロモン」という意味で、出産後の母犬から分泌されるといわれる「育児フェロモン」を人工的に生成したものです。その効果については多角的に検証されていますが、犬の不安やストレスを軽減する効果はあるものの、少なくとも犬の健康に悪影響を及ぼしたり、行動を悪化させるという報告はないようです。代表的な実証テストを列挙すると、以下のようなものがあります。
DAPの効果実証テスト
  • 分離不安の犬(2005) 三環系抗うつ剤であるクロミプラミンとDAPの効果を比較したところ、どちらのグループにおいても分離不安に起因する問題行動は同程度に減った(→出典)。
  • シェルタードッグ(2005) 全く見知らぬ人に対するリアクションに変化は無かったものの、顔見知り程度の人に対する吠え掛かりや匂い嗅ぎ行為が減った(→出典)。
  • 動物病院の犬(2005) 診察中の攻撃性を減ずる効果は見られなかったものの、待合室での緊張を解きほぐす効果はあった(→出典)。
  • 車に乗る犬(2006) 車で外出する機会が多い犬に関し、「興奮しやすい」、「吐き気が強い」、「緊張している」、「人の気を引こうとする」、「粗相をする」という全ての項目において、頻度や程度を減らす効果が認められた(→出典)。
  • 花火恐怖症の犬(2007) 音響CDとDAPを組み合わせると、音恐怖症の脱感作と拮抗条件付けの効果が高まる可能性がある(→出典)。
  • 家に来たばかりの子犬(2008) 新しい家に迎えられたばかりの子犬に関し、粗相の頻度を減らす効果は無かったものの、夜鳴きを減らす効果はあった(→出典1出典2)。
  • 12~15週齢の子犬(2008) 社会化期の最中にある子犬に関し、DAPに接していた方が社会化が早く、すばやく環境に適応する可能性がある(→出典)。
  • 入院中の犬(2010) 飼い主と離れると「分離不安」症状を示す入院中の犬に関し、10個のストレスサインにおいて評価を行ったところ、その全てにおいて減少効果があった(→出典)。
  • 手術前後の犬(2010) 術後の探索行動と用心深さが増えたものの、ストレスに起因する血漿プロラクチン濃度は減った(→出典)。
フランスの「ceva」から発売されている犬用フェロモン「ADAPTILL」  このように、少なくとも犬にとって毒になるということはないようです。市販商品としては、フランスの「ceva社」が製造している「ADAPTIL™」が有名ですが、残念ながらこの会社は日本法人や正規代理店をもっていません。よって商品を購入する場合は、自分で海外から取り寄せるか、手続きを代行してくれる個人輸入に依頼する必要があります。
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