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犬のリーダーウォークのしつけ

 リーダーウォークとは犬が飼い主から付かず離れず寄り添って歩くことです。飼い主の持つリードが軽くたるんでいるくらいが理想的といえます。「リーダーウォーク」とは和製英語で、本来の英語では「Loose Leash Walking」と言い、直訳すると「引き綱が緩んだ状態での歩行」を意味します。

犬のリーダーウォークのしつけの必要性

散歩中は、飼い主が主導権を握らないと犬が自分をリーダーだと勘違いしてしまいます。  犬のリーダーウォークには、犬が不測の事故に巻き込まれることを予防するという効果があります。
 例えば散歩中に犬が自由気ままにあちこちリードを引っ張っていたら飼い主さんが疲れてしまいます。また犬が自由に動き回れる状態は、拾い食いや他の犬への飛び掛かり・マウンティングなどを誘発(ゆうはつ)してしまいますので望ましくありません。またリードを引っ張りながら強引に歩き続けると、首の中にある血管や神経、食道などを傷つけてしまう危険性もあります。ですから犬のリーダーウォークは、犬の安全を確保するという意味においてとても重要なのです。
 では具体的に犬のリーダーウォークのしつけ方を見ていきましょう。 犬の散歩
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犬のリーダーウォークのしつけ~基本方針

 犬のリーダーウォークのしつけに際して、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
犬が飼い主から付かず離れず寄り添って歩くこと
してほしくない行動
犬が飼い主を無視して自由気ままに歩き回ること
 してほしい行動と快(ごほうび)、してほしくない行動と不快(おしおき)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を強化、 後者を弱化と呼ぶことは犬のしつけの基本理論で述べました。これを踏まえて犬にリーダーウォークをしつける場合を考えてみましょう。
強化
「犬が飼い主から付かず離れず寄り添って歩いた」瞬間に快(賞)を与える
弱化
「犬が飼い主を無視して自由気ままに歩き回った」瞬間に不快(罰)を与える
 犬のリーダーウォークのしつけに際しては強化、弱化の両方が効果的です。
 特殊なカラー(首輪)を用いれば、効果的に犬に対して嫌悪刺激を与えることができますので、当サイト内では正の強化をメイントレーニング、正の弱化をメイントレーニングとして説明していきます。「正の弱化」とは、嫌悪刺激を提示する(正)ことで行動頻度を低下させる(弱化)ことを意味します。
望ましくないしつけ方  リードをキュッと引くという罰(ジャーク, ラピッドチェック)は、タイミングと強さが非常に難しいため万人向きとは言えません。特にパグシーズーなどの短頭種に用いると眼球脱出の危険性があるため禁忌です。
 また引っ張ったときに首を締め付けるチョークカラーに関しては、眼球血管の損傷、気管と食道の損傷、喉頭反回神経麻痺(のどにある神経の一種)などの弊害も報告されていますので(動物行動医学, P119)、これも最善の方法とは呼べないでしょう。
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犬のリーダーウォークのしつけ~実践

 基本方針を理解したところで、いよいよ実践に入りましょう。まずは犬のしつけの基本理論で述べた大原則、「犬をじらせておくこと」、「一つの刺激と快不快を混在させないこと」、「ごほうびと罰のタイミングを間違えないこと」、「しつけ方針に家族全員が一貫性を持たせること」、を念頭においてください。

