トップ犬の選び方犬の購入・入手方法

買う?もらう?拾う?犬の入手方法・完全比較ガイド

 犬を入手する際のさまざまなルートをメリット、デメリット、特徴とともに詳しく解説します。ほとんどの人は「とりあえずペットショップへ!」と考えがちですが、そのほかにも色々と犬を手に入れる方法はあります。お金を出して犬を買う前にしっかりと比較検討しましょう。なお猫の入手に関しては姉妹サイト内「猫の入手方法・完全比較ガイド」をご参照下さい。

入手方法を決めるポイントは?

 以下は、これから犬を飼おうとする人の主な入手ルートを一覧化した表です。入手にかかる費用で「無料~安い料金で引き取る」と「高い料金で購入する」に分けてあります。
無料~安く引き取るルート
犬を無料~安く引き取るときのルートと特徴一覧表
高額で購入するルート
犬を高額で購入するときのルートと特徴一覧表  どのルートから犬を入手するにしても、以下に述べるようなポイントを抑えておくと、選ぶときのヒントになってくれるでしょう。
犬を入手するときのポイント
  • 料金・費用犬を入手する際にかかる費用のことです。主として「犬自体」にかかる料金のことであり、飼育に必要なグッズを揃えるときの料金は度外視しています。
  • 健康状態寄生虫や感染症などにかかっているかどうか、および遺伝病のリスクがあるかどうかという観点です。
  • 人馴れ人懐こい性格で人間に攻撃性を示さないという観点です。生後4ヶ月までの生育環境が決定的に重要な役割を果たします。
  • 入手条件犬を入手する際、飼い主の側に課せられる条件のことです。
  • 品種犬が純血種か雑種(ミックス種)かという観点です。純血種とは「スタンダード」(犬種標準)と呼ばれる犬の規格書に沿って人為的に繁殖された犬のことを指します(チワワ、ミニチュアダックスなど)。
  • 社会的意味犬をどこから入手するかによって社会的な意味は大きく変わります。ここでいう「社会的意味」とは、毎年行政機関で殺処分されている1万頭弱の犬たちの数に関し、自分の行為が減らす方に貢献しているのか、それとも増やす方に間接的に関わっているのかという意味です。
入手経路による特徴を1つずつもっと詳しく見ていきましょう!
NEXT:動物愛護団体から

動物愛護団体から譲り受ける

 動物愛護センター、保健所、各種動物愛護団体など、捕獲された犬や飼育放棄された犬の里親探しを行っている団体から、犬を里子として引き取るという方法です。犬の購入・入手方法~保健所や動物保護団体から譲り受ける場合

犬の費用・価格

 保健所や動物愛護センターから犬を譲り受ける場合、犬の費用は基本的に無料です。登録費がかかることもありますが、これは法律で定められたものですので犬の費用というわけではありません。しかし民間の保護団体の場合は不妊手術の費用やワクチン接種費用が里親負担になることもあります。こちらは「ほぼ無料」と言ったほうが正しいでしょう。当然ながら、犬を引き取ってからの飼育費用は毎年かかります。具体的には以下のページでシミュレーションしてください。 犬を飼う際に必要な費用 犬を飼う前に

犬の健康

 愛護センターや保健所に収容されたのが子犬の場合、親犬の素性がわかりませんので遺伝性の病気や母子感染する病気を保有している可能性もなくはありません。また血液検査などを行っていない場合もありますので、引き取った後は速やかに動物病院に行って健康診断を受けることが必要です。
 民間の保護団体の場合、子犬でも成犬でもワクチン接種や虫下しを終えているケースが大半ですので、野良犬に比べれば健康体に近いといえるでしょう。とは言え、保護犬がもともとは野犬だった場合は、犬同士の接触によって感染する病気を保有している可能性を否定できません。 犬の感染症

犬の人慣れ

 保健所や動物愛護センターに収容された犬の場合、人員や時間がよほど余っていない限り人との接触時間をわざわざ設けていることは無いと考えられます。エサや掃除の時間以外はケージ内に放置されている可能性が高いため、人慣れに関しては不十分と言えそうです。ただし飼育放棄された元ペット犬の場合、すでに人間に慣れている可能性が高いためその限りではありません。
 民間の保護団体の場合、行政機関に比べれば人慣れの重要性を認識してコンタクト時間を設けてくれています。また「預かりさん」の家で個別に保護されている場合はより濃密に人間と接する機会がありますので、人の存在や手にかなり慣れているでしょう。たいていの団体はブログやFacebookといったSNSを通じて保護犬の様子を報告していますので、確認は比較的容易です。
 近年は、里親募集型の犬猫カフェが徐々に増えつつあります。こうした施設を利用すれば、保護犬を見るだけでなく実際に触れ合うこともできますので、どの程度人間に慣れているかをよりリアルに確認できるでしょう。

入手条件

 保健所や動物愛護センターの場合、「譲渡前講習会」を受けなければ里親になれないというシステムが大半です。しかし週末ではなく平日に講習会の予定が組まれていることがありますので、社会人にとっては時間の都合が難しいかもしれません。
 民間の保護団体の場合、ペットショップのように誰かれ構わず犬を渡してしまうスタンスとは異なり、飼い主にはある一定の条件が課されます。例えば「ペット可の賃貸契約書を見せる」、「不妊手術を施す」、「外飼いは不可」、「一人暮らしは不可」、「年配の人は後見人が必要」などです。虐待目的の里親詐欺といった悪質なケースを防ぐため、事前に家を訪問する団体もあります。こうした条件は犬の健康と寿命にプラスに作用しますので、犬にとっても飼い主にとってもメリットといえます。 捨て犬を引き取るには?

