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クロレラ~安全性と危険性から適正量まで

 ドッグフードのラベルに記された「クロレラ」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも犬に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

クロレラの成分

 クロレラ(chlorella)は単細胞性緑藻の一種。直径は2~10μmで、内部にクロロフィル(葉緑素)を含んでいることから緑色に見えます。人間用の食品としては青汁やクロレラサプリなどが有名です。 ドッグフードの成分として用いられる「クロレラ」  クロレラを乾燥して粉末状にした「クロレラ末」は食品添加物の着色料、そしてクロレラをお湯で抽出した後、濃縮精製して得られたエキスである「クロレラ抽出液」は調味料として認可されています。
 日本健康・栄養食品協会 (JHFA)が「クロレラ食品」「クロレラ加工食品」「クロレラ加工複合食品」の製品規格基準を設定しており、また1日の摂取目安量としてクロレラ原末8gを設定しています。

クロレラは安全?危険?

 クロレラを犬に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはクロレラに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

フェオホルバイド

 クロレラに関しては「猫がアワビを食べると耳が落ちる」という俗説と深い関係があります。クロレラに含まれるクロロフィルが酵素によって分解されて生成される「フェオホルバイド」および「ピロフェオホルバイドa」と呼ばれる成分に可視光線が当たると、強い蛍光を発して活性酸素を作り出し、クロロフィル性日光過敏症(クロレラ皮膚炎)を引き起こしてしまうのです。クロレラを腸内に大量に含むアワビを食べた猫が日向ぼっこすると、皮膚が薄い耳の先端に炎症が発生し、ひどい場合は腐り落ちてしまいます。ここから「アワビを食べると耳が落ちる」という俗説が生まれました。
 クロロフィルを分解する「クロロフィラーゼ」と呼ばれる酵素は熱に弱く、100℃のお湯で3分間加熱すれば失活します。またラットにおける経口投与実験では体重1kg当たり50mgの摂取で発症するとされています。
 ドッグフード内のクロレラは多くの場合着色用ですので、クロレラ皮膚炎を発症するほど大量には含まれていないでしょう。またエクストルード(押出成形)過程において高温下にさらされますので、クロロフィラーゼも失活していると考えられます。ヒューマングレードのクロレラが用いられている限り、副作用の危険性は低いと考えられます。
人間用のクロレラに関しては、葉緑素を含む場合のフェオホルバイド総量が製品100g中80mg未満、海草類を含まない場合のヒ素濃度が2ppm以下と規定されています。