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犬の白癬

 犬の白癬(はくせん)について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬の白癬の病態と症状

 犬の白癬とは、真菌の一種である「皮膚糸状菌」(ひふしじょうきん)が皮膚に広がった状態のことです。毛が円形に抜け落ちることから「リングワーム」の異名を持ちます。
白癬の原因菌であるイヌ小胞子菌(ミクロスポラムカニス)  非常にたくさんの種類がある皮膚糸状菌の中で、犬に感染するものはイヌ小胞子菌(ミクロスポラムカニス, M.canis)、石膏状小胞子菌(ミクロスポラムギプセム, M.gypseum)、トリコフィトンメンタグロフィテス(T.mentagrophytes)の3種です。2種類の菌を同時に保有するというケースもあります。
 犬の白癬の主な症状は以下です。犬の免疫力が正常な場合、たとえ保菌していても8週間以内に自然治癒すると言われています。
白癬の主症状
犬の白癬~通称「リングワーム」とも呼ばれる円形の脱毛が最大の特徴
  • 円形の脱毛
  • 脱毛部にかさぶた(痂皮)
  • 脂漏症
  • 爪の変形と炎症(爪真菌症)
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犬の白癬の原因

 犬の白癬の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
白癬の主な原因
  • 白癬菌との接触  犬に感染する皮膚糸状菌にはイヌ小胞子菌、石膏状小胞子菌、トリコフィトンメンタグロフィテスがあり、これらの病原菌を保有している他の宿主と接触することで感染します。イヌ小胞子菌は犬や猫と同士の接触、石膏状小胞子菌は地面をひっかくなど土壌との接触、そしてトリコフィトンメンタグロフィテスは野生動物との接触によって感染するというのが主なルートです。その他、野良犬や野良猫に触った飼い主が、手洗いをしないまま家の飼い犬を触ることでも感染する可能性があります。
  • 免疫力の低下 免疫力が正常な犬の場合、皮膚糸状菌に感染していても自然治癒力によって2ヶ月ほどで撃退することができます。しかし何らかの理由によって免疫力が低下した状態だと、菌の増殖を抑えることができず、発症してしまうことがあります。免疫力を低下させる要因としては、過密飼育などによるストレス、若齢、感染症、免疫力を落とす薬などが挙げられます。
  • 長毛 猫においては、短毛種よりも長毛種における発症率が高いと言われています。この背景にある原因が、長毛の方が菌が付着しやすく、また菌にとって好都合な湿度を含みやすいという点だとすると、同じ傾向は犬にも当てはまるはずです。
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犬の白癬の治療

 犬の白癬の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
白癬の主な治療法
  • 局所治療  病変部が小区画にとどまっているような場合は、外用薬や薬浴による局所治療を行います。薬を塗りやすくするために被毛を剃ることもありますが、剃った毛をしっかりと処分しないとそれ自体が感染源になってしまうため要注意です。
  • 全身療法  病変部が広範囲に広がっているような場合は、殺菌効果のある内服薬を適用します。一般的には45日以上経過観察が必要です。なおアメリカではイヌ小胞子菌に対するワクチンがありますが、その効果に関してはいまだに賛否両論です。
  • 環境の清浄化 感染動物から抜け落ちたフケや被毛を環境中から一掃するようにします。表面が滑らかなものなら家庭用漂白剤で消毒し、カーペットなら掃除機で入念に感染源を吸い取ります。イヌ小胞子菌は人間にも感染する人獣共通感染症の一つですので、飼い主の健康を守るという意味でも重要です。皮膚糸状菌症(子猫のへや)
  • ストレス管理 ストレスによる免疫力の低下が日和見感染を引き起こすことがありますので、ストレス管理は重要です。日和見感染(ひよりみかんせん)とは、宿主の免疫力低下を見計らって病原体が暴れだし、症状を現してしまう現象のことです。犬の幸せとストレス
  • 手洗いの励行 犬や猫が皮膚糸状菌を保有していても、全く症状を示さない「不顕性感染」であることが少なくありません。手の中で洗い残しが発生しやすい部位 家の外で他の犬や猫を触った時は、たとえ動物に全く症状が現れていなくても、手洗いを励行するに越したことはないでしょう。下の写真の黒い部分は、洗い残しが発生しやすい場所を示しています。こうした部分に気を付けながら隅々まで洗う習慣をつけておくと安心です。
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