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7月の犬ニュース

 2015年7月の犬に関するニュースをまとめました。一番上が最新で、下にスクロールするほど記事が古くなります。記事内にリンクが貼られていることもありますが、古い記事の場合はリンク切れの時がありますのでご了承下さい。

7月31日

【アメリカ】隣人の犬を勝手に安楽死させた動物保護活動家が、動物虐待と窃盗の罪で訴えられました。
 「PAWS」という動物保護団体の元スタッフで、 「動物安楽死士」の資格を持つマーティーン・サイラスという女性は今月、隣人の飼い犬であるシベリアンハスキーの「ゼウス」(Zeus)をつかまえ、飼い主の許可を得ないまま勝手に安楽死させました。彼女はこの時、施設内にいたスタッフに対し「犬が誰のものか知らない」、「この犬は家畜を追い回す厄介者だ」などと嘘をついた疑いがもたれています。
 嘘が発覚した後、愛犬家たちはFacebook上に「Justice for Zeus」というアカウントを作って、この行為を厳しく糾弾。現在彼女は、窃盗と動物虐待の疑いで訴えられ、裁判を待っているとのこと。 Source---NewsChannel4
飼い主に無許可で殺されたゼウスと容疑者の女

7月31日

 犬と狼を対象として、今まで見たことないものを恐れる「ネオフォビア」の傾向を比較したところ、狼の方が新奇物に対して強い警戒心を示すことが明らかになりました。
 実験を行ったのは、イタリアトリノ大学やオーストリアウィーン大学などから成る共同チーム。生まれてから人間に育てられた狼11頭と、 同じように育てられた犬13頭を対象として、今まで出会ったことのない新奇なものに対するリアクションが観察されました。結果は以下です。
犬と狼のネオフォビア
  • 狼よりも犬の方がより素早く対象物に近づく
  • 対象物を調査する時間は犬の方が短い(興味を失いやすい)
  • 犬も狼も他の個体がそばにいると接近時間が短くなる
  • そばにいる個体は血縁関係にある方が大胆になる
 こうした事実から研究チームは、「他の個体がそばにいるとネオフォビアが弱まる」という現象が犬と狼に共通していることを発見しました。 また、狼よりも犬の方がネオフォビア傾向が弱い、すなわち物怖じしない性格であることに関しては、「人間が犬を家畜化する過程で生み出された人為的な特質ではないか」と推測しています。 The influence of relationships on neophobia and exploration in wolves and dogs

7月29日

 椎間板ヘルニア発症した犬に対してレーザー照射治療を行ったところ、症状が軽快したという事例が報告されました。
 レーザー治療受けたのは、6歳、18キロ、メスのミックス犬。主症状は第13胸椎~第1腰椎のハンセンII型ヘルニア(髄核が線維輪の内部にとどまっている状態)と、それに付随する痛みや不全対麻痺です。「経皮的レーザー椎間板減圧術」(PLDD)と呼ばれる今回の治療法では、特殊な医療用ファイバーを皮膚の上から差し込み、患部に到達したタイミングでレーザーを照射するという手技が施されました。レーザー照射を受けた髄核が熱で蒸発すると、外側に飛び出していた線維輪が元の形状に戻り、神経への圧迫が取り除かれるという寸法です。治療後の経過観察によると、 術後2日目には運動失調が改善し、 2週間後には意志による随意運動と、皮膚からの正常な求心性インパルスが観察されたと言います。
 従来、椎間板ヘルニアに対する基本的な治療法は「半側椎弓切除」や「椎弓根切除術」など、骨の切断を伴う侵襲性の高いものが主流でした。しかし今回用いられた「PLDD」では、患犬の体に負担をかけることなく良好な治療効果を得られるため、上記したような治療法に取って代わっていくだろうことが予想されます。ただし禁忌として「脊柱管内に逸脱した髄核」、「血液凝固障害」、「椎間板炎などの感染症」、「線維輪の破損」、「髄核の遊離片」、「椎骨間の極端な狭小化」といった項目があるため、切開手術より適用範囲が狭いというのが難点です。 犬の椎間板ヘルニア Percutaneous laser disc decompression in a dog
犬の椎間板と「PLDD」の模式図

