トップ犬の食事ドッグフード成分・大辞典酸味料・調味料5'-イノシン酸二ナトリウム

5'-イノシン酸二ナトリウム~意味や目的から安全性まで

 ドッグフードのラベルに記された「5'-イノシン酸二ナトリウム」。この成分の意味・目的から安全性までを詳しく解説します。何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

5'-イノシン酸二ナトリウムとは何か?

 5'-イノシン酸二ナトリウムとは鰹節のうま味成分として用いられる化学調味料の一種です。同じ旨味成分であるL-グルタミン酸ナトリウムに2%ほど配合することによりうま味が増強することから、各種の調味料は多くの場合上記2成分を同時に含んでいます。魚や豚肉といった動物性食品のほか、タピオカからも作ることができます。化学構造式は以下です。 イノシン酸二ナトリウムの分子式  成分の分類上は「酸味料・調味料」に属し、フードの味を変えて犬の食いつきを良くする作用を持っています。
5'-イノシン酸二ナトリウムの安全性情報・概要
  • 厚生労働省=指定添加物
  • IARC=発がん性なし
  • EFSA=使用基準未設定
  • JECFA=使用基準未設定
  • ペットフード=データなし

日本での安全性情報

 日本では厚生労働省によって指定添加物として認可されており、「ハイミー」の商標名で流通しています。使用基準は特に設定されていません。また5'-イノシン酸二ナトリウムと同じく「5'-リボヌクレオチド二ナトリウム」に属する5'-グアニル酸二ナトリウム(しいたけの旨味成分)も調味料として指定添加物に含まれています。こちらにも使用基準は特に設定されていません。

海外での安全性情報

 5'-イノシン酸二ナトリウムはIARC(国際がん研究機関)によって発がん性は確認されていません。
 JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)やEFSA(欧州食品安全機関)でも使用基準が設定されていません。またアメリカ食品医薬品局(FDA)の調査でも健康被害をもたらすという証拠はなかったとされています。

ドッグフードに入れると危険?

 ビーグル犬を対象とした長期的な給餌テストでは、5'-イノシン酸二ナトリウムが健康に悪影響を及ぼすことはないとの結論に至っています出典資料:Worden AN, 1975
 この調査ではオスのビーグル4頭とメスのビーグル4頭を対象とし、5'-リボヌクレオチド二ナトリウム(5'-イノシン酸二ナトリウム50%+5'-グアニル酸二ナトリウム50%)を体重1kg当りの摂取量が0.04~0.03g、0.48~0.26、0.93~0.51gになるように調整し、2年間に及ぶ長期的な給餌試験が行われました。その結果、死亡率、食事の摂取量、飲み水の量、体重の増減、眼科系の変化、血液組成、血清生化学、臓器重量、組織学的所見に何ら変化は見られなかったといいます。唯一の変化は血清アラントイン(化合物の一種)の値でしたが、統計的に意味があるとまでは判断されませんでした。
人間用の食品としてはインスタントラーメン、スナック菓子、チップス類、クラッカー、ソース、ファストフードなどに高い確率で使用されています。食べ始めると止まらなくなるのはこのためでしょう。