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犬のトイレの失敗をしつけ直す

 犬が教えたとおりにトイレをしてくれなかったり、今までうまくできていたのに失敗するようになると、飼い主としてはちょっと心配になりますよね。猫と違って砂があれば自発的にそこをトイレとしてつかってくれるわけではないので、犬のトイレトレーニングにはちょっとした根気が必要となってきます。

犬のトイレの失敗について

 犬のトイレの失敗とは、今まで指定のトイレでおしっこやうんちをできていたものが、急にできなくなることを指します。
 犬のトイレの失敗の原因としては、主に以下のようなものがあります。
犬のトイレの失敗・原因
  • しつけ不足
  • 病気・怪我
  • トイレが気に食わない
  • 服従行動の一環として
  • 強い恐怖心
  • 過剰な興奮
  • 分離不安
  • マーキング
  • 関心を得るため
  • 老衰
 以下では、原因別に対処法を考えていきたいと思います。
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トイレの失敗・よくない対処法

 しつけに入る前に、まずやってはいけない対処法を知っておく必要があります。これは粗相の原因に関わらず、全ての状況において共通です。

粗相した犬を叱る

犬がおしっこやウンチの失敗をしても叱らないのが原則  トイレの失敗をした犬を叱るのはNGです。
 たとえばじゅうたんの上でおしっこをしている子犬に駆け寄り、「ダメッ!」と大声で叱ったとしましょう。すると子犬は、「おしっこすると叱られる!」という具合に、場所ではなく排泄行為そのものと罰とを結び付けて覚えてしまうのです。結果、飼い主に隠れておしっこやうんちをするようになり、トイレの失敗が増えるばかりでなく、最悪のケースでは証拠隠滅のためにうんちを食べてしまうかもしれません(食糞症)。
 このように犬の適切な排泄行為を促すことにはつながりませんので、トイレの失敗をした犬を叱るのは禁忌(きんき)となります。

粗相した犬に大声を出す

犬がおしっこやウンチの失敗をしても騒がないのが原則  トイレの失敗をした犬に向かって大声を出すのはNGです。
 たとえばじゅうたんの上でおしっこをしている子犬に駆け寄り、「あ~あ~!」と大声を出して嘆いたとします。すると子犬は「おしっこをすると構ってもらえる!」という具合に、排泄行為と飼い主の関心というごほうびを結びつけて覚えてしまうのです。結果、退屈しのぎや寂しいときなど、飼い主の気を引くためわざとトイレ以外の場所で排泄をしてしまうかもしれません。
 犬のしつけの基本理論で詳述したように、飼い主が注目して構ってあげること自体が、犬にとっての報酬になります。ですから、望ましくない方向に犬の行動を仕向けないよう、不用意な歓声、嘆息、駆け寄り等の行動は、極力慎むようにします。

粗相した場所に鼻を押し付ける

 トイレを失敗した現場へ犬を連れて行き、排泄物に鼻を押し付けるという行為はNGです。
 日本国内では数十年前から、上記したような都市伝説的なトイレトレーニングが横行しており、ひどいときはペットシーツのパッケージに、「正しいしつけ方」と称してプリントされていた時期もあるようです。
 しかし犬の短期記憶能力回想能力でも詳述したとおり、犬は数分前の出来事と現在与えられている罰の因果関係を結びつけることができません。また、仮に現行犯でつかまえたとしても、排泄物に鼻をくっつけるという行為自体が、犬にとっての罰になっていない可能性もあります。なぜなら、排泄物に鼻を近づけてクンクン嗅ぐことは、犬の生理的な行動の一つだからです。
 つまり「排泄物に鼻を押し付ける」という行為には全く意味が無いばかりか、下手をすると犬と飼い主の信頼関係を損なう危険性があるわけです。最近ではこうしたしつけ方を書籍の中で見ることはほとんどありませんが、万が一、伝言ゲーム的にこうした噂を聞いたことのある人は、安易な情報に流されないよう注意しましょう。
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犬のトイレの失敗をしつけ直す~実践

