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犬や猫の殺処分について

 毎年何万匹にも及ぶ犬や猫が、殺処分(さつしょぶん)され続けています。ペットブームの裏側に潜(ひそ)む暗い話ですが、問題を解決へ導くためには、まずひとりひとりが現実を直視しなければならないでしょう。

犬や猫の殺処分はどのように行われるのか?

炭酸ガスによる窒息死です。
収容・保護された犬や猫の9割は、炭酸ガスによって窒息死させられている。  都道府県によってまちまちですが、5~20分かけて捨て犬や捨て猫を窒息死させます。一昔前はバットによる撲殺(ぼくさつ=脳天をバットで叩き割ること)、また劇薬(げきやく=硝酸ストリキニーネ)を用いた毒殺が主流でしたが、コストや職員の安全性を考慮して現在はほとんどの自治体において炭酸ガスによる窒息死(ちっそくし)が採用されています。
 捨て犬や捨て猫を窒息死させる設備は通称ドリームボックスなどと呼称されています。これは「眠るように安らかに旅立てる」という意味合いのようですが、あたかも炭酸ガスを吸っている動物が全く苦しんでいないかのような誤解を生んでしまう、危険な表現と言えます。
 なお平成23年度、36,120匹の成犬と、7,486匹の子犬が殺処分されました。この数字を具体的に「見える化」したものは、平成23年度における犬の殺処分数に示しましたので、ぜひご覧ください。
安楽死施設について  全国における動物の殺処分施設に関する統計(←別ウィンドウ・PDF)では、8割以上の92自治体(委託を含む)は炭酸ガス施設を採用しており、熊本市、京都市など15自治体は原則として獣医師が麻酔注射で1匹ずつ安楽死、そして主要都市では唯一山口県下関市にある動物ふれ愛ランド下関(←別ウィンドウ・PDF)だけが、手術で使う麻酔ガスを密閉空間で吸引させる安楽死設備を取り入れている。
 同市では平成21年度に、約8億2000万円かけて安楽死設備を導入。年間の処分費用は苦痛を伴うとされる「炭酸ガスによる窒息死」に比べ3倍の約700万円かかるという。
 内閣府の「動物の殺処分方法に関する指針」(←別ウィンドウ・PDF)では、「出来る限り動物に苦痛を与えない方法」を求めているが、強制力はなく、財政難に苦しむ自治体では安楽死施設の導入に二の足を踏み、従来の炭酸ガスに頼っているというのが現状だ(2012年6月20日・読売新聞より)。
 以下でご紹介するのは愛媛県動物愛護センターにおける犬猫殺処分業務の動画です。愛媛県では「センターがやっていることを隠すから現実が伝わらない。隠さなければ県民が現実を知り、変わってくれるはず」という信念の元、情報公開を徹底しています(詳細は今西乃子著「犬たちをおくる日」)。
【閲覧注意】犬の殺処分
 ここでご紹介(しょうかい)する映像(えいぞう)の中には残酷(ざんこく)なシーンが含まれています。現実(げんじつ)を直視(ちょくし)する覚悟(かくご)を決めた人だけご覧下さい。
殺処分の現実(前半)⇒こちら 殺処分の現実(後半)⇒こちら
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犬や猫の殺処分はなぜ行われるのか?

