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犬の攻撃行動

 うなる・歯をむき出す・噛む・吠えるなど「攻撃行動」と呼ばれる犬の問題行動の背景と解決策についてまとめました。

犬の攻撃行動とは?

 犬の攻撃行動にはうなる、吠える、噛むなどの行動が含まれます。たとえば日常生活中で以下のような行動が見られるとき、動物行動医学の領域では攻撃行動とみなされます。
犬の攻撃行動・具体事例
  • 家の敷地内に誰かが足を踏み入れるとうなり、吠える
  • 犬用ガムを奪い取ろうとすると飼い主にうなる
  • 見知らぬ人が部屋に入ってきたらうなる
  • エサの入った皿を取ろうとするとうなる
  • 散歩中にすれ違った犬にうなる
  • ソファーからどくように命令した飼い主にうなる
  • 先住犬が新米犬にうなり、吠える
  • 道路を走っている自動車やジョガーを吠えながら追いかける
  • 車にはねられた犬が人に噛み付く
  • 頭をなでようとした子供の手に噛み付く
  • 動物病院で他の犬に激しく吠える
  • 子犬が遊んでいる最中飼い主の手を噛む
  • 子犬を産んだばかりの母犬が飼い主にうなる
敵対行動
 敵対行動(てきたいこうどう)とは、争いに関連する行動全般を指す言葉で、具体的には威嚇、逃走、服従、攻撃などを含みます。ただ単に攻撃行動といった場合は、うなる、歯をむき出す、吠えるといった威嚇行動、および実際に噛み付く闘争攻撃を限定的に意味することが多いようです。 Dr.ハートの動物行動学入門
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犬の攻撃行動の分類

犬が攻撃性を見せる理由は多種多様  犬の攻撃行動は主としてその原因や対象により、以下のように細分されます。なお、下記のほか、警察犬や軍用犬が訓練によって獲得した攻撃性を「学習による攻撃行動」として加えている学者もいます(B.L.Hart)。またさまざまな攻撃行動のうち、「遊び攻撃行動」と「捕食性攻撃行動」、そして「母性による攻撃行動」を「非感情的攻撃行動」と呼び、それ以外を「感情的攻撃行動」と呼んで区別する人もいます。これは後者が「怒り」という感情を伴うためです(Reis, 1974)。 動物行動医学(チクサン出版社, P123~)
犬の攻撃行動の分類
  • 遊び攻撃行動  遊びの延長として見られる攻撃行動です。通常子犬や若い犬に見られ、人間や他の犬と遊んでいる間に吠える、うなる、歯を当てる等の行動を見せます。また、人の手、足、衣服をとらえるのに歯を用ることもあります。社会化期における他の犬との接触不足が一因となるようです。なお当サイト内では、犬の噛み癖をしつけ直すにおいて、代表的な対処法を解説してあります。
  • 母性による攻撃行動  母犬が子犬やおもちゃを守ろうとするときに見せる攻撃行動です。妊娠、出産、想像妊娠等、体内におけるホルモンバランスの変化に伴い現れます。子犬に近づいたり抱き上げようとするとうなり声を上げ、時に噛み付くこともあります。
  • 恐怖性攻撃行動  恐怖が限界に達した時に出る攻撃行動です。追い詰められたときにでやすいとされます。苦痛を伴う医学的な治療や虐待、および不適切な罰が原因として挙げられます。
  • 疼痛性攻撃行動  疼痛(とうつう)とはじっとしていても起こる痛みのことです。病気や怪我などによって体の一部や全身に痛みが発生しているときに出る攻撃行動の事を指します。
  • 縄張り性攻撃行動  縄張りを守るための攻撃行動です。縄張りの外にいる動物に対しては無反応なものの、縄張り内にいる動物に対しては一転、激しい威嚇をします。
  • 防護的攻撃行動  飼い主や同居犬を守るための攻撃行動です。防護する人と敵との間に立ちふさがる行為を見せることもあります。
  • 犬同種間攻撃行動  オス犬同士、もしくはメス犬同士が社会的階級性を競い合って互いを攻撃することです。年老いた犬や病弱な犬など、身体的に弱っている犬が攻撃対象になることがあります。
  • 転嫁性攻撃行動  全く無関係な人や犬を攻撃対象とすることです。攻撃行動を邪魔されたり、怒られているとき、本来のターゲットからそれて、まったく別の対象を攻撃してしまいます。
  • 食物関連性攻撃行動  自分の確保している食物への脅威を感じたときに見せる攻撃行動です。食事中、他の犬や人が近づいたり視界に入ったとき、うなり声を上げたりスナップ(歯をカチッと鳴らす)をします。なお当サイト内では、犬のうなる癖をしつけ直すにおいて、代表的な対処法を解説してあります。
  • 所有性攻撃行動  自分の確保している所有物への脅威を感じたときに見せる攻撃行動です。おもちゃを飼い主が取り上げようとしたときなどにうなったり噛み付こうとしたりします。なお当サイト内では、犬のうなる癖をしつけ直すにおいて、代表的な対処法を解説してあります。
  • 捕食性攻撃行動  野生の犬が獲物を殺すときに見せる攻撃行動です。小動物の急な動きなどを契機として飼い犬にも発生します。忍び足で近づき、よだれを垂らしながら獲物を見つめたり、首筋に噛み付いて振り回したりします。
  • 優位性攻撃行動  社会的序列や相手との関係において優位性を築こうとするときに見せる攻撃行動です。社会的に成熟する18~36ヶ月齢におこり、その90%近くがオス犬とされます。同じ家系に多く見られることから、遺伝的な要因が関係していると推察されます。
  • 特発性攻撃行動  「特発性」(とくはつせい)とは平たく言うと「よくわからない」という意味で、原因が明確ではない突発的な攻撃行動のことを指します。てんかんなど脳の器質的な疾患のほか、何らかの薬剤が原因になる可能性もあります。後者の例としては2016年、糖質コルチコイド薬の投与によって「攻撃性の増加」や「活動性の低下」といった行動変化が引き起こされることが確認されました(→詳細)。
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攻撃行動を修正する難しさ

