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犬・猫の流通業~ブリーダーの元で生まれた子犬や子猫が消費者の元へ届くまで

 犬や猫の流通に関わる仕事や基本データです。ブリーダーの元で生まれた子犬や子猫たちの多くはどのように飼育者の元に届けられるのでしょうか?いくつかの流通プロセスを経てますが、残念ながら末端消費者まで到達できないものたちも存在します。

ペット産業の業種

 日本国内でペットとして売買される犬・猫の流通に関連したビジネスには以下のようなものがあります。一般に「ペット産業」と言った場合は、これら全ての業種をひっくるめて指します。
ペット関連ビジネス一覧
  • 生産生産とは、繁殖することで子犬や子猫を増やすブリーダーのことです。2017(平成29)年度で12,448件の業者が登録されています。
  • せり市せり市とはオークションのことで、繁殖業者とペットショップのバイヤーなどに会場を提供します。2017(平成29)年度で26の業者が確認されています。日本国内にある犬猫のオークション業者マップ
  • 卸売卸売とは繁殖業者とショップの橋渡しをする仕事です。第一種動物取扱業の中に「卸売」という区分はありませんが、「ペットデータ年鑑2009」によると2008年度で283件の業者が登録されています。卸売業を単独で営んでいる業者はほぼゼロで、ほとんどは小売や繁殖業との兼業です。
  • 小売小売とは一般購入者に対して犬や猫を販売する仕事です。2017(平成29)年度の環境省データでは、日本全体で20,871の販売業者が登録されています。第一種動物取扱業「販売」の登録業者内訳(2017年度版) 20,871のうち犬や猫の販売を取り扱っている業者が16,004(76.7%)、さらに犬猫扱い業者のうち77.8%に相当する12,448が繁殖も手がけている兼業業者という内訳です。販売業者のうちおよそ6割が繁殖も行っているということになります。
  • その他トリミングやペットシッター、動物病院やしつけ教室などのサービス業、犬猫に関したペットグッズを製造する製造業、海外から純血種の犬や猫を輸入する輸入業などのことです。
 平成13年度に環境省が行ったアンケート調査「犬・猫の調査結果」によると、犬猫を始めとするペット流通業界の模式図は、以下のような形になります。
ペットの流通構造・模式図
日本国内における犬猫の流通経路・模式図  業務区分でアンケート調査をしたところ、単一の業種を専門で行っている業者よりも、複数の業種を兼業している業者の方が圧倒的に多いという結果が出ました。具体的には、生産+卸売+小売が34.3%、生産+小売が17.5%、卸売+小売が9.2%、生産+卸売が5.4%などで、全体の6割以上が兼業という形で経営を行っているようです。
流通の業務区分
犬猫流通業における業務区分と兼業の割合
  • 生産(繁殖)のみ=4.5%
  • 生産+卸売=5.4%
  • 卸売+小売=9.2%
  • 生産+小売=17.5%
  • 小売のみ=21.3%
  • 生産+卸売+小売=34.3%

ペット産業の市場規模

 「ペットデータ年鑑2009」によると、2007年度におけるペット関連市場の総額はおよそ8,985億円で、そのうち生体市場が13.5%、ペットフード市場が40%、ペット用品市場が24%、ペット関連サービス市場が22%という内訳になっています。
ペット関連市場の内訳(2007年度)
2007年度のペット関連市場内訳円グラフ  さらに、ペット生体市場の内訳を見てみると、総額が1,219億円で、犬が55.7%、猫が15.3%となっており、犬だけで半数を超えていることがうかがえます。
生体市場の内訳(2007年度)
2007年度の生体市場内訳円グラフ  矢野経済研究所の調査によると、ペット関連市場の総規模を小売金額ベースで見ると、2015年で1兆4,720億円、2016年は1兆4,889億円と推計されています。
 2016年度の内訳は、ペットフード市場が4,735億円、ペット用品市場が2,505億円、ペット関連産業市場(生体販売・ペット美容・ペット医療・ペット保険・ペットホテルなど)が7,480億円となっています。
 このうち生体販売の市場規模は1,000億円程度と見積もられています。すべての推計が正しいとすると、ペット産業全体のうちおよそ7%です。

犬の流通量

 「犬を殺すのは誰か」(朝日出版社)では、2008年度における犬の流通量と流通ルートについての概算を出しています。生産頭数の59万5000頭に対し、実際にペット飼育者の元へ行き渡るのが58万頭と推計されており、到達率は97.5%です。残りの15,000頭近くに関しては、病死、ブリーダーによる買い取り、そして悪質な業者による遺棄や間引きなどにより、流通の闇に葬り去られるものと予想されています。
 なお、2001年に環境省が行った推計では、到達率が87%となっていますので、この当時に比べれば幾分かは数値が改善したと見ることもできるでしょう。
犬の流通・販売ルート(2008年度)
2008年度における犬の流通・販売ルートと流通量の推計  2013年9月に施行された改正動物愛護法で「犬猫等販売業者定期報告届出書」の提出が繁殖業者(ブリーダー)やペットショップに義務づけられました。朝日新聞はこの届出書のデータを元に、毎年どの程度の犬や猫が日本国内に流通しているのかを推計しています。具体的にはデータ管理を行う都道府県および政令指定都市など合計103自治体に対して調査を行い、「年度中に販売もしくは引渡しをした犬および猫の月ごとの合計数」と「年度中に死亡の事実が生じた犬および猫の月ごとの合計数」の集計値を出すというものです。
 その結果、2017年度(2017年4月~2018年3月)における犬の流通量は67万5,934頭、猫のそれは18万1,880頭になることが明らかになったといいます。集計を始めた2014年度と比較し、犬は1.9%、猫は9.7%の増加率でした。
推計値の注意  この数値の中には、同じ犬が「ブリーダー→ペットショップ」と「ペットショップ→購入者」という2つのルートで重複カウントされているケースも含まれるため、流通経路に乗った犬の絶対数を正確に反映しているわけではありません。また販売・繁殖業として登録しているにもかかわらず、義務付けられている届出書を提出していない業者が少なからず存在しています。

犬と猫の飼育頭数

 ペットフード協会が公開している「全国犬猫飼育実態調査」によると、2018年度における犬の飼育頭数は890万頭、猫は965万頭と推計されています。また現在犬を飼っている世帯は12.6%、今後犬を飼いたいと思っている世帯は20.7%に上るとも。2017年度からは犬と猫の飼育頭数が逆転し、猫の方が多くなっています。 ペットフード協会統計データ
犬の飼育頭数年次推移
犬と猫の飼育頭数年次推移折れ線グラフ(2014~2018)
  • 2014年犬=971万頭 | 猫=949万頭
  • 2015年犬=944万頭 | 猫=928万頭
  • 2016年犬=936万頭 | 猫=930万頭
  • 2017年犬=892万頭 | 猫=953万頭
  • 2018年犬=890万頭 | 猫=965万頭

犬猫の引き取りと殺処分数

 環境省が公開している犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況によると、犬の引き取り数(飼育放棄数)と殺処分数は順調に減少しており、また返還・譲渡数も年を追うごとに漸増しているようです。まだまだ課題はあるものの、喜ばしい傾向であることは間違いないでしょう。 犬・子犬の里親募集案内 犬の殺処分について
犬の引取数と処分数
犬の引き取り数・譲渡数・殺処分数の年次推移 次は→犬・猫の生産