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犬の便秘

 犬の便秘について病態、症状、原因、治療法別にまとめました。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。

犬の便秘の病態と症状

 犬の便秘とは、腸の中に便がたまり、長いこと排出することができない状態を言います。
2日以上うんちをしない場合は便秘を疑う  飼い主は、日課として犬が一日何回うんちをしたのかを記録しておきます。丸1日排便しないことはあっても、2日間排便しないというのは明らかに異常です。しっかりと排便日誌をつけていれば、こうした便秘の兆候にもすぐに気づくことができるでしょう。またマッサージなどを通して日常的に犬の体に触れておくことも重要です。腸の中に便がたまってくると、左の下腹部がゴツゴツとした手触りになりますので、「うんちがたまっているな」とすぐに気付くことができます。
 以下は、犬の便秘の主な症状です。トイレで踏ん張るけれども、なかなか便が出てこない状態のことを、医学的に「しぶり腹」と言います。「テネスムス」や「裏急後重」(りきゅうこうじゅう)も同義語です。
犬の便秘の主症状
  • 便を出そうとするが出ない(しぶり腹)
  • コロコロした少量の便
  • 絞り出したような細長い便
  • 左下腹部にコリコリとしたふくらみ
  • 腹部へのタッチを嫌がる
  • 1日に何度もトイレへ行く
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 奇異性下痢
奇異性下痢
 奇異性下痢(きいせいげり)とは、便秘の一症状として水分量の多い便を出すことです。腸内の水分や粘液が、カチカチに固まった内容物の隙間を通り越して排出されるためにこのような現象が起こります。犬砂の上に、まるで醤油を垂らしたように500円玉くらいの粘液が見られる場合は、この現象を疑います。
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犬の便秘の原因

 犬の便秘の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の便秘の主な原因
  • 便が硬い 体の機能は正常だけれども、腸の中の便が硬すぎるために通過できない状態です。具体的には、水分摂取不足、骨や異物などの誤飲などが考えられます。
  • 排便時の痛み 体の機能は正常だけれども、痛みがあるために排便できない状態です。具体的には、肛門や直腸の狭窄(通り道が狭くなること)、肛門周辺の傷や肛門嚢炎、直腸内の異物、骨盤や後足の骨折、腫瘍、脱肛などが考えられます。
  • 蠕動の低下 結腸の自律的な動きである蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱まり、内容物をスムーズに移動できない状態です。具体的には、老齢による筋力不足、繊維質不足、低カリウム血症、低カルシウム血症甲状腺機能低下症、馬尾症候群(しっぽ引っ張り外傷)などが考えられます。
  • 結腸の閉塞 便を通過させる結腸の中に障壁があり、便通がブロックされた状態です。具体的には、腫瘍、ポリープ、会陰ヘルニア、直腸憩室、前立腺肥大(オスのみ)などが考えられます。
  • 薬剤 ある種の薬が便秘を誘発した状態で、「医原性便秘」とも呼ばれます。具体的には、鎮痛剤、硫酸バリウム、スクラルファート、抗コリン剤、抗ヒスタミン剤、制酸剤、利尿剤などが考えられます。
  • ストレス 何らかの精神的なストレスが便秘を招いた状態です。具体的には、環境の変化、トイレの変更、悪天候、トイレ内での不愉快な出来事などが考えられます。
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犬の便秘の治療

 犬の便秘の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の便秘の主な治療法
  • 基礎疾患の治療  別の疾病によって便秘が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
  • ストレス管理 腸の蠕動運動をつかさどっている自律神経系は、容易にストレスの影響を受けて機能不全に陥ります。日頃からストレスチェックなどを参考にし、犬にとって居心地の良い環境を整備してあげることはとても大事です。またマッサージには、副交感神経を優位にして犬をリラックスさせるという効果があります。副交感神経は腸管の蠕動運動を促進しますので、便秘の改善につながってくれるでしょう。
  • 輸液  犬が脱水症状に陥らないよう、点滴や皮下注射によって輸液を行います。
  • 浣腸  体重1kg当たり5~10mlの温水(生理食塩水)を注入して便を柔らかくし、指や手で押すことによって結腸内の内容物を強制的に排出します。なお、飼い主が自己判断で人間用の浣腸を用いることは大変危険です。
  • 下剤 動物用の下剤を用いて排便を促します。具体的にはワセリン、パラフィン、多糖類、マグネシウム塩類、ビサコディル、センナ、ヒマシ脂などです。セロトニン作動薬で蠕動運動を強制的に促進することもあります。
  • 食餌療法 腸の蠕動運動低下が原因である場合は、食餌中の食物繊維量を増やすことで、症状が軽減されることがあります。ただし、繊維の摂取によって便の体積が増し、鼓腸を招く可能性もありますので、適量を守るようにします。
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