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犬の飼い始めに必要な費用

 犬を飼い始めた時、真っ先に必要となる出費の一覧リストです。住んでいる地域や選ぶ商品によって大きく変動しますが、最低でも5万円、場合によっては14万円以上の費用がかかることもあります。小型犬の方が体が小さい分、大型犬よりもいくらか安くなります。なお犬の購入費用は含まれていません。
犬の飼い始めに必要な費用一覧
犬を飼い始めた時、真っ先に必要となる出費の一覧リストです

犬の登録費用

 狂犬病予防法(第一章の第四条)により、犬の飼い主には飼い犬を市区町村に登録すること、および交付された鑑札を犬に装着することが義務付けられています。鑑札がない犬は捕獲の対象になり、また飼い主が20万円以下の罰金に処せられる場合があります。登録に必要なのは印鑑と登録手数料3,000円です。
 登録に際しては以下のような期限が設けられています。期限を過ぎたからといって登録を受け付けなくなるわけではありません。また動物病院やペットショップの中には、市区町村から委託を受けて登録を代行しているところがありますので事前にご確認ください。
犬の登録期限
  • 生後90日齢以下の犬生後90日齢以下の子犬を取得した場合は生後91日齢~120日齢の間に登録を済ませることになっています。登録先は居住地を管轄する市区町村です。ペットショップなどで犬を購入した場合はこちらのパターンになるでしょう。
  • 生後91日齢以上の犬生後91日齢以上の子犬や成犬を取得した場合は取得した日から30日以内に登録を済ませることになっています。登録先は居住地を管轄する市区町村です。動物愛護センターや譲渡会などで成犬を迎えた場合はこちらのパターンになるでしょう。
 小型犬だろうが大型犬だろうが登録手数料は1頭につき3,000円ですので、2頭同時に行う場合は倍の6,000円になります。原簿への登録が終わった犬に対しては、市区町村からその証明として「鑑札」(かんさつ)と呼ばれる札が与えられます。飼い主はこの鑑札を犬に装着しなければなりません。なくした場合は再交付料金として登録手数料の半額程度が改めてかかります。
 ちなみに2007年、それまで全国統一だった鑑札のデザインを各市区町村が自由に決められるようになりました。例えば以下のようなものもあります。 鑑札デザイン一覧 日本全国にあるオリジナルデザインの鑑札一覧  犬の登録は1年に1回行うといった更新制ではありませんが、以下のような場合は改めて登録をやり直す必要があります。登録期限は全て「変更があってから30日以内」です。
犬の再登録
  • 犬の所有者が変わった
  • 飼い主が引っ越した
  • 犬が死亡した
 オンラインで申請や届出のできる項目もありますので、事前に所属市区町村のホームページなどをご確認ください。

狂犬病予防法注射の費用

 狂犬病予防法(第一章の第五条)により、犬の飼い主は毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせる義務があります。また市区町村から交付される「注射済票」を犬に装着しなければなりません。注射済票がない犬は捕獲の対象になり、また飼い主が20万円以下の罰金に処せられる場合があります。注射料金と交付手数料のトータルはおおむね4,000円以内です。動物病院の中には、市区町村から委託を受けて注射済票の交付を代行しているところがありますので事前にご確認ください。

狂犬病予防注射

 狂犬病予防法施行規則では「4月1日から6月30日までの間に受けなさい」と規定されているものの、犬の誕生日が大きく離れていたり飼い主の都合が悪くてできないことだってあります。そうした場合に備え、注射の受け方には「集団接種」と「個別接種」の2パターンがあります。
狂犬病予防注射の受け方
  • 集団予防接種集団予防接種は市区町村が獣医師会などに委託して行う集団注射です。毎年4~6月ごろ、犬の登録を終えた飼い主のもとに場所と日時が記載されたお知らせハガキが来ます。注射料金は委託を受けた獣医師会が設定しますが、おおむね1回につき3,000円程度です。小型犬だから安くなるということはありません。
  • 個別予防接種個別予防接種は動物病院で行う予防接種です。集団接種とは違い、1年中いつでも受けることができます。料金は動物病院によってまちまちですが、集団接種の場合と同様、小型犬だから安くなるということはありません。獣医師会に所属している場合は会の設定料金である3,000円程度ですが、所属していない場合はこれよりも安くなったり高くなったりします。なお獣医師会に所属していないからといって「モグリ」というわけではありません。

