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6月の犬ニュース

 2015年6月の犬に関するニュースをまとめました。一番上が最新で、下にスクロールするほど記事が古くなります。記事内にリンクが貼られていることもありますが、古い記事の場合はリンク切れの時がありますのでご了承下さい。

6月30日

 人間において確認されている「パニック障害」と「関節の過剰運動性」の関連が、犬においてもあるらしいことが判明しました。
 当研究を行ったのは、スペインにあるバルセロナ自治大学の獣医科学チーム。まず犬30頭を対象とした予備試験によって関節可動域の平均値を求め、その後、怖がりな犬15頭と怖がりではない普通の犬16頭の関節可動域を調べ、比較検討しました。その結果、怖がりな犬のグループにおいて、手根関節(いわゆる手首)の過剰運動性見られたと言います。
 この発見から研究者たちは、人医学の領域で確認されているパニック障害と関節過剰運動性の関係が、獣医学の領域でも存在しているかもしれないという可能性を突き止めました。
 上記「過剰運動性」は難病の一つで、人間の整形外科分野では「過剰運動症候群」と名付けられています。「易脱臼」、「易疲労」、「慢性関節痛」、「変形性関節症」といった症状を併発することが多く、またパニック障害のほか、「慢性疲労症候群」、「線維筋痛症」といった疾患との関連性も指摘されています。
 もし獣医学の分野でもこうした関連性があるのだとしたら、怖がりな犬を飼っている家庭においては、筋骨格系に対する特別な配慮が必要となるかもしれません。例えば、「歩き方がおかしい」、「散歩を嫌がる」、「疲れやすい」、「足を引きずる」といった徴候が見られた場合は、犬のペースに合わせてゆっくりと散歩をしてあげるなどです。また家の中においては、極力段差をなくした方がよいでしょう。 Association between joint laxity and fear-related behaviour

6月29日

 「犬の鼻はなぜいつも冷たいのか?」という素朴な疑問を解明するための検証実験が行われました。
 実験を行ったのは、スウェーデンにあるルンド大学のアサ・ヤンソン氏。肉食動物が共通して持つ「鼻鏡」(鼻の表面部分)が、なぜ外気温よりも低く保たれているのかという謎を解明するため、犬を用いた二者択一実験を行いました。実験の概要は、一方に冷たい物質を置き、他方に温かい物質を置いて、犬が自発的に温かい方を選ぶかどうかを確認するというもので、目的は「冷たい鼻は獲物を見つける時の温度センサーとして役立っている」という仮説を証明することです。
 その結果、犬の正解率は50%強で、ほとんど偶然と同じレベルだったといいます。この結果を受けた研究者は、「肉食動物の冷たい鼻は、獲物が放つ赤外線を感知しやすいように低温に保たれている」という仮説を証明するのに、十分なだけのデータは得られなかったと結論づけました。ただし実験手順に未熟な部分があったため、今後さらに研究を進め、いまだ謎の多い「犬の鼻はなぜ冷たいのか?」という疑問を解明していきたいと意気込んでいます。 A behavioural approach to research the possibility of a heat sense in dog 犬の鼻・嗅覚
寝起き直後における犬の鼻の温度低下

6月25日

【イギリス】過去70年間でおよそ600頭にも及ぶ犬が投身したとされる、ダンバートンシャー州ミルトンの呪われた橋「オーバートゥーン橋」に関する最新の検証本が発売されました。
 「オーバートゥーン橋」(Overtoun Bridge)と題された本の著者は、哲学と宗教学の教師を務めるポール・オーウェンズさん(51)。彼の主張を要約すると「犬たちが谷底に誘われるのは呪いのせいである」というかなりオカルトチックなものです。その論拠になっているのは1900年代初頭、近くにある屋敷に暮らしていたオーバートゥーン男爵夫人という女性の存在だといいます。彼女は1908年に未亡人になって以来、夜な夜なこの近辺を徘徊していたといいます。ポールさんによると、「犬は第六感が敏感だから、そうした霊的なものに惹きつけられやすい」のだそうです。
 一方、現実的な考察もあります。最も代表的なのは、橋の下に生息しているミンクの匂いと、橋から見下ろした風景の遠近感をつかみにくいという条件が重なり、犬の投身つながるというものです。転落する犬のほとんどが、マズルの長い長頭系であることがその証拠だとか(鼻がよくて両眼視野が狭い)。
 どちらの説が正しいにしても、今まで50頭以上の犬が転落死していると言いますので、このあたりを散歩コースにするのは賢明とは言えないでしょう。 Source---DailyMailOnline
犬の投身自殺で有名な「オーバートゥーン橋」