7月24日

 軟口蓋の伸びすぎや慢性鼻づまり等を主症状とする「短頭種気道症候群」(URT)に関する調査を行ったところ、マズルの短い短頭種ではこの疾患による死亡率が1割以上になり、平均寿命の低下につながっているという可能性が示されました。
 当調査を行ったのは、イギリス王立獣医大学が中心となった研究チーム。内容は、96の病院から集められた170,812件の医療データを基にして、マズルが短い短頭種と中程度以上の犬種に関し、「短頭種気道症候群」(URT)の発症率を比較するというものです。短頭種の代表格としてはパグブルドッグフレンチブルドッグの3犬種(各200頭)が、中頭種の代表格としてはヨークシャーテリア(200頭)が、そして非短頭種の代表格としてはボーダーテリアウェストハイランドホワイトテリア(各200頭)の2犬種が選別されました。調査期間中、総数1,200頭の6.9%に当たる83頭が死亡し、そのデータを解析した結果、以下のような特徴が見られたと言います。
短頭種について
  • 死亡時の平均年齢は8.6歳(2.4~10.8歳)
  • URTが死因となった割合は24頭中4頭(16.7%)
  • ブルドッグのURT発症率=19.5%
  • フレンチブルドッグのURT発症率=20.0%
  • パグのURT発症率=26.5%
  • 短頭種全体のURT発症率=22.0%
中~非短頭種について
  • 死亡時の平均年齢は12.7歳(11.1~15歳)
  • URTが死因となった割合は59頭中0頭
  • ヨーキーのURT発症率=13.0%
  • ボーダーテリアのURT発症率=9.0%
  • ウェスティのURT発症率=7.0%
  • 中~非短頭種全体のURT発症率=9.7%
 性別、年齢、体重、不妊手術の有無等を加味して計算すると、短頭種は他のグループよりURTを約3.5倍発症しやすいという結果が出たといいます。またURT発症率が16.7%と高いことが、短頭種の平均寿命を引き下げる一因になっているとも。 犬の鼻腔狭窄 Canine Genetics and Epidemiology
短頭種気道症候群を発症しやすいパグとブルドッグ

7月23日

 事前にほとんど訓練をしていない犬の嗅覚に関するテストを行ったところ、空気中の匂いだけを頼りにターゲットの位置を特定できる限界距離は、せいぜい1~2mであることがわかりました。
 実験を行ったのはフランスリヨン大学の研究チーム。無風状態の室内において、「飼い主の匂い」をターゲットとした犬30頭の嗅覚テストを行ったところ、ターゲットの距離が1m未満のときは高い正答率を誇ったものの、 3mまで離れてしまうとほとんど嗅覚が役に立たなくなったと言います。またターゲットを「ソーセージの匂い」に置き換えてみたところ、さらに成績が悪くなったとも。
 こうした結果から研究者たちは、「嗅覚の動物」と呼ばれている犬といえども、ターゲットの距離が1mより離れてしまうと、嗅覚よりも視覚を頼るようになるという傾向を発見しました。ただし嗅覚による位置の同定能力は、犬のマズルの長さ、対象が放つ匂いの強さや風向き、事前のトレーニングの有無などによって大きく左右されるとしています。
 人間の場合、近くのものに焦点を合わせにくい時は、老眼鏡などを用いて視覚をサポートします。これと同じように、犬が1m未満の焦点を合わせにくい対象物を調べる際は、嗅覚のスイッチを入れて視覚をサポートしているのかもしれません。 犬の鼻・嗅覚 Strategies Used by Pet Dogs for Solving Olfaction-Based Problems at Various Distances
訓練していない犬が見せる視覚と嗅覚の切り替え領域