犬の品種

 保健所などにいる犬は純血種、雑種、成犬、子犬などさまざまです。純血種や成犬の場合は「飼い主による飼育放棄」、雑種や子犬の場合は「野良犬の捕獲」というパターンが多いかもしれません。
 純血種の犬が一度に大量に里子に出されていた場合は、ペットショップによる悪質な丸投げ(民間人を装って機関に持ち込む)、ブリーダー崩壊、多頭飼育崩壊といった可能性が考えられます。近親交配の可能性もありますので、来歴に関しては事前の確認が必要です。

社会的な意味

 保健所や動物愛護センターに収容された犬に飼い主が見つからなかった場合、地域によって格差はありますが、規定の収容期間(3~7日)が過ぎた段階で炭酸ガスによる殺処分が行われます。こうした機関から犬を里子として引き取ることは、犬の命を救うことにつながります。犬の殺処分について

注意点・特記

 行政機関の場合、常に譲渡可能な犬が収容されているわけではありません。お住いの保健所や動物愛護センターに犬がいるかどうかは前もって確認しておく必要があります。公的な里親募集機関一覧  行政機関や民間団体以外では、動物病院がもらい手のいない犬や猫の里親を募集していることがありますので一度お近くの動物病院に問い合わせてみてください。犬猫を保護している動物病院と里親希望者とをつなぐ「Veterinary Adoption」のようなサイトもあります。
 なお当サイトのTwitterアカウントでは日本全国で開催されている官民の譲渡会情報を発信しています。ほとんどは週末に集中していますので、土日を利用して一度見学に行かれてはいかがでしょうか? 子犬のへやTwitter捨て犬を引き取るには?

動物保護団体の選び方

 以下では動物保護団体を選ぶときのチェックポイントを解説します。

第二種動物取扱業の届出済み?

 動物保護団体が居住部分と区分できる飼養施設を保有している場合、「第二種動物取扱業」の届け出を終えている必要があります。2013年9月1日より、人の居住部分と区分できる飼養施設を保有し、一定頭数(犬猫の場合は10頭)以上の動物を取り扱っている場合、所属の地方自治体に「第二種動物取扱業」として届け出ることが義務化されました(→出典)。具体的な業務内容は譲渡、保管、貸出し、訓練、展示などで、たとえ非営利の譲渡団体であっても例外にはなりません。狙いは、飼養施設に最低条件を設けることにより、動物の脱走(逸走)、不適切飼養(汚い)、周辺環境への悪影響(騒音や悪臭)を防ぐことです。
 届け出を行っても、しっかりとした施設と動物の管理が行われていない場合は、都道府県知事等からの勧告・命令の対象になります。また届出をせずに第二種動物取扱業を行った場合は30万円以下の罰金などに処せられます。施設を見学する際は床やケージがきれいに清掃されているかをチェックしてみましょう。

譲渡費用は適正?

 保護団体の中には、譲渡に際してある一定の金額を設けていることがあります。内容はマイクロチップ装着費、それまでのエサ代、ワクチン接種費用、寄生虫駆除費用、不妊手術費用、その他の医療費、移動費など、その動物の健康を保つための必要経費です。海外では「adoption fee」(譲渡費)などとも呼ばれます。
 海外では犬や猫の譲渡を安定して継続するため、シェルターに経営者を設けて事業自体をマネタイズして運営しているところもあります。しかし日本の場合、「動物のために私財を投げ打つのは当然」という意識がどこかにあり、少しでもお金の臭いがすると、たとえそれが営利目的でなかったとしても「悪徳団体だ!」と声高に叫ぶ人がいます。動物たちにとって重要なのは、適切な飼養施設と適切な管理を行うスタッフの存在、そしてシェルター自体が長く存続することであり、そうしたものにはどうしてもお金がかかります。
 譲渡時に要求される費用に違和感を感じる人は、一度保護団体のスタッフになりきり、運営資金をシミュレーションしてみてください。「適正な譲渡費」や「施設運営費」に関する見方が少し変わるかもしれません。

譲渡条件を課している?

 飼い主にどのような譲渡条件を課しているかは保護団体によってまちまちですが、多くの場合「一戸建て」、「ペット可の賃貸」、「家族がいる」、「家族全員が同意している」、「外飼い不可」、「不妊手術」などが最低条件となります。こうした条件を課していない団体の場合、悪質な飼い主や動物虐待者にうっかり犬を譲渡してしまうということがあるかもしれません。

同情疲労は起こっていない?

 保護団体の中には動物を「モノ」であるかのように表現しているところがあります。実際に見たことがある例を挙げれば、「蛇口を止める」、「売れ残り」、「安心ブランド」、「訳あり犬」、「子犬差し上げます」、「期限切れ」などです。単なる言葉の綾(あや)でおそらく悪気はないのでしょうが、長いこと譲渡活動に携わっていると、犬が動物ではなく「在庫」かなにかに思えてくるのでしょうか。必ずしもよくない団体というわけではありませんが、一般の飼い主の感覚からは距離を感じます。
NEXT:野良犬を迎える

野良犬を迎え入れる

 外を歩き回っている犬を自分の家に迎え入れてあげるという入手方法です。犬は首輪やマイクロチップをしていないことを前提としています。犬の購入・入手方法~野良犬を迎え入れる場合

