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犬・猫の小売~ペットショップ・通信販売・移動販売の現状と問題点

 犬や猫の小売(こうり)とはペット動物を購入者に対して直接販売する業態のことです。固定店舗を有するペットショップのほか、移動店舗による移動販売、およびインターネットを介した通信販売・オークションなどが主なものです。

ペットショップ

 ペットショップとは犬や猫を仕入れ、それを直接購入者に販売する業態のことです。「ペットデータ年鑑2009」によると、2008年10月時点で、5,525件の業者が登録されています。
 平成13年度に環境省が行ったアンケート調査「犬・猫の調査結果」によると、会社形式(株式・有限・合名・合資)で経営しているのが21.3%、個人企業として経営しているのが59.2%となっており、大部分が個人経営で占められていることがうかがえます。

犬猫の仕入先

 「犬・猫の調査結果」で、犬・猫の卸売、小売、輸入業務を行っている取扱業者に対してその仕入先を尋ねたところ以下のようなデータ集まりました。ブリーダー、自社生産からの仕入れが50%を超えている一方、せり市からの仕入れが22.8%と1/4に迫る勢いです。なお合計が100%を超えているのは、複数回答によるものです。
犬猫販売業者の仕入先
犬猫販売業者の仕入先  平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、「ブリーダーショップ」、「ブリーダーのお店」、「自家繁殖」といった表示をしているペットショップにおける100%自家繁殖率(店頭販売する生体が全てショップによる繁殖)は35%となっており、残りの65%は自家繁殖のほか他のブリーダー、オークション、卸売業者などからも仕入れているという事実が明らかになりました。
 購入者の多く(61.2%)は「ブリーダーショップ」などの表現から「販売する生体のすべてをショップ自身が自家繁殖により調達している」と認識しているため、自家繁殖以外の方法で仕入れを行っているにもかかわらずブリーダーである旨を表示する小売業者においては、購入者の誤解を招かないよう、生体ごとに自家繁殖により調達したものか他の手段により仕入れたものかを、明瞭に表示することが望ましい、と勧告しています。
 また購入者側も「ブリーダー直送」等の看板を掲げている小売業者の全てが、必ずしも全ての生体をブリーダーから直接仕入れているわけではないことを念頭に置くべきでしょう。
 なお、オークションを経由した犬猫を購入するリスクについては犬・猫のせり・オークションをご参照ください。

犬猫の販売日齢

 環境省が公開している犬猫幼齢動物の販売日齢についてによると、ペットショップにおける犬の販売日齢は以下のようになります。71日齢以上が26%と大多数を占める一方、39日齢以下という極めて早い段階で購入者に渡っている犬も13%を占めています。
ペットショップにおける犬の販売日齢
ペットショップで販売された犬の販売日齢割合
日本においては生後56日以下の子犬や子猫について、繁殖業者からペット販売業者への引き渡しが禁じられました。ただし2013年9月1日の法施行後3年間は「生後45日」、その後は「生後49日」とし、施行後5年以内に「生後56日」が適切かどうかを、環境省が改めて調査・検討するという流れになります。いずれにしても、もし上で紹介したやや古いデータのように「39日齢」で販売されている子犬がいたとしたら、それは動物愛護法違反ということです。

通信販売・ネットオークション

 通信販売とは、ネット上に陳列されている犬や猫を購入することで、ネットオークションとは、複数の希望者間で購入金額を競り合い、最終的には最高値をつけた人が、希望の犬猫を競り落とすというシステムです。2005年6月の動物愛護法改正により、「インターネット等により取次ぎ又は代理販売等の施設を持たない形態の業も動物取扱業者の対象に加える」とされ、特定の法規制を受けることになりました。
 環境省が公開している「移動販売・インターネット販売・オークション市場について」では、購入者がどこからペットを購入したのかに関する調査が行われており、平成20年度(2008年度)を例にとると、全体の5%が通信販売やネットオークションを介してペットを売買していることが分かります。
犬の購入先(平成20年度)
平成20年度における犬の購入先割合

