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体が衰えた老犬の介護

 年を重ねると、目、耳、歯、筋骨格、自律神経系など、体の各部にガタがきて機能が衰えてしまうことがあります。以下では老犬に生じやすい肉体の衰え、およびその衰えをサポートするための対処法をまとめました。
 なお、犬の脳の衰えに伴う認知症(にんちしょう)に関しては、ページを別にして詳述しましたので、こちらもご参照ください。 老犬の認知症

老犬の目が衰えた場合

 人間同様、犬の目は加齢とともに悪くなります。眼球内部にある水晶体と呼ばれるレンズが曇ってしまう核硬化症(かくこうかしょう)を始め、白内障緑内障などが、加齢に伴う代表的な眼科疾患です。その他の疾患に関しては犬の目の病気にまとめてありますので、犬の目のケアを参考にしながら、目のチェックを習慣化することをお勧めします。
 以下は、視力が落ちたり視力を失ってしまった犬と、生活を共にする際の注意点です。

目が悪くなった犬に生じる変化

 目が悪くなったり視力を失ってしまった犬に起こる変化としては、主に以下のようなものがあります。2016年に行われた調査では、年を取った犬は特に近視傾向になることが確認されました。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
犬の目の衰えに伴う変化
  • ものによくぶつかるようになる
  • 以前より臆病になる
  • 飼い主への依存度が高くなる
  • よく吠えるようになる
  • 恐怖の裏返しとして攻撃的になる
  • 遊びに対する興味を失う
  • 走らなくなる

犬の視力検査方法

 犬の視力低下をいち早く知るためには、上記した変化を日ごろから注意深く観察することのほか、飼い主が簡単なテストを行うことでもできます。
犬の視力簡易検査
  • 瞳孔反射テスト  犬の視力を知る方法としては、まず瞳孔の反射を見るというものがあります。部屋をやや暗めにした状態で犬の目を慣らしましょう。そこから部屋の電灯をつけ、犬の瞳孔の動きを観察してみます。正常であれば、眼球に入る光の量を減らすため、瞳孔が収縮するはずです。もしこの瞳孔反射が見られない場合は、犬の視力が悪くなっているか、視力を失っている可能性があります。
  • 追跡テスト  もう一つの方法は、犬の目の前に物を投げる方法です。投げたものが床と擦れ合って音が出ないよう、ティッシュペーパーや脱脂綿を丸めたものなどを用いましょう。犬の目が正常なら、目の前で動く対象物に合わせ、眼球や首を動かすはずです。もしこうした追跡反応が見られない場合は、やはり犬の視力が落ちている可能性が考えられます。

目の悪い犬への注意点

 目が悪くなったり視力を失った犬と同居する際は、以下のような点に注意しましょう。
目の悪い犬への注意
  • 急に触らない  目が見えなくなったことで臆病になることがあります。急に触ったりするのではなく、必ず近くに人間がいることを音などで知らせた上で触りましょう。驚いた拍子に噛みつかれる危険性がなくなります。
  • 障害物をなくす  目の悪い犬はよく物にぶつかるようになります。犬が歩きやすいバリアフリーの生活空間を作ってあげましょう。具体的にはスロープを設けて段差をなくしたり、通路の中から植木鉢を撤去するなどです。 犬の医療・介護グッズ
  • ひげを切らない  犬の皮膚・触覚でも詳述しましたが、犬にとってのひげは、人間にとっての白杖(びゃくじょう)と同じ役割をもっています。すなわち、進行方向にある障害物を事前に確かめるためのセンサーなのです。トリマーさんにトリミングをお願いしている場合は、ひげをカットしてしまわないよう釘を刺しておきましょう。 犬の皮膚・触覚
  • 飼い主とつかず離れずの距離  目の悪い犬は近くに保護者がいないと不安になり、無駄吠えが増えてしまうことがあります。常に飼い主の存在を確認できるような場所を定位置にしてあげましょう。また、飼い主のにおいがする毛布やクッションをそばに置いてあげることも効果的です。
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老犬の耳が衰えた場合