 犬の攻撃行動に関しては、教科書的なしつけ方法では歯が立たないことも少なくありません。これには複数の要因が関わっています。

攻撃行動の多元性

 攻撃行動の要因が複数存在していることがしつけによる行動修正を阻んでいます。
 たとえば、アメリカのペンシルバニア大学獣医学部付属動物病院(VHUP)の中で最も多い攻撃行動は「優位性攻撃行動」(20%)と「恐怖性攻撃行動」(10%)だといいます。しかし単一の原因から起こる攻撃行動はむしろまれで、多くの場合複数の要因が絡んでいるとか。攻撃行動診断で最も多いのは4タイプ併発で、最多記録は9タイプ併発だそうです。
 原因によって微妙にしつけの方法も変化しますので、杓子定規(しゃくしじょうぎ)な訓練法だけでは、なかなかうまくいかないことがあるのはうなづけます。

攻撃行動の発生時期

 素人のしつけがうまくいかない要因として、攻撃行動を放置していた期間が長いという問題も挙げられます。
 一般的に、以下に述べる条件を満たしているとき、しつけや行動修正プログラムに対するリアクションがよいとされます。これはつまり、攻撃行動が発生してから適切なしつけを施すまでの期間が短ければ短いほど、より高い効果が得られるということです。
犬の攻撃行動・予後良好
  • 問題の開始時期が遅い
  • 発現してから日が浅い
  • 発作がまれ
  • 発作の継続時間が短い
  • 攻撃行動の対象が少ない
  • 攻撃行動の診断タイプが少ない
  • 家族の意識が高く、診断に従うことができる
 一番最後の「家族の意識」とは、飼い主の側のしつけに対する強い意志のことです。家族でペットを飼っている場合は、全員が一貫した態度で犬に接する必要があり、例外は認められません。
 ペットを家族の一員としてみなすあまり、犬の問題行動に対して毅然とした態度で接することができない人もいます。こうした過度な擬人化が問題行動に対する初期消火活動を遅らせ、事態を悪化させてしまい、しつけを困難にするというケースもあります。

