トップ犬を飼う前に初めて犬を飼う心構え

初めて犬を飼う心構え

 初めて犬や猫などのペットを迎え入れるときの心構えについてです。ペットを飼いたいと思う理由は何でしょうか?一度立ち止まり、冷静に考えて見ましょう。

犬を飼うってステキですか?

 以下は2002年に作成された、東京都福祉保健局(とうきょうとふくしほけんきょく)が提供している飼い主向けのパンフレット「犬を飼うってステキですか?」です。全47ページですが、3分ほどで読み通すことが出来ます。これから初めて犬を飼おうという方はまずこちらからお読み下さい(PDF)。また環境省では、これからペットを飼う人に向けて啓蒙動画を作成していますので、あわせてご紹介します。 犬を飼うってステキですか?→P1P2P3P4 ほんとうに飼えるかな?→動画 ペットを飼う覚悟と責任→動画
犬を飼うってステキですか?
 以下でご紹介するのは東京都が製作した19分間の啓蒙動画です。先述したパンフレットをアニメで見ることができます。 元動画は⇒こちら
初めて犬を飼う心構え

犬を飼いたい理由

 もしあなたがペットを飼う目的が、以下に挙げる項目のどれかに当てはまる場合、あなた自身、もしくはペットのどちらかが幸せになれない危険性が強くあります。「犬が欲しくてたまらない!」と感じていても、少しクールダウンしてご一読下さい。
犬を飼いたい理由・目次

ペットショップで一目惚れして

衝動買いは危険です!  人間は視覚的な動物です。つまり目に見える情報に重点を置くように脳ができているのです。 よく「母性本能」(ぼせいほんのう)という言葉を耳にしますが、この母性本能も視覚的な情報をトリガー(引き金)として覚醒することがあります。具体的に言うと、目が大きく、頭が丸く、自分より遥かに小さく、高い声で泣くものに対しては、本能的に「保護したい」・「飼育したい」 という衝動が生まれる傾向があるのです。例えば以下の写真をご覧下さい。
小さくて頭の大きなものは、人間の母性本能をくすぐるという最たる一例です。
どうでしょう?ぎゅっと抱きしめたくなりませんか?
 ペットショップで見かける子犬の容姿も、この母性本能を呼び覚ますトリガー(引き金)となりえます。母性本能を掻き立てられること自体はよいのですが、その感情を維持できるかどうかが問題となります。つまり子犬の頃は非常にかわいくても、成犬になると面影が全く消えてしまう犬種もありますので (犬種の明言は避けますが…)、成犬になってから全く愛情を抱けなくなるという状況が生まれてしまうかもしれないのです。
 初めて犬を飼う際は、「かわいい!」といって衝動買いする前にその犬種をよく調べ、成犬になっても同じように愛情を抱けるかどうか予めシミュレーションしてみてください。
ベビースキーマ
 「ベビースキーマ」(baby schema, 幼児図式)とは、動物学者コンラート・ローレンツが提唱した考え方で、「かわいい」とか「養育したい」という衝動を呼び覚ます引き金のことを言います。具体的には丸い顔、大きな目、広い額、小さな鼻と口などです。出産未経験の女性を対象にした実験では、「ベビースキーマ」を見た後、脳内の原始的な部位が活性化され、血縁の有無に関係なく「養育したい」という衝動に駆られることが明らかになっています。また、思春期を迎える前の子供においても、大人と同様の「かわいい」という感情が見られるとも。 ベビースキーマ(幼児図式)を含んだ子犬の顔と含まない成犬の顔 Baby schema modulates the brain reward system in nulliparous women Development of preference for baby faces across species in humans