しつけの準備

 犬のリーダーウォークのしつけにおいては、以下の3つのことを準備します。

準備1: ごほうびを用意する

 犬をある特定の行動に対して積極的にさせるためには、何らかの快(賞)を与える必要があります。以下は代表的な犬に対するごほうびです。
犬に対するごほうびいろいろ
  • おやつ おやつをごほうびとして使う場合は犬がおいしいと感じるもの+カロリーの低いものを選ぶようにしましょう。与えるときは犬が満腹にならないよう、なるべく少量だけにします。
  • おもちゃ おもちゃを選ぶときは、あらかじめ犬に何種類かのおもちゃを与えておいて一番のお気に入りを確かめておきます。ただし一度与えると回収するのが困難になるため、しつけセッションの最後に与えるようにします。
  • なでる なでるときは軽く「よーし」や「いいこ」や「グッド」などのほめ言葉を決めておき、その言葉と同時に軽く一回なでてあげます。あまり激しく撫で回してしまうのは望ましくありません。第一に犬が興奮しすぎて集中力がなくなりますし、第二になでられることに慣れてしまって「なでる」という行為が犬にとって賞(快を与えるもの)でなくなってしまう危険性があるからです。
  

準備2: 首輪とリードを用意する

 まずは犬に首輪とリードを付けます。全く初めての場合はまず首輪とリードに慣らすから始めましょう。リードに関しては120~180cm程度の丈夫なものを用いますが、伸縮自在のフレキシブルリードは、動きをコントロールするのがやや難しいため最初の内は避けるようにします。また首輪に関しては、場合によってヘッドカラーを用いる場合もありますので、念頭においておきます。
ヘッドカラー
犬の引っ張り防止アイテム「ヘッドカラー」  ヘッドカラー(head collar)は、散歩時の引っ張り防止アイテムで具体的な商品としてはアメリカ製の「Gentle Leader」(ジェントルリーダー)やイギリス製の「Halti」(ハルティ)が有名です。
 犬がリードを強く引っ張ると、自然にマズルに圧力がかかり、適度な不快感が発生します。またヘッドカラーの与える圧力は、優位の犬が劣位の犬のマズルを噛んで押さえつけるという行為の代替となっている可能性もあり、犬に自然な服従心を養う効果も期待されます。 犬のお出かけ・お散歩グッズ

準備3: 集中できる環境を作る

 一つのことを覚えるには集中力が大切です。気が散るような魅力的なおもちゃなどが視界にあると集中できずに学習効果が低下しますので、しつけの前には犬の気を引くものを一掃して理想的な環境を作っておきます。

しつけの実践

 犬のリーダーウォークのしつけを実践するに当たっては、以下の5ステップに沿って行います。

ステップ1: 首輪とリードを付けて犬を歩かせる

 まずは犬に首輪とリードを付けて自由に歩かせてみましょう。いきなり屋外に行くのではなく、まず真新しいものが少ない室内で行ったほうが効率的です。近くにあるものに興味を引かれてうろうろ歩いたり、しきりに地面のにおいを嗅いで立ち止まったりするかもしれませんが、これは犬にとって自然な行動です。この自然な行動を矯正して人間社会のルールなじませるのがリーダーウォークの目的となります。

ステップ2: リードを引いた瞬間罰を与える

犬がリードを引っ張ることによって発生した圧力が自然と天罰になってくれることもある  犬が好き勝手に飼い主から離れると、リードがピンと伸び、自動的に首に圧力がかかります。この不快感が十分強ければ、犬は苦痛から逃れようと引っ張りを自発的にやめてくれます(飼い主が強引に引っ張らない)。これが嫌悪刺激を提示する(正)ことにより、行動頻度を低下(弱化)させる「正の弱化」です。
 しかし多くの犬は探索欲求や対向反射(下記参照)が強く、多少首が苦しいくらいでは引っ張りをやめてくれないことが多々あります。また、犬が中~大型犬の場合、立ち止まらせるだけでも一苦労です。そんなときに役立つのが先述したヘッドカラーです。
 ヘッドカラーを装着した状態で引っ張れば引っ張るほど、犬は正面を向いていられなくなるため、ただ単に首を締め付けられるよりも強い不快感を感じることになります。犬は次第にリードを無理やり引っ張ってピンと張った状態になると嫌な事がある!と学習していきます。
対向反射
 対向反射(たいこうはんしゃ, opposition reflex)とは、首や胸に圧力を感じると反射的に同じ力で対抗しようとする習性のことです。散歩の途中、飼い主がリードを引けば引くほど、犬も同等の力で引き返そうとする現象には、この習性が関わっています。散歩中の引っ張りを、「飼い主と行う綱引き」と学習してしまった犬は、この状態自体が一種の遊びとなり、なかなかやめられなくなります。