犬の費用・価格

 野良犬を迎え入れる場合、ペットショップやブリーダーから購入するときにかかる10~数十万円の生体費用が全く不要になります。たとえば帰り道に通る公園で仲良くなった野良犬や、やたら人懐こく足元に擦り寄ってきてそのまま家まで付いて来た野良犬などです。そうした犬を家に迎え入れてあげれば生体にかかる費用はゼロになりますが、飼い始めてからは毎年ある程度の出費が必要になりますので、事前に飼育環境や飼育費用をシミュレーションしておくことは必須です。犬を飼う際に必要な費用

犬の健康

 野良生活が長い犬の場合、たいていはノミやダニといった外部寄生虫、および回虫や条虫と言った内部寄生虫を持っています。虫下し(駆虫薬)ですぐに駆除できますが、飼い始めてからしばらくは部屋の中を丁寧に掃除して回る必要があるでしょう。 犬の寄生虫症  不特定多数の野良犬同士が接触することにより、伝染性の感染症にかかっている可能性を否定できません。なるべく早い段階で動物病院を受診し、健康診断とともに感染症の有無を確認するようにします。すでに先住犬がいる場合、後輩犬の病気の有無によっては同居できないということも大いにありえます。 犬の感染症

犬の人慣れ

 人間との同居生活にすぐには馴染めない野良犬もいます。たとえば大きな声で鳴きわめいたり家の中でおしっこをしたりするなどです。多くの場合は1ヶ月程度で人間との生活に慣れてくれますが、それまでは少しの我慢が必要でしょう。性ホルモンに関連した問題行動は不妊手術を施すことで解決することがありますので、以下のページなどをご参照ください。 犬の不妊手術 犬のしつけ

入手条件

 野良犬には所有者がいませんので、飼い主に対して何らかの条件が課されるということはありません。しかし飼い主の側に犬を飼う準備ができているかどうかは自主的にチェックしておく必要があります。犬には毎日の散歩のほか、体重10kg未満の小型犬の場合、年間最低でも9~53万円、体重20~40kgの中大型犬の場合12~74万円超の出費が必要です。 犬を飼う際に必要な費用 犬を飼う前に  野良犬を迎え入れる人の中には、「ずっと外にいたんだから」とか「夜中の鳴き声がうるさい」という理由で外飼いにする人がいます。しかし犬の外飼いには病気(フィラリア)、暑さや寒さ、動物虐待といった非常に多くの危険がつきまといます。「どうせ拾ったんだから」という命を軽んずる気持ちが心のどこかにあるのだとしたら、もう少し犬の気持ちを知っておいたほうがよいでしょう。 犬を庭や外で飼う

犬の品種

 野良犬の品種はまちまちです。もし純血種や純血種にどことなく似ている野良犬がいた場合、どこかの飼い犬が迷子になりそのまま野良になったとか、ペット犬が遺棄された可能性が考えられます。迎え入れる際は動物病院でマイクロチップの有無を確認したほうがよいでしょう。地域によってはいまだに野犬がたくさんいる所もあります。こうした地域においては必然的に雑種が多くなるでしょう。

野良犬の選び方

 外を出歩いていても、首輪をしている犬は誰かが飼っている犬です。勝手に飼い犬にしてしまうと窃盗罪になってしまう可能性があります。しかし首輪をしていないからといってすべての犬が所有者のいない野良犬というわけではありません。保護したらいったん動物病院を受診し、健康診断とともにマイクロチップの有無を確認する必要があります。もし装着されているようであれば元の飼い主とコンタクトを取り、その犬が迷子になったのかどうかを確認します。
 中には、マイクロチップを装着しているにも関わらず公園や森のなかに遺棄する無責任な人がいますので、犬が見つかったというニュースを聞いた時、「本当ですか?よかった~!」とポジティブなリアクションを見せるか、それとも「はぁ…そうですか」というネガティブなリアクションを見せるかをよく観察するようにします。後者の場合「うちで飼ってもいいですけど」と提案してみましょう。
 マイクロチップを装着していない場合、近所を歩き回って迷子ポスターが出ていないかどうかを確認し、ネットの迷子犬掲示板などで飼い主が探していないかどうかをチェックします。首輪もマイクロチップも犬を探している飼い主もいない場合、その犬は所有者のいない野良犬ということになります。

社会的な意味

 野良犬を迎え入れることには不幸な命の連鎖を断ち切るという大きな意味があります。ここで言う「不幸な命の連鎖」とは、野良犬が産んだ子犬が飢えや乾き、暑さや寒さ、病気や虐待といった苦しみに苛まれながら生きていくことです。また保健所や動物愛護センターに収容され、飼い主が見つからないまま殺処分という憂き目に遭うことも含まれます。野良犬を飼ってあげればこうした連鎖が断ち切られ、不幸を味わう子犬の数が減ってくれるでしょう。これが野良犬を飼い犬にすることの大きなメリットの1つです。 犬の殺処分について

注意点・特記

 野良犬が産み落としたばかり子犬の中には、周囲に親犬の姿が見えず、捨てられているかのような印象を与えるものもいます。しかし実際には、親が一時的に獲物やエサを探しに行っているだけかもしれません。しっかりと子犬を迎え入れる気持ちがないのにもかかわらず、むやみやたらに子犬を触ってしまうと、体に人間の匂いが移ってしまい、母犬が育児を放棄してしまうことがあります。
 子犬を迎えたい場合は、明らかに母犬の姿が見えないことや戻ってくる気配がないことを確認し、一生涯の責任を持つ覚悟や確実に飼い主を探してあげる覚悟を決めてから保護するのが原則です。子犬の育て方 NEXT:ペットショップから

ペットショップで購入する

 犬や猫の生体販売を行う店、通称ペットショップで犬を購入するという方法です。法律上、第一種動物取扱の「販売」という登録をする必要があります。犬の購入・入手方法~ペットショップで購入する場合

