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サーブ

 主人を命がけで事故から守った盲導犬「サーブ」について解説します。

サーブとは?

サーブの訓練は、名古屋市の中部盲導犬協会が担当した  サーブは、主人を命がけで事故から守った盲導犬。
 1977年に生まれたメスのジャーマンシェパード「サーブ」は、愛知県名古屋市にある「中部盲導犬協会」での訓練を無事修了し、晴れて盲導犬になりました。彼女の最初のパートナーは、岐阜県でマッサージ業を営む亀山道夫さんです。
 サーブと亀山さんとの生活が2年目に近づいたある日、突然の不運が両者を襲いました。1982年1月25日、岐阜県の国道156号を歩いていると、雪でスリップした車がまっすぐ突っ込んできたのです。当時の国道には、車道と歩道を分けるガードレールのようなものがなかったため、もし衝突すれば、死んでもおかしくない状況でした。しかし亀山さんは奇跡的に軽症で済みます。彼を危機から救ってくれたのはサーブでした。彼女は主人を車と反対方向に引っ張り、車に体当たりしたのです。このとっさの行動によって亀山さんは一命を取り留めたものの、サーブは左前足に重傷を負い、結局切断を余儀なくされました。
サーブの活躍をまとめた本の出版により、徐々に彼女の知名度が上がっていった  この事故は新聞で話題になったものの、当時は盲導犬に対する認知度が低かったこともあり、怪我を負ったサーブに対して保険金や治療費が支払われることはありませんでした。しかし事故から1年5ヵ月後の1983年6月、サーブの活躍を記した「がんばれ!盲導犬サーブ」が出版されると、徐々に状況が変わり始めます。まず、サーブの献身的な振る舞いに、日本中の人々から励ましの手紙が届くようになりました。そしてこの声援に呼応するかのように、地元の議員たちも「盲導犬への保険適用」と「国道への歩道設置」を目指して動き出します。こうした動きは最終的に国にも伝わり、同年、サーブの事例が国会で取り上げられ、「盲導犬が事故にあった場合も自賠責保険が支払われる」という、新たな条項が法律に付け加えられました。
 法律を改正するという偉業を成し遂げたサーブでしたが、怪我の影響で、すでに盲導犬としては働けなくなっていました。しかし事故の後は、中部盲導犬協会で普及活動に携わったといいます。そして事故から6年後の1988年6月13日、老衰のため11歳で永眠しました。彼女の功績を称える銅像は、名古屋市の「久屋大通公園」(ひさやおおどおりこうえん)に今でも立っており、道行く人々を見守り続けています。 盲導犬サーブ 中部盲導犬協会

サーブの写真

 以下でご紹介するのは、主人を命がけで事故から守った盲導犬「サーブ」の写真です。 事故の後遺症で3本足となった盲導犬サーブ
 サーブの美談は海外へも伝わり、1985年にアメリカ・テキサス州から「テキサス名誉州犬」の称号を授与されている。また同年9月には、当時の内閣総理大臣・中曽根康弘から功労賞を授与された。写真の出典はこちら
岐阜県郡上市に建立されたサーブの銅像
 サーブの功績を称える銅像は3体ある。1つは名古屋市中区の「久屋大通公園」、1つは名古屋市港区の「盲導犬総合訓練センター」、そしてもう1つは岐阜県郡上市の「健康福祉センターさつき苑」。上の写真は郡上市のもの。写真の出典はこちら