 犬が年を取るにつれ、経年劣化という形で聴力も徐々に落ちてきます。犬の聴力を悪化させる主な要因は耳小骨の硬化、感染症、化学物質、大きな音などです。詳細は犬の耳・聴覚をご参照ください。また耳に生じやすい疾患に関しては犬の耳の病気にまとめてありますので、犬の耳のケアを参考にしながら、耳のチェックを習慣化することをお勧めします。
 以下は、聴力が落ちたり耳が聞こえなくなってしまった犬と、生活を共にする際の注意点です。

耳が悪くなった犬に生じる変化

 耳が悪くなったり聴力を失ってしまった犬に起こる変化としては、主に以下のようなものがあります。
犬の耳の衰えに伴う変化
  • 飼い主の呼びかけに応えなくなる
  • 以前より臆病になる
  • 飼い主への依存度が高くなる
  • 大きな声でよく吠えるようになる
  • 恐怖の裏返しとして攻撃的になる

犬の聴力検査方法

 犬の聴力低下をいち早く知るためには、上記した変化を日ごろから注意深く観察することのほか、飼い主が簡単なテストを行うことでもできます。
犬の聴力簡易テスト
  • 隠れて音を出す  犬の聴力を検査する簡単な方法は、犬に気づかれないような位置から音を出してみることです。使用するのは音の出るおもちゃ、スプーンでコップを叩く、名前を呼ぶ、手を叩くなど何でも構いません。聴力が正常なら、音の出たほうに耳を動かしたり振り向いたりするはずです。逆に、寝ているわけでもないのに何のリアクションが無かった場合は、何らかの理由で耳が悪くなったものと考えます。

耳の悪い犬への注意点

 耳が悪くなったり聴力を失った犬と同居する際は、以下のような点に注意しましょう。
耳の悪い犬への注意
  • 急に触らない  耳が聞こえなくなったことで臆病になることがあります。後ろから急に触ったりするのではなく、必ず近くに人間がいることを知らせた上で触りましょう。驚いた拍子に噛みつかれる危険性がなくなります。
  • 散歩するときは必ずリードをつける  常識問題ですが、散歩するときは必ずリードを装着するようにします。耳の悪い犬はオートバイや車の接近する音を聞き取れないかもしれません。事故死という最悪の別れ方をしないよう、基本的なルールは守りましょう。 犬の散歩
  • ハンドジェスチャーを教えておく  犬が聴力を失った場合、「おいで!」など声を用いた「指示語」という形で命令を出すことができなくなります。ですから日ごろから、音声による指示語のほか、「ハンドジェスチャ」など視覚を用いたしつけを行っておくことが極めて重要になります。視覚と聴覚の両方を通じたしつけを行っておけば、犬が視力、聴力のどちらかを失っても、今までどおり飼い主の命令が犬に伝わってくれるというわけです。 犬のしつけ方
  • 飼い主とつかず離れずの距離  耳の悪い犬は近くに保護者がいないと不安になり、無駄吠えが増えてしまうことがあります。また自分の吠え声が聞こえないので、声のボリュームが不要に上がってしまうこともしばしばです。常に飼い主の存在を確認できるような場所を定位置にしてあげましょう。また、飼い主のにおいがする毛布やクッションをそばに置いてあげることも効果的です。
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老犬の歯が衰えた場合

 犬は生後8ヶ月頃までに生えそろう永久歯を死ぬまで使い続けます。ですから、年齢を重ねるごとにだんだんと衰えてしまうのは仕方の無いことと言えるでしょう。犬の口腔疾患で代表的なのは、何と言っても歯周病ですが、その他の疾患に関しては犬の歯・口の病気にまとめてありますので、犬の歯のケアを参考にしながら、歯のチェックを習慣化することをお勧めします。
 以下は、歯が衰えてしまった犬と、生活を共にする際の注意点です。

歯が衰えた犬に生じる変化

 以下は、歯が弱って咀嚼力(そしゃくりょく=噛む力)が衰えてしまった犬によく見られる変化です。
歯が衰えた犬に生じる変化
  • 口が臭い
  • 食べるのが遅い
  • 食欲が無い
  • 歯がぐらぐらする
  • 歯が長くなったように見える
  • 歯が変色している
  • 口の中が腫れている
  • 歯茎に出血が見られる

