トップ犬の食事犬にドッグフードを与えるペットフードができるまで

ペットフードができるまで

 たくさんあるドッグフードやキャットフードのうち、最もシェアが大きいドライフードの一般的な製造工程をご紹介します。またペットフードに対して抱いている消費者の不安についても解説します。

ドライフードの製造工程

 以下は、ドライフードができるまでの一般的な製造工程です。「エクストルード製法」と言った場合はこのような作り方を指します。画像の出典は、科学技術振興機構が公開している動画「ドッグフードができるまで」です。 小動物の臨床栄養学・第4章

原材料の到着

 主要な原材料である穀物や肉粉の場合は、1~5トンというかなり大きな単位で荷受けされます。一方、含有量が少ない原材料の場合は25~50kgという比較的小さな形態で荷受けされます。大量の原材料は加工されるまでの間、巨大な貯蔵施設に保存されるのが一般的です。例えば動画内の工場の場合、20トンサイロが65本というとてつもない規模を誇っています。 ドライフードの荷受けと貯蔵サイロ

粉砕

 粉砕とは原材料の粒の大きさを均一にすることです。一般的には、複数のハンマーを持った「ハンマーミル」と呼ばれる粉砕機で、乾燥原材料を粗びきの小麦粉と同程度の大きさになるまで細かく砕きます。粉砕の主な目的は以下です。なお、動画内でこの工程は省略されています。
粉砕の目的
  • 原材料の大きさを均一化する
  • 水を絡めやすくする
  • 加熱処理をしやすくする
  • 消化率を高める
  • 機械の目詰まりを予防する
粉砕前と粉砕後の原材料と

混合

 混合とは、複数の乾燥原材料が均一になるよう混ぜ合わせることです。「羽根型攪拌機」や「リボン式攪拌機」によって各種原材料を混ぜ合わせ、「ドライミックス」と呼ばれる生地の元を作ります。 乾燥原材料をブレンドする羽根型攪拌機

前調整

 前調整とは、ドライミックスと各種添加物、および水を加えることで徐々に水分含量を高めていくことです。デンプンのゼラチン化が促進されるのもこの過程です。調整が不適切な場合、必須栄養素が不均一になったり重要な原材料が製品中に配合されないという現象が生じるため、機械でモニタリングしながら念入りに行います。 乾燥材料と液体材料とを混ぜ合わせる前調整

押し出し成型

 押し出し成型(エクストルード)とは、前調整された原材料を加熱、加圧、成型、切断する一連のプロセスのことです。ドライフードとセミモイストタイプのフードを製造する際の主要な加工方法として普及しています。機械の大きさは、実験に用いられる小型のものから、1時間で5トン以上の原料を加工できる巨大なものまでさまざまです。

加熱+加圧過程

 加熱+加圧過程では、34~37気圧という高圧の中、80~200℃という温度で10~270秒間熱が加えられます。目的は、微生物を殺すと同時に、栄養成分を低下させる各種の酵素を不活性化することです。熱によって失われる栄養成分は、あらかじめ多めに添加しておきます。 エクストルーダーの中における加熱・加圧工程

成型過程

 成型過程では、原材料を適当な大きさにカットすることによってペットフードの外観が形成されます。フードの形状を決める成型プレートは「ダイ」(DIE)と呼ばれ、「丸型」、「骨型」、「魚型」など、目的に応じて適宜交換することが可能です。ダイから出る直前の原材料は、温度100~200℃、水分含量23~27%程度に保たれています。穴から出てくる際、圧縮されていた水分が急激に膨張するため、ちょうど「ポン菓子」のように内部に細かな気泡を含んだ多孔性の性状を作り出します。またこの時に失われる3~5%の水分は、気化熱によって生地を冷却し、カットされた原材料(ペレット)の形を一瞬で固めるのに役立っています。 エクストルーダー末端におけるカッティング工程

乾燥

 乾燥とは、目的の形にカットされた原材料(ペレット)の水分を減らす過程のことです。80~150℃の温度に10~20分さらすことで、水分含量を4~15%減らします。乾燥は、低い温度から徐々に高い温度に移行するのがセオリーです。最初の区画で高温乾燥してしまうと、ペレットの外層が急激に乾燥し、ちょうど肉汁を閉じ込めたステーキのように水分を内部に封じ込めてしまいます。これを「外層硬化現象」といい、乾燥の冒頭でこの現象が生じると、内部の水分は硬い外層を破りながら蒸発することになるので、ペレット表面に小さな割れ目が生じ、ボロボロと崩れやすくなってしまいます。 水分活性を下げるための乾燥工程

コーティング

 コーティングとは、ペレットの表面に油やフレーバーを添加することです。ペレット表面に対する添加物のコーティング工程「コーティングドラム」と呼ばれる機械の中で、ペレットを回転させながら、各種添加物をノズルから垂らして表面をコーティングします。その後、カビや細菌が繁殖しないよう一定温度まで冷却し、充填・包装工程へと回されます。また異物の混入を避けるため、金属探知機に通す工場もあります。
ペットフードができるまでトップへ

消費者の不安

 ペットフードの原材料、製造工程、流通過程は、一般の消費者には見えにくい部分ばかりです。以下では、ペットフードに対して漠然と抱いている消費者側の不安について解説します。

粗悪品である可能性は?