注射済票の交付

 集団予防接種もしくは個別予防接種を終えると、獣医師から「ちゃんと注射しました」という証明書が発行されます。これを市区町村に提出すると「注射済票」が交付されます。注射済票の交付手数料は550円程度です。なくした場合は再交付に300円ほどかかります。
 動物病院によっては本来役所がやるべき「狂犬病予防注射済票」の交付の手続きを代行している場合があります。わざわざ役所に足を運ぶ必要なくなりますので、代行しているかどうかは事前に動物病院にご確認ください。注射済票デザイン一覧日本全国にあるオリジナルデザインの注射済票一覧  2007年、それまで全国統一だった注射済票のデザインを各市区町村が自由に決められるようになりました。例えば上のようなものもあります。法律で定められているにも関わらず、犬の登録や狂犬病の予防注射をしない飼い主が後を絶ちません。なんとかして登録率と接種率をあげようと、各自治体もいろいろ努力しているというわけですね。

健康診断費用

 動物病院で行われる健康診断の費用に関しては地域や病院の立地、およびオプション検査の有無によりかなり変動しますので、事前に問い合わせて見積もりを取ったほうがよいでしょう。なお医療費は田舎よりも都会の方がやや割高となります。これは、都会の方が地代が高く、その分を医療費に上乗せしなければならない、という事情が関連しています。
 健康診断では以下のような検査を受けることができます。多くの場合、具体的な検査費用のほか「初診費」として1,000~2,000円ががかかります。幾つかの項目に関してはオプションであり、必ずしも行われるわけではありません。オプション検査を依頼すると、その分検査費用がいくらか上乗せされます。費用の目安は、日本獣医師会が2015年に公開した統計データなどもご参照ください。 家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査及び飼育者意識調査
一般的な犬の健康診断内容
  • 体重測定食事量が適正かどうかの目安になります。
  • 体温測定成犬の平熱は37.5~38.5℃、子犬の平熱は38~39℃くらいです
  • 便の検査手法により変動しますが、737~897円程度です。硬さ、匂い、色、顕微鏡を使った寄生虫検査などを行います。便検査をする場合は検査の2時間以内に便を取って病院に持参します(病院内で採取することも可能)。長時間放置した便は寄生虫が卵から孵化(ふか)している可能性があり、正確な検査ができません。
  • 血液検査採血料が727円、生化学検査料が4,625円程度です。その他特定の寄生虫やウイルスを検出する際には別料金が発生します。生化学検査では血液系の疾患を調べることができます。また血液型は輸血が必要なときに知っておくと便利ですが、料金が5,432円とやや高めです。
  • 尿検査尿の採取料金が1,127円~1,549円、検査料金が1,432円程度です。泌尿器系(ひにょうきけい)の疾患を調べることができます。
  • エックス線検査単純撮影の場合は3,931円程度です。尿管や膀胱(ぼうこう)に異常が見られるときの尿路造影は7,107円、胃や腸の中に異物があるときの消化管造影は7,911円とやや割高になります。
  • 心電図検査2,521円程度です。不整脈、心室肥大、冠状動脈疾患などを調べます。
 動物病院のホームページなどを見ても、検査項目や費用が明記されておらずやきもきすることがあります。これは獣医療法施行規則により費用に関する広告が禁止されているためです。費用広告を行うと病院間で低価格競争が起こり、獣医療の質が低下してしまうかもしれないという懸念が前提になっています。その他「医薬品医療機器等法」(薬機法)との兼ね合いもありますので、法的な解釈が難しいと考えている病院の場合は「費用に関してはお電話で」といった無難な表現にとどめています。獣医療広告ガイドラインに関するQ&A(事例集)