犬を捨てる飼い主がいるからです。
 環境省が発表した犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(平成24年度)を調べると、迷子になった末殺処分される犬のほか、飼い主が行政機関に持ち込むことによって殺処分される犬が、かなりの数に上ることがわかります。
 まず平成24年度、行政に引き取られた犬がどのような運命をたどったかを見てみましょう。 平成24年度における引き取り犬の運命内訳
  • 返還 「返還」(へんかん)とは迷子犬が飼い主の元へ戻ることで、16,166匹(22.6%)です。
  • 譲渡 「譲渡」(じょうと)とは新しい飼い主に引き取られることで、17,093匹(23.9%)です。
  • 殺処分 「殺処分」(さつしょぶん)とは文字通り炭酸ガスで人為的に犬を殺すことで、38,396匹(53.6%)です。
 このように、平成24年の1年間で38,396匹の犬が殺処分されたことがわかります。ではこのうち、「飼い主の飼育放棄」が原因の殺処分は、一体どのくらいの割合を占めるのでしょうか?
 同じく環境省が発表した犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況を見てみると、以下のようなデータを拾うことができます。 飼い主からの引取り犬数と所有者不明の引き取り犬数の割合グラフ(平成24年度)  つまり、平成24年度に引き取られた犬71,642匹のうち、16,750匹が飼い主からの引き取り、すなわち「飼育放棄」による引取りと言うことになります。これは全体の23.4%に相当する数字です。
 この23.4%という持ち込みの割合を、先ほど見た同年度の殺処分数38,396匹に当てはめて単純計算してみましょう。すると、飼い主の飼育放棄による殺処分数が8,984匹と言うことになります。この数字は必ずしも正確ではありませんが、飼い主の無責任さが原因で殺された犬の数が、概数で8,000~9,000匹に達するということはイメージできるでしょう。
 冒頭で「犬や猫の殺処分はなぜ行われるのか?」という問いに対し、「犬を捨てる飼い主がいるから」と答えました。上で示したように具体的な数字と共に考察していくと、やはりそう言わざるを得ない現状が見えてきます。ではなぜ飼い主たちは、いとも簡単に犬を捨ててしまうのでしょうか?
飼い主が犬を捨てる理由
  • 引越し先がペット禁止なので
  • 犬が大きくなって可愛くなくなったから
  • 予定外の出産で、たくさん子犬が産まれてしまったから
  • 面白半分で繁殖したけど、子犬のもらい手がいないから
  • 言うことを聞かず、うるさいだけだから
  • 経済的に余裕がないから
  • 老犬の介護がしんどくて
  • ブリーダーをやめたので、犬たちが用済みになったから
  • 夏休みで長期の旅行に行くから
  • 思っていたより臭いから
などがよくある理由ですが、どの理由をとっても、飼い主の側に知識や予測さえあれば防げるものばかりです。つまり犬や猫を捨てることに元来理由などなく、捨て犬・捨て猫とは飼い主の無責任と無知の代償を、犬や猫に押し付ける行為なのです。
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犬や猫の殺処分はどこで行われるのか?

各都道府県の動物愛護センター、及び保健所です。
語感とは裏腹に、動物愛護センターでは動物を処分することが主要な仕事になっています。  「動物愛護センター」と聞くと、捨てられた犬や猫を保護して愛護してくれる施設だと思いがちです。 しかし実際は動物愛護センターとは一定期間捨て犬や捨て猫を保護した後、殺処分する施設というのが正しい認識です。
 保護された犬や猫は、原則として3日以内に飼い主から返還要求が出されない限り、殺処分されます。具体的な日数は自治体によってまちまちですが、自治体における犬・猫の引取り等の業務実施状況内の「保管日数」という項目を見れば分かります。捨て犬や捨て猫を殺すための設備、死体を焼却するための燃料費、及び殺処分に要する人件費は全て税金でまかなわれます。あなたが一生懸命働いて稼いだお金が、一部の自己中心的な飼い主のために浪費されていると言うのが現状です。
  • 税金を使って、全く必要のない海外視察旅行に行く公務員
  • 税金を数億円単位で、チリから来た出稼ぎの女性に貢ぐ男
  • 税金を横領して競馬やパチンコなどの遊興費に費やす経理担当者
などの事件をよく耳にしますが、犬や猫を捨てる人物とこうした人物とは 直接的か間接的かという違いだけで、税金の無駄遣いに加担しているという点において本質的な違いはありません。
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犬や猫の殺処分はどうしたら減らせるのか?

一人ひとりが意識を持つことです。
 犬猫殺処分数の2~3割を占める飼育放棄に関しては、一人ひとりの自覚を高めることで、今すぐにでも減らすことができるはずです。また迷子予防や繁殖制限など、飼い主の側でできる実際的かつ効果的な方法はたくさんあります。具体的には以下のような方法です。

まずは現実を知ること

 毛皮産業の実態を知ることで毛皮に対する見方が変わるのと同じように、殺処分の実態を知ることで「ペットを飼う」ということに対する見方が変わるはずです。まずは目をそむけず、殺される動物たちの現実を知ることが最初のステップになります。
今すぐできること

命あるものを衝動買いしない

犬や猫は衝動買いの対象になるような”物”じゃない  平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、ペットと出会って24時間の内に衝動的に購入してしまう人の割合は、およそ13.5%と推計されています。しかし、こういう衝動買いをした人の一部には、「鳴き声がうるさくて・・・」とか「うんちをトイレにしてくれない・・・」とか「赤ちゃんが生まれたので・・・」など、言い訳にもならないようなことを理由にして、飼育放棄してしまう人がいます。
 飼う際に必要な様々な条件、飼育費用、犬の問題行動、老化などの現実的な負担を、たった1日で全てシミュレーションしきることなどできません。自分がペットを飼うにしても、友人知人が飼うにしても、まずは条件が整うまで飼わないという自制心が重要です。
今すぐできること