犬の費用・価格

 ペットショップにおける犬の価格は10万円を切るものから数十万円に及ぶものまでさまざまです。また需要と供給のバランスで仕入れ値が決まりますので、季節やブームによって小売値が上下動することもあります。犬をまるでモノでも扱うように「クリスマスセール」や「2割引」という割引が行われることもあり、一括以外にローンという支払い方法もあります。その他、ワクチン接種、マイクロチップ装着、寄生虫予防、電話相談サービスなどがオプションでついてくることもあり、法律で義務付けられている市区町村への登録を代行してくれるお店もあります。

犬の健康

 ペットショップで売られている犬は野良犬のように外を出歩いていたわけではないため、感染症や寄生虫の感染率は比較的低いと考えられます。しかし犬の繁殖を行ったブリーダーの質や移動過程で通過したオークション会場の衛生状態によっては、病原菌をもらってしまう可能性を否定できません。
 例えば北里大学獣医学部小動物内科学研究室の調査チームが行った調査によると、東北地方にある4ヶ所のペットショップで2008年と2013年におけるジアルジアの感染率を比較したところ、2008年が24.8%(162/654)、2013年が29.5%(177/600)となり、5年間でほぼ変わっていないという事実が明らかになったといいます(→詳細)。また2008年10月には、北海道にあるペットショップでイヌアデノウイルスI型によるイヌ伝染性肝炎の集団感染例が報告されています(→出典)。
 上記したような寄生虫や病原菌の他、純血種にはかかりやすい病気というものがあります。ブリーダーがしっかりとした遺伝子検査を行っていない場合、子犬が疾患遺伝子を保有していることも少なくありません。

犬の人慣れ

 犬の社会化期は生後3~13週と考えられており、この時期をどう過ごすかが後の性格に大きな影響を及ぼします。
 例えば日本とアメリカによる共同研究チームが行った調査では、ペットショップで購入された3ヶ月齢以下の犬では「見知らぬ人への攻撃性」、「過剰な活動性」、「無生物に対する恐怖」、「見知らぬ犬への恐怖」、「見知らぬ犬への攻撃性」がブリーダー経由の犬よりも高くなる傾向があったと報告されています(→詳細)。また2013年にSerpellらが行った調査では、「ペットショップ経由の犬は同居している人間、見知らぬ人間、他の犬に対する攻撃性が強い/他の犬や無生物に対する恐怖が強い/分離不安や粗相の問題が多い」との結論に至っています(→出典)。
 現在日本国内では動物愛護管理法により、2016年9月以降「49日齢(7週齢)未満の子獣を販売業者に引き渡してはならない」と規定されているため、まっとうなペットショップに生後7週齢未満の子犬が並ぶことはありません。しかし問題なのは、生後7週齢に達するまでの間、犬がどのように過ごしたかという点です。ほとんどの子犬は生後13週齢になる前の段階で母犬から引き離されていますので、ずっと母犬と一緒だった犬に比べると何らかの問題行動を起こす可能性は高いと考えられます。またショーケースの中に入れたまま放置しているような店は、動物のことを全く理解していない悪質な店舗であることは言うまでもありません。

購入条件

 動物保護団体から譲り受ける場合とは違い、基本的にペットショップが飼い主に何らかの条件を課すということはありません。法律で規定されている「対面説明が必要な18項目」中の「飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模」、「適切な給餌及び給水の方法」、「適切な運動及び休養の方法」を口頭で説明し、「大丈夫ですよね?」と確認して終わりです。

犬の品種

 ペットショップで売られているのは一般的に純血種と呼ばれている犬たちです。「純血種」とは、品種を取り決める国際組織が「スタンダード」という基準を設け、「この基準を満たした犬だけを純血とする!」と勝手に決めつけたものです。
 「血統書」とは犬が純血種であることを第三者が証明した証で、血統書がついてくる場合と付いて来ない場合があります。ついてこない場合はブリーダーの名前が不確かになりがちですので事前の確認が必要でしょう。また近年は「ミックス」という新しいジャンルが生まれつつあります。これは純血種同士をかけ合わせた犬のことで犬種協会には品種として認められていませんので、必然的に古くからある犬種協会の血統書もついてきません。 犬の種類一覧 血統書について

購入時期

 ショップ犬の場合、ブリーダーが強引にメス犬の発情を促しているケースもあります。どの季節でもショーウィンドウから子犬の姿が途切れないのはそのためです。
 購入に適した時期があるのかどうかはわかりませんが、「開店セール」や「クリスマスセール」など、まるで犬をバーゲン品のように売っている店もありますので、生体価格を重んじる人にとっては多少意味があるかもしれません。また店頭で売れ残った犬は、時間の経過とともに少しずつ値引きされていきます。

社会的な意味

 日本国内では毎年1万頭近い犬が殺処分されています。こうした殺処分が行われる理由の1つは、動物愛護センターや保健所に収容された犬たちに飼い主が現れないことです。そしてペットショップで犬を販売するという行為が、保護された犬たちが譲渡される確率を下げていることは間違いありません。
 2015年10月に発行された「アエラNo.44」(朝日新聞社)内の記事「年2万匹死ぬ流通の闇」(P62)によって、犬の年間流通量が2014年度で推定617,009頭であることが明らかになりました。さらに流通過程で死亡した犬と猫の数をカウントしたところ、23,181頭という膨大な数になることが判明したといいます。
 2016年度における犬の殺処分数は成犬8,481と子犬1,943で合計10,424頭です。もし世の中にペットショップというものがなかったら、殺処分された1万頭近い犬たちの命全てが助かっていた可能性もあります。犬の殺処分について

ペットショップの選び方

 以下では悪質なペットショップを見分けるときのポイントを解説します。

標識が店舗内に掲示してあるか?

