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犬の伏せのしつけ

 伏せとは、犬が地面に胸をつけてじっと動かなくなる状態のことです。あまりうろうろと歩き回ってほしくない場所や状況において大変役に立ちますので、しっかりとマスターしておきたいしつけの1つです。

犬の伏せのしつけの必要性

犬の伏せには、突発的な動きを抑制する効果があります。  例えば散歩中に他の犬とすれ違ったとしましょう。犬が興奮して散歩中の他の犬に飛び掛ってしまうとトラブルの原因となります。こうした時に伏せのしつけができていると、犬は伏せた状態から急に飛び掛ることはできませんので事故やトラブルを予防することができます。またドッグランなどで興奮気味の犬を落ち着かせるときなどにも便利でしょう。
 では具体的に犬の伏せのしつけ方を見ていきましょう。
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犬の伏せのしつけ~基本方針

 犬の伏せのしつけに際して、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
フセの言葉で犬が地面に胸をつけること
してほしくない行動
フセの言葉をかけても犬が落ち着かずうろうろすること
 してほしい行動と快(ごほうび)、してほしくない行動と不快(おしおき)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を強化、 後者を弱化と呼ぶことは犬のしつけの基本理論で述べました。これを踏まえて犬に伏せをしつける場合を考えて見ましょう。
強化
「フセの言葉で犬が胸を地面につけてじっとしていた」瞬間に快(賞)を与える
弱化
「フセの言葉をかけても犬がうろうろした」瞬間に不快(罰)を与える
 犬の伏せのしつけに際しては強化の方効果的です。
 嫌悪刺激によるしつけはタイミングが難しく、犬が誤解する要素も多いため、万人向きとはいえません。また、日常生活で極めて多用するコマンドですので、できれば犬にとって大好きな行動にしつけたいものです。よって当サイトでは正の強化を基本方針としたしつけ方を解説します。
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犬の伏せのしつけ~実践

 基本方針を理解したところで、いよいよ実践に入りましょう。まずは犬のしつけの基本理論で述べた大原則、「犬をじらせておくこと」、「一つの刺激と快不快を混在させないこと」、「ごほうびと罰のタイミングを間違えないこと」、「しつけ方針に家族全員が一貫性を持たせること」、を念頭においてください。

しつけの準備

 犬の伏せのしつけにおいては、以下の3つのことを準備します。

準備1: ごほうびを用意する

 犬をある特定の行動に対して積極的にさせるためには、何らかの快(賞)を与える必要があります。以下は代表的な犬に対するごほうびです。
犬に対するごほうびいろいろ
  • おやつ おやつをごほうびとして使う場合は犬がおいしいと感じるもの+カロリーの低いものを選ぶようにしましょう。与えるときは犬が満腹にならないよう、なるべく少量だけにします。
  • おもちゃ おもちゃを選ぶときは、あらかじめ犬に何種類かのおもちゃを与えておいて一番のお気に入りを確かめておきます。ただし一度与えると回収するのが困難になるため、しつけセッションの最後に与えるようにします。
  • なでる なでるときは軽く「よーし」や「いいこ」や「グッド」などのほめ言葉を決めておき、その言葉と同時に軽く一回なでてあげます。あまり激しく撫で回してしまうのは望ましくありません。第一に犬が興奮しすぎて集中力がなくなりますし、第二になでられることに慣れてしまって「なでる」という行為が犬にとって賞(快を与えるもの)でなくなってしまう危険性があるからです。
  

準備2: 指示語を統一する

 犬にフセを命令する際には指示語が必要です。この指示語を統一しないと犬は混乱します。一家の中でお父さんは「フセ!」、お母さんは「伏せなさい!」、息子は「寝ろ!」、娘は「ライダウン!」だったら犬は大混乱で何をして良いか分からなくなり、いじけてしまいます。このように指示する際に掛ける言葉は一つに絞ること、つまり「指示語を統一すること」は非常に重要なのです。
 指示語の候補としては、犬が聞き取りやすい「フセ」、「Down(ダウン)」、「Flat(フラット)」などがあります。ご家族で相談して統一してください。
実験神経症
 実験神経症(じっけんしんけいしょう)とは、両立しない2つの指示を出した際、犬が混乱をきたし、以後、学習した反応ができなくなってしまうことです。たとえば「シット」という言葉でオスワリを、「ダウン」という言葉でフセを学んだ犬に対し、「シットダウン」といった両立しないコマンドを同時に出してしまうと、両方の動作ができなくなってしまう危険性があります。こうした実験神経症が発生することを避ける意味でも、指示語の統一は重要です。

準備3: 集中できる環境を作る

 一つのことを覚えるには集中力が大切です。気が散るような魅力的なおもちゃなどが視界にあると集中できずに学習効果が低下しますので、しつけの前には犬の気を引くものを一掃して理想的な環境を作っておきます。

しつけの実践

 犬の伏せのしつけを実践するに当たっては、以下の6ステップに沿って行います。

ステップ1: 手から犬にごほうびを与える

 まずは犬をオスワリ状態にし、ごほうびを手に持ち犬の鼻先に近づけて与えます。「飼い主の手にはいいものがある!」と印象付けましょう。ここからしつけのスタートです。まだお座りをマスターしていない場合は犬のお座りのしつけから行った方が効率的でしょう。