混合ワクチン接種費用

犬は病院の診察台に乗せられ、ワクチン注射を受けます。  混合ワクチン接種(こんごうわくちんせっしゅ)は、犬がかかりやすい病気に対する免疫力を、あらかじめ高めるための注射です。生まれたばかりの子犬には母犬から受けた受動免疫(じゅどうめんえき=生まれついて授かった病気に対する抵抗力)がありますが、離乳する頃には免疫力が低下してしまいます。この時期にジステンパー、パルボウイルス、レプトスピラ、伝染性肝炎、パラインフルエンザ、アデノウイルスI型、同II型などの伝染病にかかりやすくなるため、人為的にこれらの感染症に対する混合ワクチンを接種する必要があるのです。特に感染確率が高いジステンパーウイルスイヌアデノウイルス(ケンネルコフ)、イヌパルボウイルスに対するワクチンは「コアワクチン」とも呼ばれ、接種しておくことが世界的に推奨されています。犬の感染症  予防接種は近くの動物病院でいつでもできます。料金は5~6種混合ワクチンが1回5,000~7,500円、8~10種が1回5,000~10,000円程度です。「コアワクチンだけで十分」という場合はこれよりも安くなる可能性があります。ちなみに小型犬だから安くなるということはありません。 母犬からの受動免疫(移行抗体)の消失とワクチンの接種時期  初年度のコアワクチン接種に関し、AAHA(全米動物病院協会)やWSAVA(世界小動物獣医協会)のガイドラインでは生後6~8週頃に1回目、それから2~4週の間隔をあけて2回目、生後16週以降で3回目が標準とされています。しかし病院によって回数や間隔はまちまちですので、トータルの料金を含めて事前に確認したほうがよいでしょう。またペットショップで犬を購入した場合、たいていは1回目の接種を終えているはずです。ワクチン接種プログラム

生活用品費用

 犬を家の中に迎え入れるときに必要となるアイテムがいくつかあります。値段はピンきりですが、参考までに具体的な品目と大まかな価格帯を記しておきます。安いもので揃えれば2万円、高いもので揃えれば9万円超といったところでしょうか。大型犬よりも小型犬のほうが体が小さい分、わずかに安くあがります。詳細は犬に必要なペット用品をご参照ください。犬に必要なペット用品
犬の必需アイテムと価格
  • 犬用トイレ=2~5,000円
  • 食器=2~5,000円
  • ブラシ=1~4,000円
  • 爪きり=500円~2,000円
  • 首輪・ハーネス=1~5,000円
  • リード=2,000円~1万円
  • キャリーバッグ=4,000円~1万円
  • ハウス・ケージ=5,000円~3万円
  • ベッド=2,000円~2万円
NEXT:年間飼育費用は?

犬を飼い始めてから毎年必要な年間費用

 以下では、犬を飼い始めてから毎月必要となる費用および毎年コンスタントにかかる費用を一覧リスト化しました。体が大きい分、エサ代にしても医療費にしても、大型犬の方が毎月の出費が多いという特徴があります。体重10kg未満の小型犬の場合、年間最低でも9~53万円、体重20~40kgの中大型犬の場合12~74万円超のコストがかかると見積もるのが妥当です。
小型犬の年間飼育費用
小型犬を飼い始めてから毎年コンスタントにかかる費用の一覧リストです。
中大型犬の年間飼育費用
大型犬を飼い始めてから毎年コンスタントにかかる費用の一覧リストです。

食費・おやつ

 ドライフードの場合、安いものであれば小型犬で1ヶ月1,000円程度、大型犬でその2~3倍になります。プレミアムフードや療法食などを選んだ場合は費用がさらにその2~3倍になりますので、ドライフードを選んだ場合の年間の食費は小型犬で12,000~36,000円、大型犬で24,000~110,000円といったところです。
 ウェットフードの場合、ドライフードよりも割高なため1日数百円の食費がかかります。単純計算すると、1日200円だと年間7万3千円、300円だと10万円超、500円だと18万円超、1,000円だと36万円超になります。
 おやつの種類は色々ありますが、安いものであれば毎月1,000円程度で済みます。近年は犬の食いつきがよいおやつがたくさん出回っていますので、さすがに月1,000円で抑えることはできないかもしれません。おやつの費用は年間で最低でも12,000円を見積もったほうがよいでしょう。ドッグフードいろいろ おやついろいろ