歯が衰えた犬への注意点

 歯が衰えた犬と同居する際は、以下のような点に注意しましょう。
歯が弱った犬への注意点
  • やわらかい食べ物  歯や歯をつなぎ止めている歯槽骨が弱ると、噛む力が衰えて今まで普通に食べていたドライフードなどが、次第に噛みきれなくなってきます。かといって離乳食のような極端に柔らかい食事を与えてしまうと、顎の筋肉を全く使わなくなり、血流不足による口内免疫力の低下を招きます。固すぎず、柔らかすぎない、適度に咀嚼力を要する程度のフードに切り替えましょう。 犬のエサ・食事グッズ
  • 換気・消臭  犬が歯槽膿漏などを発症すると、かなりの悪臭が部屋中に充満します。飼い主は毎日同じ臭いをかいでいるため、鼻がバカになって何も感じなくなりますが、来客があったりすると、思わぬひんしゅくを買ってしまうかもしれません。日ごろから換気や消臭に気をつけるようにしましょう。
  • 歯石の除去  歯周病を引き起こす要因の一つとして、歯の表面にこびりついた歯石の存在が挙げられます。スケーラーという器具を用いれば飼い主自身が歯石の除去を行うことも可能ですが、獣医さんに任せたほうが無難でしょう。ただし、歯石の付着がはなはだしい場合は、全身麻酔が必要となることもあります。犬の年齢や体力と照らし合わせ、獣医さんとよく相談してください。 犬の歯周病
  • 口内マッサージ  口腔疾患を引き起こす要因として、歯茎の血流不足、およびその結果としての免疫力の低下が挙げられます。飼い主が定期的に歯茎へのマッサージを行っていれば、全く何もしないときよりは、疾患にかかる確率が下がります。歯磨きのついでに、歯肉マッサージを取り入れると効果的でしょう。 犬の歯のケア
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老犬の骨や筋肉が衰えた場合

 加齢に伴い、犬の骨密度が低下して骨粗しょう症にかかったり、関節炎を患ったり、筋肉量の低下に伴い運動能力が低下したりします。犬の筋骨格系の疾患に関しては 犬の筋骨格系の病気にまとめてありますので、犬の歩き方チェックを参考にしながら、足腰のチェックを習慣化することをお勧めします。
 以下は、骨や筋肉が衰えて足腰が弱ってしまった犬と、生活を共にする際の注意点です。

足腰が弱った犬に生じる変化

 骨や筋肉が弱った犬に起こる変化としては、主に以下のようなものがあります。
足腰が衰えた犬に生じる変化
  • 歩くのが遅くなる
  • 走らなくなる
  • 散歩を嫌がる
  • イスやベッドの上にジャンプできなくなる
  • 足を引きずる