インターネット取引に関する注意点

 「移動販売・インターネット販売・オークション市場について」、および国民生活センターが公開している「ペットのインターネット取引にみるトラブル」 の中では、通信販売やネットオークションといったペットのインターネット取引に関する注意点が、幾つか指摘されています。
ペットのネット取引に関する注意(環境省)
  • 購入者への説明不足施行規則第8条第4号では、顧客に対する18項目にわたる説明義務が規定されています。しかし購入者と販売側が対面していないという性質上、必然的にこの説明義務がおざなりにされる危険性があります。
  • 安易な購入生体を目視確認することなく画面上で安易に購入するおそれがあります。
 
通信販売の問題点(国民生活センター)
  • 健康状態に関するトラブルそもそも病気にかかったペットが送られることがあったり、たとえ健康であっても空輸中に体調を崩してしまうことがある。
  • 画面で見たイメージと違うインターネット上に公開されている写真や動画のイメージと、実際に送られてきたペットのイメージが違うことがある。
  • 無登録業者の横行事業者の住所は実在せず、登録番号も違っていたといった悪質なケースも見られる。無登録でのペットの販売は刑事罰の対象となる違法行為。
  • ペットや血統証明書が届かない契約して代金を支払ったにもかかわらず、当該ペットが送られてこないとか、4~5ヶ月経った後も血統書が送られこないといった契約不履行のケースが見られる。
  • トラブルの解決が困難前払いでのインターネット取引などでは、店舗を構える事業者と比較して連絡が取りにくい場合もあり、なかなか話し合いや交渉をすることができず、トラブルの解決を図ることは容易ではない。

インターネット取引に関するトラブル

 「ペットのインターネット取引にみるトラブル」 の中では、PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)の元に寄せられたペットに関する相談件数(いわゆるクレーム)の中で、インターネットトラブルが一体どの程度占めているのかも同時に示されています。
 そのデータによると、ペットの購入先として全体の5%程度しか占めていないはずのインターネット取引が、なぜかクレーム全体の10%以上を占めており、悪質業者が入り込みやすい業態であることをうかがわせます。
ネット取引に関するクレームの全体比
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた「ペット」に関する相談件数の内、インターネット取引に関わるものの年次推移  クレームの具体的な内容としては、「返金」(従業員に言葉巧みに勧められ子犬を購入。解約を申し出たが応じないetc, 36.8%)、「解約全般」(35.4%)、「約束の不履行」(1年前購入した子犬の血統書を再三請求しているが送付されないetc, 24.1%)、「クレーム処理」(子犬の具合が悪くなり肺炎の末期と診断。店に行き治療費を請求したが、店長不在を理由に対応されないetc, 15.2%)、「補償」(遠隔地にある店指定の動物病院以外では子犬の治療費が補償されないetc, 13.6%) などのほか、「連絡不能」(15.5%)という悪質なものまで散見されます。
ネット取引に関するクレームの内訳
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた、インターネット取引に関わる相談件数の内訳  こうしたトラブルを受け、2013年9月1日から施行される改正動物愛護管理法では、ペット販売時の対面説明が義務化されることとなりました。これにより、たとえネット販売であっても顧客に対面して飼育方法などを説明することが業者に義務づけられるため、「写真と実物が違う」などインターネット売買に伴う苦情が減ることが期待されます。
 また上記したようなトラブルを避けるため、購入者の側でも以下に述べるような自主的な注意が必要となるでしょう。
通信販売における購入者の注意
  • 契約にはリスクがある空輸中に健康を損ねたり、トラブル発生時の問題解決が困難になるリスクがある。アフターフォローの有無や業者の評判をよく調査してから契約することが必要。「ペットに瑕疵(病気等)があっても責任を負わない」という条項を小さな文字で入れている悪質な業者も中には存在する。
  • 実物を確認すること画面から知ることのできる情報は限られている。実際に業者と対面し、実物を目し確認してから購入することを心がけ、写真やメールだけでの購入は避けるようにする。
  • 信頼できる事業者を見つける「動物愛護管理法」で登録業者に義務付けられている「標識」がインターネット上に掲示している事業者かどうかを必ず確認すること。その他、文書と口頭の両方で説明義務を果たしているか、質問に適切に答えてくれるか、事前にペットや施設の衛生状況等を確認させてくれるかなども確認すること。
  • 安易な購入は避けるインターネット取引等の通信販売は、返品の可否、条件等が表示されている場合には、購入者はその範囲においてのみ返品が可能であり、一方的に契約を解除することはできない。自己都合で解約する場合は、事業者との話し合いが必要。

