トップ犬の食事犬に必要な栄養犬にえさを与えるタイミング

犬にえさを与えるタイミング~食餌の時間はいつにするのがベスト?

 月齢や年齢によって、犬の必要としている栄養量には違いがあります。それに伴い、食事の回数や食事のタイミング等を飼い主の側で微調整してあげましょう。

エサを与えるタイミングは?

 以下は、犬にエサを与えるときのタイミングの一例です。給餌の仕方は、ライフスタイルや飼育頭数によって大きく変わりますので、あくまでも参考程度にお考えください。
犬に餌を与えるタイミングと分量の目安
給餌時間午前7時頃正午頃午後5時頃午後10時頃
~3ヶ月普通普通普通普通
3~6ヶ月普通少なめ普通少なめ
6~12ヶ月普通×少なめ×
12ヶ月~適宜×少なめ×
 朝食をメインの食事とするパターンです。成長期における必要カロリー数については子犬のケアの仕方を、1歳を超えて成長が止まってからの必要カロリー数については犬に必要な栄養量をご参照ください。
 12ヶ月を過ぎた犬は1日1回の食事で十分な量のエサを食べることができます。しかしドカ食いや早食いは糖尿病に結びつく恐れがあり、また消化吸収に要するエネルギー(食餌性熱効果)が低くなるため、肥満につながりやすくなります。犬ががっつきすぎる場合は、複数回に分けたほうがよいでしょう。
 食餌をしてすぐに運動をすると、胃捻転の危険性が高まります。またインスリンというホルモンの血中濃度が高くなり、脂肪の分解が抑制されますので、若干太りやすくなるかもしれません。消化に4~6時間かけて胃の中を空にしてから散歩に出かけたほうがよいでしょう。
 過剰な間食(おやつ)は肥満糖尿病の原因になりますので、 飼い主が責任もって監督管理します。日頃から犬の体型を観察し、肥満の傾向が見られたらすぐにダイエットを始めるようにします。

エサを与える方法は?

 犬にエサを与える方法にはいくつかのタイプがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。給餌のタイプを決めるのは、犬の体型、飼育頭数、簡便さ、持病がある場合は獣医師からの指示などです。
犬の給餌スタイル
  • 自由採食法エサをいつどれくらい食べるのかを、犬に任せる方法。「手間がかからない」・「専門知識を必要としない」というメリットがある反面、「食べ過ぎを制御しにくい」・「摂食量を把握しにくい」というデメリットがある。ちなみにこの方法で給餌されている犬は、40%の確率で肥満に陥るとか。
  • 定量給餌法エサの量と摂取カロリー数だけを飼い主がコントロールするという方法。「摂食量のコントロールをしやすい」・「食欲の変化に気づきやすい」・「体重のコントロールがしやすい」というメリットがある反面、「やや手間がかかる」・「摂食量の計算知識が必要」というデメリットがある。
  • 定時給餌法エサを与えるタイミングだけを飼い主がコントロールするという方法。「摂食量のコントロールがややしやすい」・「食欲の変化に気づきやすい」というメリットがある反面、「摂食量のコントロールは不正確になりやすい」・「食べ過ぎをコントロールしにくい」・「手間がかかる」というデメリットがある。
 上記したように犬に餌を与える方法はいくつかありますが、食べる量を犬に任せる食べ放題という給餌方法は犬の肥満を助長してしまうためやめておいた方がよいでしょう。 犬に食べ放題を許すとたいていはオーバーカロリーになる  4頭のビーグル犬を対象とし、8ヶ月間にわたって好きなだけフードを食べさせるという自由摂食試験が行われました。その結果、外の気温が高くなればなるほど食事の量が減り、逆に低くなれば低くなるほど食事の量が増えるという傾向が見出されたと言います。この現象はおそらく、外が寒いと体温を維持するためにより多くのエネルギーを必要とするから生じたのでしょう。ちなみに試験終了後、犬が肥満に陥ることはなかったそうです出典資料:Rashotte
 一方、避妊手術を施したメスのビーグル4頭を対象として行われた自由摂食試験では、体に必要なエネルギー以上のカロリーを摂取し、最終的には肥満に陥ったと言います出典資料:Jeusette。またラブラドールレトリバーを対象として行われた別の調査では、肥満に関与した「TNF遺伝子」「POMC遺伝子」という遺伝子の存在が確認されています。 ラブラドールレトリバーの肥満遺伝子が特定される ラブラドールレトリバーの太りやすさには「TNF遺伝子」が関わっている  こうしたことから考えると食事の量を犬任せにする「食べ放題」という給餌方法はやや危険と言えるでしょう。犬には祖先であるオオカミと同様、「饗宴か飢えか」(feast or famine)と言う行動指針があり、常に空腹と飢餓に対する恐怖を抱えながら生きています。その結果、目の前に食べ物があると、例えお腹が空いていなくてもどんどん胃袋の中に放り込んでしまいます。こうして引き起こされるのが肥満です。
肥満は筋骨格系の疾患や循環器系の疾患を引き起こすと同時に、寿命を縮めてしまう危険性が示唆されています。犬の食事量やタイミングは飼い主がしっかり管理してあげるのがベストです。