トップ犬の心を知る犬の言葉・気持ち犬が飼い主の口をなめる

犬が飼い主の顔や口をなめる~このしぐさの意味は?

 犬の言葉や気持ちをクイズ形式でまとめました。問いにある写真を見て犬が何と言っているのか当ててみてください。下にスクロールすると答えが出てきます。サンプル動画や写真もあわせてご紹介しますので、楽しみながら犬の言葉を学びましょう!
 なお、犬のカーミングシグナル犬の心を読む訓練もあわせてご覧ください。

犬が飼い主の顔や口をなめる状況

 犬がぺろぺろと飼い主の口元をなめています。さて、この時の犬の気持ちは? 「犬が飼い主の口をなめる」・設問写真

飼い主の顔や口をなめるときの気持ち解説

「犬が飼い主の口をなめる」・解答と解説  犬が相手の口をなめるという行動には、大きく二つの意味があります。
 一つ目は上位者に対するオオカミ流のあいさつという意味です。狼は上位の狼(アルファオオカミ)に対して親愛の情を表す時、相手の口元をなめます。この習性が犬に残っているというのが第一の意味です。
 二つ目は子犬が母犬に食べ物をねだるときの名残という意味です。昔の犬は、子犬が母犬の口元をなめると蓄えておいた食べ物を口から吐き出して食べさせるという習性がありました(石井宏著「チョッちゃん」内にも、母犬が子犬に吐き戻してえさを与える描写があります)。この習性が現代の犬にも残っており、自分が母親(保護者)とみなしている者に対して母犬に接するときと同様の行動を取るというのが二つ目の意味です。
 これら二つの説をあわせて考えると、「成犬が口をなめる」=「自分の上位者や保護者に対する親愛の情」と言えますので、ちょっと甘えた感じで「好きだよ」や「一緒にいて安心させてね」などという表現がよいでしょう。
 ちなみに、犬の舌は塩味に対して極めて鈍感にできています。ですから人の顔を舐めても「しょっぱいなぁ」と感じることはおそらく無いと考えられます。 犬の舌・味覚 犬の歯・口の病気
口なめをやめさせるには? 犬の口なめ癖をやめさせたい場合は、なめてきた瞬間に犬を無視する「タイムアウト」方式が効果的。  犬の口なめ癖をやめさせたい方は、犬の飛びつく癖をしつけ直すで解説した「タイムアウト」方式が効果的です。これは、犬が顔や口を舐めてきた瞬間、そっぽを向いて遊びや甘えんぼタイムを中断してしまうというものです。
 犬にとって楽しい時間を終わらせること自体が罰になり、次第に口なめをやらなくなるはずです。その代わり、口なめを思いとどまった瞬間を見計らい、うんとほめてあげましょう。細かな注意点がたくさんありますので、詳しくは上記しつけページをご参照ください。

犬が飼い主の顔や口をなめる動画

 犬が飼い主の顔などをなめてくるときは、空腹アピールというよりも人間の子供がお母さんに抱っこを求めるように、何らかのぬくもりを求めている可能性があります。柴犬などの日本犬よりも、人懐こく品種改良された西洋生まれの小型犬にこの傾向が特に強くあります。 人懐こい犬の種類
人の口や顔をなめたがる犬たち
 お昼のニュース番組に招待された犬の「ジンジャー」。何が気に入ったのかキャスターの口をしきりに舐めたがっていますね。体は大きいのに心はまだ子犬のままなのかもしれません。 元動画は→こちら
 ロットワイラーの子犬「イクラ」が年長犬の口をしきりになめていますね。実はこの犬たち、親子ではないそうです。血のつながりはなくても「親」や「保護者」とみなしている場合、顔や口をなめて服従心や甘えを示しているのでしょう。もちろんただ単におなかが空いていることをアピールしている可能性もあります。 元動画は→こちら
 なお2013年に行われた実験では、犬は飼い主と再会するだけで喜びを感じていることが示されました。調査の対象となったのは、30分~4時間に渡って飼い主と引き離された犬。飼い主と再会した時の行動や体内の変化を観察したところ、離れていた時間が長ければ長いほど「体を振る」、「口をなめる」、「しっぽを振る」といった歓迎のあいさつが増えたといいます。また再会に伴って「信頼ホルモン」とも呼ばれるオキシトシンレベルが上がると同時に、「ストレスホルモン」とも呼ばれるコルチゾールレベルが下がる傾向が認められたとも。さらにこの傾向は、飼い主が犬を無視しようが声をかけて触れ合おうが変わらず見られたそうです。
 こうした結果から研究者は、長い別離の後の再会は、それだけで犬にとってのごほうびになるという可能性を示しました。留守番していた犬が熱烈に口をなめてくるのは「また会えてうれしい!どこにも行かないでね!」ということなのでしょう。 Investigating the Dog-Human Relationship

犬が飼い主の顔や口をなめる写真

「犬が飼い主の口をなめる」・サンプル写真 犬に顔をなめられると、ちょっと臭いけど悪い気はしませんよね。また2016年に行われた調査では、犬の唾液に含まれる乳酸菌の一種にダイエット効果があるという可能性も検討されています(→詳細)。だけど注意!人獣共通感染症(じんじゅうきょうつうかんせんしょう=犬や猫から人間に感染する病気)の中で「パスツレラ症」というものがあります。 これはパスツレラ菌によって引き起こされる感染症の一種ですが、犬は高率でこの菌を口の中に保有していますので要注意です。通常は感染しても無症状ですが、免疫力(病気は跳ね返す力)の弱った人や乳幼児(にゅうようじ)などがこの菌に感染すると、時に気管支炎などを発症してしまいます。特に赤ん坊とペットの唾液(だえき)が交わるような過剰なスキンシップ(食器やスプーンを共有する、口の中をなめさせるなど)はちょっと控えたほうがよさそうですね。 人獣共通感染症(子猫のへや)