おもちゃ

 犬が口にくわえてガジガジするタイプのおもちゃは消耗品ですので、毎月補充する必要があります。ぬいぐるみ、骨型、ロープ、フリスビーなどいろいろありますが、それほど高価なものはありませんので、月1,000~2,000円もあれば足りると思います。おもちゃの費用を年間に換算すると12,000~24,000円程度です。 犬用おもちゃいろいろ

その他の消耗品

 必需品とまでは言えないもののあったほうがよいアイテムがいくつかあります。具体的にはフィーダー、フードストッカー、ペット用のシャンプー用品、ウェットティッシュ、コロコロ、空気清浄機などです。詳しくは以下のページをご参照ください。犬に必要なペット用品

狂犬病予防注射

 狂犬病予防法(第一章の第五条)により、犬の飼い主は毎年1回、狂犬病の予防注射を受けさせる義務があります。初年度と同様、「集団接種」もしくは「個別接種」によって注射を受け、獣医師から注射証明書を受け取り、市区町村に提出します。注射費用と「注射済票」の交付手数料を合わせると3,500円程度です。

混合ワクチン接種費用

 免疫力を高めるために行われる初年度の2~3回のワクチン接種の後、免疫力を持続させるため2年目以降に行うブースター接種に関しては、年に1回が慣習になっています。しかし世界的には「3年に1回程度」という流れになっていますので、どうしても毎年接種しなければいけないというわけではありません。近年は「犬用ワクチチェック®」(VacciCheck)のように病院内で抗体価を検査するチェックツールも開発されていますので、注射する代わりに血液を検査するという選択肢もあります。
 ブースター接種は近くの動物病院でいつでもできます。料金は5~6種混合ワクチンが1回5,000~7,500円、8~10種が1回5,000~10,000円程度です。「コアワクチンだけで十分」という場合はこれよりも安くなる可能性があります。 ワクチン接種プログラム

フィラリア予防薬

フィラリアとは心臓に住み着くそうめんのような寄生虫です。  フィラリア症とは、蚊に刺されることで毛糸のような細長い虫(フィラリア)に感染し、血液の流れが悪くなって心臓への負担が増えてしまう病気です。最悪の場合は死んでしまいますので、飼い主はフィラリア症を予防するための薬を投与する必要があります。病気に関する詳しい解説は以下のページをご参照ください。 犬のフィラリア症  フィラリア予防薬は非常に多くの種類が出回っており、小さい錠剤タイプ、皮膚に垂らして吸収させるスポットタイプ、味がついて食べやすい形に成形したチュアブルタイプ、薬剤を直接体内に注入する注射タイプなどがあります。
 料金は、ワクチンとは違って体重によって有効成分の投与量が変わるため、小型犬のほうが安くなります。一般的な目安は、5kg未満の小型犬で1ヶ月800~1,400円、20~40kgの中・大型犬で1ヶ月1,500~2,000円です。多くの場合、蚊が多くなる季節に合わせて7~8ヶ月分が処方されますので、年間のフィラリア予防費用は小型犬なら5,600~11,200円、中大型犬なら10,500~16,000円といったところです。なお、予防薬を処方する前や予防薬の投与をうっかり忘れた場合、念のためフィラリアに感染していないかどうかを検査します。その時の検査費用は集虫法でも抗原検査でも1,000~3,000円程度です。 フィラリアを媒介するのは蚊  ネット上には個人輸入したフィラリア薬を、動物病院で処方された値段の3分の1~4分の1という格安で通信販売している人がいます。そして法的な根拠を示さないまま「個人輸入して個人で使う分には違法ではない」と断言しています。この言葉を信じてもよいのでしょうか?以下は「医薬品等の個人輸入」に関する厚生労働省の公的な見解です。
●フィラリア予防薬の多くは「要指示医薬品」に区分されており、薬局開設者や医薬品の販売業者は医師の処方せん又は指示を受けた者以外の者に対して、販売・授与してはならない(→動物医薬品データベース)。
●個人が輸入した医薬品等を、ほかの人へ売ったり譲ったりすることは認められない。またほかの人の分をまとめて輸入することも認められていない(→医薬品等の個人輸入について)。
●輸入者自身が個人的に使用する場合は条件付きで医薬品を輸入してもよい。個人が医薬品を輸入できる条件は、医師の処方箋を必要とする「処方せん薬」の場合、用法用量からみて1ヶ月分以内だけ(→医薬品等の個人輸入について)。
 まとめると、「要指示医薬品」であるフィラリア薬を輸入しようとする場合、1ヶ月分を超える分量を一度に取り寄せることはできず、取り寄せた薬をほかの人へ売ったり譲ったりすることはできないとなります。輸入代行をしているのが日本国内の業者であれ海外の業者であれ、軽い気持ちで通販に手を出してしまうと思わぬトラブルに巻き込まれる可能性がありますので十分にご注意ください。