6月22日

 愛媛県にある上黒岩岩陰遺跡から発掘された2頭の犬の骨が、今からおよそ7000年前に埋葬された東アジア地域において最も古い家畜化された犬のものであることが明らかになりました。
 報告を行ったのは複数の大学からなる共同研究チーム。愛媛県久万高原町にある上黒岩岩陰遺跡から発掘された、人間と犬の骨をそれぞれ放射性炭素年代測定したところ、人間の方は今からおよそ8977~8725年前、犬の方は7414~7273年前のものであるという事実が明らかになりました。両者の間に1000年以上のタイムラグを含んだこのデータは、従来の「人間と犬が共に埋葬された」という見方を否定するものですが、犬の骨が、犬の家畜化を示す証拠としては東アジア地域で最古である事実には変わりないとしています。 Radiocarbon dating of one human and two dog burials from the Kamikuroiwa rock shelter site, Ehime Prefecture
上黒岩岩陰遺跡から発掘された2頭の犬の骨

6月22日

 2014年、中国産ジャーキーによる犬の大量死亡事故がアメリカ中を震撼させましたが、それに近い事例が、とうとう日本でも報告されました。
 「The Journal of Veterinary Medical Science」の6月号で報告されたのは、6歳になるジャックラッセルテリア(メス/避妊済み)の症例。元気がない、食欲不振、よく吐く、体重減少といった症状を引き起こす「ファンコーニ症候群」で来院したため、身体検査や様々な生化学的検査を行ったものの、いかなる病原体も見つからなかったといいます。最終的に犯人として怪しまれたのは、犬が日常的に食べていたビーフとチキンのジャーキー。試しにこれらを食餌の中から除外してみたところ、数ヶ月間続いていた症状が1週間ほどで軽快し、3ヶ月たった頃にはほとんど消えたといいます。
 こうした事実から担当師は、この症例がアメリカやオーストラリアで報告されている「中国産ジャーキー事件」の一種であると推測。犯人と目されたジャーキーは日本で簡単に手に入るものであったことから、食餌性の腎障害は決して対岸の火事ではなく、国内でも容易に起こりうると警鐘を鳴らしています。 ジャーキー摂取による犬の後天性ファンコーニ症候群
 「ファンコーニ症候群」とは、腎臓の尿細管における水、ナトリウム、カリウム、グルコース、リン、重炭酸塩、アミノ酸の輸送障害により発生する様々な症状の事です。アメリカのFDAでは食餌と病気の因果関係を賢明に調査していますが、いまだに原因物質を特定できていません。ただ一つ言えることは、ほぼ全ての症例において「中国産のジャーキーを食べていた」ということ。犬のおやつを選ぶ際は、原材料がどこの国から来ているのかをしっかりと確認した方がよいでしょう。ちなみにパッケージに記載されている「原産国」とはフードの最終加工が行われた国ですので、ここが「日本」となっていても原材料自体は中国から輸入されている可能性があります。詳しくはメーカーに直接お問い合わせ下さい。 ペットフードの作り方

6月19日

 イギリスの考古学チームが、紀元前4世紀頃のものと思われるエジプトの地下墓地から、800万体にも及ぶ犬のミイラを発掘しました。
 この調査を行ったのは、イギリスカーディフ大学考古学部のポール・ニコルソン教授が率いる発掘チーム。エジプトのかつての首都メンフィスに存在していたサッカラ(Saqqara )という都市の遺跡を調査していて、最大幅140メートルという巨大な地下墓地を発見したといいます。中には大量のミイラが残されており、全体の90%以上は犬で、残りはジャッカル、キツネ、ハヤブサ、猫やマングースだったとのこと。犬のミイラは生後数日の子犬が多かったことから、おそらく宗教的儀式のために繁殖した犬を意図的に殺していたのだろうと推測されています。作製されたミイラは、アヌビス神(ジャッカルの頭を持った死を司る神)への捧げ物として、巡礼者に売られていた可能性が高いそうです。
 なお偶然にも、地下墓地の天上を構成している石が始新世 (5600~4800万年前)に属する極めて古いものであったため、壁の一部には絶滅してしまった海獣の化石が散見されるとのこと。 Live Science
エジプトで発見された大量の犬のミイラ