 改正動物愛護管理法(2006年6月~)の施行により、登録業者を証明する標識の掲示が義務化されました。悪質なペットショップの場合、店舗内のわかりやすい場所にちゃんと掲示していません。またインターネット上のサイトは「広告」に該当すると考えられ、環境省のガイダンスでは業者の「氏名又は名称、事業所の名称及び所在地、動物取扱業の種別、登録番号並びに登録年月日及び登録の有効期間の末日並びに動物取扱責任者の氏名を掲載すること」と規定されています(→出典)。悪質なペットショップの場合、サイト内に第一種動物取扱業者の詳細が記載されていません。

犬に関する知識が豊富か?

 悪質なペットショップの場合、店員が犬の原産国、ルーツ、性格の特徴などの基本的な質問に答えられません。また純血種にはかかりやすい病気というものがあります。悪質なペットショップの場合、事前にそうしたリスクのことをしっかり説明してくれません。

ライフスタイルに合う犬を勧めてくれるか?

 悪質なペットショップの場合、犬のいい点だけをやたら強調し、「お似合いですよ」的なお愛想を言ってきたり、「抱っこさせたら勝ち!」とばかりにやたら犬とのスキンシップを勧めて購入を促してきます。個人のライフスタイルをよく確かめませんので、一人暮らしで長時間家を空ける人に手のかかる子犬を販売したり、賃貸契約で「ペット不可」となっている人に犬を販売するというケースも当然ありえます。科学的な根拠が薄いにもかかわらずトイプードルを「アレルギーになりにくい犬」と称して犬アレルギーの人に売ってしまうと、最悪のケースでは飼育放棄につながってしまうでしょう。

子犬同士で遊ぶ時間を設けているか?

 子犬は他の犬と遊ぶことで身体能力、バランス力、社会性などを身に付けます。悪質なペットショップの場合、プレイルームやプレイタイムを設けておらず、子犬を孤立したゲージに入れっぱなしにしています。犬の福祉を完全に無視した「移動ペットショップ」などは論外です。 子犬の社会化期

子犬の居場所が衛生的か?

 子犬の排泄物には寄生虫の卵や原虫が含まれている可能性があり、他の子犬に容易に移してしまいます。悪質なペットショップの場合、ケージの中にうんちやおしっこが放置されたままになっていたり、汚れたペットシーツを交換せずそのままにしています。ひどいところでは、トイレやシーツの上で子犬が寝ていることもあります。またケージや食器の手入れが不十分で汚れたままになっており、店内には悪臭が漂っています。 悪質なペットショップの場合、犬のケージ内がしっかり清掃されていない

生後一ヶ月程度で売られていないか?

 動物愛護管理法により、繁殖業者からペット販売業者への子犬や子猫の引き渡し時期が徐々に引き延ばされる見通しになっており、2016年9月からは「49日齢(7週齢)未満の子獣を販売業者に引き渡してはならない」とされています(→出典)。悪質なペットショップの場合、この法律を無視して極端に幼い子犬や子猫を販売しています。 動物愛護法~2012年度改正部分

子犬を競り市から仕入れていないか?

 子犬を大量に売りさばく大手のペットショップは多くの場合、商品である犬を「競り市」(オークション)から仕入れます。しかし競り市(オークション)の会場ではしっかりとした健康チェックが行われておらず、感染症や寄生虫をもった子犬が入場を許可されることもしばしばです。悪質なペットショップの場合、仕入れた子犬に検疫期間を設けずにすぐ売り場に出します。結果として、購入者の家についてから具合が悪くなり、飼い主に高額な医療費を負担させます。犬・猫のオークション(子犬のへや)オークy村会場でまるでモノのように扱われる子犬たちの様子

生命補償制度の内容に問題はないか?

 子犬がある一定期間内に病気にかかったり死亡したときのため、補償制度を設けているショップがあります。悪質なペットショップの場合、この補償内容がショップに有利になるように一方的に決められています。契約書の端にあるアリンコのように小さな文字を確認してみましょう。「ただし」で始まる文章はありませんか?受診する病院がショップ提携のものに限定されていませんか?そうした細かいところまでチェックしないと、後で痛い目にあいます。

注意事項を書面でくれるか?

 改正動物愛護管理法(2006年6月~)の施行により、販売に際しては飼育方法や病気の有無を記載した書面を交付することが義務付けられました。また2013年9月からは、動物を販売する場合は購入者に対してあらかじめその動物の現状を直接見せることが義務付けられ、また同時にその動物の特徴や適切な飼養方法等について、「対面で文書を用いて」説明することも規定されています。悪質なペットショップの場合、法律で規定されている「対面説明が必要な18項目」をしっかりと説明をせずコピーした文書を渡して終わりです。

親犬やブリーダー情報をくれるか?

