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犬の歯

 犬の歯についてイラストや写真付きでまとめましたのでご覧下さい。
 なお、犬の歯や口の健康チェックや手入れの仕方については犬の歯のケアで、さらに犬の口元から気持ちを知る方法については犬の顔から心を読む訓練で詳述してあります。

犬の歯の基本構造

 以下では、犬の歯の構造や役割について、イラストと共に解説していきます。なお、犬の歯に対して行われる整形手術に関しては犬の犬歯切断をご参照ください。

犬の歯の模式図

 犬の歯は基本的に下図のような構造になっています。上が外面から見た図、下が断面にした図です。
犬の歯の外面図
犬の臼歯を外側から見た模式図
  • 歯冠 歯冠(しかん)は、歯の中で歯茎から外に飛び出している部分のことです。実際に食物と接触し、噛んだり切ったりするという重要な役割を担っています。歯冠の石灰化は、乳歯の場合は生後20日齢、永久歯の場合は3ヶ月齢頃に終了します。
  • エナメル質  エナメル質(Enamel)は歯冠の表面を覆っている硬い外層のことです。96%の無機質と4%の水+有機質で構成されています。哺乳動物の体内で最も硬い組織ですが、強い衝撃には弱く、時に欠けたり折れたりします(歯牙骨折)。
  • 歯肉 歯肉(しにく)とは歯の根元を覆い尽くす上皮組織のことです。「歯茎」と言った場合は、歯肉の中で外側から見える部分を指します。歯冠に隣接し、骨に付着していない部分は「歯肉縁」と呼ばれ、歯肉退縮(炎症で歯肉が目減りした状態)の目安として用いられます。
  • 歯肉溝 歯肉溝(しにくこう)とは、歯冠と歯肉の境目にできる小さな溝のことです。通常は隙間が小さく、細菌の侵入などを防いでくれますが、炎症などでこの溝が深くなってしまうと、食べかすなどがたまりやすくなり「歯周ポケット」と呼ばれるようになります。
犬の歯の断面模式図
犬の臼歯を断面で見た模式図
  • ゾウゲ質  ソウゲ質(Dentin)は70%の無機質、20%の有機物、10%の水分より成り、エナメル質よりは柔らかい組織です。歯を内側から支えることにより、強度を持たせています。
  • セメント質 セメント質(Cementum)は歯の根元にあり、ゾウゲ質の外側を覆う組織のことです。60%の無機質、25%の有機物、15%の水から構成されています。セメント質とエナメル質の境目は「セメントエナメル境」(CEJ)と呼ばれ、歯周病を評価するときの目安として用いられます。
  • 歯髄  歯髄(しずい)は、歯の中心部を通る神経と血管の総称です。歯髄腔という空間の中に納まっています。虫歯がこの歯髄に達すると、神経を刺激して痛みを誘発します。
  • 歯槽骨  歯槽骨(しそうこつ)は歯を支える骨性組織であり、歯槽骨と歯の間は歯周靭帯(歯根膜)というケーブルで支えられています。歯周病が進行すると、歯槽骨にまで炎症が及び、徐々に骨が削られていきます。