足腰の弱った犬への注意点

 足腰の弱った犬と同居する際は、以下のような点に注意しましょう。
体力の低下した犬への注意
  • 歩く速度を変える  犬の歩き方には、速度によってウォーク、ペイス、トロット、ギャロップなどがあります。「歩くのが遅くなったかな?」、「ちょっとしんどそうだな・・」と感じたら、今までの歩行ペースより一段階落とした速さに切り替えてみましょう。なお、自転車に乗って犬を引っ張っているだけの人は、犬の発する微妙な変化に気づきにくくなります。極力自分の足で犬を散歩させることをお勧めします。 犬の散歩
  • 散歩の時間を短くする  犬が息切れするようになったり立ち止まる時間が長くなったら、散歩の時間を短くしてみましょう。筋骨格系の衰えのほか、呼吸器系や循環器系の疾患が原因のこともありますので、以下のページを参考にしながら犬の健康状態を日々モニターします。 犬の歩き方チェック
  • 散歩補助グッズを活用する  足腰の弱った犬のための各種補助グッズを用いれば、散歩する際の足への負担を軽減することができます。具体的には、犬用車椅子、後足サポートハーネスやベスト、後足がぶらぶらして引きずってしまう犬のための固定ブーツなどです。すでに歩くのが困難になった小型犬の場合は、カートに入れて外の景色を見せるだけでも脳への刺激になります。 犬のお出かけグッズ
  • 過保護にならない  犬の骨は適度な刺激があって初めて骨量が維持されます。「犬がしんどそうだから」という理由で、今までやっていた散歩を一切やめてしまうという極端に走る必要はありません。足腰に対する適度な運動がないと、骨に対する刺激が失われ、結果として骨粗しょう症などの疾患を助長してしまうのです。ですから、犬が苦痛を感じない範囲内で、なるべく運動させてあげること、すなわち過保護にならないことも、犬の健康維持にとっては必要となります。具体的な方法は以下のページにまとめてありますのでご参照ください。 犬の老化を予防する
  • 段差や障害物をなくす  犬が関節炎などを患っている場合、縁石や階段などの上り下りが苦痛になってしまいます。散歩ルートからこうした段差をなるべくなくしましょう。また、家の中にある段差も極力減らします。具体的には、市販されている犬用スロープをイスやベッドに設置し、足腰にそれほど負担を掛けなくても登れるようにします。植木鉢など、通過するときにいちいちまたぐ必要のあるものも極力撤去しましょう。 犬の医療・介護グッズ
  • 飼い主とつかず離れずの距離  足腰の弱った犬は近くに保護者がいないと不安になり、無駄吠えが増えてしまうことがあります。常に飼い主の存在を確認できるような場所を定位置にしてあげましょう。また、飼い主のにおいがする毛布やクッションをそばに置いてあげることも効果的です。
  • 安心できるシェルターを  関節炎などを患い、慢性的な痛みに悩まされている犬は、時に攻撃的になってしまうことがあります。特に子供や子犬などが不用意に近づくと、噛みつかれてしまうこともあるため危険です。犬が少しでも安心して落ち着けるよう、壁で区切られた犬専用のシェルターを設置してあげましょう。具体的には寝返りを打てる程度のクレートやサークルなどです。 犬の睡眠・管理グッズ
  • 体の手入れを忘れない  犬の運動量が落ちると、爪が磨り減ることがなくなり、伸びやすくなってしまいます。また運動不足から肛門嚢の中に分泌液がたまり、肛門嚢炎を引き起こしやすくもなります。
     犬の散歩量が減ったタイミングで、飼い主は爪切りや肛門絞り、足裏の無駄毛カットなど、体のケアを今まで以上に行うようにしましょう。 犬の爪のケア 犬の肛門のケア
  • 肥満に注意する  犬の足腰が弱って散歩する機会が減ると、どうしてもエネルギーが余りがちになります。今までと同じ分量のエサを与え続けていると、余ったエネルギーが脂肪として蓄積され、結果として肥満を引き起こします。飼い主は犬の体の状態を常に観察しながら、肥満に陥らないよう気をつけましょう。
     なお、同じものを毎日見ていると、微妙な変化には気づかないものです。ペットの姿を一定方向から毎日写真にとって記録する、というのも1つのアイデアです。 犬の肥満
  • 床ずれに注意  床ずれとは、体の一定部位に圧力が加わることで血流が悪化し、その部位の細胞が広範囲にわたって壊死(えし)を起こすことです。足腰が弱って寝ている時間が多いこと、寝床が固いこと、中~大型犬や肥満で体重が重いこと、などの要因で発症リスクが高くなります。発症部位は体重のかかりやすい骨の突出部位で、具体的には肘、膝、尻、脚の側面です。
     床ずれ対策は、犬を緩衝性の高い柔らかいベッドに寝かせること、および2~3時間おきに寝返りを打たせることです。犬が自発的に体位を変えてくれれば問題ないのですが、体が衰弱して寝返りさえ打てない犬の場合は、飼い主が手を貸して体をひっくり返してあげる必要があります。飼い主に力が無かったり超大型犬の場合は、体の下にマットレスを敷いておき、その片側を上に引き上げるようにすればゴロンと転がってくれます。最近は老犬介護用マットレスなども市販されていますので、こうしたグッズの利用も考慮に入れましょう。 犬の医療・介護グッズ
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老犬の体温調整力が衰えた場合

 犬は暑いとき、横隔膜や肋間筋を激しく動かしてパンティング(panting)と呼ばれるあえぎ呼吸をし、気化熱を増やすことで体温を下げます。逆に寒いときは、まず立毛筋(りつもうきん)を収縮させて全身の被毛を立たせ、自前のジャケットを作り出し、体温の低下を防ぎます。それでもまだ寒いときは、体を小刻みに震わせるシバリング(shivering)によって熱を作り出し、体温を維持します。このように、犬が体温を維持しようとすると、大なり小なりエネルギーを消費する必要があるのです。
 老犬になり体力が衰えると、上記した理由により、必然的に体温調整能力も落ちます。若い頃は普通にできていた放熱・産熱が徐々にうまくいかなくなってきますので、飼い主は犬が老境に入ったタイミングで、体温調整をサポートするような環境セッティングを考えてみましょう。