7月23日

 イタリア南部のコントローネという自治体では、住民の昼寝を妨げないよう、「午後2時から4時までの時間帯、犬を吠えさせてはいけない」という条令が定められました。
 当条令を定めたのは、コントローネの長であるニコーラ・パストーレ氏。「リポーゾ」(riposo)と呼ばれるイタリアでおなじみの昼寝の時間が、しばしば犬の声によって邪魔されることを問題視してのことだといいます。飼い主は午後2時から4時までの間、犬が吠え声を出さないよう監視しなければならず、もし違反した場合は25~500ユーロの罰金が科せられるとのこと。なお同様の条例は、スペインバレンシア州のアドール(Ador)という自治体でも制定されていますが、こちらは2時から5時までと1時間ほど長めになっています。 Source---Il Mattino

7月22日

 覚醒レベルがテストの成績に影響を及ぼすという「ヤーキーズ・ドットソンの法則」が犬を用いた実験でも確認されました。
 実験を行ったのはデューク大学イヌ科動物認識センターに属するブライアン・ヘア氏らのチーム。30頭のペット犬(8ヶ月~11歳)と76頭のサービスドッグ候補犬を対象に、透明な仕切り板を回り込んでトリートをもらうという迂回テストを行いました。変数は、犬がもともと持っている気質が「興奮しやすいタイプ」か「興奮しにくいタイプ」かという点です。その結果、 サービスドッグ候補犬の方が興奮しにくい気質を持っており、覚醒レベルを高めることでパフォーマンスが向上したといいます。逆にペット犬の方はやや興奮しやすい気質を持っており、覚醒レベルを高めると、逆にパフォーマンスが低下したとのこと。この結果は「覚醒レベルに比例して作業効率が増すが、最適なレベルを越えてしまうと逆に作業効率が低下する」という「ヤーキーズ・ドットソンの法則」を追認するものです。
 当実験から研究チームは、「犬が最高のパフォーマンスを発揮するためには、適切な覚醒レベルを保つことが重要であること」、および「覚醒レベルは犬がもともと持っている気質(興奮しやすい/興奮しにくい)に合わせ、適宜微調整する必要があること」を示しました。得られた知識は今後、サービスドッグ(盲導犬・聴導犬etc)の合格率向上のためなどに利用される予定です。 犬のしつけの基本理論 Increasing arousal enhances inhibitory control in calm but not excitable dogs
犬のパフォーマンスは覚醒レベルによって大きく左右される

7月21日

 犬の肉球が放つポップコーンのような匂いは、指の間に生息しているバクテリアが作り出した揮発性物質である可能性が示されました。
 肉球の匂いに関する話題に火をつけたのは、シカゴを拠点に活躍する動物トレーナー、スティーブ・デイル氏。ブログの読者が彼に対し、犬の肉球が放つ独特な匂いについて質問したことがきっかけでした。その後デイル氏のブログやFacebookには、肉球の匂いに関するコメントが100件近く殺到。その結果、「作りたてのポップコーンの匂い」や「イースト菌の匂い」という意見が多かったと言います。ちなみにリバプール大学の微生物学者、ニコーラ・ウィリアムズ氏によると、肉球の匂いの元になっているのは、犬の糞便や土壌に多く含まれるプロテウス属やシュードモナス属といったバクテリアの代謝産物である可能性が高いとのこと(DailyMailOnline)。 犬の足
 今年の4月、猫グッズを展開する「フェリシモ猫部」から猫の肉球の匂いがするハンドクリームが発売されましたが、こちらの匂いもやはり「ポップコーンに少し甘さを加えたもの」となっています。猫の肉球であれ犬の肉球であれ、どんなにおいしそうな匂いがしても、そこにはバクテリアがウヨウヨ生息している可能性があるため、舐めないほうがよいでしょう。