しつけ不足でトイレを失敗する

 生後間もない子犬や、家について間もない成犬が粗相をしてしまった場合、それはおそらくただ単にトイレの位置を知らないだけです。「しつけ直す」前に「しつける」必要性があるため、以下のページを参考にして、まずは犬にトイレの位置を教え込みましょう。 犬のトイレのしつけ  また、床の匂いをかいだあとにおしっこをする場合は、そこに自分、もしくは同居犬のおしっこやうんちのにおいが残っている可能性があります。突き詰めて考えるとこれは飼い主の側の対応不足が粗相の一因ですので、ペット用の消臭剤などを用いて、部屋の中からなるべく排泄の痕跡をなくすように勤めましょう。 犬の消臭・衛生グッズ

病気や怪我でトイレを失敗する

 病気や怪我が原因でトイレの失敗をしてしまうことがあります。
 おしっこの回数や尿の量が異常に増える病気がありますので、尿道から出した排出物を参考にしながら、まずは可能性のある疾病を考慮します。
 また、関節炎捻挫脱臼骨折などによる痛みが原因で、指定のトイレまで移動できないという可能性もあります。
 いずれにしても、まずは獣医さんの診察を受け、病気や怪我の治療することが最優先です。

トイレが気に食わないため失敗する

 トイレの微妙な変化が気に食わず、別の場所で排泄をしてしまうことがあります。
 たとえばトイレの近くにカサカサ音のなる上着など、犬が怖がるようなものがあったり、エアコンの風が微妙に当たるなど、人間からするとどうでもよい些細なものが、犬にとっての脅威になることがあります。犬の恐れを参考にしながら、犬に違和感を与えるような変化が無かったかどうかを確認してみましょう。
 また、引越しで家の様子ががらりと変わったときなども、トイレの失敗を誘発することがあります。この場合は、トイレの場所や取り囲む雰囲気を、なるべく前の家のものと近づけるようにしてみましょう。それでもだめな場合は、犬のトイレのしつけを参照しつつ、1からトイレトレーニングを再開します。
 なお、ただ単にトイレが汚いことが原因のこともあります。その場合、こまめにトイレを掃除して清潔を保つことが解決策であることは、言うまでもありません。
素材嗜好性
 素材嗜好性(そざいしこうせい)とは、排泄するときの足元の状態に対する好みのことです。
 子犬は3~5週齢までに排便反射を発達させ、母犬の刺激がなくても排泄ができるようになります。その後7.5~8.5週齢ごろから上記「素材嗜好性」を発達させるようになり、ある特定の素材や場所でのみ排泄をするように学習します。
 ペットシーツを急に新聞紙に変えたり、部屋の隅にあったトイレを逆側に移動したりすると、犬目線から見るとなんとなく気に食わず、結果としてトイレの失敗をしてしまうという訳です。

服従行動でおもらしする

 子犬、メス犬、自信のない犬、虐待経験のある犬などは、服従行動の一部としておもらししてしまうということがあります。
 服従行動(ふくじゅうこうどう)とは、優位とみなしている人や犬に対し、「自分はか弱い子犬です!どうか傷つけないでください・・」とアピールすることです。具体的にはしっぽを足の間に挟んで仰向けになり、耳を下げて視線をそらしたりします。さらにエスカレートするとその体勢のままチョロッと少量のおしっこを出してしまいますが、これは子犬が母犬に対して見せるしぐさそのものであり、あえて表現するならゴマすりションといったところでしょう。
服従行動を取った犬の典型的な姿勢
 根本的に解決するためには、行動療法が効果的です。具体的にはペット用のオムツなどを一時的に装着し、犬に向かって手を伸ばす、目を見つめるなど、犬の服従行動をあえて誘発してみます。もし犬が服従行動を取ったら、その瞬間犬を放置して完全に無視しましょう。服従姿勢をとることと無視されるという精神的な罰が結びつき、徐々に仰向けにならなくなったら大成功です。この手順を繰り返し、だんだんとオムツをはずした状態に移行していきます。
 なお、もし犬の服従行動を誘発するのが、「ベルトを犬に向かって振り上げる」など、かなり限定的な行動である場合は、そうした行動を犬の前で見せないという単純な心がけだけでも、十分予防できます。