移動販売

 移動販売とは固定店舗を持たない形の販売形態です。ホームセンターや百貨店の屋上で開催される青空市や、Pet博におけるブース販売などが具体例として挙げられます。

移動販売の問題点

 環境省が公開している「移動販売・インターネット販売・オークション市場について」では、以下のような問題点が指摘されています。
移動販売の問題点
  • 購入者への説明不足施行規則第8条第4号では、顧客に対する18項目にわたる説明義務が規定されています。しかし期間限定という性質上、1人の客に対してそれほど長い時間人員をあてがうことができず、必然的にこの説明義務がおざなりにされる危険性があります。
  • 売り逃げ特定の店舗を持たないため、購入者に対するアフターフォローが困難になる状況が危惧されます。要するに「売った後は知ったこっちゃない」という売り逃げをする業者が出てきやすいということです。
  • 動物への負担輸送や展示により動物が狭いケージ内に長時間置かれる状況は、免疫力が弱く、心身ともに成熟していない幼獣の生体にとっては決して望ましくありません。
 「犬を殺すのは誰か」(出典→朝日新聞出版, P30)では、移動販売がペットショップの「在庫処分セール」として機能している側面が指摘されています。すなわち、店で売れ残った犬猫を、安くても良いからとにかく売りさばくための特売所ということです。特にPet博などの大規模イベントでは、週末にたくさんの人が訪れること、そして在庫処分という意味合いから価格が安く設定されていることなどもあり、売れやすいとのこと。
詐欺まがいのペット販売事例
【2010年9月7日 読売新聞より】
 移動販売のペットショップから犬を買ったら、すぐに衰弱した――。そんな相談が8月下旬頃から、群馬県消費生活センターに寄せられている。購入時に強いウイルスに感染していた例が多く、県は「購入の際にはアフターケアを確認してほしい」と呼びかけている。
 県消費生活課によると、6日現在、3件の相談が寄せられ、いずれも8月中、下旬に、大阪に本社を置く移動ペット販売業者が、高崎市内の仮設店舗を利用して行った犬や猫の展示販売で購入したものという。
 20歳代の男性は、16万円で犬を購入したが、1週間で死んだ。獣医師に診せると、パルボウイルスが原因で、ペットショップで感染したとの診断を受けた。40歳代の男性は、25万円で購入したトイプードルが衰弱し、同ウイルスやジステンパーなどの感染が疑われ、引き取りと返金を訴えたが、業者側は代替犬の提供を主張しているという。
 同課によると、契約書に「返品・返金・交換などには応じない」とあっても、消費者契約法の規定により、消費者に一方的に不当・不利益な場合は無効になる。また、ペットの病状が容易に回復しない場合には民法の規定で契約を解除できるという。今回と似たような事例は全国で起きており、県内でほかにもあるとみて、注意を呼びかけている。

