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覆面調査によりイギリス国内の闘犬の実態が明らかに

 チャリティ団体「LACS」が行った半年に渡る覆面調査により、イギリス国内で秘密裏に行われている闘犬の実態が明らかになりました(2016.5.26/イギリス)。

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 動物への残虐行為を見世物にするあらゆるスポーツに反対する「League Against Cruel Sports」(LACS)は、イングランド東部にあるベッドフォードシャー州で6ヶ月に及ぶ覆面調査「Project Bloodline」を行い、大小さまざまな規模で繰り広げられている闘犬の現場をレポートしました。要点をまとめると以下のようになります。 Dog fighting in the UK
闘犬の規模
  • ストリートレベル都会の駐車場や空きビルなどで行われる1対1の戦い | 若者が自分のステータスを高めるために行うことが多い | 毎日国内のどこかで行われていると推測される
  • 趣味レベル犯罪組織の趣味やギャンブルが絡む | 数週間に1度の頻度で行われていると推測される
  • プロレベルしっかりと訓練された犬を用いた組織だった興行 | 数ヶ月に1度の頻度で行われていると推測される
闘犬の噛ませ犬にされる犬は犬歯を切断される  規模に差はあれ、犬に対して虐待行為が行われているという事実は変わりません。具体的には「闘犬の根性を鍛えるため、頭を壁にぶつけたり叩いたりする」、「競技後の犬の死体を農地に放置する」、「反撃しないよう噛ませ犬の犬歯を切断する」、「闘犬の練習台として盗んできたペット犬や迷子犬、野良猫を利用する」などです。用いられる犬種は「Dangerous Dogs Act」によって飼育が禁止されている大型犬が多く、中東あたりから密輸入された元犬が闘犬だけのために秘密裏にブリーディングされていると言います。
Dangerous Dogs Act
 1991年、6歳の子供がピットブルテリアに襲われたことをきっかけに制定された危険犬種に関する法律。ピットブルテリア土佐犬ドゴーアルヘンティーノフィラブラジレイロの4犬種に関しては、裁判所による許可が無い限り飼育してはいけない。 Controlling your dog in public
 イギリス国内では現在、「Animal Welfare Act」によって動物を用いた格闘競技が禁止されており、最長で51週間の禁固刑のほか罰金刑やペット飼育禁止令などが下されることもあります(→出典)。しかし2008年~2014年の間で、闘犬絡みの告発が行われたのはわずか40件に過ぎず、十分に機能しているとは言えないのが現状です。
 今回の調査によって闘犬の現実を目の当たりにした「LACS」は、「National Dog Fighting Action Plan」と題した以下のような改善策を提案しています。
National Dog Fighting Action Plan
  • 政府主導の対策本部の設置
  • 「動物の格闘」という大きな枠ではなく、闘犬特別枠を設けて法的に規制する
  • 最低3年の禁固刑など違反者への罰則を強化する
  • 飼育禁止者をデータベース化し、再犯を予防する
  • 闘犬を取り締まることで、他の犯罪を取り締まる
  • 取り締まるべきは犬を飼う人間の方である。特定犬種を飼育禁止にする現行法は改善すべき
Dog fighting: Campaigners call for action against owners Charity urges crackdown on 'barbaric' dog fighting Project Bloodline完全レポート