ステップ3: 近くに寄ってきた瞬間ごほうび

天罰の後に正行動を取れたら、ごほうびを与えて行動を強化します。  リードを引っ張ることで不快が生じた犬は、不快が生じない位置を探して飼い主の横に来るでしょう。その瞬間を見計らって「いいこ」などのほめ言葉と同時にごほうびを与えます。これは「飼い主の横につくこと」とごほうびとを結びつけるオペラント条件付けです。犬は徐々に飼い主さんの横にぴったり寄り添えばいいことがある!と学習していきます。
 「間違った行動⇒不快⇒引っ張りをやめる⇒ごほうび」という一連の流れをワンセットで流れるように行ってください。

ステップ4: 歩く速度や歩くルートを変えてみる

 犬が飼い主の横に寄り添って歩くことに慣れてきたら、今度は歩く速度を変えたり歩くルートを変えてみましょう。ルートを変えると様々な新しいものが犬の気をひきつけるかもしれません。そうした状況の中でもしっかりリーダーウォークができるように根気強く繰り返ししつけましょう。

ステップ5: ごほうびの回数を減らす

 犬がリーダーウォークを覚えたら、今度はごほうびを与える回数を減らしていきましょう。常にごほうびを与えていると犬がごほうび自体に飽きてしまったり、肥満の原因になりかねません。毎回ごほうびを与える⇒2回に1回ごほうびを与える⇒3回に1回⇒4回に1回・・・と減らしてゆき、最終的には「いいこ」などのほめ言葉だけにします。
しつけをする上での注意  犬の集中力は10分~15分ほどです。集中力がなくなってきたらいさぎよくしつけを中断してその日の夜や翌日に改めて再開しましょう。飼い主がしつけを焦って犬の感情を無視して強引に行ってしまうと、しつけ自体が犬にとっての苦痛になってしまいます。
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犬のリーダーウォークのしつけ~実演動画

 以下でご紹介するのは、犬のリーダーウォークのしつけを実際に散歩している状況で解説したハウツー動画です。犬が自発的に人間の横に来た瞬間、ごほうびを与えて行動を強化する、という基本を繰り返します。こうすることで犬に苦痛やストレスを与えることなく、自然とリーダーウォークを仕込むことができるというわけです。
犬のリーダーウォーク
  • 飼い主の横を歩かせる  まずごほうびで犬の気を引きながら歩いてみます。犬が横にピッタリ寄り添っている限りごほうびを与え続けましょう。犬は徐々に「飼い主の横をついて回るとおいしいものがもらえる」と学習していきます。なお動画内では地面にごほうびを置いていますが、拾い食いを助長する可能性があるため極力飼い主の手から直接与えるようにします。 飼い主の横をついて回ることとごほうびを結びつける(オペラント条件付け)
  • 犬が引いたら立ち止まる  犬が飼い主を無視してリードを引っ張るようになったら、ゆっくりと立ち止まります。リードを通じて犬の首に圧迫感が加わり不快に感じて犬も立ち止まるはずです。そのタイミングで進行方向を変えましょう。すると自然に犬が飼い主の後ろを歩く形になります。そして再び犬が飼い主の横を歩くようになったらごほうびを与えましょう。このセッションを延々と繰り返し、「飼い主の横を歩くのが楽しい!」と学習させます。なお、犬が中~大型犬で立ち止まらせることが難しい場合は、「実践」で解説したヘッドカラーの使用なども考慮します。 リードを引いたら不愉快であることを学習させる「正の弱化」
元動画は⇒こちら
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