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小麦ふすま~安全性と危険性から適正量まで

 ドッグフードのラベルに記された「小麦ふすま」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも犬に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?

小麦ふすまの成分

 小麦ふすま(wheat bran)は小麦を生成する過程で発生する外皮の一部。小麦粒の胚乳部分と胚芽を取り除いて残ったものを指します。鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、銅などのミネラルのほか、不溶性食物繊維としてセルロースやヘミセルロースを豊富に含んでいます。 ドッグフードの成分として用いられる「小麦ふすま」  人間向けの食品としてはシリアルなどに用いられており、糞便量の増大、消化管通過時間の短縮、便量の増加作用などが期待されています。

小麦ふすまは安全?危険?

 小麦ふすまを犬に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのは小麦ふすまに関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。

膵外分泌機能の活性化

 5頭のビーグル犬を対象とし、基本食に小麦ふすまを添加して消化管や膵臓の変化がどのように変化するかがモニタリングされました出典資料:Damge, 1984
 その結果、膵液の流出率が増加し、セクレチン(膵臓からの重炭酸塩の外分泌を亢進させる消化管ホルモン)の有無にかかわらず重炭酸塩とアミラーゼの分泌量が増えたと言います。またセクレチンによる刺激を受けない環境下ではタンパク質とキモトリプシンの放出量も増えました。
 こうした観察から、小麦ふすまは小腸において炭水化物やタンパク質の吸収に関わる酵素活性に影響を及ぼすことなく、膵臓の外分泌機能だけを活性化する可能性が見出されました。

腸内細菌叢の活性化

 小麦ふすまを25%の割合で含んだフードに、消化を助けるようなさまざまな酵素をミックスした上で合計30頭(平均7歳 | 11kg)を対象とした給餌試験が行われました出典資料:Vasconcellos, 2013
 その結果、見かけの総消化管消化性(乾燥物, 有機物粗タンパク質, 脂質)に関しては小麦ふすまを含まないフードで高い値を示したといいます。また小麦ふすまを添加したフードでは、糞便量の増加と短鎖脂肪酸の増加、およびpHとアンモニア濃度の低下が確認されました。しかし酵素の添加により消化性は改善しなかったとも。
 こうした観察結果から、小麦ふすまには腸内細菌叢を活性化する作用があるのではないかと推測されています。

消化性の低下

 8頭の成犬を対象とした給餌試験を行い、さまざまな食物繊維が摂食量や消化性に及ぼす影響が比較検討されました出典資料: Carciofi, 2008。「比較食」の食物繊維含有量をフード1kg当たり118gに設定し、「小麦ふすまフード」を191g、「米ぬかフード」を175gとやや多めに設定して給餌したところ、3大栄養素の消化性に関して以下のような格差が生まれたと言います。代謝熱量の単位は「MJ/kg」です。 ドッグフードに小麦ふすまを入れたときのマクロ栄養素の消化性一覧グラフ  これらのデータから、フードに小麦ふすまや米ぬかを食物繊維として混ぜると、乾燥物の消化性が低下し、それと連動して代謝熱量も減るという関係性が浮かび上がってきました。要するに、摂取するフードのボリュームは同じでも、そこから取り出せるエネルギーの量が少なくなるという意味です。
上で紹介したような機能を活かし、「腸内フローラをケアする」とか「満腹感を促してダイエットにつなげる」といったタイプのフードに頻繁に入れられています。