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犬の幸せとストレス

 動物の福祉を考えるイギリスのブランベル委員会では、「飢えや渇きにさらされない/不快な環境におかれない/痛み、怪我、病気の苦痛にさらされない/自然な行動をする/恐怖や苦悩にさらされない」の5つを基本的な原則として掲げています。私たちもペットの幸せについて考えて見ましょう。
 ペットを家族の一員としてみなして可愛がることと、ペットのものの感じ方を人間のものと同一視してしまうことは全く別問題です。
 人間目線だけから動物の気持ちを推し量っていると、時として質(たち)の悪い自己満足に陥ってしまうことがあります。一例を挙げれば、チョコレートが大好きな飼い主が、ペットも喜ぶだろうと思っておやつにチョコレートを与えてしまう、といったことです。人間の感覚を中心に考えていると、時にペットの命さえ奪いかねない事態も生じうることがおわかりいただけるでしょう。ペットをわが子のように可愛がることと、ペットをわが子として育てることは、全く別次元なのです。
 イギリスの動物行動学者、ジョン・S・ケネディは、ペットを過剰に人とみなすことを「強迫的擬人観念愛好者」と表現しました。私たちも「ペット愛好者」ではなく、「擬人観念愛好者」と呼ばれないよう、動物にとって何が幸せとストレスの引き金になるのかを、人間の目腺からではなく動物の目線から、じっくり考えておきたいものです。
参考文献
  • 動物感覚(NHK出版社)
  • 動物が幸せを感じるとき(NHK出版社)
  • アニマルウェルフェア(東京大学出版会)
  • 動物への配慮の科学(チクサン出版社)
  • 動物園学(文永堂出版)
  • 獣医倫理入門(白揚社)
  • 動物からの倫理学入門(名古屋大学出版会)