ステップ2: ごほうびを地面に近づける

ごほうびを持った手を地面に近づけ、犬が自発的に伏せるように仕向けます  犬が飼い主の手に執着(しゅうちゃく)するようになったら、今度はその手を犬の視線よりも低いところに下げてみましょう。犬はごほうびに釣られて下を向きます。そうすると自然と胸を地面につけていわゆる「伏せ」の状態になります(ルアートレーニング)。
 犬が伏せの状態になった瞬間に手からごほうびを与え、「いいこ」などのほめ言葉を掛けて軽く一回なでてあげましょう。こうした動作を繰り返し 胸を地面につけるとおいしいものがもらえるんだ!と学習させます。これは「伏せること」とごほうびとを結びつけるオペラント条件付けです。
足でアーチを作り、その下に犬を導くことで多少強引に伏せの姿勢を取らせる方法もあります。  犬が伏せの姿勢をとらないときは、足でアーチを作り、その下からごほうびをちらつかせるのが効果的です。犬は伏せの姿勢をとらない限りごほうびにありつけませんので、自然と伏せ状態を作り出すことができます(物理的プロンプト法)。犬の背中を強引に押さえつけるよりもストレスが少ないため、犬は楽しみながら動作を覚えることができます。

ステップ3: 動作と指示語を結びつける

伏せるという動作とフセという音声情報を、犬の頭の中でリンクしていきます。  「胸を地面につけるといいことがある」と犬が覚えたら、次はその伏せ行動と予め決めておいた指示語(ここでは「フセ」を採用します)を結び付けます。
 ステップ2と同様にごほうびを犬の視線よりも低いところに下げ、犬の顔を下げさせます。その顔を下げて胸を地面に付く直前に「フセ!」と声を掛けてごほうびを与えます。この動作を何度も繰り返しましょう。 犬は飼い主さんがフセといった後に胸を地面につけるとおいしいものがもらえるぞ!と学習し、徐々に指示語と行動とがリンクしていきます。
 なお、犬に指示語を覚えさせるのは一種の古典的条件付けです。指示語と行動を効果的に記憶させる際は、「指示語→行動」の順で声を掛けるのが最適となります(延滞条件付け)。

ステップ4: 指示語だけで伏せを促す

 犬の中で伏せ行動と「フセ」という指示語が結びついたら、今度は指示語だけで伏せ行動を取らせて見ましょう。
 犬に対して「フセ!」と指示を出します。犬が反射的に胸を地面につけた瞬間にごほうびを与え、「いいこ」などのほめ言葉を掛けて軽く一回なでてあげます。犬がキョトンとして理解していない感じだったらステップ3に戻り、行動と指示語の結びつきをもう一度強化しましょう。 指示語だけで伏せの体勢が取れるよう、繰り返し犬に反復練習させます。
しつけをする上での注意  犬の集中力は10分~15分ほどです。集中力がなくなってきたらいさぎよくしつけを中断してその日の夜や翌日に改めて再開しましょう。飼い主がしつけを焦って犬の感情を無視して強引に行ってしまうと、しつけ自体が犬にとっての苦痛になってしまいます。

ステップ5: ごほうびの回数を減らす

 指示語だけで犬が伏せ行動を取るようになったら、今度はごほうびを与える回数を減らしていきましょう。常にごほうびを与えていると犬がごほうび自体に飽きてしまったり、肥満の原因になりかねません。毎回ごほうびを与える⇒2回に1回ごほうびを与える⇒3回に1回⇒4回に1回・・・と減らしてゆき、最終的には「いいこ」などのほめ言葉だけにします。

ステップ6: 場所と時間を変えて行う

 いつでもどこでも飼い主の指示に従うのがしつけの最終目標です。今度は時間と場所を変えてやってみましょう。散歩の途中で信号待ちする時、他の犬とすれ違う時、走っていく子供を追いかけそうになったときなど様々なシチュエーションで「伏せ」を試してみます。
般化とプルーフィング
 般化(はんか)とは、異なる状況の中で、快不快の引き金となる共通刺激を見出すことです。たとえば、自宅、公園、友達の家、道路、ドッグランなど様々な場所で様々な人が「フセ」をしつけておくと、全ての状況に共通しているのが、唯一「フセ」というコマンドであることを犬は学習します。結果として、どこでどんな人が「フセ」と指示を出しても、犬はフセ姿勢をとることができるようになるわけです。
 このように状況を変化させて犬に共通刺激を学習させることをプルーフィングといいます。しつけ教室のに預けても、家に帰ってきた途端、元のやんちゃ坊主に戻ってしまうのは、プルーフィング不足が原因かもしれません。
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犬の伏せのしつけ~実演動画

 下でご紹介するのは犬に伏せをしつける方法を解説したハウツー動画です。
犬のフセのしつけ
  • 手に注意を集める  まず犬の注意を飼い主の手に集めます。犬の大好きなおやつなどをつまみ、犬の視線が手を追うように仕向けましょう。立った状態からよりも座った状態からのほうが伏せ姿勢に誘導しやすくなります。あらかじめオスワリをしつけておくとはかどるでしょう。 犬の注意を手に集めるためおやつなどを使用する
  • フセを誘導する  犬の注意を指先に集めたまま、その指を床に近づけていきましょう。おやつに引かれた犬はそのまま伏せの姿勢になってくれるはずです。お尻が上がったままだったら、指を後方にひきつけるか、犬のお尻を軽く上から押さえると、膝を折ってくれやすくなります。 おやつを床に移動し、犬を自然とフセ状態にする(ルアートレーニング)
  • ごほうびをランダムにする  ごほうびを言葉だけにしたり、3回に1回にしたり、犬が予測できない形に切り替えましょう。このようなランダムな強化をすると、犬の記憶が増強され、覚えた行動を忘れにくくなります(間欠強化)。 ごほうびをランダムにすることで犬の記憶を強化する(間欠強化)
元動画は⇒こちら
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