 可能性は否定できません。
 ペットフード安全法により、日本国内で流通する製品のパッケージには、原材料名を全て日本語で記載することが義務付けられています。しかし、消費者として最も気になる「原材料の仕入先」に関しての表示義務はありません。また、ホームページ上で積極的に公開している会社もほとんどありません。人間用の食品では「生産者の顔が見える」というトレーサビリティ(追跡可能性)がセールスポイントになることもありますが、ペットフード業界においてはまだ、そうした傾向は無いようです。
 原材料の由来がどうしても気になる方は、ペットフードメーカーに直接問い合わせるしかないでしょう。2014年、農林水産省が公開した「ペットフードの適正製造マニュアル」(PDF)というメーカー向けガイドラインの中でも、「多くの飼い主さんは、原材料の内容や産地等をかなり気にしています。飼い主さんからの問合せにしっかり対応できるよう、日頃から、原材料の管理を記録しておきましょう」と記載されています。当ページの最後尾に主要メーカーのお問い合わせページをリンクしましたので、メールや電話にてご確認ください。
肉類とは?
 ペットフードのパッケージでよく見かける「肉類」とは、公正競争規約によって「新鮮な又は適正な方法により保存されてある哺乳動物・家禽類等の生肉、肉体部分、並びに上記動物の体又は体の一部から生じる全ての副生物及びその加工物」と定義されており、具体的にはレンダリング加工された「ミートミール」、「ミートボーンミール」、「チキンミール」などが含まれます。「レンダリング」とは、動物の体組織から脂肪と水分を取り除き、食品用の原材料として粉末状にするプロセスのことです。
 2013年、スペインでは、レンダリング加工された犬の肉がペットフードとして使用されていた可能性が浮上し、大きなセンセーションを巻き起こしました。日本のペットフードメーカーの中には、原材料を海外から輸入したり、海外に製造拠点を持っている会社もあります。上記したような悪質な業者から仕入れていないことを祈るばかりです。
ペットフードの肉類はレンダリング加工によって製造される

有害物質が入っている可能性は?

 可能性は否定できません。
 原材料の生産工程では「農薬」が、加工工程では「異物」が、そして製造工程では「カビ毒」が混入する可能性があります。アメリカではサルモネラ菌汚染を原因としたリコールが相次いでいますし、日本でも国民生活センターに対してちらほらと苦情が寄せられています。また2014年、大手ファストフードチェーンの原材料に、カビの生えた鶏肉が使用されていたという事例もあることから、人間用の食事であれペット用の食事であれ、汚染されている可能性は常にあると考えるのが現実的でしょう。
 こうした汚染をなるべく避けるため、ペットフード協会では2006年、業界内の自主基準として「安全なペットフードの製造に関する実施基準」を設定し、2010年からは「ペットフード安全管理者認定制度」を開始しています。また農林水産省では、「ペットフードの適正製造マニュアル」(PDF)というメーカー向けガイドラインを公開したり、FAMIC(農林水産消費安全技術センター)が原則無通告で抜き打ち検査を行って予防に努めています。
 以下は、「ペットフード安全法」で規定されている有害成分の上限値です。単位は全て「μg/g」で、「μg」は「1mgの千分の一」を意味しています。 販売用愛玩動物用飼料の成分規格等
有害物質上限値(μg/g)
ペットフード中の有害物質上限値一覧  FAMICが行う抜き打ち検査は、上記すべての項目に関して行っているわけではありません。また年度によって検査項目がコロコロ変わったりします。ネット上で検査の結果を公開しているものの、上記リストに含まれる数多くの物質の有無に関しては、最終的にメーカーの企業倫理と品質管理体制に任されているというのが現状です。

偽装表示の可能性は?

 可能性は否定できません。
 2014年、アメリカのチャップマン大学が行った調査によると、ペットフードに含まれている肉のDNAテストを行ったところ、約40%において表示偽装の疑いがあるとの結果が出ています。また2015年、イギリスのノッティンガム大学が同様の調査を行ったところ、17ブランド中14ブランドにおいて、未知の動物性たんぱく質が検出されたとのこと。これらはすべて海外における事例ですが、同様の検査を日本国内で行った場合、「ラベルと内容物の不一致は一切ない」と言い切れるだけの根拠はありません。特に、フード内において主要なタンパク源となる「肉類」の由来に関しては、ベールに包まれている部分が多いため、「DNA検査をしたらラベルに記載されていない成分が出た!」という可能性は常にあると考えた方がよいでしょう。なお、ペットフード公正取引協議会では、製造・輸入業者向けに「ペットフードの表示に関する講習会」というものを開いており、意図的・偶発的な偽装表示の発生を予防しようと努めています。
「原産国」の表記について
 ペットフードのラベルに記載されている「原産国」とは、製品の最終加工が行われた国のことです。「最終加工」には、「押し出し成型」(ドライやセミモイスト)、「レトルト殺菌」(ウェット)、「練り成型+加熱」(練り物系)、「焼成」(パンや菓子系)などが含まれます。原産国が「原材料の仕入先」を意味していない点には注意が必要です。ペットフードの原産国(PDF)
ペットフードができるまでトップへ

主要メーカー一覧

ペットフードができるまでトップへ