6月19日

【アメリカ】被毛の黒い犬は引き取り率が悪くなるという「黒い犬症候群」に対抗するためのプロジェクト、「Black Dogs Project」がスタートしました。
 「Black Dogs Project」のきっかけは、写真家であるフレッド・レヴィさんが2013年、たまたま訪れたドックパークで、毛の黒い保護犬の引き取り率が悪いと言う「黒い犬症候群」(Black Dog Syndrome)の噂を小耳に挟んだことでした。いわれのない偏見に疑問を感じた彼は、この都市伝説を打ち砕くべく、黒い犬の写真ばかりを撮り始めたとのこと。通常黒い被毛は写真写りが悪いとされていますが、彼の写真はどれも、プロの専門技術によってスタイリッシュな仕上がりになっています。写真集は今年の暮れに発売される予定です。 The Guardian
アメリカには、被毛の黒い犬は引き取り率が悪くなるという「黒い犬症候群」がある

6月18日

 イギリスの慈善団体PDSAが主催するダイエットコンテスト「Pet Fit Club」のファイナリストが発表されました。
 「Pet Fit Club」は、肥満に対する啓蒙を目的として2005年にスタートしたダイエットコンテスト。17日、2015年度のファイナリストが発表され、合計17匹の動物のうち、ロットワイラーの「フーチ」(Hooch)やラブラドールレトリバーの「デューク」(Duke)など、10匹が犬部門でエントリーしました。
 PDSAの調べによると、獣医師1000人中572人が「臨床で肥満に出合うことが多くなった」と回答したといいます。一方、飼い主の方は、過半数が自身のペットの肥満に気づいていなかったとのこと。コンテストの主催者は、これを機に、なるべく多くの飼い主が肥満の危険性を認識してほしいと語っています。 Pet Fit Club 犬のダイエット
Pet Fit Club2015にエントリーした肥満犬たち

6月18日

 ハトや犬猫が持つ帰巣本能の源と考えられる地磁気センサーが、体長1ミリにも満たない線虫の脳内から発見されました。
 世界初となるこの大発見をしたのは、アメリカテキサス州オースチンにあるテキサス大学の研究チーム。線虫の一種である「カエノラブディティス・エレガンス」(C. elegans)の脳内を調査していたところ、「AFDニューロン」と呼ばれる神経細胞の先端に、テレビアンテナをナノサイズにしたような超ミクロの器官を発見したといいます。
 この神経細胞は、磁気の強さを変えるとそれに反応し、また遺伝子操作によって機能不全にすると、逆に磁気を感知できなくなるとのこと。こうした実験結果から研究チームは、この神経細胞こそが、長年科学者たちを悩ませてきた「生体磁気センサー」そのものであるという結論に至りました。
 磁気に反応する「AFDニューロン」は、ハト、ガン、ウミガメ、オオカミ、チョウのほかイヌやネコといった多くの動物が先天的に保有しており、彼らが持つ「帰巣本能」の源になっていると推測されています。 犬の帰巣本能 Magnetosensitive neurons mediate geomagnetic orientation in Caenorhabditis elegans
カエノラブディティス・エレガンスの脳内で発見された「AFDニューロン」と地磁気センサー

6月16日

 抑うつ発作に襲われた自閉症患者と、それを止めるために訓練された犬の映像が、多くの人々に感銘を与えています。
 ダニエル・ヤコブさんは、自閉症の一種であるアスペルガー症候群(現:自閉症スペクトラム)を抱えた女性。彼女は日常的に「メルトダウン」と呼ばれる、強い抑うつ状態と自傷行為に悩まされてきました。
 今回投稿された映像内では、「メルトダウン」に襲われたダニエルさんと、自傷行動を止めるよう訓練されたサービスドッグ「サムソン」(Samson)の様子が捕らえられています。この映像を自ら公開したダニエルさんの勇気、および献身的に職務を遂行するサムソンの姿に対し、同じ病気を抱えた家族を持つ人々からは、賞賛の声が多く寄せられました。 Source---DailyMailOnline