7月20日

 犬のぬいぐるみを用いた潜入捜査により、ヨーロッパ国境地帯におけるペット動物輸出入のずさんな管理体制が明らかになりました。
 「PETS」(Pet Travel Scheme)は2001年、煩わしい検疫業務を省略することを目的にイギリスで導入された制度。このシステムにより、提携国からイギリス国内にペット動物を輸入するプロセスが大幅に簡略化されましたが、その一方で、悪徳ブリーダーや悪徳獣医師の温床にもなっているようです。
 イギリスの動物保護団体「DogTrust」は、犬のぬいぐるみを用いた潜入捜査を行いました。内容は、ケージの中に偽のマイクロチップとぬいぐるみを入れ、偽のペットパスポート用意して国境地帯におけるチェックセンターに持ち込むというものです。その結果、何の問題もなく通過できたといいます。
 こうしたずさんな管理体制は、劣悪な環境で子犬を大量繁殖させるパピーミルや、偽の診断書を発行する悪徳獣医師を生み出すと同時に、狂犬病を始めとする致死性の高い病気をイギリス国内に持ち込む危険性を高めてしまうもの。「動物愛護の先進国」と呼ばれることの多いイギリスですが、一皮剥けば、やはりそこには「お金に目がくらんだ人間とその犠牲となる動物」という万国共通の図式があるようです。 The puppy passport scam
チェックセンターを堂々と通過する犬のぬいぐるみ

7月17日

 9万頭近い犬を対象として統計調査を行った結果、純血種に多い遺伝病TOP10が明らかになりました。
 当調査行ったのはカリフォルニア大学デイヴィス校の獣医学チーム。1995年から2010年の間、同校付属の病院を訪れた88,635頭を対象として遺伝病の疫学調査を行ったところ、ミックス犬よりも純血種において、以下に示す疾病の発症率が高かったといいます。
純血種に多い遺伝病10
 このうち、「アトピー性皮膚炎・甲状腺機能低下症・椎間板障害」の3疾病に関しては、犬種間における発症率に大きな差異は見られなかったものの、「大動脈弁狭窄症・胃拡張胃捻転症候群・若年性白内障・拡張型心筋症・肘関節形成不全・てんかん・門脈体循環シャント」の7疾病に関しては、ある特定犬種における発症率が突出して高かったため、全体の平均値を押し上げる結果になったといいます。また「椎間板障害」に関しては、テリア種における発症率が目立って低かったとも。
 上記調査結果は今後、効果的な遺伝病撲滅策を練る際の基礎資料として利用される予定です。 Ten inherited disorders in purebred dogs by functional breed groupings

7月16日

 体に全く傷をつけず、超音波を当てるだけでオス犬の生殖能力を無効化する方法が発見されました。
 実験を行ったのはイタリアとアメリカの共同研究チーム。犬100頭を20頭ずつの5グループに分け、それぞれに違ったタイプの超音波施術を行いました。具体的には以下です。
超音波施術
  • グループA1MHzの超音波を48時間間隔で、精巣全体に5分間×3セット
  • グループB3MHzの超音波を48時間間隔で、精巣の頭背側に5分間×3セット
  • グループC1MHzの超音波を5分間隔で、精巣全体に5分間×3セット
  • グループD1MHzの超音波を48時間間隔で、精巣全体に15分間×2セット
  • グループE比較のためのコントロール群/変換器のスイッチはオフの状態でグループAと同じ施術
 その結果、グループAにおいてのみ、精巣の縮小や無精子症といった生殖能力の永続的な無効化が確認されたといいます。また、すべてのグループにおいて、男性ホルモンの一種であるテストステロンの体内濃度に変化は見られなかったとも。
 このことから、グループAに対して施した方法には、オス犬のホルモンバランスに影響を与えないまま生殖能力だけを剥奪するという効果があるという可能性が示されました。ただし、テストステロンはオス犬に特有の「高い攻撃性」、「強い縄張り意識」、「足上げ放尿」(RLU)の根源と考えられていますので、こうした行動を減弱させる効果まではないと推測されます。 オス犬の去勢手術 Therapeutic Ultrasound as a Potential Male Dog Contraceptive