よくない早期環境

 犬の置かれた早期環境、すなわち社会化期における過ごし方が犬の性格に多大なる影響を及ぼし、後のしつけに対するリアクションを大きく左右します。たとえば、哺乳類を用いた実験では以下のような事例が確認されています。
早期環境と動物の性格
  • 仲間から隔離されたマウスは攻撃行動が激しくなる
  • メスだけに囲まれて育ったオスのマウスは成熟してから攻撃行動が激しくなった
  • 隔離されたアカゲザルは攻撃行動が激しくなる
  • マウスを攻撃的でない母親から攻撃的な母親に育てさせると攻撃的になった
生まれてからすぐの新生子期~社会化期における過ごし方が、犬の攻撃性を左右する可能性もある  マウスやサルだけでなく、犬でも性格に変調をきたす例が確認されています。たとえばスコットとフラー(1965)は人と接触する機会をまったく与えられずに生後14週まで過ごした子犬は、その後いかにハンドリングして社会化しようとしても人になつくことはなく、人への社会化はほとんど不可能であったといいます。また12週齢以降に犬舎という比較的拘束された環境に犬を入れっぱなしにすると、見慣れない新しい状況に対して異常に臆病な行動を取る「犬舎犬症候群」(kennel dog syndrome)も有名です。これらは社会化期を間違った形で過ごしてしまった犬が、不健全な性格を形成してしまう典型例といえるでしょう。
 このように、犬の早期環境がどのような状態だったかによってその後の犬の性格が大きく左右され、もし犬が、人間や他の犬との交流が極端に少ない異常な環境で育っていた場合、しつけによって攻撃行動を修正することが極めて難しくなります。
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攻撃行動のしつけ直し

 家庭でのしつけがうまくいかず、しつけ教室に預けても問題行動がなくならない場合、要因の取り違え、訓練開始時期の見逃し、飼い主の側のこらえ性のなさなど様々な要因が考えられます。では犬の攻撃行動を効果的に修正するには、いったいどうすればよいのでしょうか?

犬の行動クリニック

 行き当たりばったりの的外れなしつけを行っていると、時に犬の攻撃行動を逆に助長してしまうこともあります。そういう場合は臨床行動学の専門家に頼ることも必要です。
 専門家に頼るメリットとしては、命に関わるような咬傷事故を予防してくれること、素人には看破することが難しい攻撃行動の原因を的確に把握してくれること、最も効果的と思われるしつけ方法をアドバイスしてくれること、場合によっては投薬治療も可能なこと、などが挙げられます。
 たとえば首都圏では東京大学・獣医動物行動学研究室で犬の問題行動診療を行っています。また行動診療を看板に掲げた動物病院や、「ほめてしつける」を基本方針としたドッグトレーナーリストもありますので、選択肢として覚えておくと役立つでしょう。ただし、しつけ教室にせよ行動クリニックにせよ、犬を力で制圧したり体罰を用いる手法を採用しているような所は避けたほうが無難です。
動物の臨床行動学
 臨床行動学(りんしょうこうどうがく)とは、動物の問題行動を専門に扱う学問であり、人間界でいう「精神神経科」や「心療内科」に相当する分野です。人と動物の双方が、ストレスフリーで幸せと感じられる生活環境を実現することが最終目標であり、日本では2013年秋に、第一回獣医行動認定医試験が予定されている、比較的新しい領域といえます。