強い恐怖心でおもらしする

 強い恐怖心がおもらしを引き起こすことがあります。
 おしっこをもらしたときは尿失禁(にょうしっきん)、そしてうんちをもらしたときは遺糞症(いふんしょう)などと呼ばれます。いずれにしても、服従によるお漏らしとは違い、爆発的で大量であること、そして震え、尻込み、耳を下げる等、恐怖に伴う他の徴候が見られることが特徴です。
恐怖心に狩られた犬の典型的な姿勢
 解決策はまず、恐怖の対象を排除することです。犬の恐れを参考にしながら、一体何が犬の恐怖心をあおっているのかを探ってみます。人間には思いもよらないものが、犬にとっては脅威の対象となることもありますので要注意です。
 根本的な解決策は恐怖に対する脱感作(だつかんさ)です。脱感作とは、犬を激しく動揺させる刺激を、弱いものから段階的に強めていき、徐々に慣らしていくという手法のことです。特に雷を始めとする音の恐怖症に対する効果が認められており、うまくいけば恐怖による失禁等を予防することができます。 犬をいろいろな音に慣らす

過剰な興奮でおもらしする

過剰な興奮が原因のうれしょん  興奮しすぎた犬が、勢い余っておもらししてしまうというパターンもあります。
 いわゆるうれションというやつですが、予防するためにはまず犬のストレスを溜めないことが重要です。具体的には犬の欲求を参考にしながら、犬がもっている生理的な欲求や行動欲求を理解し、何か足りないものは無いかどうか確認します。もし犬に対する配慮が足りず、何らかの欲求不満が前提としてある場合は、その欲求が満たされた瞬間の興奮がうれションになりやすくなります。たとえば、8時間留守番させられた後、飼い主がやっと帰ってきたという状況などです。
 食べる、飲む、最適な温度調整をするといった基本部分はもちろんのこと、探索する、追いかける、遊ぶ、触れ合うといった行動欲求をなるべく満足させるような生活習慣に切り替えてみましょう。具体的には、1日2食を3食に切り替えてみたり、出かける前に十分な量の散歩とスキンシップを図る、などです。こまめに犬の欲求をガス抜きしておけば、特定の状況における爆発的な興奮を抑えることができ、これがうれション予防になります。

分離不安でトイレを失敗する

分離不安が原因のトイレの失敗  愛着を抱いている人と別離状態にあることが、トイレの失敗の原因となることもあります。
 飼い主など、慣れ親しんだ人と離ればなれになったとき、異常に不安を覚える状態を分離不安(ぶんりふあん)といいますが、飼い主が家にいるときは決してしないにもかかわらず、特定の人物が家にいないときだけ粗相をしてしまうような場合は、この分離不安がトイレの失敗を誘発していると考えられます。
 その場合、トイレのしつけをしても意味はなく、不安を解消してあげることが根本的な解決となります。具体的には犬の欲求を読んで分離不安を軽減したり、あるいは留守番のしつけで一人でいることに対する逆条件付け(苦痛の元を逆に快感の元に転換すること)を施すことが一助になるでしょう。

マーキングでおもらしする

オス犬・メス犬のマーキング  同性や異性に対するマーキングもまた、一種のトイレの失敗です。
 オス犬の場合、去勢を施していない個体に多く、ほとんどの場合は後足を上げて行います。去勢によって頻度は約1/3に減少するとも言われますが、マーキング行為が完全にはなくならないことから考え、ホルモンのほか、社会的要因や学習の関与を原因として指摘している研究者もいます。マーキングの意味としては、他のオス犬に対する優位性アピール、発情期のメスに対するセックスアピール、縄張りの主張、そして見知らぬ人や犬に対するカーミングシグナルなどが考えられます。 オス犬の去勢手術 足を上げておしっこをする
去勢とマーキング  B.ハートらの研究グループは、オス犬の去勢手術によって50%(10頭中5頭)の割合で尿マーキングが減少したと報告しています。うち1頭は2週間以内、残りの4頭は半年後に変化が見られたとのこと。また、去勢時の犬の年齢と効果との間に相関はなかったそうです。
 マーキングは、実はメス犬にも見られる行為です。メス犬の場合は後足を上げてするほか、しゃがみこんでおしっこをする場合もあります。メス犬がマーキングする意味は、他のメス犬に対する優位性アピール、そしてオス犬に対する発情期アピールなどです。メス犬のマーキングは発情期が過ぎると自然と収まりますので、あまり気にする必要はありません。 犬の交配  オス犬にしてもメス犬にしても、おしっこをしようと後足を上げたりしゃがみこんだ瞬間、水鉄砲などで驚かすという方法があります。罰を用いた弱化の一種ですが、タイミングさえ間違わなければ、うまくマーキングを予防できる可能性があります。ただし犬を驚かせるのは、犬が指定トイレ以外でおしっこをしようとしている瞬間だけにしてください。