ノミ・ダニ予防薬

 犬の被毛は体の小さなノミやダニにとってかっこうのベッドです。しかし噛まれた部分がかゆくなったり、排出したフンがアレルギーの原因になったりと、犬にとっていいことは何もありません。また、ノミやダニが室内で繁殖すると、飼い主のベッドなどにも侵入してしまうため、室内を衛生的に保つためにも、犬のノミ・ダニ予防は重要となります。犬のノミ皮膚炎  ノミやダニは1年を通じて室内や屋外にいるため、ノミダニ対策も年中行う必要があります。方法は防虫効果のあるカラー(首輪)、部屋に防虫剤を塗布する、犬にノミダニ薬を月に1回投与するなど様々です。ノミダニ薬には首に垂らすスポットタイプや味の付いたチュアブルタイプなどがあります。
 ノミダニ薬は体重に応じて最適な投与量が決まりますので、小型犬のほうが安くなります。費用の目安は、5kg未満の小型犬で1ヶ月1,000~1,500円、20~40kgの中・大型犬で1ヶ月1,500~2,000円です。1年を通して対策した場合の年間のノミダニ予防費用は小型犬なら12,000~18,000円、中大型犬なら18,000~24,000円程度になるでしょう。 犬のノミダニ薬には経皮吸収させるスポットタイプや経口投与するチュアブルタイプがある  ノミダニ予防薬には「要指示医薬品」に区分されているものとそうでないものとがあります。もし「要指示医薬品」の場合、フィラリア予防薬と同様、ネットで売買することには法的な規制がかかりますので、事前によく調べなければなりません。安いからと言ってネット通販に飛びついてしまうと、知らないうちに犯罪に加担していたということになりかねません。薬の区分に関しては動物医薬品データベースで確認が可能です。 犬の皮膚病 犬のノミダニ駆除グッズ NEXT:一生涯の飼育費用は?

犬の一生涯にかかる費用

 犬の一生にかかる飼育費用はいくらくらいになるのでしょうか?飼い始めにかかる費用と毎年かかる費用を元にして計算してみましょう。
 例えば子犬の頃から飼い始めて小型犬の寿命を15年と仮定すると、小型犬の一生にかかる生涯飼育費用は130~750万円になります。同様に、大型犬の寿命を10年と仮定すると、大型犬の一生にかかる生涯飼育費用は115~670万円になります。たいていは必須アイテムの買い替え、および病気や事故による臨時の出費がこれに加わりますので、あくまで最低費用とお考えください。
 なおペットフード協会が公開した2023年の統計調査では、犬の体の大きさに応じて以下に示すような生涯飼育費用を試算しています。犬全体では、平均寿命を14.62歳と仮定した場合で2,446,068円になるとのこと。 全国犬猫飼育実態調査(2023年)
体型別・犬の生涯飼育費用
犬の体型別に見た一生涯にかかる飼育費用の比較棒グラフ
  • 超小型犬平均寿命15.07歳→2,554,012円
  • 小型犬平均寿命14.29歳→2,382,200円
  • 中~大型犬平均寿命13.86歳→2,559,186円
 1年単位の飼育費用は体が大きいほど高額になりますが、一生にかかる費用を総計すると超小型犬や小型犬も中~大型犬に匹敵する出費になります。
「体が大きいほど寿命が短くなる」という犬特有の逆転現象があるため、超小型犬や小型犬は年間の出費は少ないものの出費期間が長くなります。
NEXT:臨時でかかる費用は?

