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【2019年2月のFDA報告】グレインフリーのドッグフードと拡張型心筋症との関係性

 2018年7月、アメリカ食品医薬品局(FDA)が突如として発表したグレインフリーのドッグフードと拡張型心筋症との関係性。2019年2月、収集した症例データを元に因果関係を検証した結果が報告されましたので詳しくご紹介します。

グレインフリーとFDAの警告

 グレインフリーとは小麦やとうもろこしといったメジャーな穀類(グレイン)をあえて原料から外したドッグフードのこと。原材料としては代わりにイモ類や豆類が用いられています。
 2018年7月、アメリカ食品医薬品局(FDA)はグレインフリーのドッグフードと拡張型心筋症との関係性を否定できないとし、突如として消費者に警告を発しました。詳しい経緯をまだ知らない方は取り急ぎ以下のページをご参照ください。 グレインフリーのドッグフードと犬の拡張型心筋症の関係  FDAは発表のあった7月以降、「Safety Reporting Portal」と呼ばれる報告システムを使って拡張型心筋症が疑われる症例を全米各地から収集していました。そして2019年2月19日、蓄積したデータの最新解析結果が公表されましたので詳しくご紹介します。 FDA Investigation into Potential Link between Certain Diets and Canine Dilated Cardiomyopathy Vet-LIRN Update on Investigation into Dilated Cardiomyopathy

拡張型心筋症・患犬の数

 2014年1月1日から2018年11月30日までの期間、犬の症例が325(うち死亡74)、猫の症例が10(うち死亡2)寄せられ、そのうち獣医師によって拡張型心筋症という確定診断が下った症例は犬が294、猫が6でした。またこの300症例のうち276は2018年7月以降に寄せられたものですので、警告を知った飼い主が先述したシステムを通じて一気に報告したのでしょう。
 アメリカ疾病管理予防センター(CDC)が人間の患者を対象として行っているような疫学調査は行われていないため、拡張型心筋症の実際の有病率に関してはよくわからないとしています。

拡張型心筋症・犬種

 患犬たちの平均年齢は6.5歳(0.42~16)、平均体重は30.8kg(3.6~96)でした。また性別はオスが59%、メスが41%でしたが、統計的に「オスのほうが発症しやすい」と言い切れるかどうかまでは現時点ではわかっていません。
 拡張型心筋症を発症しやすい犬種としてはグレートデンボクサーニューファンドランドアイリッシュウルフハウンドセントバーナードドーベルマンといった大型~超大型犬が知られています。しかしFDAに寄せられた症例データでは、好発犬種以外の大型犬のほか、小型~中型犬も含まれていました。具体的には以下です。数字は実際に報告された症例数を示しています。
拡張型心筋症の患犬種(多)
 その他少なくとも1症例が報告された犬種は以下です。従来の常識ではありえないような小型~中型犬が含まれているのがお分かりいただけるでしょう。
拡張型心筋症の患犬種(少)

犬の食餌内容

 おやつ(トリーツ)を除いた食餌として1種類(ブランド)のフードだけを給餌されていた犬196頭の食事内容を調べた所、90%で「グレリンフリー」という共通項が確認されました。原材料リストで最初の10項目に含まれ、なおかつビタミンやミネラルの前に記載されているものとしては特にエンドウマメとヒラマメ(レンズマメ)が多く、その他さつまいも、ジャガイモ、ヒヨコマメなどが確認されました。以下の数字は特定原料を含んでいたフードの数です。
「グレインフリー」フードの主原料
「グレインフリー」フードの主原料として用いられるイモ類や豆類一覧リスト
  • エンドウマメ=180
  • ヒラマメ=104
  • じゃがいみ=63
  • さつまいも=55
  • ヒヨコマメ=55
 動物性タンパクを含むフードを給餌されていた191頭の食事内容を調べた所、31%では複数の動物種がタンパク源として確認されました。魚、卵、ラム肉、チキン(鶏肉)などですが、どれか1つが飛び抜けて多いという傾向は認められませんでした。

グレインフリーフードの分析結果

 2018年7月以降、グレンイフリーとラベリングされた製品とされていない製品を対象とした成分の比較分析が行われました。その結果、不思議なことに両製品に違いは見られなかったといいます。具体的な成分値は以下です(※M+C=メチオニン+シスチン)。
検査成分穀類あり平均穀類なし平均
タンパク質28.8%29.6%
脂質15.2%16.6%
タウリン0.13%0.14%
シスチン0.3%0.29%
メチオニン0.59%0.55%
M+C0.89%0.84%
食物繊維8.6%12.1%
粗繊維2.5%4.6%
不溶性繊維7.2%11.7%
水溶性繊維1.46未満1.41未満
でんぷん37.4%26%
難消化性でんぷん2.15%2.15%
塩化コリン3289ppm2731ppm
コリン2453ppm1979ppm
 拡張型心筋症の原因としてはタウリンが怪しいとされています。しかしほとんどすべてのグレインフリーフードは、タウリンの前駆物質である含硫アミノ酸「メチオニン+シスチン」の値に関し、AAFCOが定める最低基準である「0.65%」を満たしていました。このことから、フードに含まれるタウリン(およびその原料である含硫アミノ酸)の摂取量が原因なのではなく、摂取した後の代謝過程が病気の発症に関わっているのではないかと疑われています。

報告のまとめ

 2019年2月に発表された今回の暫定報告をまとめると、特定のフードと拡張型心筋症の関係性は単純なものではなく、複数の要因が絡み合った複雑なものであるとなります。
 最も多く報告されているゴールデンレトリバーに関しては遺伝的な好発性があるものと推測されていますが、その他の犬種に関しては一体何が引き金になっているのかよくわかっていません。
 FDAは引き続き調査を継続するとしています。なお繰り返しになりますが、犬に「グレインフリー」フードを給餌しており、以下のような初期症状を見せている場合、念のため健康診断を受けることが推奨されます。🚨日本にもグレインフリーを売りにしているフードがありますので、無関係ではありません
DCMの初期症状
  • 元気喪失
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 呼吸困難
  • すぐバテる
  • けいれん(ひきつけ)
  • 突然の卒倒・意識喪失
グレインフリー騒動の経緯に関しては「グレインフリーのドッグフードと犬の拡張型心筋症の関係」を、ゴールデンレトリバーにおける発症リスクに関しては「グレインフリーのドッグフードはやはり犬の心臓に悪い?」をご参照ください。最新情報が出たら引き続き報告します。