トップ犬の食事ドッグフード成分・大辞典種実類フラックスシード(亜麻仁)

フラックスシード(亜麻仁)~安全性と危険性から適正量まで

 ドッグフードのラベルに記された「フラックスシード(亜麻仁)」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも犬に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

フラックスシード(亜麻仁)の成分

 フラックス(flax)は中央アジア原産の1年草。日本語では亜麻(あま)と呼ばれます。また種子はフラックスシードや亜麻仁(あまに)、種子から採取した油はフラックスシードオイルや亜麻仁油と呼ばれます。フラックスシード(亜麻仁)には油分が30~40%(うち半分はα-リノレン酸)、水溶性粘質物とリグナン化合物が約8%含まれています。 ドッグフードの成分として用いられる「フラックスシード(亜麻仁)」  人間においてはアレルギー、糖尿病、心血管疾患、がんに対する効果があるとされていますが実証データはありません。逆に油によるアナフィラキシーの症例が報告されています。

フラックスシード(亜麻仁)は安全?危険?

 フラックスシード(亜麻仁)を犬に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはフラックスシード(亜麻仁)に関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

アマシードガム

 フラックスシード(亜麻仁)から採った多糖類は、日本では厚生労働省によって既存添加物の「増粘安定剤」として認可されています。定義は「アマ科アマ(Linum usitatissimum LINNE)の種子の胚乳部分より、室温時~温時水又は含水アルコールで抽出して得られたもので多糖類を主成分とするもの」です。なおこのアマシードガムという名称は「フラックスシード」と「亜麻仁」をごちゃまぜにしたかなり適当な和製英語です。
 ラットを対象とした調査では、1,000mg/kgの用量で90日間経口投与しても目立った健康被害は見られなかったとのこと。このことから無毒性量はオスでもメスでも300mg/kg程度と推計されています。また遺伝毒性も確認されていません出典資料:薬事・食品衛生審議会

多価不飽和脂肪酸(PUFA)

 フラックスシード(亜麻仁)で特筆すべきは、多価不飽和脂肪酸(PUFA)が豊富に含まれているという点です。具体的にはシード100g中にオメガ3脂肪酸が22.8g、オメガ6脂肪酸が5.9g程度含まれています。オメガ-3-脂肪酸の犬に対する有効性に関しては以下のページで詳細にまとめてありますのでご参照ください。 犬にオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を与えると何がどう変わる?

シアン化合物

 アンズの種子、梅の種子、ビターアーモンド、そして亜麻の種子は天然のシアン化合物を含んでいることが確認されています。これらの食品を輸入する際は、輸入のたびに貨物を保留してシアン化合物の含有量を自主検査するよう厚生労働省が指導しています。もしシアン化合物が10ppmを超えて検出された場合は、食品衛生法第6条違反として廃棄または返品処分となります。
 しかし実際は、フラックスシード(亜麻仁)を主食として毎日ガツガツ大量に食べない限り、中に含まれるシアン化合物で中毒に陥ることはないとされています。アメリカ食品医薬品局(FDA)でも全粒および粉状のフラックスシード、そしてフラックスシードオイルに対し「GRAS」(一般的に安全)というステータスを認めています出典資料:GRAS Notices
犬における安全性、危険性、および適正量に関してはよくわかっていません。