7月16日

 イギリスのエリザベス2世は、現在飼っている2頭のコーギーを最後に、70年以上続けてきた宮殿内での繁殖をいったん取りやめる模様です。
 複数のメディアが伝えたところによると、今年で89歳になるエリザベス2世は、「自分の死後にペットを残したくない」、「活動的な子犬に足をすくわれて転倒する危険がある」などの理由から、およそ70年続けてきたウェルシュコーギーペンブロークの繁殖からいったん手を引くようです。女王が初めてこの犬種に出会ったのは、1944年、彼女が18歳の時でした。「スーザン」(Susan)と名付けられたこの犬は非常に可愛がられ、1947年の新婚旅行にも付いていったと言います。その後この血統はバッキンガム宮殿内の繁殖計画によって保たれ、現在は14代目にあたる「ホーリー」(Holly, 12歳)と「ウィロー」(Willow, 12歳)が受け継いでいます。
 エリザベス2世の側近の一人、モンティ・ロバーツ氏によると、2012年のロンドンオリンピックでジェームズ・ボンドと共にフィーチャーされた「モンティ」(Monty)の死後、女王はひどく気落ちし、今年の始めに孫のベアトリス王女から受けた「子犬を譲る」という提案も、丁重に断ったとのこと。新たな子犬はもう迎えないという女王の決心が固いものだとすると、「ホーリー」と「ウィロー」の2頭が、スーザンの血統を受け継ぐ最後のロイヤル・コーギーということになりそうです。 W.C.ペンブローク Source---DailyMailOnline
エリザベス2世の愛犬「ホーリー」と「ウィロー」

7月15日

 2014年7月、世にも珍しい「人間アレルギー」のせいで満身創痍だった「アダム」が、投薬治療を経てすっかり元気になりました。
 アダムは黒い被毛を持つラブラドールミックス。彼は2014年、アメリカ・インディアナ州にある動物保護施設「Lucky Dog Retreat Rescue」に収容された時、過剰な引っ掻きによってボロボロの状態だったと言います。施設の職員は、食事内容を変更したり、お風呂に入れるなどして皮膚の改善を図りましたが奏功せず、結局この不可解な症状を獣医師の手に委ねることとなりました。そこで下された診断名が「人間アレルギー」。つまり、人間のフケと接触することが過剰な免疫反応を引き起こし、皮膚の異常なかゆみを生み出していたというのです。
 その後アダムの症状は、特殊な成分を含んだ薬浴と、少量のアレルゲンを体内に注入して徐々に体を慣らしていく免疫療法によって少しずつ改善。今では新しい飼い主の元で、元気に走り回っていると言うことです。ただし投薬治療と3日に一度の薬浴は一生続ける必要があるとのこと。 DailyMailOnline
人間アレルギーを克服した犬のアダム

7月14日

 犬の理想的な容姿を競い合う世界最大のドッグショー「クラフツ」で上位入賞を果たしたショードッグの多くは、実は肥満傾向にあるという事実が明らかになりました。
 調査を行ったのはイギリス・リバプール大学の獣医学チーム。世界最大の犬の品評会「クラフツ・ドッグショー」において、2001年から2013年までの間に上位入賞を果たした28犬種を写真で評価したところ、全体の26%もの犬が肥満傾向にあったと言います。また、特に高い割合を示していたのはパグ(80%)、バセットハウンド(68%)、ラブラドールレトリバー(63%)だったとも。
 こうした事実から研究チームは、「伝統あるドッグショーで、肥満傾向の犬を”理想”とすることには大きな問題がある」とし、関節炎や糖尿病を発症しやすくなる危険性を指摘しています。研究チームは今後、ドッグショーを主催しているイギリスの「ケネルクラブ」(Kennel Club)と協働し、犬の評価基準を健康を損ねない方向に修正していきたいとしています。人間のモデル界は痩せていることが問題になりますが、犬の世界では逆のようです。 犬の肥満 Veterinary Record
クラフツドッグショーに登場したパグ