暑いときの注意

 犬が体温を下げるとき、肋間筋と横隔膜を激しく動かす必要がありますが、この運動は老犬にとってはいささか重労働です。そこで、犬に関する夏の注意犬を庭や外で飼うで詳述した内容を参考に、老犬向きの暑い季節における環境セッティング考えて見ましょう。
暑いときの環境設定
  • 室温設定は犬の体高を考えて  人間と犬の体高はまるで違うため、人間の体感に合わせて室温をセッティングしていると、犬にとっては寒すぎるという状況が起こりえます。これは、冷たい空気には下に落ちるという性質があるからです。犬は被毛があるので基本的には寒さに強いですが、老犬になって体温調整力が落ちていると、今までと同じセッティングでは寒すぎるかもしれません。
  • 飲み水を絶対に切らさない  犬はパンティングと呼ばれるあえぎ呼吸によって体温を下げます。熱を外界に放出する際は、体内の水分を気化させる必要がありますので、飲み水が不足すると水分不足から脱水を起こしてしまうことがあります。常に新鮮な水を十分与えるようにしましょう。
  • 直射日光を避ける  室内犬であれ、室外犬であれ、直射日光は老犬に酷です。日光は適切な量であれば被毛の殺菌を補助してくれますが、過剰に与えた場合は犬の体温を上げすぎてしまいます。カーテンやすだれ、ビニールシートなどを利用して直射日光が当たらないようにしましょう。
  • 風を当てすぎない  犬の気化熱を補助するため、被毛や体に霧吹きで水を掛けて扇風機を当てるという裏技があります。確かに効果はあるのですが、あまり長時間扇風機の風を当てていると、目が乾燥してドライアイになったり、のどが乾燥して咽頭炎などを発症する恐れがあります。ですから、ゼーゼー息をするくらい極端に暑がっているときだけ、この裏技を使うようにしましょう。
     また、同じ理屈でエアコンの風が直接犬に当たらないようにも注意します。

寒いときの注意

 犬は被毛を羽織っているため基本的には寒さに強いですが、老犬になると寒がりになります。これは、代謝が落ちて被毛の量が少なくなり、体温が下がり気味になること、そして立毛筋の収縮力が低下し、うまく毛を逆立てることができなくなること、などが主な理由です。寒い季節には、以下の点に注意しつつ、環境設定をしてみましょう。
寒いときの環境設定
  • 室温設定は犬の体高を考えて  犬は人間よりも低い世界に暮らしていますが、このことは、犬が人間よりも3~4度温度が低い世界で生活していることを意味します。人間にとっては快適でも、犬にとっては少し寒いという可能性がありますので、常に犬の体高を考慮するようにしましょう。具体的には、犬の定位置を若い頃よりも高くしたり、室温設定を1~2度高くするなどです。
  • 定期的なブラッシングをすること  被毛を定期的にブラッシングすることで、汚れや毛玉を取り除き、犬が本来持っている被毛の防寒性を最大限に引き出してあげます。特に屋外犬の場合、室内犬に比べて酷な環境での生活を強いられることになりますので、飼い主が時間を掛けて被毛の手入れを施すようにしましょう。 犬のブラッシング
  • 防寒具を備える  犬の被毛は年齢と共に徐々に減ってきます。これは、自前の防寒具が徐々に薄くなっていく状態と同じです。結果として、老犬の体温は若い犬に比べて外に逃げやすくなっていますので、毛布など、熱を逃がさないような防寒具を用意してあげましょう。また、散歩するときにはドッグウェアを着せてあげるようにします。 犬のお出かけグッズ
  • 風を当てすぎない  エアコンの風は温かくて心地よいものですが、あまり長時間当てすぎると、目が乾燥してドライアイになったり、のどが乾燥して咽頭炎などを発症する恐れがあります。ですから、エアコンの風が直接当たらないよう、噴出し口の向きを調整しましょう。
  • 低温やけどに注意する  低温やけどとは、40度程度の低い温度によって生じるやけどのことです。犬が寒がっているからといって、人間用の電気あんか、使い捨てカイロ、電気ストーブ、電気毛布などを不用意に犬に使用すると、上記低温やけどを発症する危険性があります。直接接触させる形の防寒器具は、温度設定に気をつけると同時に、使用する際は極力ペット用の暖房器具を用いましょう。
  • ストーブを使用する際の注意  石油ストーブやガスストーブを締め切った室内で使用していると、大なり小なり炭酸ガスが発生します。この炭酸ガスは酸素よりも重いため、どうしても床近辺にたまりがちです。そして床の近くは犬の生活圏ですので、炭酸ガス中毒にかかりやすいのも犬ということになります。中毒を防ぐため、犬の定位置を上に上げたり、室内を定期的に換気するなどの配慮が必要です。また、不完全燃焼によって一酸化炭素が発生しないよう、手入れはこまめに行うようにしましょう。
  • 犬を室内へ  体温調整能力の落ちた犬を、屋外につなぎっぱなしにするのはあまりにもかわいそうです。老い先短い犬のQOL(生活の質)を高めるという観点からも、犬が老境に入ったのをきっかけに、ぜひ室内飼いに切り替えてあげてください。なお、やむをえない事情で外飼いせざるを得ない場合は、犬を庭や外で飼うを参考に、犬小屋のセッティングをしてみましょう。
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老犬の内臓が衰えた場合