 子犬が遺伝性の疾患にかかっていないかどうかは親犬の遺伝子にかかっています。そしてその親犬の遺伝子を管理しているのはブリーダーです。悪質なペットショップの場合、親犬やブリーダーのことを聞いてもはっきりと答えてくれませんし、オークション経由の場合はそもそも知らないこともあります。あるいは「血統書に記載されています」としてその場で情報をくれないこともあります。飼い主にとって重要なのは「ブリーダーはしっかりした人なのか?」、「子犬は健全な離乳をしたのか?」、「親犬に遺伝性疾患はないのか?」、「日本国内で可能な遺伝子検査は終えているのか?」という点を事前に確かめることです。確認のための重要な情報をなかなか提供しないということは、ブリーダーに問題があるか、ショップに問題があるか、あるいはその両方ということです。
 子犬がいったいどのような流通経路を通じてペットショップに陳列されているのかに関しては以下のページもご参照ください。 ペットショップで犬を買う前に NEXT:ブリーダーから

ブリーダーから購入する

 犬を繁殖し、生まれた子犬を商品として販売する人を一般的にブリーダーといいます。ペットショップ経由ではなくダイレクトにブリーダーから子犬を購入するという方法です。法律上、ブリーダーは第一種動物取扱の「販売」という登録をする必要があります。犬の購入・入手方法~ブリーダーから購入する場合

犬の費用・価格

 ブリーダーにおける犬の価格は10万円を切るものから数十万円に及ぶものまでさまざまです。需要と供給のバランスで仕入れ値が決まりますので、季節やブームによって売値が上下動することもあります。仲買業者を挟まない分、価格はペットショップに比べて安いようです。

犬の健康

 野良犬のように外を出歩いていたわけではないため、感染症や寄生虫の感染率は比較的低いと考えられます。しかし犬の繁殖を行ったブリーダーの質によっては寄生虫や感染症をもっている可能性もあります。
 また純血種にはかかりやすい病気というものがあります。ブリーダーがしっかりとした遺伝子検査を行っていない場合、子犬が疾患遺伝子を保有していることも少なくありません。
 例えば鹿児島大学を中心とした研究チームは、日本国内で2003年から2014年の間ずっと人気犬種のTOP3を占めているトイプードルチワワミニチュアダックスフントの3犬種を対象に、「進行性杆体錐体変性症」(PRCD)を生み出す「PRCD遺伝子」の保有率を調査しました。その結果、トイプードル(200頭)で16.5%という高い保有率が確認されたといいます。「進行性杆体錐体変性症」(PRCD)の遺伝子検査は2006年の時点ですでに開発されています。全てのブリーダーが責任をもって遺伝子検査を行い、原因遺伝子のキャリアを繁殖犬の中から除外する努力をしていれば、「16.5%」などという高い数字が出るわけはないでしょう。 トイプードルの「進行性杆体錐体変性症」(PRCD)関連遺伝子

犬の人慣れ

 たいていはきょうだい犬と一緒に管理されていますので、ケージの中に閉じ込められたペットショップの犬よりは人慣れや社会化が進んでいると考えられます。またブリーダーの中には「生後60日を過ぎてからお渡し」など、引き渡しの期限を設けている人もいます。こうした期限には犬の社会化期の中で最も重要である6~8週齢が終わったタイミングを待つという意味、そして新生子の死亡率が高い生後2ヶ月以内に購入者に渡してトラブルに発展するのを避けるなどの意味があります。

購入条件

 ペットショップとは違い、飼い主候補者に対して一定の条件を課す人がいます。たとえば「家族全員が同意していること」、「犬アレルギーがないこと」、「不妊手術を施すこと」などです。最後の不妊手術に関しては、購入者が繁殖で商売を始めたり他のブリーダーに転売することを避けるための条件ですので、必ずしも犬の福祉を考えたものではありません。

犬の品種

 ブリーダーが販売しているのは一般的に純血種と呼ばれている犬たちです。「純血種」とは、品種を取り決める国際組織が「スタンダード」という基準を設け、「この基準を満たした犬だけを純血とする!」と勝手に決めつけたものです。
 「血統書」とは犬が純血種であることを第三者が証明した証で、ブリーダー経由で購入するときは多くの場合付いてきます。ただし純血種同士をかけ合わせた「ミックス」というジャンルの場合、犬種協会に品種として認められていませんので、必然的に古くからある犬種協会の血統書もついてきません。 犬の種類一覧 血統書について

社会的な意味

 ペットショップの場合と同様、犬をわざわざ繁殖させて売るという行為は、施設に収容されている犬が譲渡される確率を下げるものです。「私たちは犬の血統を守っているんだ!」と主張する声も聞かれますが、その血統自体、顔も見たことない誰かが勝手に決めたものですので、そもそも価値があるのかどうかは議論が分かれるところでしょう。特に先天的な疾患を山ほど抱えているシャーペイといった品種には、血統としてどのような価値があるのかはさっぱりわかりません。またパグフレンチブルドッグに代表される鼻ぺちゃの短頭種は、潰瘍性角膜病変や脊髄空洞症の発症リスクを高めていることが明らかになっています。品種を固定することと病気を固定することとは時として同じことを意味していますので、場合によっては繁殖すること自体が虐待になってしまいます。ペット犬の役割は、健康問題で飼い主に心配をかけず、生活に寄り添うことですから。

注意点・特記

 ペットショップと比較し、犬がどのような環境で生まれ育ったのかを直に確認できるのは大きなメリットです。しかし第一種動物取扱の登録を受けた業者を、地方自治体が抜き打ち検査することはありません。その結果、登録はあるけれども劣悪な環境下で犬の繁殖を行っている「繁殖屋」(パピーミルとも)が一部にいるというのが現状です。「見学お断り」というブリーダーがいた場合、購入者に見てほしくない何かがあるものと考えられます。

ブリーダーの選び方

 以下では悪質なブリーダーを見分けるときのポイントを解説します。

特定犬種を長く繁殖しているか

 流行犬種ばかりをとっかえひっかえ繁殖しているブリーダーは危険です。その犬が好きで仕事をしているというより、金儲けが優先されている可能性があります。

余りに多くの犬種を繁殖していないか

 何種類もの犬種を良い状態で繁殖させるのは実際困難です。多くの犬種を繁殖させる代わりに、一つ一つの繁殖の質が落とされている危険性もあります。

施設は清潔か

 当たり前のことを当たり前のように実行していることがよいブリーダーの必須条件です。施設が不衛生だったり「見学お断り」などと言うブリーダーはその時点で論外でしょう。施設の見学を断るブリーダーはパピーミルの可能性が高い