7月13日

 イギリス北部のゲーツヘッドで、犬がテニスボールを飲み込んでしまうという誤飲事故がありました。
 ボールを飲み込んだのはドーグトボルドーという大型犬種の「ゼウス」(11ヶ月)。飼い主と海辺を散歩中、他の犬がテニスボールで楽しそうに遊んでいるのを見て興奮し、隙を見て横取りしたボールをそのまま飲み込んでしまったと言います。
 ここで驚くべきは、飼い主であるリチャード・ウォー氏が、なぜか動物病院へ直行せず、数日間様子見をしたことです。2~3日後、食欲が落ちて具合が悪くなったタイミングでようやく受診。レントゲンで胃の中に詰まったボールが確認されたため、緊急手術となりました。生命の危険すらあったものの手術は成功し、すぐ健康体に戻ったそうです(Source/Mirror)。
 中~大型犬の飼い主は、おもちゃとして犬にボールを与える場合、こうした驚くべき事例があることを念頭に置いておいた方がよいでしょう。また常識ですが、誤飲が確認された時は様子見などせず、すぐ病院に行った方が無難です。 犬が誤飲した
テニスボールを誤飲したドーグドボルドーのゼウス

7月10日

 タフツ大学は、大型犬に多いとされる胃腸疾患「鼓腸」に関する大規模な遺伝子調査を開始しました。
 「鼓腸」は、胃袋や腸の中にガスがたまり、おなら、げっぷ、下痢、嘔吐を引き起こすほか、最悪のケースでは死を招いてしまう大型犬に多い病気。アメリカンケネルクラブが設置している基金「AKC Canine Health Foundation」から250,000ドルの支援を受けたタフツ大学はこのたび、鼓腸を発症しやすい23犬種を対象とした大規模なDNA調査に乗り出しました。統計的に有意な結果を得るためには、1犬種につき200頭の被験犬が理想とのこと。被験犬のうち半分は鼓腸で残り半分は健康体、最終的な参加頭数は4,600頭に上るとみられています。
 鼓腸を引き起こしている遺伝子の場所が特定された暁には、事前の遺伝子検査で繁殖プールから除外したり、効果的な治療法が開発されるなどの展開が期待されます。 犬の鼓腸 Wanted: 4,600 Dogs for Bloat Study

7月10日

 アメリカテネシー州では、暑い車内に放置された犬を救うためなら、窓ガラスをぶち破ってもよいという法律が制定される予定です。
 「グッドサマリタン法」(good Samaritan law)と名付けられたこの法律は、これまで「人間の赤ちゃん」だけが救出の対象でした。しかし7月中に制定される新法ではこの対象をペット動物にまで広げ、「暑い車内に放置された動物を救うためなら、他人が所有する車の窓ガラスを破壊してもよい」となる予定です。
 今年の5月、車内に放置された犬を救うために窓ガラスを破った男性が逮捕されるという出来事がジョージア州でありましたが、同じ行為でも、テネシー州では合法となります。ただし条件として、「まず所有者を探す努力をすること」、および「行動する前に警察に報告すること」という2点が課せられるとのこと。 犬との生活・夏の注意 Source---WATE 6 On Your Side