その他臨時で必要な費用

 以下では臨時で必要となる出費について解説します。トリミングや家具の修繕費用など、急を要さないものもありますが、緊急手術など一刻を争う事態も想定されます。飼い主としてはある程度経済的に余裕を持った状態で犬を飼いたいものです。

トリミング費用

 トリミングとは犬の被毛をカットすることで、料金は地域やお店でまちまちですが、おおよそ5,000~10,000円程度です。自分でできないことも無いですが、失敗を避けるために多くの人はプロに依頼します。特に被毛が長く伸びるマルチーズやヨークシャーテリアなどの犬種で必要となり、また、犬種にかかわらず、夏場は被毛の中にたまりがちな熱い空気を換気しやすくするため、「サマーカット」(パピーカットとも)と呼ばれる短めのトリミングがなされます。
体重別・犬のトリミング費用
犬の体重別に見たトリミング費用比較棒グラフ  アニコム損保が2022年に公開した統計データによると、10kg未満の超小型~小型犬の年間トリミング平均費用は55,768円、10~20kgの中型犬は34,509円、20kg以上の大~超大型犬は54,914円となっています。犬の体が小さいほど気軽にサロンに連れていきやすく、またおめかしもしやすいのでしょう。

しつけ教室費用

 しつけ教室とは、犬のしつけを代行してくれるサービスのことで、料金はセッション回数や期間によって左右されます。しつけの時間がない、しつけの仕方が分からない、しつけても犬がよい反応を示してくれない、など、様々な理由で利用されます。
体重別・犬のしつけ料金
犬の体重別に見たしつけ・トレーニング費用比較棒グラフ  アニコム損保が2022年に公開した統計データによると、10kg未満の超小型~小型犬の年間しつけ・トレーニング平均費用は7,463円、10~20kgの中型犬は2,099円、20kg以上の大~超大型犬は37,797円となっています。犬の体が大きいほど1回の料金、もしくはトータルにかかるセッション回数が多くなるものと考えられます。

ペットシッター・ホテル料金

 仕事や旅行などで長期間家を空けなければならない状況があるかもしれません。犬を放置して何日も家を留守にする訳にはいきませんので、帰宅できない期間が犬の限界を超えるようであれば誰かに世話をお願いする必要があります。犬に詳しい友人や知人がいれば無料で引き受けてくれるかもしれませんが、そうした人が身近にいない場合は料金を払って世話人にお願いする必要があるでしょう。
 自宅に来てくれるペットシッターに依頼した場合、食事の世話、トイレの掃除と取替え、退屈しのぎの遊び相手、散歩などが主なサービス内容となり、1頭1回3,000円~5,000円以内のところが多いようです。小型犬のほうが少し安くなります。犬を家の外にあるペットホテルに預ける場合、小型犬なら1頭1泊3,000円~5,000円、大型犬なら4,000円~7,000円が目安です。宿泊日数が増えるほど割安になっていくところもあります。 犬の留守番
体重別・ペットホテル(シッター)料金
犬の体重別に見たペットホテル・ペットシッター費用比較棒グラフ  アニコム損保が2022年に公開した統計データによると、10kg未満の超小型~小型犬の年間ペットホテル・ペットシッター平均費用は4,715円、10~20kgの中型犬は5,133円、20kg以上の大~超大型犬は5,089円となっています。