一人暮らしが寂しくて

後見人無しで犬を飼うのは危険です!  「寂しさを紛らわせるため」というのは、犬を飼う理由でよく聞かれるものです。そうした人の中には、東京に出てきて一人暮らしを始めたら寂しくてしょうがないので犬を飼うというパターンや、一人暮らししているおじいちゃんやおばあちゃんが寂しそうなので家族がプレゼントしてあげるといったパターンもあることでしょう。いずれにしても、万が一飼い主になにかが起こった時、犬の面倒を見てくれる後見人がいない状態で犬を飼うことには危険が伴います。高齢者の病気や入院で飼育放棄されるペットが急増している  「万が一」には地震、火事、洪水といった自然災害のほか、不整脈による卒倒、動脈瘤破裂による突然の脳梗塞、交通事故による不慮の死といった飼い主の側のアクシデントも含まれます。こうした「万が一」が起こった時、犬はどうなってしまうのでしょうか?犬がワンワン吠え立てることで近所の人が異常に気づいてくれるかもしれませんが、それまでに3日必要かもしれませんし1週間必要かもしれません。あらかじめ安否を確認してくれる後見人がいれば、犬が食べ物も水もない部屋の中に長時間放置されるという状況もなくなるでしょう。
 一人暮らしの寂しさを紛らわせるために犬を飼う方は、ぜひ自分の安否確認をし、万が一のときには犬の面倒を見てくれる後見人を見つけてからにして頂きたいと思います。
高齢者による飼育放棄  2016年、「高齢」を理由にペットを飼育放棄するケースが増えつつあることから、東京都福祉保健局は高齢者向けの適正飼育ガイドラインを作成・公開しました。飼育放棄の主な理由は「ペット禁止の施設に移ることになった」、「認知症にかかった」、「病気で入院した」、「死亡した」などです。後見人を用意しておけば、飼育放棄されて保健所などに収容される犬の数が減っていたことは間違いありません。東京都が高齢者によるペット飼育放棄に歯止め

子供の情操教育にするため

犬の世話を子供に一任するのは危険です!  「子供の情操教育」を飼育理由として挙げる人がいます。情操教育という言葉にはおそらく「生き物の大切さを理解する」とか「動物に優しくなる」とか「責任感を養う」といった内容が含まれているものと考えられます。しかし犬の一生は10~15年です。子供が7歳のときに犬を飼った場合、犬が老境に差し掛かるまでの間、子供は体の成長、思春期、反抗期などを経験します。こうした心身の劇的な変化が起こる中で、果たして子供の頃に抱いていた愛情と情熱を保っていられるでしょうか? 家庭内に思春期の子供がいることが飼育放棄や安楽死のリスクを高める  アメリカ・ペンシルベニア大学獣医学部のチームは2008年10月から2010年10月の期間、何らかの問題行動によって動物病院の行動医学科を訪れた犬の飼い主を対象とし、飼育放棄(他人への譲渡もしくは安楽死)を考慮するきっかけになる因子が何であるかを検証しました。その結果、「家庭内に13~17歳の子供がいる」場合、犬が飼育放棄されてしまうリスクが受診3ヶ月後で14倍、6ヶ月後で6.5倍に高まることが確認されたといいます。理由としては「思春期の子供に時間を取られ、親が十分に犬の世話ができない」、「子供が思春期になると、以前ほど犬をかまわなくなる」などが考えられます。
 「子供の情操教育」のために犬を飼おうとしている方は、子供が全く犬の面倒を見なくなったという状況を想定しておく必要があります。子供が犬に飽きて世話をしなくなったり、親が子供の世話にかまけて犬の世話をしなくなると、ほったらかしにされる犬があまりにも可哀想ですよね。 問題行動を抱えた犬の飼い主はどのような時に譲渡や安楽死を決断するのか?

子供にせがまれて

動物をおもちゃと考えると危険です! 動物は中に綿が詰まっただけのぬいぐるみではありません。  あなたが想像している犬は「おしっこやうんちは決められた場所以外に決してしないお利口さん。 頭が良くて言いつけは必ず守る。無駄吠えなどなくいつも飼い主に愛嬌を振りまいて楽しませてくれる。人を噛むなどとんでもない!」といった感じではないでしょうか?
 断言しますがペットショップではあなたが理想としているような犬は決して売っていません。 ペットを自分の理想的なコンパニオンにするのは飼い主の仕事です。それにはまず親が勉強して 犬と生活するには何が必要なのかを頭に叩き込まなければ適切な補助はできません。
 初めて犬を飼う時は、少なくとも当サイト内にある情報くらいには目を通し、 犬を飼い始めてから別れるまでを一度シミュレーションして頂けると幸いです。犬のしつけ方

