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犬の脂漏症

 犬の脂漏症(しろうしょう)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の脂漏症の病態と症状

 犬の脂漏症とは、「malassezia pachydermatis」と呼ばれる酵母の一種によって引き起こされる皮膚炎のことです。「脂漏性皮膚炎」、「マラセチア皮膚炎」とも呼ばれます。
マラセチア属酵母の一種  マラセチアは犬の外耳道、肛門嚢、指の間、唇、皮膚粘膜などに常在しているありふれた酵母で、生後3日の子犬から検出されたという記録もあるくらいです。通常であれば、犬の皮脂腺から分泌される脂質を栄養分としながらのんびり暮らしていますが、何らかのきっかけによって突如病原体と化してしまうことがあります。この変化を生み出している要因は定かではありません。おそらく「宿主の免疫力低下」、「脂質の過剰分泌」、「皮膚表面の湿度の上昇」、「皮脂の成分の変化」、「角質層への微小ダメージ」などが複雑に絡み合って発生するのだろうと推測されています。
 犬の脂漏症の主な症状は以下です。マラセチア属は、プロテアーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、リポキシゲナーゼといった各種の分解酵素を放出し、皮膚におけるタンパク質の分解、脂肪の分解、pHの変化を誘発します。こうした変化が炎症反応を引き起こし、様々な症状として現れます。好発部位は、唇、耳、四肢の内側、腋の下、鼠径部(太ももの付け根)、しっぽの付け根などです。
脂漏症の主症状
犬に発症した脂漏症(マラセチア皮膚炎)
  • 脂っぽい滲出物
  • カビに似た悪臭
  • 被毛のべとつき
  • フケの増加
  • 発疹・紅斑
  • 引っ掻き・脱毛
  • 外耳炎
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犬の脂漏症の原因

 犬の脂漏症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
脂漏症の主な原因
  • 遺伝(?) 脂漏症を発症しやすい犬種がいくつか確認されています。具体的には、ウェストハイランドホワイトテリアトイプードルバセットハウンドダックスフントシーズージャーマンシェパードシルキーテリアイングリッシュセターなどです。
  • 皮膚環境の変化 何らかの理由で、マラセチアが常在している皮膚表面の角質層が変化してしまうと、脂漏症につながってしまう可能性があります。具体的には、長すぎる被毛による温度や湿度の上昇、成長や老化に伴うしわの出現、未知の理由による角化異常や皮脂腺からの異常分泌などです。
  • 食生活 摂取する栄養の偏りが脂漏症を引き起こす可能性があります。具体的には、脂質が多すぎる、脂質が少なすぎる、ビタミン・ミネラル不足(銅・亜鉛・ビタミンAなど)などです。
  • ホルモンの異常 甲状腺ホルモンや性ホルモンなど、体内におけるホルモンの分泌障害が脂漏症を引き起こす可能性があります。
  • アレルギー アトピー性皮膚炎接触性アレルギーを起こしやすい犬ではやや発症しやすいと言われていますので、アレルギー体質が何らかのかかわりを持っている可能性があります。マラセチアからは10を超える抗原(アレルギーの元)が確認されており、こうした抗原に対する反応の違いが、個体間における症状の有無につながっているのかもしれません。
  • ブドウ球菌 マラセチアは、皮膚の常在菌であるブドウ球菌と共生関係にあると考えられています。何らかの理由でブドウ球菌が多くなりすぎたり少なくなりすぎたりすると、共生しているマラセチアの生活リズムが崩れ、異常増殖につながってしまう可能性があります。脂漏症と膿皮症が併発しやすい理由も、ここにあるのかもしれません。
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犬の脂漏症の治療

 犬の脂漏症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
脂漏症の主な治療法
  • 基礎疾患の治療  別の疾病によって脂漏症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。たとえばホルモン異常が原因と思われる場合はホルモン剤を投与するなどです。
  • 脂分の補給  食事中の脂分が原因と考えられる場合は、脂肪酸製剤や動物性脂肪、コーンオイルなどを与えます。
  • シャンプー  脂漏症に合わせた抗脂漏シャンプーを用い、薬浴を行います。またシャンプーの後に皮膚を軟化させるリンスが用いられることもあります。なお、膿皮症を併発している場合は併せて治療することが必要です。
  • ビタミン・ミネラルの補給  ビタミンやミネラル不足が原因と考えられる場合は、補助製剤が投与されます。
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