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犬の心房中隔欠損症~症状・原因から予防・治療法まで

 犬の心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の心房中隔欠損症の病態と症状

 犬の心房中隔欠損症とは、心臓の左心房と右心房を隔てている壁に、生まれつき穴が空いている状態を言います。
 この穴は卵円孔(らんえんこう)と呼ばれ、生まれたての子犬であれば空いているのが普通です。通常であればすぐ閉じて壁を形成しますが、先天的に壁が閉まらず、空いたままの状態になっているものがいます。これが中隔欠損症です。
 この病態は、心臓の他の部分が正常なら血流に異常を引き起こすことが少ないため、臨床的に問題になることはあまりありません。しかしフィラリア症にかかった場合は、フィラリア虫が卵円孔を通って心房内を自由に移動し、症状を引き起こすことがあります。 心房中隔欠損症の病態~心房と心房の間に卵円孔と呼ばれる先天的な通過孔が見られる  犬の心房中隔欠損症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
犬の心房中隔欠損症の主症状
  • 軽い咳

犬の心房中隔欠損症の原因

 犬の心房中隔欠損症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。
犬の心房中隔欠損症の主な原因

犬の心房中隔欠損症の治療

 犬の心房中隔欠損症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の心房中隔欠損症の主な治療法
  • フィラリア予防  心房中隔欠損症ははっきりとした症状を示さない病気です。無症状に近ければ治療を行う必要はありませんが、フィラリア対策だけは徹底して行います。これは、フィラリア症にかかった場合、心臓内で成熟したフィラリア虫が卵円孔を通って心房内を自由に移動し、症状を引き起こす危険性があるためです。
     フィラリアを予防するためには予防薬を用います。毎日(もしくは一日おき)に投与するもの、月に一度投与するもの、年に一度注射するものなど、種類は様々です。なお、予防薬の投与は犬の体重に合わせて行いますので、素人判断で行うのではなく、必ず獣医師の指示通りに行うのが鉄則です。 フィラリア症