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犬の咬傷事故は雷雨のときに起こりやすくなる?~天候と攻撃性の因果関係

 子供を対象とした犬による咬傷事故は、外の天候が「雷雨」のときに起こりやすくなる可能性が示されました。

天候と犬の咬傷事故

 調査を行ったのはアメリカ・ペンシルベニア州にあるピッツバーグ大学の小児医療チーム。ピッツバーグ小児病院(アレゲニー郡)の救急外来に蓄積されている医療記録を回顧的に調べ、天気や外気温と子供に対する咬傷事故との間に何らかの関係性があるかどうかを統計的に解析しました。 子供を犠牲者とした犬による咬傷事故には「夏に多い」という季節性がある  その結果、454日で595件(平均6歳 | 43%は女児)の咬傷事故が確認され、外の天気が雨(25%減)や雪(55%減)の時の発生リスクが低下することが判明したと言います。逆に「雷雨」の時のリスクが64%増加すること、および外気温が高いほど発生リスクが高まる傾向も確認されました 。
 これまで屋外の天候と咬傷事故との因果関係を調べた結果がなかったため、「雷雨」の時は子供と犬を引き離すなどの予防策が必要なのではないかとアドバイスしています。
【短報】Weather Patterns in the Prediction of Pediatric Dog Bites
Sriram Ramgopal MD, Michael R. Bykowski MD et al., Clinical Pediatrics, DOI: 10.1177/0009922818809518

咬傷事故は夏に多い!

 過去に行われた調査では、犬による咬傷事故の発生率に季節性があることが確認されています。
 例えばフランスのマルセイユで行われた調査では、哺乳動物による咬傷が春と夏に多くなると報告されています出典資料:Mendoza K, 2015。また1998年、ニューヨークで発生した6,568件の咬傷事故を統計的に調べたところ、犠牲者では7~9歳の子供、季節では夏に多いことが判明したとのこと出典資料:Borud LJ, 2000。さらに1995~2004年の期間、スペインのアラゴン州で発生した犬による咬傷事故を統計的に精査した所、犠牲者では5~9歳の子供(特に男児)、季節ではやはり夏に多い傾向が見出されたといいます出典資料:Rosado B, 2009

夏に咬傷が増える理由

 咬傷事故の季節性の背景にあるメカニズムはよくわかっていません。「気温が高くて人も犬も不快指数が高まる」「体内の水分量が減って脱水状態になり、犬の攻撃性が高まる」「人々が薄着になって怪我をしやすくなる」などが想定されている理由です。
 今回の調査により「雷雨」という天候が犬の攻撃性を高めている可能性が示されました。過去に行われた調査ではおよそ40%の犬が騒音恐怖症の徴候を示すと報告されています。また別の調査では、嵐を怖がる「ストームフォビア」(storm phobia)の犬に雷雨の録音を聞かせると、ストレスホルモン(コルチゾール)レベルがおよそ2倍に高まるとも報告されています出典資料:N.A.Dreschel, 2005
 屋外が雷雨だと子供が家の中にこもりがちになりますので、「雷雨で犬のストレスレベル増加+子供との接触機会増加→咬傷事故!」というメカニズムで発生リスクが高まっているのかもしれません。雷雨が夏に多いのだとすると、この季節において咬傷事故が増える理由にも説明が付きます。
 日本でも毎年、報告されているだけで4千件を越える咬傷事故が発生しています。日頃から音に慣らして犬のノイズフォビア(noise phobia, 音恐怖症)を軽減すると同時に、特に夏場の雷雨の時は子供が安易に犬に近づかないよう忠告した方が安全かもしれません 。  なお子供を犠牲者とした咬傷事故には、犬に顔を近づけてもよいという誤解が深く関わっています。間違っても見知らぬ犬に対し、上の写真のような行動は取らないよう監督してあげてください。 犬をいろいろな音に慣らす 犬の攻撃行動 犬との生活・夏の注意