迎え入れるなら保護施設から

 ペットを飼いたいと思ったとき、まず真っ先に「ペットショップ」が思い浮かんでしまうのが現状だと思います。ショップの代わりに「動物愛護センター」や「保健所」が真っ先に来るようにしなければ殺処分数はなかなか減らないでしょう。
ドイツ・ベルリンにある犬猫の終生保護施設「ティアハイム」(tierheim)  「ドイツの犬はなぜ吠えない」(平凡社新書)によると、ドイツの「西ドイツ放送協会」では、犬の里親を探すテレビ番組があり、ドイツ全国に推定500~700あるといわれる「ティアーハイム」(tierheim直訳すれば動物の家)では、保護された犬が終生飼養され、随時里親を受付中だといいます。そして国民の多くも、当たり前のようにこうした保護施設に真っ先に足を運び、当たり前のように寄付をするというスタイルができあがっているそうです。
 日本の動物愛護センターも、独自のホームページを開設したり動物愛護週間(9月20日~26日)などを設けて告知に努めています。また、映画「ひまわりと子犬の7日間」に代表されるように、犬猫の殺処分を社会問題として提起し、愛護センターや保健所業務の認知度アップに貢献するようなコンテンツも徐々に出てきています。しかし、まだまだ認知度が足りません。
 犬や猫を飼いたいと思ったら、まずは保護施設から引き取るという選択肢を思い浮かべ、またこれからペットを飼おうとしている友人知人にも、こうした施設の存在を告知してあげることが、殺処分数を減らすことにつながるでしょう。
今すぐできること

飼ったら迷子にしない

 毎年全国では10万頭以上の犬が迷子犬として保護されています。犬が迷子になる理由としては、雷や花火に驚いて逃げ出した、散歩や旅行先でいなくなった、ドアや門の隙間から逃げ出したなどのほか、放し飼いにしていたらいなくなった、という悪質なものもあります。
 まずは迷子にしないことが重要ですが、万が一犬が迷子になったときに備え、迷子札やマイクロチップなどを装着しておくことも同じくらい重要です。迷子で収容された犬の多くは、収容期間内に飼い主と再会することができません。こうした迷子犬の数を減らすことが、殺処分数を減らすことにつながるでしょう。 犬と猫の迷子予防のための迷子札やマイクロチップ
今すぐできること

飼ったら捨てない

 一度飼うことを決めた犬猫を捨ててしまうには、幾つかの理由があると思われます。迎え入れる前のシミュレーション不足、飽き、犬の問題行動、うまくいかないしつけから感じられる自分自身の無力感、費用、介護、犬アレルギーなど色々です。
 欲しいときに欲しい情報がすぐに手に入るという状況が、飼育放棄に歯止めを掛けてくれるのなら、以下のページがいくらか役に立つでしょう。
今すぐできること

安易に増やさない

 犬や猫の殺処分を減らすためには、そもそも飼育される見込みのない子犬や子猫を増やさないことが重要です。
飼い主による飼育放棄数の内、17%は子犬が占めている  環境省が公開している犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況によると、平成24年度における犬の飼育放棄数(飼い主からの引き取り数)は、全国合計で16,750頭となっています。そしてその内の16.8%に相当する2,806頭までもが子犬だといいます。各自治体が譲渡会などで里親を探してはいるものの、こうした子犬の全てに貰い手がつくはずもなく、大多数が殺処分という憂き目に遭うのが現状です。
 行政に引き取られる子犬の数を減らし、殺処分に歯止めを掛けるためには、まず飼い犬に不妊手術を施しておくことが重要です。これだけで確実に不測の妊娠を予防することができます。また「バックヤードブリーダー」に対し、動物愛護法を中心とした法律によって規制をかけることも重要でしょう。「バックヤードブリーダー」とは、生まれてくる全ての子犬や子猫の飼育を保証できないにもかかわらず、暇つぶしや興味本位で繁殖に手を染める人のことです。
今すぐできること
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犬や猫の殺処分の現状と今後

 環境省が公開している犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況内の引き取り数、殺処分数、譲渡数データを見てみると、少しずつではありますが、殺処分数が減って譲渡数が増えつつあることを確認できます。
犬の殺処分数と譲渡数
犬の引き取り数・譲渡数・殺処分数の年次推移  今後この殺処分数をさらに減らし、限りなくゼロに近づけるためには、一人ひとりがを問題意識を持ち、「ノーキル」(No-Kill)を押し進めていく必要があるでしょう。「問題意識」の具体例としては、以下のようなものがあります。考える際のヒントとしてご参照ください。
殺処分に関連する問題点
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