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犬の悪性リンパ腫

 犬の悪性リンパ腫について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の悪性リンパ腫の病態と症状

 犬の悪性リンパ腫とは、全身のいたるところに存在しているリンパ組織がガン化した状態を言い、リンパ肉腫とも呼ばれます。
 リンパ組織とは感染症や腫瘍の広がりから体を守る免疫作用をつかさどる組織であり、具体的にはリンパ節、扁桃腺、胸腺、骨髄、腸内のパイエル板などが含まれます。
犬の悪性リンパ腫
 犬の悪性リンパ腫の症状としては以下のようなものが挙げられます。アメリカにおける複数の研究によると、犬における発症率は10万頭あたり6~30頭です。
犬の悪性リンパ腫の主症状
  • 多中心型  多中心型(たちゅうしんがた)とは体表面のリンパ節が腫れるタイプの悪性リンパ腫で、全悪性リンパ腫のおよそ8割を占める最も頻度の高いものです。あごの下のリンパ節腫脹に気づいた飼い主が病院に連れてくるパターンがほとんどだといいます。その他肝臓や脾臓が腫れておなかが張ったり膨らんだりすることもあります。通常、コリコリと触れるほどリンパ節が大きく腫れあがりますが、痛みはありません。
  • 消化器型  消化器型(しょうかきがた)はおなかや腸内のリンパ節(パイエル板)がガン化したタイプで、下痢、嘔吐、食欲不振などの症状が見られます。犬では7%以下です。
  • 縦隔型  縦隔型(じゅうかくがた)とは縦隔と呼ばれる左右の肺と胸椎、胸骨に囲まれた空間に発生したリンパ腫で、咳や呼吸困難などの症状が見られます。この型を発症した犬の約40%では高カルシウム血症を併発し、多飲多尿、嘔吐、下痢、便秘といった消化器系の症状を呈することもあります。犬では2%以下です。
  • 節外型  節外型(せつがいがた)とは、上記3タイプを除いた全てのリンパ腫を指す広い概念です。犬では7%以下とされます。神経系では末梢神経よりも中枢神経に多く、発作や麻痺などを引き起こします。皮膚の肉腫は皮膚病とよく似た外観を呈しますが、基本的に肉眼だけで皮膚病とガンとを区別することはできません。一般的にかゆみを伴います。目に発症した場合はブドウ膜炎前房出血角膜炎緑内障網膜剥離といった眼科系の多様な症状を示します。
 節外型リンパ肉腫のうち、皮膚に病変を生じるものを「皮膚型リンパ肉腫」、もしくは「表皮向性リンパ肉腫」と呼び分けることがあります。犬のリンパ肉腫のうち3~8%がこのタイプだと推計されており、発症年齢は平均9.5歳で、粘膜を含めたすべての皮膚に発症の可能性があります。
 多くの場合、皮むけを伴う全身の発赤(数mm~数cm)、かゆみ、発熱、リンパ節の腫れを特徴とする「セザリー症候群」を併発しますが、他の皮膚病と外観が似ているため、鑑別は困難です。特に脂漏症アトピー性皮膚炎膿皮症などと間違われやすく、抗生物質を始めとする皮膚病薬に反応しないことで初めて、この疾患が疑われることもしばしばです。
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犬の悪性リンパ腫の原因

 犬の悪性リンパ腫の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。残念ながら今のところ、犬の悪性リンパ腫を引き起こす明確な原因はよく分かっていません。
犬の悪性リンパ腫の主な原因
 2015年に行われたゴールデンレトリバーを対象とした調査により、B細胞性リンパ腫の発症に関わっていると考えられるDNAの一部が特定されました。両疾患を自然発症した犬と健康な犬のDNAを比較したところ、5番染色体上にある2つの遺伝子座のハプロタイプ(遺伝的に決められている染色体上のDNA配列)が発症に関わっていることがわかったといいます。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
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犬の悪性リンパ腫の治療

 犬の悪性リンパ腫の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の悪性リンパ腫の主な治療法
  • 化学療法・薬物療法  悪性リンパ腫の治療は抗がん剤による化学療法がメインとなります。およそ8割の犬に関しては、リンパ節の腫れが引き、寛解するといいます。化学療法を受けた犬の、2年後生存率は約25%です。しかし化学療法の目的は、あくまでも犬のQOL(生活の質)を維持することであり、病気を治癒することではありません。
  • 放射線療法 化学療法に反応しない腫瘍や縦隔にできた大きな腫瘍、もしくは孤立性の皮膚病変に対して行われることがあります。
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