移動販売に対する規制

 移動販売が持つ取れ高重視の販売スタイルに対し、日本動物愛護協会日本動物愛護協会などが移動販売ストップキャンペーンを展開した結果、Pet博などの大規模イベントにおける移動販売に関しては、近年になって鳴りを潜めたようです。しかし、依然として中小規模の移動販売は、今もなお全国で行われています。
 また全国ペット協会も「犬猫の生体のインターネット販売や移動販売は、現行の動物愛護管理法にそぐわない販売方法であり、命ある動物を販売する者としての責務を十分に果たしうる環境ではないため、禁止すべき」という立場を表明し、移動販売に対する規制を呼びかけています。
 輸送や展示に伴う動物の負担という点においては、一応、動物愛護法(細目第5条第4号)において動物の輸送に関する規定が盛り込まれています。
動物の輸送に関する規定
  • 輸送設備(動物の輸送に係る設備をいう。以下同じ。)は、確実に固定する等により衝撃による転倒を防止すること。
  • 輸送中は、常時、動物の状態を目視(監視カメラ等を利用して行うものを含む。)により確認できるよう、必要な設備を備え、又は必要な体制を確保すること。ただし、航空輸送中についてはこの限りではない。
  • 輸送設備は、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたく等日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有したものとすること。ただし、動物の健康及び安全を守るための特別な事情がある場合は、この限りでない。
  • 輸送設備は、定期的な清掃及び消毒の実施により、清潔を保つこと。
  • 必要に応じて空調設備を備える等により、動物の生理、生態等に適した温度、明るさ、換気、湿度等が確保されるようにすること。ただし、動物の健康及び安全を守るための特別な事情がある場合は、この限りでない。
  • 動物の種類、数、発育状況及び健康状態に応じ、餌の種類を選択し、適切な量及び回数により給餌及び給水を行うこと。ただし、動物の健康及び安全を守るための特別な事情がある場合は、この限りでない。
  • 動物の疲労又は苦痛を軽減するために、輸送時間はできる限り短くするとともに、輸送中は、必要に応じて休息又は運動のための時間を確保すること。
  • 衛生管理、事故及び逸走の防止並びに周辺の生活環境の保全に必要な措置を講じること。
しかしこうした規定を守るかどうかは、「販売業者の良心に任せる」という、きわめて頼りないものというのが現状です。

小売業界の問題点

 イギリスでは、法律によってペットの販売に大きな規制がかけられています。これは動物に認められた「5つの自由」(飢えと渇きからの自由/不快からの自由/痛み・怪我・病気からの自由/恐怖や苦悩からの自由/正常な行動を表出する自由)を確保することのほか、パピーミルなど悪質な繁殖業者やそれと結託した小売業者の廃絶を目的として制定されているものです。
 具体的には「ペット動物に関する法律」(Pet Animals Act 1951)、「動物福祉法2006」(Animal Welfare Act 2006)および「犬の繁殖と販売に関する法律」(Breeding and Sales of Dogs(welfare) Act 1999)により、以下のようなルールが定められています。
イギリスのペット販売法規
  • 公共の場でのペット販売を全面的に禁止
  • 青空市場(ストリートマーケット)でのペット販売禁止
  • ペットショップの免許制
  • 免許を持たない販売業者へ仔犬を転売することの禁止
  • 12歳以下の子供に販売することの禁止
  • 医療目的以外での犬の断尾の禁止
  • 仔が8週齢に達するまで売りに出してはいけない(ただし、免許を所持するペットショップの経営者を除く)
 これに対し日本では法による制約が緩く、結果として悪質な小売業者、適正でない飼い主の両方を増長させているという現実があります。

衝動買いの助長

 イギリス国内では移動販売のみならず、公共の場におけるペットの売買も禁止されているため、一部(ハロッズなど)を除き犬や猫を店頭でみかけることはありません。日本では「午後8時以降の展示販売は禁止」という規制が新たに設けられたものの、依然として母性本能をくすぐる幼い子犬や子猫が店頭をにぎわしています。こうした「子犬は45日までが旬」という販売スタイルが、結果として衝動買いを助長しているのは確かです。
 平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、およそ60%の人が1週間以内の検討期間で犬猫を購入しており、さらにそのうち29.3%の人は、たった1日未満で購入に至っているという「衝動買い」の現状が示されています。
購入に至るまでの検討期間
購入者が犬・猫を購入する際に要した検討期間

