トップ2019年・犬ニュース一覧8月の犬ニュース8月26日

ドライタイプのペットフードを計量カップで正確に計るコツは?

 ドライタイプのドッグ(キャット)フード取り分けるとき、計量カップだけを用いている方は要注意です。犬の飼い主100人を対象とした実験により、非常に高い確率で多く盛りすぎてしまうことが明らかになりました。

計量カップでは正確に計れない

 調査を行ったのはカナダにあるゲルフ大学オンタリオ獣医学校を中心としたチーム。ドライタイプのドッグフードを計量カップで取り分けるとき、果たして正確に測れているのかどうかを検証するため、犬の飼い主100人を対象とした実験を行いました。 異なるタイプの計量カップ3種
 形状が異なる3つの計量カップ用意し、1粒の大きさが「15.5×15×7.5mm」のドライドッグフードを1目盛り(※1回分の食事量としてラインが引かれている部分)、1/2目盛り、1/4目盛りの分量を目見当だけで取り分けてもらったところ、非常に高い確率で誤差が生じることが明らかになったといいます。以下は重量ベースで見た時の誤差です。
各種計量器具による計測誤差
ドッグフードをカップと目見当だけで計量した時の誤差  計量カップのタイプに関わらず、多くとりすぎてしまう傾向が確認されました。中でも「液体計量カップ」の時の誤差が最大でした。また取り分ける目標値が小さければ小さいほどその誤差も大きくなる傾向が見られました。
Dog owner’s accuracy measuring different volumes of dry dog food using three different measuring devices
Coe, JB., Rankovic, A., Edwards, TR., Parr, JM., Veterinary Record Published Online First: 13 August 2019. doi: 10.1136/vr.105319

ドライフードを計る時は電子計量器で

 今回の調査により、目見当だけでドライタイプのドッグフードを取り分けるのは危険であることが判明しました。
 取り分ける量が少なすぎると犬の必要栄養量を満たすことができず、カロリー(エネルギー)のほかビタミンやミネラルの欠乏症が起こってしまうかもしれません。犬で多く報告されているのはセレンやコリン不足です。
 逆に取り分ける量が多すぎると必要栄養量を超過したカロリー(エネルギー)を犬に与えてしまい、肥満を引き起こしてしまうかもしれません。肥満は非常に多くの全身性疾患と関連性を持っているほか、寿命にも影響を及ぼす可能性が示唆されていますので要注意です。例えば理想体重の犬と太り気味の犬の寿命を調べたところ、前者の方が2年ほど寿命が長かったという予備的な報告があります出典資料:Kealy, 2002
 計量カップだけでドッグフードを取り分けるとかなり高い確率で誤差が生じてしまうという事実、および取り分けようとする目標量が少ないほど誤差が大きくなるという事実から考え、調査チームは1日1回、犬に必要な栄養量を電子計量器を用いて正確に計った後、食事回数で分割することを推奨しています。食事ごとに計量した場合、そのうち面倒になってやめてしまう可能性がありますが、1日1回なら習慣化しやすいでしょう。また1回の食事量よりも1日の総合食事量の方が多いため、計測誤差も最小の範囲内で済むと考えられます。
 ドッグフードやキャットフードを計量カップと目見当だけで与えている方は、電子計量器(デジタルスケール, キッチンスケール, 電子はかり, デジタルはかり)を導入してはいかがでしょうか?猫や小型犬を飼育する家庭が多い日本においては計量する総重量自体が少ないため、誤差が生じやすくなってしまいます。また肥満傾向のある犬の飼い主のうち、およそ半数は「自分の犬は太っていない」という誤認を抱いていたという報告もあります。ペットの体型には親の贔屓目が出てしまいますので、オーバーカロリーにならないような配慮が必要です。犬の肥満 猫の肥満