有名なあの人のマネをして

人のまねっこは危険です! 有名人のまねをしてペットを飼うのは危険!  「有名なあの歌手がチワワを飼っているから…」、「高貴なあの方がヨークシャーテリアを飼っているから…」 といった理由で犬を飼おうとするのは、心理学で言うところの同一化現象と考えられます。これは、自分が尊敬していたり素敵だと感じている人物と同じ要素を備えることで、自分がその人物と同格になったような感覚に浸ることです。分かりやすく言うと、小学生の女の子がアイドル歌手のまねをするようなものです。
 犬を飼おうとしている動機の裏に この「同一化現象」が強くあるならば犬を飼う前に服装やアクセサリー、髪型などを真似してみてください。 あなたが今素敵だと感じているその感情は、3年後には消えているかもしれません。 そうしたとき犬の立場はどうなるのでしょうか?服やアクセサリーなら少なくとも取り替えがききますよね。

流行っているので何となく

流行に流されるのは危険です! 流行が去っても、一度買った動物は都合よく消えません。  見栄や体裁、もしくは単なる暇つぶしの為に犬を飼うのは、捨てられて施設へ送られる動物を増やすことにつながりやすいので、控えたほうが賢明かもしれません。
 犬を生活のパートナーにするということは、向こう10年近く何らかの形で時間とお金と労力を必要とし、それは時として200万円以上にも及びます。その支出に見合った見返りを、犬はあなたに与えてくれるでしょうか?もし与えてくれると思えないなら犬を飼うことは現時点では控えた方が良いでしょう。
 初めて犬を飼う時は、自分が犬に何を求めているのか、その求めているものに対して自分はどの程度の支出を許容できるのかを、 ご自分の尺度でもう一度よく考えてみて下さい。
101匹わんちゃんの弊害  米国では「101匹わんちゃん」が公開されたすぐ後、映画に登場したダルメシアンの子犬を飼おうとする家庭が急増したといいます。しかしダルメシアンは子供のペットとしてはあまりふさわしくない側面(活動性や性格)があるため、動物愛護団体が購入を思いとどまらせようとキャンペーンを始めることとなったそうです。
 このように、一時的な流行に左右される傾向はどこの国にもあるようです。

SNS映えするから

犬をアクセサリーにするのは危険です!  犬を自分をよく見せるためのアクセサリーにする人をよく見かけます。近年発達したInstagramやTwitterといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)により、一般人でも気軽に情報発信できるようになったことがその背景にあるものと思われます。 SNS映えのためアクセサリーにされる犬  インスタ映えを狙って犬を飼おうという方は、犬は単なるお飾りやステータスシンボルではなく、うんちやおしっこをする生き物であるということを十分理解してから飼うことをおすすめします。ペットを飼っていて困ったことの上位には「長く家を空けることができない」、「部屋が汚れる」、「医療費が高い」、「犬と一緒に旅行できない」などがあります。思いつきだけで犬を迎えてしまうと、犬と飼い主の両方が負のスパイラルに落ち込んでしまうでしょう。

番犬にするため

犬を外に放置するのは残酷です!  犬は社会的な動物であり、常に仲間の存在を必要とします。これは祖先であるオオカミから受け継いだ性質であり、遺伝子を書き換えない限り変わることはありません。集団行動していないと不安やストレスを感じる犬を、外にある犬小屋につなぎっぱなしにするという行為は、動物の福祉を大きく損なう危険なものと言えます。 社会的な動物である犬を外に長時間係留するのは動物虐待  昭和の時代には番犬として外につながれた犬がよくいたことは確かですが、社会環境は急速に変わりつつあります。かつては「ワン公」と呼ばれていた犬たちの立場は向上し、今では「コンパニオンアニマル」や「家族の一員」として扱われています。そうした家族の一員を屋外に出しっぱなしにしているということを虐待とみなす人だっています。
 「番犬」が欲しくて犬を飼うという方はセンサーライトや防犯ブザーを購入してはいかがでしょうか。泥棒が玄関に入ってきたときに警報を発してほしいだけなら、わざわざ毎月の飼育費用がかかる犬を飼う必要はありません。
係留禁止法  アメリカでは犬を外につなっぱなしにすることを虐待とみなす州が多く「係留禁止法」(Dog Tether Laws)が設けられているところもあります。内容は「一定時間以上係留し続けてはならない」というものが大半です。いずれにしても根底にあるのは「犬を外につなぎっぱなし=虐待」という認識であり、係留禁止法が動物虐待防止法の一部に組み込まれている州(ウェストバージニア州など)すらあります。Table of State Dog Tether Laws
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