6月15日

 トルコで行われた研究により、脳性麻痺や心身に障害を持った人々の生活の質を向上する際は、犬を用いたアニマルセルセラピーが有効であるとの結果が示されました。
 研究行ったのは、トルコ・アンタルヤにあるリハビリセンターやチャナッカレ・オンセキズ・マルト大学などからなる共同チーム。2008年から2011年の間、様々な程度の障害を持った10人の患者を5つのグループに分け、それぞれにセラピードッグを導入して治療成果が観察されました。その結果、すべてのグループにおいて、「社会的な適合性の向上」や「作業療法に対する適応度の改善」といった効果が見られたといいます。
 このことから研究チームは、他の療法と比べてどの程度優れているかは分からないものの、少なくとも犬を導入したアニマルセラピーは、患者にとってもセラピストにとっても、楽しくてストレスの少ない環境作るのに効果的であるとの結論に至りました。 犬のアニマルセラピー Dog-Assisted Therapies and Activities in Rehabilitation of Children with Cerebral Palsy and Physical and Mental Disabilities
心身に障害を抱えた患者とセラピードッグのセッションの様子

6月15日

 人間に感染して食中毒を引き起こすことで有名な「ノロウイルス」(HuNoVs)が、犬にも感染する可能性があること確認されました。
 この事実を発見したのは複数の大学から構成されるイギリスの研究チーム。325頭の犬から採取した血液サンプルを解析したところ、そのうち43頭から、ノロウイルスに対する抗体が発見されたといいます。「抗体」とは、異物を排除するに当たって血液中に作られる免疫システムの見張り役ですので、これがあるということは、過去に異物が体内に入り込んだことを意味しています。さらに、数あるノロウイルスのうち、代表的な7つのジェノタイプ(遺伝子の型)を実験環境で観察したところ、犬の消化管の組織に結合する様子が確認されたとも。
 こうした事実から研究チームは、ノロウイルスが犬の消化管細胞内に侵入して自己複製できるかどうかまではわからないものの、少なくとも理論的には、感染が成立しうるという可能性を突き止めました。 Evidence for Human Norovirus Infection of Dogs in the United Kingdom
ノロウイルスの電子顕微鏡画像
 ノロウイルスによって発症する感染性胃腸炎は、そのほとんどが経口感染です。厚生労働省では、特に以下のような感染経路に注意するよう呼びかけています。
ノロウイルスの注意点
  • 感染者のふん便や吐ぶつ
  • 感染者のくしゃみや咳
  • 二枚貝を非加熱で食べる
  • 井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取する
 また予防策は、「汚染源を触らない」、「生ものは食べない」、「良く手洗いをする」などです。今回の研究によると、犬がウイルスを保有している可能性を否定できないため、ウンチの処理後は必ず手洗いをした方がよいでしょう。

6月10日

 アジリティ競技の前後における比較調査により、人間のホルモンの状態が、未知のルートを通じて犬に伝染するという現象が確認されました。
 研究が発表されたのは「Physiology & Behavior」誌の147号。アジリティ競技の前後における、ハンドラー(男性14名/女性44名)のコルチゾールとテストステロンレベルが、唾液サンプルを通じてモニタリングされました。前者はストレスの指標で、後者は男性ホルモンレベルの指標です。また同時に、アジリティに参加した犬58頭のコルチゾールレベルもモニタリングされました。
 その結果、人間も犬も、競技の後におけるコルチゾールレベルは上昇したものの、女性における上昇率は男性ほど高くないという事実が確認されたといいます。また、犬のコルチゾールレベルは、犬の性別、競技後におけるハンドラーの声の調子や接し方(友好的 or 懲罰的)とは無関係だったとも。
 女性ハンドラーの犬よりも、男性ハンドラーの犬の方が、競技後のコルチゾールレベルが高かったという事実に関して研究者たちは、「男性の微妙な匂いの変化、表情、傍目からはわからない触り方の微妙な違いなどが、犬のホルモン状態に影響を与えたのではないか」との仮説を展開しています。もしこの仮説が正しいのだとすると、犬は私たちが想像している以上に「以心伝心」の動物なのかもしれません。 FOX NEWS