病気や怪我の治療費

 犬が交通事故にあった、高いところから飛び降りて足を骨折した、腹部にしこりが見つかった、などなど、急な病気や怪我の危険性は常に存在しています。お金に余裕が無くて手術が手遅れになった…などという事態に陥らないよう、飼い主はある程度の資金的余裕を持っていたいものです。料金は病気や怪我の内容によりけりですが、アニコム損保が2022年に公開した最新の統計データによると、10kg未満の超小型~小型犬の年間平均医療費は57,727円、10~20kgの中型犬は44,063円、そして20kg以上の大~超大型犬は68,671円となっています。ワクチン、フィラリア、ノミダニ薬など予防薬にかかった費用は除外済みです。
体重別・犬の年間医療費
犬の体重別に見た年間医療費比較棒グラフ(2022年版)  さらに以下は、ペット保険のアニコム損保が公開している統計資料「家庭どうぶつ白書2013」(PDF)からの抜粋です。アニコム損保に契約した犬345,746頭が、2011年4月1日~2012年3月31日までの間に必要とした診療費用を元に、1頭あたりの年間診療費を年齢別に集計してあります。一言で医療費と言っても、年齢によって随分と隔たりがあることがお分かりいただけるでしょう。基本的に犬の年齢が上がれば上がるほど医療費も上がるとお考え下さい。 犬1頭当たりの年間診療費(年齢別)グラフ

ペット保険料金

 飼い主の医療費負担を減らすため、ペットにも「ペット保険」というものがあります。犬の体の大きさによって変動しますが、1ヶ月3,000~4,000円が相場です。 犬のペット保険
体重別・犬のペット保険料金
犬の体重別に見たペット保険費用比較棒グラフ  アニコム損保が2022年に公開した統計データによると、10kg未満の超小型~小型犬の年間ペット保険平均費用は45,500円、10~20kgの中型犬は45,589円、20kg以上の大~超大型犬は56,465円となっています。

オス犬の去勢手術費用

 飼い主が犬の繁殖を望まない場合、不要な妊娠を避けるために不妊手術という手段がとられます。料金は10,000~25,000円程度が相場です。2015年のデータ(PDF)では、中央値が「17,675円」となっています。
 オスの場合は去勢(きょせい=精巣を取り除くこと)することにより、前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)、肛門周囲腺(こうもんしゅういせん)腫瘍、睾丸(こうがん)腫瘍などを予防する効果が期待できます。 また他のオス犬とメス犬を巡ってけんかをすることや、発情期における欲求不満ストレスを軽減することもできるなど、多くのメリットがあります。 マーキングを始める前の生後6ヶ月までに獣医師とご相談ください。 犬の不妊手術 オス犬の生殖器の病気 オス犬の去勢手術では精巣の摘出が行われます。

メス犬の避妊手術費用

 飼い主が犬の繁殖を望まない場合、不要な妊娠を避けるために不妊手術という手段がとられます。料金は20,000~40,000円程度が相場です。2015年のデータ(PDF)では、卵巣子宮切除術の中央値が「27,413円」となっています。
 メス犬の場合は卵巣(らんそう)と子宮(しきゅう)の摘出避妊手術を行いますが、生殖能力を失う代わり、発情期特有の神経質な行動が軽減されます。また子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)、乳腺腫瘍、子宮や卵巣の腫瘍などを予防することにもなります。最初の発情を迎える生後6ヶ月以前に獣医師とご相談下さい。犬の不妊手術 メス犬の生殖器の病気 メス犬の避妊手術では、卵巣と子宮の摘出が行われます。

家財道具の修繕費用など

 ふすまを破られた、イスの足をかじられた、テレビ台にぶつかってテレビが落下した…など、犬が原因で家財道具がおしゃかになることがあります。費用は内容によりけりですが、テレビやパソコンを壊されると高くつきます。
犬は一生を共にする家族の一員。衝動買い(飼い)する前に犬を飼う前に必要な条件をクリアし、飼育費用をしっかりとシミュレーションしておきましょう!