繁殖に用いた母犬や老犬の面倒を見ているか

 悪質なブリーダーの場合、繁殖を終えて引退した母犬や老犬の面倒を放棄し、「引き取り屋」と呼ばれる業者にお金を払ってお払い箱にすることがあります。引き取り屋の狭いケージ内にすし詰めにされた犬たちの哀れな姿

事前の説明はしっかりしているか

 悪質なブリーダーの場合、金儲け主義のペットショップのように犬の良い点だけを説明して押し売ろうとします。法律で規定されている「対面説明が必要な18項目」をしっかりと説明してくれません。

飼育環境を聞いてくるか

 犬を大切に思っているブリーダーなら、かわいい我が子をいい加減な購入者には譲ろうとしません。その結果、飼い主の飼育環境に関してある程度は突っ込んだ質問をしてくるはずです。例えば一戸建てか賃貸か、賃貸なら「ペット可」かどうか、室内飼いはできるかなどです。悪質なブリーダーの場合、そういった質問は一切せず「来る者は拒まず」の精神で子犬をどんどん売りさばきます。ちなみに「不妊手術」を条件にしているブリーダーが多い理由は、売った子犬が繁殖犬として用いられるケースがあるためであり、必ずしも犬の福祉を考慮したものではありません。

子犬の社会化期は終えているか

 犬の性格形成にとって生後3~13週は極めて重要です。たくさんの犬や猫、動物、人間の元でこの時期をすごすと、人なつこく元気の良い犬に育つことが多くなります。良心的なブリーダーならこの時期を終えてから売りに出すか、もし時期を終えていなくても、飼い主にその時期をどう送るかについて詳しく説明をしてくれるはずです。子犬の社会化期

遺伝病に関する知識は豊富か

 純血種には品種特有のかかりやすい病気というものがあります。悪質なブリーダーの場合、事前にそうしたリスクのことをしっかり説明してくれませんし、そもそも遺伝病に関する知識がありません。「進行性杆体錐体変性症」(PRCD)の遺伝子を保有したトイプードルが市場にあふれているのがその証拠です。遺伝病の中には事前に検査が可能なものもあります。親犬がしっかりと検査を終えているかどうかは確かめたほうがよいでしょう。
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通信販売で購入する

 近年では家具や家電同様、ペットもインターネットを通じて販売されています。ペットショップが運営している販売サイトやブリーダーを仲介している販売サイトもありますが、ここでは個人が行っている通信販売を取り上げます。法律上、通販業者は第一種動物取扱の「販売」で登録しておく必要があり、また特定商取引法により「特定商取引に関する表示」を掲載する義務があります。 犬の購入・入手方法~通販サイトを利用して購入する場合

犬の費用・価格

 個人で繁殖と販売を行っている場合、犬の価格は10万円を切るものから数十万円に及ぶものまでさまざまです。ペットショップの販売サイトやブリーダーの仲介サイトなどと比較し、価格が高めなのか安めなのかを判断する必要があるでしょう。

犬の健康

 野良犬のように外を出歩いていたわけではないため、感染症や寄生虫の感染率は比較的低いと考えられます。しかし繁殖者の質によっては寄生虫や感染症を持っているかもしれません。繁殖者の質を確かめるため、実際に施設を見学することをおすすめします。「一般家庭なので見学はちょっと…」という場合は、見てほしくない何かがあるはずです。

犬の人慣れ

 犬の性格形成は生後3~13週齢に行われますので、子犬の生育環境は重要です。あまりにも早い段階で売りに出されている場合は、繁殖者が犬の社会化期の重要性を理解していない可能性があります。社会化期の重要性を理解していないということは、ペットブームに便乗したにわかブリーダーなのかもしれません。

購入条件

 購入者に対して何らかの条件を課すかどうかは、繁殖者がどのくらい犬に対して愛着を抱いているかにかかっています。犬を商品としてしか見ていないなら、法律で規定されている「対面説明が必要な18項目」を早口で説明して終わりです。多少なりとも愛着を抱いているなら、「家族全員が同意していること」、「犬アレルギーがないこと」といった軽い条件を課すでしょう。

犬の品種

 売られているのは一般的に純血種と呼ばれている犬たちです。「純血種」とは、品種を取り決める国際組織が「スタンダード」という基準を設け、「この基準を満たした犬だけを純血とする!」と勝手に決めつけたものです。純血種同士をかけ合わせた「ミックス」は犬種協会で公認されていませんので、必然的に古くからある犬種協会の血統書はついてきません。血統書について

社会的な意味

 2013年9月1日から施行された改正動物愛護管理法により、「ペット販売時の対面説明」が義務化され、たとえネット販売であっても顧客に対面して飼育方法などを説明することが業者に義務づけられました。
 法改正前までは、ネット上に写真や動画をアップし、それを見て気に入った購入者に対して通信販売のように「商品である犬を送る」というビジネスモデルが成立していました。しかしその歪(ひずみ)として数多くの問題も報告されていました。例えば国民生活センターが統計を取り始めた2006年度以降、ペット通販に関する苦情は2011年度までに約960件を数えたといいます。具体的な内容は「購入後すぐ死んだ」、「代金を払ったのに届かない」、「病院で検査を受けたら病気が見つかった」などです。
 法改正によって対面説明が義務化されたことにより、遅かれ早かれ販売者と購入者は実際に会う必要が生じました。購入者が販売者のもとに出向くというパターンのほか、販売者やその代理業者が購入者の家、もしくは中間地点で対面説明と生体の輸送を行うというパターンがあります。こうした直接的な対面が義務化されたことにより、これまであった「代金を払ったのに届かない」とか「頼んでいた犬と違う」といった悪質な詐欺ケースは減るものと期待されます。