6月10日

 今月の8日、目が不自由な飼い主を守るため、盲導犬がスクールバスの前に飛び出すという出来事がありました。
 危機一髪のところで飼い主を救ったのは、ゴールデンレトリバーのフィド(Fido)。月曜の朝、目が不自由なオードリー・ストーンさん(62)とニューヨーク・ブルースターの横断歩道を渡っていると、幼稚園の送迎バスが低速で突っ込んできたといいます。フィドがとっさに車の前に身を投げ出したため、車は停止。大惨事は免れたものの、フィドは右前脚を骨折し、また飼い主のオードリーさんも、右ひじ、かかと、肋骨骨折という大怪我を負ってしまいます。
 現場にブレーキの跡がなかったことから、警察はバスのドライバーに前方不注意の過失があったものとして調べを進めているとのこと。また幸いなことに、バスに乗っていた2人の幼稚園児に怪我はなかったそうです。この出来事は「犬が身を挺して飼い主を救った」という美談として伝えられていますが、もし子供や他の通行人が怪我をしていたら、たとえ全く同じ行動だったとしても、違う形で報道されていたことでしょう。 Source---RT USA
身を挺して飼い主を救った盲導犬のフィド

6月9日

 アメリカ・ミネソタ州で、藻が生い茂った水を摂取した犬が死亡するという事故がありました。
 ミネソタ汚染管制局(MPCA)によると、藻が原因と考えられる犬の死亡例は今回のほかにも、2014年に3件の報告があるとのこと。外観だけから有害な藻と無害な藻を見分けるのが困難なことから、「ペット中毒ホットライン」(Pet Poison Hot Line)のアーナ・ブルートラグ医師は、「藻が繁茂した水の中に犬を入れたり、汚れた水を飲ませたりしないように」と注意を呼び掛けています。 Source---KARE11  藍藻の中には「プロトテカ」と呼ばれる有毒種があります。日本における報告例は数えるほどしかありませんが、抹茶のような色をした水に、犬を近づけないようご注意ください。 犬のプロトテカ症
藻類の中にはプロトテカのような有毒種もある

6月8日

 イタリアのプーリア州で、犬の口の中にヒルが寄生するという珍しい症例が報告されました。
 ヒル症を発症したのは、プーリア州マンフレドニアで暮らしていたオスの野良犬。2014年6月、水路に落下したところを動物保護団体に救助されましたが、その後、口からの出血と衰弱が見られたといいます。獣医師が体を診察したところ、口の中に「ウマビル」と呼ばれる水生のヒルが発見されたため、ただちに駆虫したところ、症状も次第に回復したそうです。
 報告をまとめた獣医師は、ヒル症は犬のみならず人間にも感染する病気であることを指摘し、くれぐれも犬に汚染された生水を飲まさないよう呼び掛けると同時に、人間も怪しげな水を飲まないよう注意を喚起しています。 Oral hirudiniasis in a stray dog
犬の口腔に寄生したウマビル

6月8日

 獣医学専門誌「Preventive Veterinary Medicine」内で、2011年度における日本国内の犬の平均寿命が発表されました。
 当寿命データは、2010年4月1日から2011年3月31日までの期間、アニコム保険によって収集された合計299,555頭の犬のデータから計算したもの。その結果、全体の平均寿命は13.7歳で、死亡率は生後1年目が最も高く、2~3年度が最も低かったといいます。また体重別では、「5kg未満が13.8歳」、「5~10kgが14.2歳」、「10~20kgが13.6歳」、「20~40kgが12.5歳」、「40kg以上が10.6歳」だったとも。死因としては「悪性新生物」(ガン)が多く、「トイ」と名の付く小型犬が老齢期(12歳以降)に入ると、特に心血管系の病気が多くなるとの傾向が見出されました。 Preventive Veterinary Medicine 2010~11年度における犬の体重別寿命

