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犬の心内膜炎

 犬の心内膜炎(しんないまくえん)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬の心内膜炎の病態と症状

 犬の心内膜炎とは、心臓の内側を包み込んでいる心内膜と呼ばれる線維組織に炎症が生じた状態のことです。 心臓壁における心内膜の模式図 心臓における大動脈弁の位置  心臓はすべての血液が通過するターミナルですので、血液と接する機会が多い心内膜は、常に血液中に含まれる病原体に感染してしまう危険にさらされています。病原体が特に好むのは、血液の逆流を防ぐために付いている弁です。弁に取り付いた病原体はそこで増殖し、コラーゲン、血小板、フィブリン、細菌などからなる「疣贅」(ゆうぜい)と呼ばれるコブを形成します。その結果、弁の閉鎖不全が生じ、スムーズな血液循環が邪魔されてしまいます。弁の中でも特に危険なのは大動脈弁で、ここに病原体が侵入すると数週~数ヶ月という短期間で深刻な左心不全を引き起こしますのでやっかいです。
 犬の心内膜炎の症状には以下のようなものがあります。好発年齢は4~6歳で、好発品種は中~大型のオス犬です。臨床症状が非常に多く、また他の疾患と紛らわしいものが多いため、時に「大いなる模倣者」と呼ばれることもあります。
犬の心内膜炎の主症状
  • 発熱
  • 倦怠感
  • 元気がない
  • 呼吸困難
  • 心雑音・不整脈
  • うっ血性心不全
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犬の心内膜炎の原因

 犬の心内膜炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の心内膜炎の主な原因
  • 感染 口、骨、前立腺、皮膚など心臓以外の部位における感染が血液に乗って心臓にたどり着くことで発症します。また、内視鏡検査、尿道カテーテル挿入、手術といった医療行為に伴い、誤って病原体を血流に乗せてしまうことで発症することもあります。病原体として多いのはブドウ球菌で、稀な症例としてはリケッチアやバルトネラがあります。
  • 免疫力の低下 コルチコステロイドなど、免疫を抑制する作用を持った薬剤を日常的に投与されている場合に発症しやすくなります。
  • 先天的素因 大動脈弁の下に生まれつき狭窄があると、そこに病原体が取り付きやすくなります。また、心室中隔欠損症がある場合は心室側、僧帽弁閉鎖不全による逆流がある場合は心房表面に感染が起こる傾向があります。
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犬の心内膜炎の治療

 犬の心内膜炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の心内膜炎の主な治療法
  • 投薬治療 病原菌を特定しそれに対応した薬剤を投与します。治療は最低6週間継続されます。
  • 心膜穿刺 心臓に水がたまる「心嚢水貯留」(しんのうすいちょりゅう)が見られる場合は、心膜に注射針を刺して不要な体液成分を抜き取ります。
  • 外科手術 大動脈弁が侵された場合は予後が悪いため、弁の置換術が行われることもあります。しかしこの手術は専門性が高く、また治療費も高いため滅多に行なわれる事はありません。
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