7月9日

【アメリカ】ペットサロンで発生した犬の連続死亡事故を受け、業界団体は統一規制の強化に乗り出しました。
 事の発端となったのは、2014年10月にカリフォルニア州で発生した犬の死亡事故。エルサ・ウィスコシルさんが飼い犬「カーリー」(17歳)を、ノースヒルズにある「C&C Pet Food For Less」というグルーミングサロンに預けたところ、死体となって返されたといいます。死亡の原因となったのは「ケネルドライヤー」と呼ばれる大型の箱状ドライヤーで、通常は大型犬に用いるところを体重わずか4.5kgのカーリーに用い、なおかつそのまま放置してしまったといいます。さらに今年に入ってからも、5月にはバージニア州にある「Petco」で、2歳になるゴールデンレトリバーがドライヤーで死亡しており、また6月にはニュージャージー州のグルーミングサロンで、従業員による虐待が原因と思われる死亡事故も発生しています。
 一方、相次ぐ不祥事を受けた業界団体では、従業員のレベルを一定に保ち、利用者の信頼を取り戻すための統一基準策定に乗り出しました。現在、グルーマーやトリマーと言ったペットサロンに関わる職業は、ある一定の研修を受ければ誰でもすぐになれてしまうとのこと。統一基準ができれば、少なくとも上記したような単純な人為的ミスが減るだろうと期待されています。 The Washington Times
ケネルドライヤー

7月6日

【セルビア】大型犬に襲われている少女を、身を挺して助けたダックスフント「レオ」(Leo)が銅像となって蘇りました。
 今年の3月、ソフィアという名の少女(当時11歳)はセルビア北部にあるパンチェヴォという町で、ローラースケートに乗って遊んでいました。そこにやってきたのが、飼い主の目を盗んで檻から脱走したブルマスティフです。この大型犬は彼女を見るや襲い掛かり、腕に噛み付いて地面に組み伏したと言います。この絶体絶命の危機を救ったのが、たまたま近くを散歩していたダックスフントのレオ(Leo)でした。彼は少女の叫び声を聞くと駆け出し、勇敢にも大型犬の足に食らいついたそうです。この咄嗟の行動で少女は救われたものの、レオは重傷を負って2日後に息を引き取ってしまいました。
 それから約4ヶ月後の7月、パンチェヴォ公園に一つの銅像が建立されました。モデルはレオで、台座には彼の勇敢な行動をたたえる「大きなハートを持つ小さな英雄に捧ぐ」という文字が刻まれています。犬の地位が低く、劣悪な福祉が問題視されているセルビアにおいては異例のことだそうです。 Source---DailyMailOnline
身を挺して少女を助けたダックスフント「レオ」(Leo)の銅像

7月3日

 アメリカ・カリフォルニア州で、藍藻類を原料としたサプリメントの摂取が原因と考えられる肝障害の症例が報告されました。
 中毒症状を示したのは、11歳になるメスのパグ。食欲不振、元気がない、多飲多尿といった症状で来院して精密検査を受けたところ、およそ3週間前から摂取を開始したサプリメントが原因物質として浮上してきたと言います。確認のため、サプリの摂取をやめて数週間観察したところ、案の定肝障害も消失したそうです。
 こうした事実から担当医は、藍藻類(スピルリナ・アファニゾメノン)を用いたサプリメントには「ミクロシスチン」と呼ばれる肝毒が含まれている可能性があり、「サプリ=健康増進する」と盲信してしまうのは危険であると呼びかけています。
 アメリカ同様、日本においてもペット用サプリメントは医薬品では無いため、「医薬品医療機器等法」(旧:薬事法)による規制を受けません。つまり、市場に流通させる前の臨床検査が必要ないという意味です。ペットにサプリメントを与える場合は、少量から始め、体調の変化を綿密にモニタリングした方がよいでしょう。また人間用のサプリを与える事は基本的にNGです。 Hepatopathy following consumption of a commercially available blue-green algae dietary supplement in a dog

7月2日

 群馬県町樋越で1日、これまで殺処分中心だった県動物管理センターに代わり、譲渡に力点を置いた「群馬県動物愛護センター」がオープンしました。
 センターは鉄筋コンクリート造り平屋建てで面積は約380平方メートル。エアコンを完備しており、負傷した動物の治療室や譲渡用の犬室、猫専用の飼育室などが独立して設置されています。オープン時点での人員は、職員11人とボランティア36人を合わせた47人。今後、収容数や譲渡数のバランスを見ながら人数を調整していくとのことです。 犬・子犬の里親募集 Source---毎日新聞