6月5日

【イギリス】自閉症を疑われた少年の生活リズムを詳細に調べたところ、ただ単にペットの犬によって睡眠妨害されているだけであることが判明しました。
 調査の対象となったのは、イギリス・モンマスシャーに暮らすシングルマザー、ロビンさん(21)の息子ビリー(3)。癇癪(かんしゃく)持ちでなかなか寝付かないことから、ロビンさんは自閉症ではないかと疑ってかかりました。その後彼女はイギリスのテレビ局「Channel4」で放映されている「Born Naughty」という番組に応募し、ロビンの不可解な行動の原因の調べてもらったところ、彼は自閉症でもなんでもなく、睡眠サイクルの乱れからくる「睡眠相後退症候群」であることが判明したといいます。これは睡眠サイクルが2時間以上ずらされることによって生じる病気の事で、ロビンの場合は、ペットとして飼っていた犬が、夜中になると枕を引っ張って彼を起こしてしまうことが原因でした。
 専門家のアドバイスを受けてライフスタイル変えたロビンさんは、すっかりおとなしくなったビリーの姿に驚きを隠せないと語っています。 Source---DailyMailOnline
安眠妨害する犬の様子

6月5日

 イギリスの園芸番組に出演しているチャーリー・ディモックが、庭に植えてはいけない最も危険な植物34種を公開し、飼い主に注意を呼び掛けています。
 チャーリー・ディモックは、ロンドン南部にあるホーニマン博物館の庭園(通称「死の植物園」)を監修し、TVにも出演している園芸家。犬や猫の飼い主2,000名に対して行われたアンケート調査で、「12頭に1頭は有毒植物を口にしたことがあり、そのうち15%は命を落としてしまった」という結果が出ていることから、庭に植えてはいけない危険植物34選を公開しました。犬や猫は「死の植物園」に入れないものの、飼い主は危機意識を高めるためにぜひ訪れてほしい語っています。
危険植物34選
  • ユリ
  • アスパラガス・スプレンゲリ
  • ベゴニア
  • ツゲの生垣
  • カラー
  • セイヨウバクチノキ
  • クレマチス
  • コルディリネ属(ユリ科)
  • キク
  • デイジー
  • ラッパズイセン
  • ダリア
  • デルフィニウム
  • ニワトコの実
  • ユーカリ
  • シダ
  • ジギタリス
  • ゼラニウム
  • ブドウの木
  • ジャガイモの芽
  • アジサイ
  • ツタ
  • ロベリア
  • ハウチワマメ
  • マリゴールド
  • セイヨウキョウチクトウ
  • シャクヤク
  • ギボシ
  • ケシ
  • イボタノキの生垣
  • トマト
  • バーベナ
  • フジ
  • イチイ
その他の危険植物一覧
庭に植えてはいけない危険な植物34選

6月4日

【イギリス】犬のかくし芸をテーマにした勝ち抜き戦「Britain's Got Talent」という番組内で、まるで視聴者をだますかのような演出があり、一部から怒りの声が上がっています。
 問題があったのは、日曜の夜に放映された「Britain's Got Talent」の決勝戦。ジュール・オドワイヤーさんの飼い犬「マティス」(Matisse)が画面に登場した後、泥棒と警官のドタバタ劇へと展開しましたが、そこで綱渡り芸を行った犬は、「マティス」ではなく、外見のよく似た「チェイス」(Chase)という犬でした。結局ジュールさんはこのネタで優勝し、250,000ポンド(日本円で4700万円)という莫大な賞金を獲得します。
 ところが、後になってこの事実を知らされた一部の視聴者と審査員を務めたサイモン・コーウェル氏は、「犬のすり替えが行われていたなんて聞いていなかった!」と激怒。メディア監視機構である「Ofcom」に対し、放送倫理に関する調査を依頼するという事態にまで発展してしまいました。
 こうした動きに対し番組のプロデューサーは、「もう少しはっきり告知しておくべきだった」と謝罪の言葉を口にしているものの、決して視聴者をだますつもりはなかったと、自身の正当性を主張している模様です。なお今のところ、優勝賞金の250,000ポンドが返還される予定はないとのこと。 Source---Mirror