関心を得るためトイレを失敗する

 飼い主の注意を引くためにわざとトイレの失敗をする犬がいます。
 たとえば、「しゃがみこんだら飼い主がやってきて外に連れ出してくれた」という記憶をもっている犬などは、外に行きたいがためにわざとおしっこをトイレ以外の場所ですることがあります。これは一例ですが、「トイレ以外の場所で排泄すること」と「飼い主の関心」という精神的ごほうびを結び付けて学習してしまっている犬の場合、わざと粗相をするというパターンがありうるわけです。
 解決策は、学習の消去です。つまり、粗相と飼い主の関心というリンクを断ち切ってしまうのです。具体的には、排泄行為に対して怒りたい気持ちをこらえ、じっと無視します。その後、犬が排泄場所から遠のいた瞬間を見計らって排泄物の処理をしましょう。逆に指定のトイレで排泄できた場合は、おやつを与えたりおもちゃで遊んであげるなどしてうんとごほうびを与えます。こうした態度を家族全員が一貫して根気よく行うことにより、犬は自分にとってどちらが得策かを自然と理解していくはずです。多少時間がかかりますが、ここは飼い主と犬との根競べと思って我慢しましょう。
トイレの失敗・正しい対処  もし犬がトイレ以外の場所に粗相をしてしまったら、しばらく時間を置き、犬をその場所から隔離(かくり)します。飼い主の姿が犬から見られない状況になったら、汚れた場所をタオルやペットシーツなど吸水性のあるもので拭いたり、うんちを取り除くなどします。そして忘れずに、その場所に消臭スプレーを掛けておきましょう。なぜなら犬は自分のおしっこやうんちの匂いのある場所に、再び用を足そうとする習性があるからです。この対処法は、家族全員が統一して行うようにします。
 また、犬が粗相を通して飼い主に求めているものが何なのかを考えてみることも重要です。散歩、遊び、新しいおもちゃ、他の犬とのふれあいなど、犬の欲求の中で満たされていないものがあると、その欲求不満の表明として粗相をすることがあります。犬の欲求を参考にしながら、犬にストレスを与えていないかどうかを見直してみましょう。

老齢でトイレを失敗する

 老齢が原因でトイレを失敗することがよくあります。
 一つの目安として、ご自分の飼われている犬が7歳を超えており、今までトイレに失敗することがなかったのに急に失敗の回数が増えてきた、 という場合は老化によるトイレの失敗とお考え下さい。
老犬がトイレの失敗をした場合は、まず真っ先に老化による記憶力の低下や痴呆の可能性を考慮します。  犬のトイレの失敗の原因が老化である場合、飼い主の側では以下のように対応します。まず、家を汚された生理的な不快感から、どうしても感情的になって犬を叱りたくなりますが、犬に悪気があるわけではないのでむやみに怒らずじっと我慢してあげましょう。学校で一番の成績をとりたくて頑張ったのに、思い通りの点数が取れないときもあるでしょう。そんな時に親から「どうして一番取れないの!ちゃんと勉強したの?!」と叱られたら切ないですよね?それと同じです。
 次に犬用のおむつを用意します。老化に伴って犬の膀胱(ぼうこう=おしっこをためておく体内の袋)は小さくなってたくさんのおしっこをためることができなるなってきます。また神経系の機能も低下しますので、「おしっこがたまった⇒おしっこを出せ」という指令が、脳と体の間ををうまく伝達しなくなっていきます。そうした理由によっておしっこをもらしてしまうことがありますので、犬用のおむつで粗相(そそう)を予防してあげましょう。詳しくは犬の認知症と問題行動でも解説してありますので、あわせてご参照ください。 犬の医療・介護グッズ
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