犬の歯の種類と役割

犬の臼歯はちょうどハサミのように、間に挟まったものを切断する役割を果たす  肉食動物として生きてきた犬の歯は、主として肉を切り裂いたり噛み砕いたりすることに適応しています。雑食動物や草食動物の臼歯(きゅうし)は文字通り「臼」(うす)のような形状をしており、上下の臼がゴリゴリとすり合わさることで間に挟まった食べ物を細かくすりつぶします。それに対し犬の臼歯は、上下の歯が微妙にずれて噛み合わさるため、ちょうどはさみでチョキンと紙を切るように、間に挟んだものを切り裂く働きをします。特に上顎第四前臼歯と下顎第一後臼歯は大きく、肉を切り裂くのに適した裂肉歯としての役割を果たします。犬や猫は顎を横にスライドさせることができず、垂直方向にしか開閉できないのは、食べ物を切り裂くことを最優先にして生きてきた結果でしょう。
 虫歯歯周病などで犬の歯が弱ってしまうと、正常な咀嚼運動ができなくなり、時に食欲不振などの症状を見せることがあります。そうならないためには、飼い主による定期的なオーラルケアが必要です。 犬の歯・口の病気 犬の歯のケア 各歯の役割は以下です。
犬の歯の機能
犬の歯の種類は門歯、犬歯、臼歯に大別されます。
  • 門歯  門歯(もんし, incisor)は食物を噛み切る役割を果たします。「Incisor」の頭文字をとってI1、I2、I3とも呼ばれ、永久歯は3~5ヶ月目から生え始めます。数は上6本+下6本の計12本です。「切歯」と呼ばれることもあります。
  • 犬歯  犬歯(けんし, canine)は全歯の中で最も長く、先端が鋭いのが特徴です。食物や獲物を固定する役割を果たします。永久歯が生え始めるのは5~7ヶ月頃で、数は上2本+下2本の計4本です。
  • 前臼歯  前臼歯(ぜんきゅうし, premolar)は食物を切ったり固定したりする役割を果たします。平べったいため、食物をすりつぶすというよりは引き裂くのに適しています。第1~第4まであり、生え始めるのはおおよそ4~6ヶ月頃で、数は上8本+下8本の計16本です。
  • 後臼歯  後臼歯(こうきゅうし, molar)は人間の奥歯と同様、上面がすりこぎ状になっており、食物をすりつぶすのに適しています。生え始めるのはおおよそ5~7ヶ月頃で、数は上4本+下6本の計10本です。
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犬の歯の数

 犬の乳歯は生後3週目ごろから生え始め、約2ヶ月で生えそろいます。通常上14本、下14本の計28本です。その後、4・5ヶ月齢~7・8ヶ月齢までに乳歯が抜け落ちて永久歯に生え変わりますが、この時期を歯牙脱換期(しがだっかんき)といいます。歯牙脱換期の子犬は、口の中がむずむずして何かと硬いものをかじりたがりますので、犬用のガムや子犬用のおもちゃを与えておきましょう。
 乳歯が28本であるのに対し、永久歯は42本から構成されます。内訳は「前歯12本+犬歯4本+前臼歯16本+後臼歯10本」の計42本です。下に犬の歯数表を載せますのでご参照ください。  
成犬の永久歯の数一覧表
子犬と成犬の歯の数一覧表
 なお小型犬などでは、永久歯が顔を見せているにもかかわらず、なかなか乳歯が抜け落ちないことがあります。これは乳歯遺残(にゅうしいざん, retained deciduous teeth)と呼ばれる病的な状態ですので、子犬の口の中を見てこの現象が確認できるような場合は、念のため獣医さんに相談しましょう。
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犬の歯のかみ合わせ

 犬の歯のかみ合わせを下に図示しますが、かみ合わせのことを医学用語で「咬合」(こうごう)といいます。正しいかみ合わせとして「鋏状咬合」(はさみじょうこうごう)がある一方、悪いかみ合わせ(不正咬合, ふせいこうごう)の代表格としては「切端咬合」(せったんこうごう)、「下顎突出咬合」(かがくとっしゅつこうごう=いわゆる受け口)、および「上顎前出咬合」(じょうがくぜんしゅつこうごう=いわゆる出っ歯)があります。 犬の不正咬合
犬のよい噛み合わせ
犬の正しい噛み合わせ・鋏状咬合(はさみじょうこうごう)です
  • 鋏状咬合 鋏状咬合(はさみじょうこうごう)はシザーバイトとも呼ばれ、犬の正しい噛み合わせの見本とされています。上の切歯の裏面に下の切歯の表面が接触している噛み合わせです。また下顎の犬歯は上顎の犬歯の前にすっぽりとはまります。
犬の悪い噛み合わせ
犬の不正咬合3種比較図です。
  • 切端咬合 切端咬合(せったんこうごう)は上下の前歯の端がきっちりとかみ合う噛み合わせで、水平咬合、またはレベルバイトとも呼びます。
  • 下顎突出咬合 下顎突出咬合(かがくとっしゅつこうごう)は口を閉じたとき、下の前歯が上の前歯の前に出るもので、反対咬合、またはアンダーショットとも呼びます。
  • 上顎前出咬合 上顎前出咬合(じょうがくぜんしゅつこうごう)は上下の前歯の間に隙間ができるもので、異常被蓋(ひがい)咬合、またはオーバーショットとも呼びます。
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