6月3日

 毎年夏至が近づくころに開催される中国の「玉林犬肉祭り」が、今年も論争の火種となっています。
 「玉林犬肉祭り」は中国広西省にある玉林市で開催される祝祭行事。毎年食肉用として1万頭近い犬が殺されることで知られています。しかし近年は、ペットとして犬を飼う家庭が増えていることから、中国国内においても嫌悪感を示す人が増えつつあるようです。また国外でも、「#StopYulin2015」というタグでTwitter上の反対キャンペーンが5月頃から始まり、「change.org」内では祭りの開催を中止させるための署名運動も始まっています。
 反対派が主として問題にしているのは、「犬を殺すという倫理的問題」、「盗まれたペットが含まれている可能性」、「病気の伝播」などです。これらに加えて最近は、「伝統行事というよりは、ただ単に観光客を集めるためのアトラクションとして行われているだけ」と、祭りの存在意義自体に疑問を投げかける声も強まりつつあります。
玉林犬肉祭り

6月2日

 スコットランド南西部の都市グラスゴーにおいて、犬では極めて珍しい「アスベスト性中皮腫」と思われる症例が確認されました。
 ガンの一種「中皮腫」で命を落としたのは、ラブラドールレトリバーの「ジュラ」(Jura)。飼い主であるジャネット・ディクソンさんは、ジュラの息切れを見た時「ケンネルコフが再発したのかな」くらいにしか思わなかったそうです。その後、抗生物質でも症状が改善しなかったため精密検査を行ったところ、動物では極めて珍しいとされる「中皮腫」にかかっていることが判明したといいます。この病気はアスベスト(石綿)の繊維を吸入することによって発生するガンの一種で、イギリス国内では毎年2千人近い患者を出しています。人間においては、暴露から発症まで50年近くかかることもありますが、動物の場合はもっと早く、8歳ごろに発症することもあるとのこと。
 ジュラが中皮腫を発症した明確な原因は分かっていないものの、毎日の散歩で通っていた森の中に、アスベストの廃材があったのではないかと推測されています。グラスゴー獣医大学の腫瘍学者、クレア・ノッテンベルト教授は「古い建物やゴミ捨て場などにはむやみに近づかないように」と注意を呼び掛けています。
 日本においては、1975年9月に吹き付けアスベストの使用が禁止されています。しかし建物の解体に伴って空気中に飛散する危険性を否定できないため、古い建物には極力近づかない方がよいでしょう。 アスベスト(石綿)に関するQ&A(厚生労働省) Source---DailyMailOnline
吹き付けアスベストとアスベストの拡大図

6月1日

 スイスジュネーブの工業デザイナー、オセアン・イザール氏が、犬のフンから電気を作り出すという画期的な機械「Poo Poo Power」を開発しました。
 「Poo Poo Power」は、バクテリアを利用して犬のフンからメタンガスを生成し、それを電気に変換するという機械。理論値によると、ビーグルが出す250~340gのフンで 扇風機を2時間回せるとか。まだ試験段階ですが、商業化に成功した暁には、道端の落し物を喜んで拾ってくれる人が出てくるかもしれません。 FasCoExist

6月1日

 自閉症の児童を対象とした実験において、動物と一緒にいるとき、不安の指標である皮膚のコンダクタンスが低下するという現象が観察されました。
 実験を行ったのは、アメリカ・ペルデュー大学とオーストラリア・クイーンズランド大学の共同チーム。自閉症の児童1人と自閉症のない児童2人を1組として合計38の班を作り、それぞれの班に 「本を黙読する」 、「声を出して本を読む」、「おもちゃで自由に遊ぶ」という課題を与えました。目的は、課題を遂行している最中の「皮膚コンダクタンス」を計測することで、数値の上昇は不安や興奮を、数値の減少はリラックスを示します。
 その結果、自閉症の児童においては、人と関わりあう状況において皮膚コンダクタンスの上昇、つまり強い不安を抱くことが示されたといいます。またその後、「モルモットと触れ合う」という第4の状況を設定したところ、自閉症のない児童の皮膚コンダクタンスが興奮によって上昇したのに対し、自閉症のある児童においては逆に低下したといいます。
 こうした実験結果から研究者たちは、「動物の存在は、社会的状況に置かれた自閉症児童の不安を軽減する役割がある」という既存の結論を、「数値化された身体的な変化」という客観的なデータによって補強することに成功しました。ただし研究者たちは同時に「闇雲にペットを飼うのは早計である」とも付け加えています。 National Institute of Health 犬のアニマルセラピー