悪質業者の潜伏

 イギリスのペットショップが免許制で、「免許を持たない販売業者へ仔犬を転売することの禁止」など多くの制約を受けることになっているのに対し、日本のペットショップは登録制で誰でも簡単になれます。ネットを利用した通信販売やネットオークションにおける高いトラブル率は、商売に参入する際の敷居の低さを悪用した一部の業者が起こしているものと考えられます。

無意味な美容整形

多くの犬種は、スタンダードの意味を理解していない飼い主のために、無意味に耳やしっぽを切られている  イギリスを始めヨーロッパの多くの国では、犬の断尾が禁止されています。これは犬のしっぽをある一定の長さに切り落としてしまうというものですが、そのほとんどが「スタンダード(犬種標準)に合わせる」という人間の都合によるものです。具体的な方法や意味については犬の断尾犬の断耳をご参照ください。
 なお、平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」では、「チャンピオン直子」という表示について、購入者に対してどのようなものと認識するか尋ねたところ、購入者の53.2%が「容姿等がスタンダードに近くなる可能性の高い犬・猫」と認識している一方で、23.9%が、「分からない」、8.6%が、「可愛らしくなる可能性の高い犬・猫」と認識していることが明らかになりました。
 こうしたデータから、1/4近くの犬猫購入者が、スタンダード血統書の正確な意味を、よく理解していないものと思われます。よって一部の犬種はスタンダードの意味を理解していない人のために、無意味にしっぽを切られたり耳を切られたりしているというわけです。

不適切な社会化

 イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなど多くの国では、子犬に適切な社会化を施すため、8週齢になるまで輸送や販売を法律で禁止しています(→子犬の販売日齢問題)。社会化とは、子犬が外界や他の犬、人間、他の動物などと親和的な関係を築くために「見聞を広げる」ことであり、3~12週齢(ピークは6~8週齢)の間に行わなければなりません。
 環境省が公開している犬猫幼齢動物の販売日齢についてによると、日本の小売店では約33%の犬が8週齢以下で売買されており、その全てではないにしても、多くの子犬が社会化期を狭いケージの中で過ごすことを余儀なくされている状況は、容易に想像がつきます。そしてこのような不適切な社会化期の過ごし方が、後の問題行動の遠因になっている可能性が、一部の研究では示唆されています(Jogoe, 1994)。
 犬の問題行動はペット遺棄の大きな要因となっていますが、この問題行動の原因は、飼い主の側のしつけ不足のほか、「購入者の購買意欲を掻き立てるため、なるべく幼齢の子犬・子猫を店頭に並べる」というペットショップの商売スタイルのために社会化期を犠牲にしたことが一因とも言えるでしょう。 犬の殺処分の現状
犬の購入先と攻撃性・恐怖心の相関
犬の入手先と支配性攻撃行動の相関 犬の入手先と社会性の恐怖心の相関  2018年、環境省主導のもと「犬猫幼齢個体を親等から引き離す理想的な時期に関する調査」が公的に行われました。その結果、繁殖業者から生後50~56日で出荷された子犬と生後57~69日で出荷された子犬を比べると成長後の「見知らぬ人に対する攻撃性」や「家族への攻撃性」などに有意差が生じるという結論に至ったと言います。
 一方、ペット生体販売の業界団体「全国ペット協会」が環境省に提出したアンケート結果では、子犬を早く出荷することに肯定的な内容になるよう、圧力をかけて回答を方向づけした疑いがもたれています(出典AERA/2018年5月30日)。
生体販売業界にとって販売日齢は生命線。若いほど可愛くてよく売れるし、繁殖業者の管理費用も抑えられるんです。

小売業界の説明責務

 平成12年12月に改正「動物の愛護及び管理に関する法律」が施行され、動物販売業者の説明責務が加わりました。現在販売業者は、販売をしようとする動物について、文書を交付して説明するとともに、当該文書を受領したことを顧客の署名等で確認することが義務付けられています。

