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ヒヨコ豆~安全性と危険性から適正量まで

 ドッグフードのラベルに記された「ヒヨコ豆」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも犬に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

ヒヨコ豆の成分

 ヒヨコ豆(chickpea)はトルコ南東部を原産とするはマメ亜科の自殖作物。非常に古い歴史をもち、およそ7,500年前の中東の遺跡からも栽培の証拠が見つかっているほどです。なお現代の中東では「ファラフェル」と呼ばれるコロッケに似た食べ物として食されています。
 異名がたいへん多く、一例を挙げるとグラム(gram)、ガルバンゾ(garbanzo)、エジプト豆、チャナ豆などがあります。 ドッグフードの成分として用いられる「ヒヨコ豆」

ヒヨコ豆は安全?危険?

 ヒヨコ豆を犬に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはヒヨコ豆に関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

酵素インヒビター

 酵素インヒビターとは、体内でエネルギー代謝に関与している酵素に働きかけ、その作用を低下させる物質。ヒヨコマメを生のまま食べると、中に含まれるレシチン、ポリフェノール、オリゴ糖、アミラーゼ、プロテアーゼ、トリプシンインヒビターおよびキモトリプシンインヒビターの作用により、消化不良を起こしてしまう危険性があります。
 一方、エクストルード製法に代表される加熱や脱穀などによってこうした成分の作用を弱めれば、反芻動物以外の家畜動物に与えてもそれほど消化不良を起こさないとされています。実際ヒヨコマメは、ウシはもちろんのことブタやニワトリ、魚の飼料としても使用されています。またドッグフードの原料としても用いられています。

グレインフリーとの関係

 2018年7月、アメリカ食品医薬品局(FDA)は一般的に「グレインフリー」と名の付くドッグフードと、拡張型心筋症との間に因果関係があるかもしれないとの警告を出しました。グレインフリーとは、フードの原料からとうもろこしや小麦と言ったメジャーな穀類を意図的に除外したドッグフードのことです。
 健康志向ブームを受けて年々人気を増していますが、メジャーな穀類の代わりに用いられているマイナーなタンパク源がタウリン欠乏症を通じて犬の拡張型心筋症を引き起こしているのではないかと疑われています。そして心筋症を発症した犬が食べていたフードには「ヒヨコ豆」が多く含まれていたと言います。現在も調査中で断定的なことは言えませんが、念のため頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう。
 グレイフリーと心筋症との関係性については以下のページでも詳しく解説してありますのでご参照ください。 グレインフリーのドッグフードと犬の拡張型心筋症の関係 グレインフリーのドッグフードはやはり犬の心臓に悪い? 【2019年2月のFDA報告】グレインフリーのドッグフードと拡張型心筋症との関係性
犬におけるヒヨコ豆の安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていません。なおインド産ヒヨコ豆およびその加工品から、除草剤の一種「グリホサート」が基準値(2ppm)を超えるレベルで検出されたという事例がちらほら報告されています。