行動修正プロトコール

 「動物行動医学」の著者、Karen Overall女史は、「攻撃行動は糖尿病と同じく、完治はできないが、大多数の症例において症状を緩和することができる」と述べ、さらに「飼い主の協力と努力の大きさが治療成功のための唯一最大の決定因子」として、飼い主のやる気こそが、犬の問題行動を修正する際に最も大事な要素であることを強調しています。
 女史が具体的に実践しているのは行動修正プロトコールというものです(プロトコールとは「手順書」といった意味)。これは1981年、問題行動治療の先駆者であるヴィクトリア・ヴォイスが最初に提唱し、その後イアン・ダンバーやブルース・フォーグルなど、世界的に著名な獣医が協働して改変を加えた「しつけ界の九九」のようなもので、アイコンタクトオスワリマテといった動作を基本としています。散歩、おもちゃ、遊び、食事、睡眠など、犬が要求していることを叶える前に、必ず基本動作を取らせ、「飼い主の指示に従わないと、何一つ欲しいものが手に入らない」と学習させるのが狙いです。
 この手法は、V.ヴォイスが標榜した「Nothing in life is free」というスローガンを直訳し「生涯ただのものなどない法」とも称されます。主な効果と役割は以下。
行動修正プロトコールの役割
  • 地位の把握  犬はオスワリマテをすることで、飼い主が上位で自分が下位であることを自然に理解します。これは、「下から見上げる」という行為が、自然界においては下位のものが上位のものに対してとる一種の服従のサインだからです。足腰の悪い犬の場合はフセで代用します。
  • 行動の指針を示す  適切な行動をすることに不安を持っている犬に安心感を与えることができます。行動に不安を抱えている犬の心境は、言葉の通じない外国でパスポートをなくしたときの人間の心境に近いかもしれません。「誰でもいいから対処法を教えて!」と指示を求めたくなりますよね。
  • リラックス  オスワリマテをしている犬は走り回っている犬よりも生理学的(神経的・内分泌的)に落ち着いた状態にあり、こうした体勢をとることで自然と心身ともに沈静化するようになります。
  • 報酬を得る  犬はオスワリマテを通じ、飼い主の要求に従い、指示を待ち、服従すればほうびがもらえることを学習していきます。要するに、「欲しいものがあるときは飼い主の指示に従えばよい」という思考回路が固まってくるのです。
 このように、犬の願いを聞き入れる前に必ずアイコンタクトオスワリマテといった指示に従わせることは、あらゆる攻撃行動に対し、大なり小なり効果があるようです。こうした基本プロトコールと脱感作や逆条件付けといったアプローチ方を組み合わせ、原因や状況に応じた行動修正をしていくのが、犬の攻撃行動に対する正攻法です。
 なお、基本的なトレーニング方法については問題行動予防トレーニングにまとめましたのでご参照ください。
脱感作・逆条件付け
 脱感作(だつかんさ)とは、犬の問題行動を誘発する刺激を、程度の軽いものから重いものに段階的に繰り上げ、徐々にならせていく手法のことです。逆条件付けとは、犬の怒りや恐れを誘発する刺激を、逆に犬にとって心地よいものとして学習しなおさせることを言います。

当サイトより

 しつけに関する基礎知識も無いまま闇雲に取り掛かると、後に述べるような咬傷事故につながる危険性があります。以下の関連ページは、実際のしつけに移る前に、最低限必要と思われる知識の数々です。順番としてはまずこれらをしっかりと把握することをお勧めします。
攻撃行動のしつけ・その前に
 また当サイト内では、比較的とっつきやすいと思われる攻撃行動に関して解説ページを設けました。たとえば「遊び攻撃行動」に対しては噛み癖をしつけ直す、そして食物関連性・所有性攻撃行動に対してはうなる癖をしつけ直すが対応していますので、問題行動予防トレーニングと併用する形でご参照ください。
 それでも不安な場合はいさぎよく専門家のアドバイスを受けたほうが無難なことは言うまでもありません。「コンパニオンアニマルの問題行動とその治療」(講談社)の著者、工亜紀女史も「犬の攻撃性の問題に関しては、十分な専門知識のない人が自分なりの診断や治療を行うことは禁物である」(P107)と警告しています。なお犬の攻撃行動について詳しく学びたい方には、書籍としてKaren Overall著の「動物行動医学~イヌとネコの問題行動治療指針」(チクサン出版社)をお勧めします。値段は若干高めですが、P106からの「イヌの攻撃行動」、およびP440からの「行動修正プロトコール」が特に参考になるでしょう。
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犬による咬傷事故

 犬の攻撃性を放置してしまうと、最悪の場合咬傷事故(こうしょうじこ)につながります。これは被害者に怪我を負わせてしまうほか、人獣共通感染症の伝播、訴訟問題など様々な付随事象を招くやっかいなものですので、犬を飼っている人は常に、この咬傷事故の発生を予防するよう努めなければなりません。