7月2日

 コロラド州デンヴァーのラリマー郡で、ドクゼリの誤食による犬の死亡事故がありました。
 「ドクゼリ」はセリ科に属する多年草。その名が示す通り「シクトキシン」と呼ばれる毒を有しており、誤食した場合「口から泡を吐く」、「けいれん」、「瞳孔散大」、「重度の胃腸障害」、「虚脱」、「麻痺」、「呼吸不全」といった症状を示し、最悪のケースでは死亡してしまいます。犬や猫における中毒例はごくわずかですが、このたびコロラド州デンヴァーで報告された症例では、3歳になるボーダーコリー・ミックスが、この植物を誤食した後、わずか1時間足らずで死亡したといいます。
 日本にも「ヒメドクゼリ」という亜種が水辺に生息していますので、外観は覚えておいた方がよいでしょう。 犬にとっての有毒植物 Source---Channel 2 News
ヒメドクゼリの外観

7月1日

【アメリカ】標高4000メートルを超える山の頂上で落雷に遭った登山者が、同行していた犬のおかげで命拾いをするという出来事がありました。
 6月28日(日)、ジョナサン・ハードマンさんは友人数名と飼い犬「ランボー」を同行し、コロラド州デンバー郊外にあるビールシュタット山(標高4,200m)の山頂を目指していました。上りの道中では晴天が続いていたものの、下山を始めるやいなや空が曇り出し、しまいには雹が降り始めたと言います。そして、まさに「青天の霹靂」のごとく落ちてきた雷は、山頂付近で立ち往生していたメンバーを直撃し、全員を地面に放り出しました。バードマンさんら一行は、この落雷で顔や上半身に「雷紋」と呼ばれる痛々しい傷を負ったものの、何とか一命だけはとりとめたそうです。ただし、同行していた犬の「ランボー」を除いては。ハードマンさんは、「自分の右側にいたランボーが、おそらく雷の威力を分散してくれたのだろう」と語り、避雷針になってくれた愛犬に哀悼の意を表明しています。 Source---DailyMailOnline
落雷による電撃傷をうけた肩と避雷針になった犬

7月1日

 犬の遺伝子を解析した結果、多種多様な耳の形を決定しているのは、「10番染色体」に含まれるある特定の遺伝子であるという可能性が浮上してきました。
 研究を行ったのは、スウェーデン・ウプサラ大学を中心とするチーム。46犬種から288の染色体サンプルを収集し、123個のSNPs(一塩基遺伝子多型)について解析を行ったところ、犬の垂れ耳は「10番染色体」に含まれる「MSRB3」と呼ばれる遺伝子と強く関連しており、さらに「HMGA2」と呼ばれる遺伝子とも弱く関連していることが明らかになったといいます。前者の「MSRB3」は「メチオニンスルホキシドリアクターゼ」と呼ばれる酵素を生成する遺伝子で、亜鉛を含んだメチオニンスルホキシドからメチオニンへの転換を減少させる働きを持っているほか、ストレスや微生物への抵抗性や寿命にも関連していると考えられています。また後者の「HMGA2」は、DNAの転写と発達期における細胞の分裂に関連している遺伝子で、体の大きさを調整していると考えられています。
 「垂れ耳」という形態的な特徴は、犬や猫のほか、ウサギ、ウシ、ブタ、ヤギといった家畜動物に多く見られるものであり、その他の特性を随伴することが多いといいます。具体的には、白と黒の2色コート、巻尾、小さい頭蓋骨、人なつこい性格などで、この随伴現象は、旧ソ連で行われたギンギツネを用いた実験でも確認されているとのこと。
 研究者たちは、「耳の形」といった形態的な特徴を生みだす遺伝子が、その他にどのような働きを持っているかが明らかになれば、見た目重視の安易な繁殖が偶発的に生み出した、数々の遺伝病を減らすことにつながるだろうとしています。 犬の耳・聴覚 Linked genetic variants on chromosome 10 control ear morphology and body mass among dog breeds