箱の中身設定
犬の謀略能力を確認するため、まず犬が自力では開けることができない3つの箱が用意されました。1つ目には犬が大好きなおやつ、2つ目にはまぁまぁのおやつが入っており、3つ目は空です。犬の立場から見たとき、利益が最大になるように並べると以下のようになります。
犬から見た利益の大きさ
- 1、大好きなおやつとまぁまぁのおやつ両方をゲットする
- 2、大好きなおやつだけをゲットする
- 3、まぁまぁのおやつだけをゲットする
- 4、何もゲットできない
協力者のキャラ設定
犬は自力で箱を開けることができないため、おやつの入っている箱の前に人間を連れて行けば、その箱を開けてくれるということ覚えさせました。コマンドは「おやつを見せて」です。そして犬への協力者として呼ばれた人間たちに、以下のようなキャラクターが設定されました。
協力者のキャラクター
- 飼い主犬の実際の飼い主で、箱の中に入っているものを常に犬に与える
- 寛大な人犬にとって馴染みのない人で、箱の中に入っているものを常に犬に与える
- 競合的な人犬にとって馴染みのない人で、箱の中に入っているものを犬に見せびらかすだけでポケットにしまいこんでしまう
犬の利益最大化戦略
- 寛大な人+飼い主のとき寛大な人も飼い主も、おやつの入っている箱の前に連れて行けば中に入っているものを必ず自分にくれる。寛大な人をおやつが入っている箱のどちらか1つに連れて行き、その後で飼い主を残りの箱に連れて行けば、大好きなおやつもまぁまぁのおやつも両方ゲットできるはずだ!
- 競合的な人+飼い主のとき競合的な人はどこに連れて行っても結局自分に何もくれない。だから空っぽの箱かまぁまぁのおやつの前に連れて行こう。その後で飼い主を大好きなおやつの前に連れて行けば、少なくとも一番いいおやつ1つはゲットできるぞ!
犬の謀略能力テスト
「寛大な人+飼い主」パターンの場合、自分の利益を最大にするためには2人を順不同でおやつが入っている箱の前に連れて行くだけで事足ります。しかし「競合的な人+飼い主」パターンの場合、競合的な人を空っぽの箱やまぁまぁのおやつの前に連れていくという行動をとらなければ最高のおやつをゲットできません。テストに参加した27頭の犬たちは、果たしてどのような戦略を取ったのでしょうか?
こうしたデータから調査チームは、自分の利害に影響が及ぶとき、犬は相手が人間でも戦略的な謀略を画策することができるという可能性に行き着きました。平たく言うと、「犬も嘘をつく」といったところでしょうか。 Deceptive-like behaviour in dogs (Canis familiaris) Do Dogs Ever Lie to or Try to Deceive People? 犬は人に「戦略的なウソ」をつく、実験で証明
テスト結果(2日制)
- テスト初日【寛大な人+飼い主】
寛大な人を大好きなおやつの前に連れて行く確率が偶然レベルより高かった【競合的な人+飼い主】
競合的な人を大好きなおやつとまぁまぁのおやつの前に連れて行く確率は同程度だった - テスト2日目【寛大な人+飼い主】
寛大な人を大好きなおやつの前に連れて行く確率は80%に高まった【競合的な人+飼い主】
競合的な人を大好きなおやつの前に連れて行く確率は20%以下に減った / まぁまぁのおやつと空っぽの箱の前に連れて行く確率は同程度だった
こうしたデータから調査チームは、自分の利害に影響が及ぶとき、犬は相手が人間でも戦略的な謀略を画策することができるという可能性に行き着きました。平たく言うと、「犬も嘘をつく」といったところでしょうか。 Deceptive-like behaviour in dogs (Canis familiaris) Do Dogs Ever Lie to or Try to Deceive People? 犬は人に「戦略的なウソ」をつく、実験で証明