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カボチャの種~安全性と危険性から適正量まで

 ドッグフードのラベルに記された「カボチャの種」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも犬に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

カボチャの種の成分

 カボチャ(南瓜)はウリ科カボチャ属に属する果菜の総称。人間の食用に栽培されているものとしてはクロダネカボチャ、セイヨウカボチャ、ニホンカボチャ、ペポカボチャなどがあります。
 「カボチャの種」と言った場合は文字通り果実の中にある平べったい種のことを指します。人間向けのスナックとしてパンプキンシード(種子)やパンプキンシードオイル(種子油)が販売されていますが、多くの場合いったいどの種類のカボチャから採取した種子なのがわかりません。
 同様に、ドッグフードのラベルにただ単に「カボチャの種」と記載されている場合、その元となったカボチャが何なのかは不明です。 ドッグフードの成分として用いられる「カボチャの種」(ペポカボチャ)  種子が食用としてよく使われるのはアメリカ原産のウリ科の一年草「ペポカボチャ」です。ペポカボチャは亜種であるズッキーニ、キンシウリ(そうめんカボチャ)の果実を食用とするほか、種子(ペポナッツ)を焙ってスナック菓子として食したり、種子から抽出した油をサプリメントに加工して摂取したりします。また果肉は「カボチャ」という形で人間が食べたり、ドッグフードの原料になったりします。

カボチャの種は安全?危険?

 カボチャの種を犬に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはカボチャの種に関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

種子油抽出物

 カボチャの種子にはビタミンE(トコフェロール)、リノレイン酸、パラアミノ安息香酸(PABA)、葉酸、ルテイン、カロテン、β-カロテンなどが豊富に含まれています。人医学においては種子油抽出物を単独またはノコギリヤシと併用したときの前立腺肥大症に対する有効性が示唆されていますが、犬に給餌したときの効果に関してはよくわかっていません。
 「前立腺に良い!」と早合点してカボチャの種ばかり与えるのは危険でしょう。人間においてはカボチャ種子の大量摂取による胃石の形成やによるアレルギー(アナフィラキシー)症状が報告されています。またマウスにおける半数致死量(LD50)は、種子を水で抽出ものを腹腔内に投与したときで5g/kg以上とされています。

ククルビチン

 ククルビチン(cucurbitin)とはキュウリやマスクメロンのほか、カボチャ属の生の種子中に含まれるアミノ酸の一種です。吸虫の生殖能力を変性させる作用を持つとされています。また乾燥したカボチャの種子は南瓜仁(ナンカニン)という生薬として条虫、回虫駆除に用いられることもあります。
 含有量は種類によってまちまちで、また同じ種類であっても株によってばらつきがあります。加工していない全粒種子を対象とした成分分析では、セイヨウカボチャ(C.maxim)が0.53~1.94%、ニホンカボチャ(C.moschata)が0.4~0.84%、ペポカボチャ(C.pepo)が0.18~0.66%程度と報告されています出典資料:V.H. Mihranian, 1968
カボチャの種の原産国を知りたい場合はフードメーカーに直接問い合わせるしかないでしょう。ちなみに中国産が使われていることがよくあります。