動物愛護法施行規則第8条

 販売者の説明義務を具体的に明記しているのは、動物愛護法施行規則第8条で、「販売業者にあっては、販売をしようとする動物について、その生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、契約に当たって、あらかじめ、次に掲げる当該動物の特性及び状態に関する情報を顧客に対して文書(電磁的記録を含む。)を交付して説明するとともに、当該文書を受領したことについて顧客に署名等による確認を行わせること。ただし、動物取扱業者を相手方として販売をする場合にあっては、ロからヌまでに掲げる情報については、必要に応じて説明すれば足りるものとする。」となっています。
動物愛護法施行規則第8条
  • 品種等の名称
  • 性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
  • 平均寿命その他の飼養期間に係る情報
  • 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
  • 適切な給餌及び給水の方法
  • 適切な運動及び休養の方法
  • 主な人と動物の共通感染症その他当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及び その予防方法
  • 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
  • 前項に掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊若しくは去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
  • 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
  • 性別の判定結果
  • 生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあって は、推定される生年月日及び輸入年月日等)
  • 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
  • 生産地等
  • 所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)
  • 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等
  • 当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限 り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)
  • その他当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項
 また、環境省が公開している「ペット動物販売業者用説明マニュアル」では、ペットを購入しようとしている購入者に対し、具体的に以下のような情報を提供するようマニュアル化しています。こうした情報の他、動物種ごとの個別説明を付け加えるのが理想的な形です。
ペット動物販売業者用説明マニュアル
  • 動物購入者が種類や品種を選ぶために必要な情報
  • 終生飼養を確保するために必要な情報
  • 適正飼養を確保するために必要な情報
  • 所有の明示
  • 繁殖制限に関する情報
  • 人と動物の共通感染症の予防に必要な情報
  • 逸走と危害の発生を防止するために必要な情報
  • 生物多様性保全の見地から必要な情報

説明責務の現状

 環境省が公開している「移動販売・インターネット販売・オークション市場について」では、平成18年度におけるペット購入時の事前説明(口頭と文書による説明)の実施率は約44%で、全国ペット協会加盟店舗では約89%という数字が出されています。
 また事前説明を受けた長さに関しては、購入者アンケートでは10分未満が31.5%、10~30分未満が42.5%となっており、30分未満で75%近い割合を占めていることが明らかになっているのに対し、販売者アンケートでは、30~60分未満が31.9%、60分以上が49.8%と、30分以上説明に時間を費やしたとする業者が、全体の80%を超えています。両者の食い違いの原因としては、購入者側の記憶違い、および販売者側の「水増し申告」の両方が影響しているものと思われます。
事前説明を受けた長さ(購入者)
事前説明を受けた長さ・購入者アンケートの結果
事前説明を行った長さ(販売者)
事前説明を受けた長さ・販売者アンケートの結果  なお事前説明の内容に関しては以下です。避妊・去勢の実施状況や、手術する際の方法・費用に関する説明が、いささかおざなりになっている印象を受けます。
事前説明の内容
事前説明の内容・その1 事前説明の内容・その2

説明責務に関するトラブル

 環境省が公開している「ペット動物取扱業者の販売実態」(平成13年度)によると、動物取扱業者へのアンケート調査で販売上におけるトラブル・苦情の内容が明らかにされています。
 内訳は、「販売した動物の病気」(16.6%)、「販売後に死亡した動物の補償について」(7.9%)、「血統書など各種証明書に関するもの」(8.5%)というものです。こうしたトラブルに対し、「店員がペット購入前に十分な説明をし、購入時には詳しい手引書等を渡し、購入後の疑問点などを電話相談などで受け付けることをしていれば問題ないのだが、実際にはこれをできている業者は少ないようである」と指摘しています。
販売上のトラブル
犬猫の販売業者に関するトラブル・苦情のアンケート調査
不利なことは聞かれない限り答えないというペットショップもありますね。