 老化に伴い、体の内部にある内臓の機能も徐々に低下していきます。具体的には胃液・胆汁・膵液など消化液の分泌量低下、腸の蠕動運動低下、肝臓の機能低下などです。結果として摂取した食事を十分に分解できない消化不良や、糞便となった食事をうまく体外に排出できない便秘などが起こります。

内臓が弱った犬に生じる変化

 内臓が弱った犬に起こる変化としては、主に以下のようなものがあります。
内臓が衰えた犬に生じる変化
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 便秘
  • 体重減少

内臓が弱った犬への注意点

 内臓機能の低下に伴う症状を軽減するため、飼い主としては以下のような点に注意しましょう。
内臓の衰えに対する注意
  • 食事は柔らかいものを  老犬は内臓機能が低下しており、さらに多くの場合歯も悪くなっていますので、若い頃のように固いドライフードをガツガツと食べることはできません。老犬でも食べやすく、なおかつ消化しやすいよう、なるべく柔らかい食事を与えるようにしましょう。 犬のエサ・食事グッズ
  • 腸内で発酵する食物は避ける  老化に伴って腸の蠕動運動が低下すると、摂取した食べ物の腸内滞留時間がどうしても長くなってしまいます。ですから、腸内で発酵し、ガスを発生させるような食べ物は、あまり摂らない方がよいでしょう。これは、腸粘膜から吸収されたガスが体調不良を引き起こすことがあるためです。
  • 大量の生野菜は避ける  食物繊維を多く含む食品は、適量であれば腸の蠕動運動を活発化してくれます。しかし食物繊維とはそもそも、腸内で分解できない食品のことですので、一度に大量に与えすぎると消化不良を起こし、逆に体調不良を引き起こしてしまいます。大量の生野菜などを一気に与えないようにしましょう。
  • 食中毒に注意する  犬の胃酸は強力で、食中毒の原因となる細菌などは酸の力で殺してしまいます。しかし老犬になって胃酸の分泌量が低下すると、生来持っている殺菌能力も同時に低下し、結果として食中毒にかかりやすくなってしまいます。「老犬には柔らかい食事を」という心がけでウェットフードの割合を増やすこと自体はいいのですが、夏場、開けた缶詰を常温のまま放置したりすると、すぐに病原性の細菌が繁殖してしまいます。水分を含む食べ物は、必ず密閉して冷蔵保存するようにしましょう。ちなみに食中毒の症状は、下痢、嘔吐、発熱などです。
  • 下痢・嘔吐時の水分補給  胃腸が弱ると、下痢や嘔吐などの消化器症状を見せることがあります。犬がこうした症状を見せるとき、同時に水分も体外に放出しますが、これが脱水症状につながることがあるため要注意です。
     基本的には病院で輸液などの処置をしてもらいますが、症状が軽い場合や病院に行くまで時間がかかってしまう場合などは、応急処置を施してその場をしのぎます。具体的には、小型犬ならぬるま湯・大さじ1杯を2時間に1回の割合で与えましょう。焦って大量の水分を与えても、逆に症状を悪化させてしまうことがあります。
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