注意点・特記

 家にいながらにして犬を比較検討できるということは、店に足を運ぶという時間と労力を省略してくれるという点において大きなメリットです。しかしパソコンの画面から知ることのできる情報は限られています。子犬の動きや鳴き声、親犬の性格や健康状態など、その子の成長を予想する上で重要な情報まではわかりません。またインターネット上ではとびきりかわいい写真を掲載していることがほとんどです。実物を確認したら子犬が成長して一回り大きくなっており、「ちょっと違う…」となるかもしれません。
 動物愛護法により2016年9月以降、生後49日を経過しない犬及び犬の販売又は販売のための引渡し・展示は禁止されています(→出典)。しかし「展示」という言葉が「同一空間内において動物を購入者に見せること」と解釈されているため、ネット上には生後30日(4週齢)足らずの子犬たちが写真や動画という形で掲載されています。こうした幼齢の動物は購入者たちに「かわいい~!」という気持ちを起こさせ、衝動買いを助長するものです。

通販業者の選び方

 改正動物愛護管理法(2006年6月~)の施行により、登録業者を証明する標識の掲示が義務化されました。また環境省のガイダンスでは、広告を行う場合は動物取扱業者の「氏名又は名称、事業所の名称及び所在地、動物取扱業の種別、登録番号並びに登録年月日及び登録の有効期間の末日並びに動物取扱責任者の氏名を掲載すること」と規定されています(→出典)。インターネット上のサイトは「広告」に該当すると考えられますので、法人であれ個人であれ、サイト内に「第一種動物取扱業者」の詳細が記載されていなければなりません。また個人や業者の繁殖施設を見学した際は、動物取扱業者の登録証明書がわかりやすい場所に掲示されているかどうかを確認するようにします。
 さらに「特定商取引法」の規定により、通販業者は「特定商取引に関する表示」を掲載する義務があります(→出典)。
 ペットショップやブリーダー仲介サイトでは多くの場合疾病補償や死亡補償がついてきます。個人で行っている通販サイトがどのような補償制度を設けているかどうかは確認しておく必要があるでしょう。 NEXT:知人から

知人から譲り受ける

 知人の飼っている犬が子犬を産んだときなど、無料で譲り受けるという入手経路です。犬の購入・入手方法~知人から譲り受ける場合

犬の費用・価格

 知人から犬をもらい受ける場合、費用はかかりません。逆に費用を取ると動物愛護法違反になる恐れがあります。特に繁殖を頻繁に行い、そのたびごとに飼い主を探していくばくかの費用を取っているような場合は要注意です。複数回の繰り返しは繁殖と販売を「業」として行っているとみなされ、第一種動物取扱「販売」の登録が必要となります。 弁護士ドットコム

犬の健康

 里親募集を行っている人が親犬の虫下しや感染症予防をしっかりと行っている場合は、生まれてくる子犬も健康であると考えられます。しかし劣悪環境下で多頭飼育しており、部屋の中に糞尿の臭いが充満しているような場合は注意が必要でしょう。またペットショップで買った純血種の犬を元に繁殖を行った場合、遺伝病を抱えている可能性があります。たとえばトイプードルを面白半分で繁殖してしまった場合などです。

犬の人慣れ

 きょうだい犬と同じ環境で育てられているケースが多いため、比較的人慣れや社会化は進んでいると考えられます。ただし犬の性格形成は生後3~13週齢と考えられていますので、それ以前の段階で子犬を引き離しているような場合はその限りではありません。

入手条件

 野良犬の場合と同様、飼い主に対して何らかの条件が課されるということは基本的にありません。しかし飼い主に犬を飼う準備ができているかどうかは自主的にチェックしておく必要があります。犬には毎日の散歩のほか、体重10kg未満の小型犬の場合、年間最低でも9~53万円、体重20~40kgの中大型犬の場合12~74万円超の出費が必要です。特に知人から譲り受ける場合は、飼育環境が整っていないにも関わらず、見切り発車で引き受けてしまうことがよくあります。事前によく生活環境をチェックしておく必要があるでしょう。 犬を飼う前に 子犬の育て方

社会的な意味

 繁殖を行う素人のことを「ホビーブリーダー」とか「バックヤードブリーダー」といいます。繁殖を行う理由は色々ありますが、「メス犬として生まれたのだから出産という一大イベントを経験させてあげたい」とか、「子犬が生まれる瞬間を子供に見せて情操教育につなげたい」といった自分勝手なものがあります。こうしたいい加減な繁殖は全て、保健所や動物愛護センターで保護されている犬たちの里親候補者を目減りさせる行為です。直接的に手を下しているわけではありませんが、間接的には犬たちの殺処分を助長しています。 犬の殺処分について

注意点・特記

 ネット上で「子犬を保護しました!誰かもらってください」という告知をよく見かけます。しかしよくよく調べてみると、飼い主がペットの不妊手術を行っておらず、ペット同士が交尾をして妊娠してしまったというケースがあります。金銭を要求するような場合は、先述したように犯罪になる可能性もあるため、呼びかけを行っている人間の素性はしっかりと確認したほうがよいでしょう。