日本の咬傷事故データ

 動物愛護法第3章で「動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と定めているにもかかわらず、毎年相当数の犬の噛み付き事故、すなわち「咬傷事故」が発生しています。以下は環境省が発表している統計データです(→出典)。報告されていない潜在的な咬傷事故件数まで考慮に入れると、下記の数値よりもさらに大きくなると考えられます。
 データ全体をまとめると通行中、見知らぬ犬と接近した際に咬傷事故が起こりやすいとなります。この事実は、犬を飼っていて加害者になる可能性がある人も、犬を飼っておらず被害者になる可能性がある人も覚えておいて損はないでしょう。 犬による咬傷事故件数・平成26年度版の折れ線グラフ
咬傷犬の登録状況
 咬傷事故を起こした犬の登録状況を見ると、全体の9割近くが飼い犬であり、そのうち登録済みのものが8割程度を占めていることがわかります。「首輪のついていない野良犬に噛まれる」といったステレオタイプのイメージは、もはや時代にそぐわないと言ってよいでしょう。 咬傷犬の登録状況・一覧表
咬傷事故の被害状況
 咬傷事故の具体的な内容を見てみると、人間を死に至らしめるような重大なものは全体の0.02~0.07%と、極めて稀なケースであることがわかります。また人間に対する咬傷事故のうち、およそ9割は「飼い主・家族以外」が対象となっているようです。 咬傷事故の被害状況・一覧表
咬傷事故の発生状況
 咬傷事故が発生した時の状況を見てみると、「係留運動中」、すなわち犬にリードを付けて散歩中に発生するケースが全体の3割に達しているようです。全体の25%程度を占めている悪質な「放し飼い」による咬傷事故は、人口密度が低くて犬を野放しにしている田舎や、ノーリードで犬を散歩させているモラルの低い一部の飼い主によるものでしょう。 咬傷事故の発生状況・一覧表
事故時の被害者の状況
 人間が咬傷事故に巻き込まれてしまった時の状況を見てみると、「通行中」が全体の半分近くを占めていることが伺えます。店先に繋がれている犬の近くを通るときや、散歩中の犬のそばを自転車で通過するときなど、様々な状況が考えられます。 事故時の被害者の状況・一覧表
咬傷犬の命運
 咬傷事故を起こした犬のその後の顛末を見てみると、飼い主によって飼育が継続されることがほとんどのようです。日本では小型犬の飼育頭数が圧倒的に多く、仮に咬傷事故が起こったとしても、それほど重症には至らないことが背景にあるのかもしれません。 咬傷犬の命運・一覧表
咬傷事故の発生場所
 咬傷事故が起こった場所を見てみると、犬が日常的に暮らしている犬舎の周辺(3割程度)よりも、散歩などによって自分のテリトリーから離れたとき(半分以上)の方が事故が起こりやすいようです。この事実は「通行中に噛まれることが多い」という先述したデータとも符合します。 咬傷事故の発生場所・一覧表

子供と咬傷事故

 2014年に海外行われた調査で、子供は犬が怖がっている様子を適切に理解できず、これが咬傷事故の増加につながっていることがわかりました。このことは、日本人にとっても全く無関係な話ではありません。
 実験では、4~10歳の子供と大人合計550人を対象に、犬の心理状態を読み取るテストが行われました。その結果、子供も大人も「友好的である」と「攻撃的である」という心理状態は即座に理解できたものの、4~6歳の子供に関しては、「犬が怖がっている」という心理状態を適切に理解できなかったといいます。またそうした子供は、犬の体全体ではなく、顔にばかり注目する傾向があったとも。 Interpretation of Dog Behavior by Children and Young Adults 大人と子供の視点には違いがあり、これが「怖がっている犬」に対する認識の差を生み出している  こうした事実から研究者たちは、怖がっている犬に対する子供の誤解が安易なコンタクトにつながり、結果として咬傷事故を助長しているという可能性を突き止めました。
 上記調査では子供が抱いている油断と咬傷事故の関係性が指摘されましたが、保護者が抱いている油断によっても咬傷事故は起こります。2016年、6歳以下の子供と犬が同居している家庭に対するアンケート調査が行われました。その結果、多くの保護者が「うちのペットが子供を噛むことなんて考えられない」という盲信を抱いていることが明らかになったといいます。そしてこうした保護者の思い込みが、未然に防げるはずの咬傷事故の見逃しにつながっているとも(→詳細)。
 子供に対する犬の咬傷事故を減らすためには、保護者が日頃から犬と子供に対して十分な監督を行うと同時に、子供が犬の表情やしっぽ、全体的な姿勢から心理状態を読み取る練習をしておく必要があります。具体的には以下のページをご参照ください。 犬の心を読む訓練 咬傷事故に巻き込まれないために
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